第二章 アークス
「金がねえ……」
話は一ヶ月前に遡る。
狩猟する姿が板についてきたころ、男はまた、旅に出たくなっていた。
狩猟生活に不満があったわけではない。ただ、一ヶ所に留まるのが性に合わなかっただけである。
「どこかで腰を落ち着かせる気はないの?」
そう聞かれたこともあった。そういうとき、男はいつもこう返した。
「この世の全てが俺の居場所さ」
そしてまた、男は旅に出た。
だが、旅には不測の事態というものがつきものだ。
「なにい!?1メセタが100万ゼニーだとお!?」
ふらりと立ち寄った、とある国。宇宙港を有するほどに技術の発展したその国の物価は、ハンターとして稼いだ彼の貯蓄に大打撃を与えるのに充分なほどの高騰具合を見せていた。
だが、金はなくとも腹は減る。
全財産をメセタへと替え、その日の食事と宿の手配を済ませた後、彼は宿の部屋の天井を見上げながらひとりごちた。
「金がねえ。働かねば。」
だが、どうやって?
そう口に出そうとしたそのとき、彼は町の入り口で見たアークス募集の広告を思い出した。
「アークス、か。」
自分の技術が役に立ちそうなこと、適性が必要なこと、そして何より、「己の腕を磨き、来るべき戦いに備えることができそうなこと」を踏まえたうえで、応募することにした。
結果は、アークスとして適性ありと出た。
迷う理由も、留まる理由もなかった。彼はアークスシップに乗り込み、次の戦地へと向かう。そして、再び仮面の戦士たちと出会うことになる。
共に戦う理由は、表向きは
「そのほうが楽しそうだから」
だが、本当は理解している。いつか敵になるかもしれない、だからこそ戦術を分析し、学ばなければならないことを。
仮面の戦士たちは強い。だからこそ、その戦いかたには学ぶべき点も多い。これからも仮面の戦士の居るところには、出没することだろう。来るべき戦いに備えて。
最終更新:2015年11月11日 00:32