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  • 自分用SSまとめ
  • 岸辺露伴は動かない-雛見沢- その⑪

自分用SSまとめ

岸辺露伴は動かない-雛見沢- その⑪

最終更新:2011年06月11日 20:01

meteor089

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管理者のみ編集可

岸辺露伴は動かない-雛見沢- その⑪

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242 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 02:33:41.82 ID:YF7VRS8H0

  1983年(昭和58年)
       6月18日(土)

        • 通学路----

圭一は朝から違和感を感じていた。
レナも魅音も昨日からどことなく元気がなかった。
魅音は祭りの準備で疲れているのだろう。
レナも話しかければ元気に振舞うので何か疲れているだけかもしれない。
鈍感な圭一はそう考え、気にしないことにする。
登校中、圭一は彼女らを元気にさせるため、一人ではしゃぎながら明日の祭りについて語っていた。

学校に着くと教室の雰囲気もいつもとは違っていた。この日は土曜日。授業は午前中だけだ。
次の日に綿流しのお祭りがあるということもあり、今日の子供達はいつになく元気だった。
友達と明日の約束をしたり、このあと何をして遊ぼうか話したり、そんな明るい雰囲気で教室はいっぱいだった。

243 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 02:34:46.03 ID:YF7VRS8H0

しかし、その中に一人、元気のない少女を見つける。

自分の机にひじを突いて突っ伏している。
目開いているから寝ているわけではなさそうだが、
机の上の何もないところをじっと見つめていた。

圭一は気になり話しかけた。

圭一「おい、沙都子、目ぇ開けたまま寝てんのか?」
沙都子「・・・。」
圭一「おーい、無視することはないだろ?」
沙都子「余計なお世話ですわ・・・。放って置いてくださいまし。」

圭一はムっとする。いつもならイタズラを仕掛けてやるところだ。
しかし、今日の圭一はいつになく冷静だった。

沙都子は最近ものすごく機嫌がよかった。
露伴が雛見沢に来てから、沙都子が機嫌が悪い日など一度もなかったのだ。
その沙都子が急に元気がなくなった。なにかあったのだろうか。

245 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 02:35:41.84 ID:YF7VRS8H0

圭一「沙都子、本当に大丈夫かよ?
   何かあったのか?」
沙都子「・・・。」
圭一「沙都子・・・ここで話づらいなら外へ行こうぜ。
   俺でよければなんでも相談に乗るからよ。」
沙都子「・・・。」

沙都子は圭一の目を一度見たあと、なにも言わずに教室を出て行った。
圭一もそれに続いて出て行く。さらにそれに気づいたレナも教室を出て行くのだった。

レナ「圭一くんッ!沙都子ちゃんッ!」
圭一「お、レナ・・・。」
レナ「私も聞きに行ってもいいかな?かな?」
沙都子「・・・。」

沙都子は何も言わずに校舎の裏手まで行く。
圭一とレナも何も言わずに付いて来た。

圭一「おい、沙都子、何があったんだよ?」
レナ「沙都子ちゃん、私と圭一くんに話してみて?
   絶対に力になるよ?」
沙都子「・・・ぅ・・・うぅ・・・ふわああぁぁぁーん。」

246 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 02:36:42.96 ID:YF7VRS8H0

沙都子がいきなり泣き出し、レナに飛びつく。
レナは沙都子を抱きしめ、なんとかなだめる。

沙都子「露伴さんが・・・露伴さんがぁぁぁあああ・・・。」
圭一「露伴さんに何かあったのかッ!」
レナ「・・・。」

二人は沙都子が泣き止むのを待ち、沙都子から話を聞いた。

沙都子が言うには、露伴は木曜日の夜に園崎家へ向かった。
酒の席に招待されたと言っていたらしい。
たしかに園崎家ではたまに宴会があると魅音が言っていることがあった。

露伴さんは酔って泊まってくるかもしれないと伝言を残していたので、
翌朝に帰ってきていなくとも沙都子達は気にしなかった。
しかし、その日の夜になっても露伴さんが帰ってくることはなかった。
園崎家に電話したところ魅音の母に、朝まで家にいたが今はいないと言われたらしい。

圭一「露伴さんが・・・いなくなったってことか・・・。」
レナ「・・・。」

そのとき、校長の鳴らす鐘の音が聞こえる。
3人は急いで教室へと戻るのだった。

268 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 03:32:04.01 ID:YF7VRS8H0

1時間目の授業が終わり、休み時間になる。
圭一は誰とも話をする気にならなかった。

露伴さんはどうしたのだろうか。
露伴さんが沙都子に何も言わずに村からいなくなるわけがない。
それに、綿流しの出し物だって、俺と一緒にやるはずなんだ。
露伴さんが村からいなくなるなんてことは考えられない・・・。
いろいろと考えをめぐらせていると、レナが机の前にいた。

レナ「考え事かな?圭一くん。」

レナの能天気な問いに、圭一は文句を言いたくなった。
しかし、レナの手元を見てその文句を飲み込む。

269 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 03:33:20.99 ID:YF7VRS8H0

レナはなにやら折りたたんだ紙を机の上に置き、圭一のほうへと差し出してきた。
まるで、授業中に先生に見つからないように会話をするための手紙みたいだ。
圭一はレナの意図を理解し、手紙を受け取る。そして何もないように答えた。

圭一「いやー、明日祭りだろー?
   小遣いが残り少ないからさ、何を食べようかなーなんてよ。」
レナ「あはは、縁日の屋台は何でも高いからね。
   でも、どうしても買っちゃうんだよねー。」

そのままレナと他愛ない話をし、休み時間を終える。
圭一は、2時間目の授業が始まってからレナの手紙をそっと開いた。

『露伴さんのことで話したいことがある。
 放課後に残って。魅ぃちゃんには内緒にね。』

圭一は手紙を読むと、クシャクシャに丸めてポケットへと放り込んだ。

270 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 03:34:18.71 ID:YF7VRS8H0

授業が終わり、子供達はぞくぞくと帰っていく。
お昼も家で食べなくてはいけないし、土曜の午後は遊びたいのだろう。
レナと圭一は魅音に帰りを誘われたが、少し学校で遊んでいくと答えた。
魅音は綿流しの祭りの準備があるため、先に帰ると言い帰っていく。
教室にはレナと圭一のふたりだけが残った。

圭一「レナ・・・もう誰もいないし話してくれよ。」
レナ「うん・・・。
   あのね、露伴さんが木曜日に魅ぃちゃんの家に行ったのはお酒のためじゃないの。」
圭一「どういうことだ?露伴さんが嘘をついてるってことか?」
レナ「多分・・・沙都子ちゃんに心配させたくなかったんだと思う。
   露伴さんが魅ぃちゃんの家に行ったのは、魅ぃちゃんのおばあちゃんに呼ばれたからなの。」
圭一「魅音のばーさん・・・?」
レナ「魅ぃちゃんの家が雛見沢で一番大きな家なのは知ってるでしょう?」
圭一「あぁ。」

271 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 03:36:06.33 ID:YF7VRS8H0

レナ「露伴さんはね、オヤシロ様の祟りについて何か知っていることがあるみたいなの。」
圭一「お、俺も聞いたことあるぞ。ダム工事現場の監督が殺されたって。
   他にもあるみたいなことも言ってたけど・・・。」
レナ「オヤシロ様の祟りっていうのはね、毎年綿流しの夜に誰かが死に、誰かが鬼隠しにあうんだよ。
   その事件は最初のオヤシロ様の祟り。そのあと毎年起きつづけて、今年で5年目になるの。」
圭一「鬼隠し?神隠しみたいなもんか?」
レナ「うん、そんなところだよ。
   園崎家は村のマイナスイメージだった祟りをなんとかなくしたいと思ってる。
   それで、露伴さんが何かを知っているとわかって、露伴さんを呼び出したの。」
圭一「なるほどな。でも、なんでレナはそんなこと知ってるんだ?」
レナ「・・・あのね・・・、露伴さんのことを園崎家が知ったのは私のせいなの・・・。」

レナは圭一に自分の知ることを話す。
魅音のことも詩音のことも、あの夜露伴と会っていたこともすべて話した。

272 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 03:37:12.88 ID:YF7VRS8H0

圭一「なるほどな。それで、レナは露伴さんはどこにいると思うんだよ。」
レナ「私は、まだ露伴さんは園崎本家にいると思う・・・。」
圭一「魅音のお母さんは嘘をついてる?」
レナ「うん・・・魅ぃちゃんのお母さんは普段は興宮に住んでるの。
   魅ぃちゃんの家には、おばあちゃんとお手伝いさん、それに魅ぃちゃんしか普段はいないんだよ。
   私が露伴さんと会った日も、昼間はおばあちゃんしかいなかった。
   露伴さんから話を聞くために親族を集めることになって、
   それで、魅ぃちゃんのお母さんはわざわざ興宮から後で来たんだよ。」
圭一「なるほど・・・、つまり普段いないはずの魅音の母さんがまだ本家にいたってことは、
   露伴さんも本家にいるってことか・・・。」
レナ「うん・・・。少なくとも、何か知っていると思う。」
圭一「魅音に話を聞こう・・・。」
レナ「魅ぃちゃんは、園崎家の人間だよ。
   露伴さんを呼び出した時も、頭首代行として話を聞いてるはず・・・。
   私達の味方になってくれるかはわからないよ・・・。」

278 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 03:39:45.34 ID:YF7VRS8H0

レナがそう言い、俯くと圭一はレナの頭をぐしゃぐしゃと撫でてやる。

レナ「はぅぅ・・・。」
圭一「馬鹿野郎。魅音は俺達の仲間だろ。
   きっと味方になってくれるよ。」
レナ「う・・・うん・・・。
   あと、詩ぃちゃんも何か助けてくれるかもしれない。
   露伴さんのことは私と詩ぃちゃんのせいだから・・・。」
圭一「よし、まずは詩音が先だな。
   魅音は立場上俺達の味方になっても、できることが限られるだろう。
   まずは詩音から話を聞いて作戦を考えるんだ。」

レナと圭一は互いに見つめあい、頷きあう。
二人が決意を固めたそのとき、教室の扉が開かれた。

283 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 03:42:26.97 ID:YF7VRS8H0

沙都子「おーっほっほっほッ!!
    私を忘れてもらっては困りますわねぇ。」
圭一「さ、沙都子ッ!?」
レナ「沙都子ちゃん、聞いてたのかな?かな?」
沙都子「最初から最後まで聞かせてもらいましたわ。
    私もお供しますわよー。」
レナ「沙都子ちゃん、危ないよ。ただでさえ沙都子ちゃんは園崎家には・・・」
圭一「レナッ!」

圭一がレナの言葉を制す。そして沙都子に近づき話しかけた。

圭一「沙都子も露伴さんを助けたいか?」
沙都子「えぇ、露伴さんは私の命の恩人ですわ。」
圭一「何があっても、後悔しないな?ただじゃすまないかもしれないぜ?」
沙都子「望むところですわ!露伴さんは私の大切な友人ですもの。
    露伴さんは私の為に戦ってくださいました。私も露伴さんの為に戦いますわ!!」
圭一「ぃよーし!気に入ったぜ沙都子!!おまえも付いて来い!!」

こうして圭一たちは露伴を救出する為に動き出す。
幸い、詩音の電話番号はレナが聞いていたため、すぐに連絡が取れる。
詩音と連絡をとるため、まずは前原家へと3人は学校から飛び出していくのだった。

375 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 14:31:58.25 ID:YF7VRS8H0

3人は前原家へと着くとすぐに詩音に電話をかけた。
レナが電話で話したところ、露伴絡みだと知りすぐに来てくれる事になる。
集合場所は前原屋敷。つまり、詩音はここに直接合流してくれることになった。

時間に余裕のできた3人は圭一の母の料理をご馳走になる。
圭一の母は娘ができたようで嬉しいと騒いでいた。
3人は昼を食べ終えると、圭一の部屋へと移動した。

圭一「おふくろがうるさくてごめんな。」
沙都子「あら、元気そうでいいお母様でしたわよ。」
レナ「そうだね、圭一くんのお母さんはいい人だよ。」
圭一「あー、ところで沙都子。梨花ちゃんはどうした?」
沙都子「梨花は先に家に帰りましたわ。今日もお祭りの打ち合わせがあるそうですから。」

ピンポーンッ

376 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 14:32:47.55 ID:YF7VRS8H0

圭一「おっと、詩音か?ちょっと出てくる。」

そう言って圭一は階段を降りて行った。
玄関に行くと、母が詩音に応対していた。

圭一「よぉ、詩音、とりあえず俺の部屋に来てくれ。」
詩音「お邪魔しますね、おば様。」

息子が急に女の子を3人も連れてきたものだから、母は興味津々のようだった。
そんな母を無視して圭一と詩音は2階の圭一の部屋へと上がって行った。

詩音「はーろろん。」
レナ「あ、詩ぃちゃん。はやかったねー。はーろろん。」
沙都子「はろろん?でございますわぁ。」
詩音「あ、沙都子に(詩音として)会うのは初めてですね。
   魅音の双子の妹の詩音です。よろしくね。」

377 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 14:33:40.14 ID:YF7VRS8H0

沙都子「よろしくお願いしますわ。
    兄から詩音さんのことは聞いていましてよ。」
詩音「悟史くんから・・・?」
沙都子「えぇ、兄がとてもいい方だと言ってましたわ。」
詩音「そっか・・・。あはは。」

詩音は嬉しそうに笑うと沙都子をぎゅっと抱きしめた。
沙都子は一瞬抵抗しようかと思ったが、彼女の微笑は優しかった。
悟史の微笑みのように優しかった。だから抵抗することをやめた。

詩音「(沙都子・・・ごめんね・・・今までごめんね・・・。
   悟史くんに任されたんだ・・・沙都子のこと・・・。)」
圭一「おいおい、じゃれあってる暇はないぜ。
   露伴さんをさっさと助けださねーとな。」

そう圭一に言われ、詩音も頷く。
もう全員の決意は固まっているようだ。

378 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 14:35:11.33 ID:YF7VRS8H0

詩音「いまの状況をお願いします。
   私もレナさんと一緒に露伴さんに会った日から、本家には出入りしてません。」

沙都子が露伴が行方不明であることを、そしてレナが自分の推理を聞かせる。

詩音「そうですね。私もレナさんの意見に同意です。
   お母さんが本家にいるのもおかしいですし、私の忠臣の葛西も本家に行きっぱなしなんですよね。
   夜は部屋に戻ってくるんですが、なにも喋ってくれません。露伴さんは本家にいると思っていいです。」
圭一「よし、ならそれをどうやって助けるかだな。」
詩音「ただ、ひとつ気になることがあります。」
圭一「うん?なんだよ。」
詩音「お母さんは、多分嘘をついてないと思います。
   嘘は嫌いですから、子供に嘘をつくなんて思えません・・・。」
圭一「おいおい、それじゃあ矛盾するぜ。
   露伴さんは本家にいるのかいないのかどっちなんだよ。」
レナ「沙都子ちゃん、茜さんは本家じゃなくて"うち"にいないって言ったんだよね?」
沙都子「えぇ、そうですわ。はっきりと"うち"にはいないねぇって言いましたわよ。」
レナ「本家の敷地内の屋外にでもいるってことかな・・・?詩ぃちゃん。」
詩音「レナさん、鋭すぎます。とんだ名探偵ってやつです。
   だけど、ちょっと違います・・・。おそらく、地下祭具殿・・・。」

379 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 14:36:40.28 ID:YF7VRS8H0

圭一「地下祭具殿ッ!?なんだそりゃぁ?」
詩音「園崎本家には、庭園の山奥の中に地下室があるんです。
   園崎家に刃向かったり、失態を犯したものにケジメをつけさせる拷問室・・・。」
沙都子「ご、拷問ですってッ!?露伴さんがッ!!」
レナ「そ、そんなッ!本当にそんな部屋あるのッ!?」

沙都子とレナが取り乱す。
ヤクザが拷問部屋を持っていて、そこに露伴を連れて行った。
その意味するところは彼女達には残酷すぎたのだろう。
だが、圭一は冷静だった。

圭一「落ち着けッ!もしそうなら、それこそ一秒でもはやく露伴さんを助け出す必要がある。
   落ち着いて作戦を考えるんだ。」
沙都子「圭一さん・・・。」
レナ「そ、そうだね。はやくしなきゃ・・・ね・・・。」
圭一「詩音・・・地下祭具殿の場所と、あと本家の大体の地図を教えてくれ。」
詩音「わかりました。紙とペンを借りれますか?」

380 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 14:38:08.04 ID:YF7VRS8H0

詩音が本家の地図を描く。その中に参考までに、と雛見沢分校のグランドも描いてくれた。
こうして見ると、園崎家の大きさは半端じゃあない。

圭一「この祭具殿の入り口はこれだけか・・・?」
詩音「えぇ、扉も厳重です。鍵がない限り入るのは難しいです。」
圭一「魅音の協力がなければ、無理か・・・。
   あるいは正面突破か・・・。」
詩音「正面突破ですか・・・。とても作戦とは言えないと思いますけど。」
圭一「魅音が協力してくれればそれが一番いい。
   だけど、あいつにも立場ってもんがある。だからどこまで協力してくれるかわからない。
   俺達は友人に会いに行くだけなんだぜ?正面から堂々と行けばいい。」
沙都子「そうですわ!私達は露伴さんに会いに行くんですのよ!
    何もコソコソする必要はありませんわ。」
レナ「そうだね、露伴さんに会えれば、助ける方法もきっと見つかるよ。」
詩音「・・・圭ちゃんのそういうところは、結構好きですよ。」

381 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 14:39:02.74 ID:YF7VRS8H0

圭一「な、なんだよ、いきなり。」
詩音「そういう馬鹿っぽいけど、ついて行きたくなるところです。

   ・・・私も覚悟を決めましたよ。園崎本家がなんだってんです。
   私は露伴さんに借りがありますからね。この園崎詩音、命を張っても露伴さんに会いに行きますよ!!
   それに、沙都子にだけ危険なことはさせられませんからねッ!!」
圭一「よしッ!!そうと決まればあとは魅音だ!!
   いますぐ神社にいくぜッ!!」
一同「おおぉぉーーーーッ!!」

子供達が大騒ぎして出て行くので、圭一の母は何があったかと驚いた。
しかし、伊知郎に祭りではしゃいでるんだろうと諭されると、納得する。
明日は綿流しの祭り、圭一も友人の漫画家と出し物をやるらしい。
息子の晴れ舞台を見に行こうかと両親は話し合うのだった。

410 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 16:57:59.29 ID:YF7VRS8H0

4人は古手神社へと向かい、魅音を探す。
境内は祭りの準備の人たちで賑わっていた。

そんな中に魅音を見つけ、駆け寄る。
魅音も彼らに気づいたようだ。

魅音「あれー。圭ちゃんたちどうしたの?
   もしかして準備の手伝いにでも来てくれたわけー?」

圭一達の様子が普通でないことは魅音もわかっていた。
だからこの言葉が何の意味も持っていないことをわかっていた。

圭一「魅音、話があるんだけど、ちょっといいか?」
魅音「うーん、おじさんは祭りの準備で忙しいんだけどなぁ。
   あんまり長い話なら後にして欲しいんだけど。」
圭一「魅音ッ・・・大切な話なんだ・・・。」

411 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 16:59:14.27 ID:YF7VRS8H0

圭一達の様子に魅音も何の話かはっきりとわかった。
彼らの決意の固さも感じ取る。

魅音「わかったよ。祭りの準備の指示を出してくるから、
   少しだけ待ってて。」

圭一が頷くと、魅音はなにやら話し合いをしている老人達の輪へと入っていった。
しばらくして魅音が戻ってくる。魅音を加えた圭一達は人気のない場所へと移動した。

魅音「それで、何の話?」
圭一「わかっていると思うが、露伴さんの話だ。」
魅音「露伴さんが、どうかしたの?」
圭一「魅音、もう俺達はわかってる。レナと詩音にも話を聞いた。
   知らないふりをしなくていい。」

412 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 17:00:50.36 ID:YF7VRS8H0

魅音はレナと詩音の顔色を伺ったあと、全てがバレていることを悟った。
園崎家の人間としては話していい内容ではないのだが、バレているならしょうがない。

魅音「露伴さんは、みんなが思ってる通り多分うちにいるよ。
   でも、私はよく知らない。木曜の夜から一回も会ってないよ。」
圭一「魅音、お前の知ってることを全部話してくれ。
   知らないことは知らないでいいからさ。」
魅音「うん・・・。」

魅音は話す。
木曜の夜からの彼女の行動を。
魅音は木曜の夜に露伴を客間に案内し、自室で休んだ。
朝は母に促され、露伴の顔を見ずに登校した。

そして、そのまま今日まで露伴の顔は見ていないという。
ただ、お魎と露伴が地下祭具殿にいるという話を聞いただけだ。
そして、地下祭具殿へと食事の用意が運ばれていることだけを知っていた。

413 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 17:02:00.38 ID:YF7VRS8H0

圭一「詳しいことは魅音も何も知らないんだな・・・。
   露伴さんが地下にいるってことだけが確実な情報か・・・。」
魅音「うん。婆っちゃも地下にいて、ほとんど出てこないんだよ。
   だから、私も何が起きてるのかわからない・・・。
   お母さんは婆っちゃに何か言いつけられてるみたいだけど・・・。」
圭一「わかった。魅音、俺達は露伴さんに会いに行こうと思う。」
魅音「む、無理だよ・・・。祭具殿に親族以外を入れることなんてできないよ・・・。」
圭一「・・・そうだな。魅音にも立場があるのはわかってる。
   だから、無理は言わないって皆で話してきたんだ。
   魅音の家に入れてくれるだけでいい。」
詩音「おねぇ、あとは私達がお母さんに話をつけますから。
   家に入るだけ取り次いでください。」
レナ「魅ぃちゃん、お願い。露伴さんに会いたいの・・・。」
沙都子「魅音さん、私達は露伴さんの友人として会いにいくだけですわ。
    ご迷惑はおかけしませんわよ。」

414 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 17:03:26.01 ID:YF7VRS8H0

沙都子の友人という言葉が魅音の心に触れた。
魅音は少し、考えた後口を開く。

魅音「わかった・・・。
   そのくらいしかできなくて・・・ごめん・・・。」
圭一「気にするなよ、魅音。露伴さんは俺達が助け出すぜ。」
魅音「うん・・・1時間だけ、待ってもらってもいい?
   祭りの準備を少しだけしないと・・・。」
圭一「あぁ、わかった。1時間後に魅音の家の前に集合でいいな?」
魅音「うん、いつもの風車小屋のところで待ってる。」

圭一たちは神社を後にする。
沙都子とレナは着替えるために自宅へ向かった。
詩音は時間まで沙都子と一緒にいるといっていた。
圭一は一人、学校へと向かい、悟史のバットを手にした。

474 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 19:21:42.41 ID:YF7VRS8H0

風車小屋に圭一がついたとき、魅音以外の3人はすでに待っていた。
3人とも緊張しているようで、誰も口を開かない。
圭一はみんなの気を紛らわせようと口を開ける。

圭一「おいおい、俺らは友人に会いにいくだけだぜ?
   家だって魅音の家だ。そんなに緊張することないだろ。」
詩音「圭ちゃんは、お母さんと鬼婆のことを知らないからそんなことが言えるんです。
   いくら大見得を切ったって、私ゃ怖いですよ、あの二人は。」
レナ「あはは、確かに詩ぃちゃん達のお母さんは怖いねぇ。」
詩音「私は鬼婆のほうが怖いですけどねぇ。
   レナさんは鬼婆が怖くないみたいですから、うらやましいです。」
沙都子「電話したときはお母様は優しい方でしたわよ?」

詩音もレナもいつになく弱気なことを言う。
圭一もなんだか少し不安になってきた。
だが、唯一の男である自分がしっかりしないといけない。
そう圭一は自分に言い聞かせた。

476 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 19:23:06.67 ID:YF7VRS8H0

ふと圭一は気づいたことがある。
沙都子が何かおかしい。なんだかいつもより可愛らしい気がする。

圭一「おい沙都子、おまえなんかしたか?」
沙都子「何のことでございますの?今日はトラップは仕掛けてませんですわよ。」
圭一「いや、そういうわけじゃなくてさ。なんか雰囲気が違うなーと思ってよ。」
沙都子「・・・さっき詩音さんに髪を切られたんですわ・・・。」
詩音「圭ちゃん、見る目がありますねー。よくぞ気づきましたっ。
   沙都子の髪の毛がちょーっと可愛くなかったんでこう、チョキチョキっと。」

そう言って詩音ははさみをチョキチョキするジェスチャーをした。

沙都子「わ、私は断ったんですけど、詩音さんが無理に切るんですもの・・・。」
詩音「沙都子、女の子なんだから可愛くしなくっちゃあだめですよ。」
レナ「そうだね、今の沙都子ちゃんはすごくかぁいいよ。」
圭一「おい詩音、沙都子はおまえの人形じゃねぇんだから、あんまりいじくるなよ?」
沙都子「お人形だなんて失礼ですわね・・・。」
レナ「はぅー、お人形の沙都子ちゃんおー持ち帰りー☆」

477 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 19:24:04.58 ID:YF7VRS8H0

それからしばらく、3人で沙都子をからかってじゃれ合っていた。
そんなに長いこと待たないうちに魅音が神社から帰ってきたようだ。
魅音が来ると再び4人は緊張する。

魅音「みんな、揃ってるね。それじゃあ、家に行こうか。」

魅音の言葉に4人は頷き、園崎家へと歩いていく。
園崎家までの道のりは皆無言だった。

やがて、立派な正門が現れ圭一だけがびっくりする。
沙都子も含め残りの3人は見たことがあるようだ。

魅音が門の横のブザーを押してから口を開いた。

魅音「私一人なら勝手に横から入ればいいんだけどさ。
   今日はお手伝いさんはいないから、母さんが出てくると思う。
   中に入るまではなんとかするよ。」
圭一「あぁ、頼む。」

478 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 19:25:39.95 ID:YF7VRS8H0

圭一「はじめまして、前原圭一です。
   魅音さんとも詩音さんとも仲良くさせてもらってます。」
茜「おやおや、うちの娘二人を二股にかけようってのかい?
  圭一くんも女泣かせだねぇ。」
圭一「あ、あ、そ、そういうわけじゃなくてですね・・・。」
茜「赤くなっちゃって可愛いねぇ。冗談だよ?冗談。」

茜はクスクスと笑う。
圭一も第一印象は悪くないと思い、心の中でニヤリと笑った。
しかし、茜はその圭一の安堵を一言で吹き飛ばした。

茜「今日はうちは忙しいんだよ。
  悪いけど、帰ってもらえるかい。」
魅音「お、お母さん・・・。」
茜「ほら、魅音、お友達にお帰り願いな。
  詩音も用がないならさっさと帰るんだよ。」
沙都子「よ、用はありましてよ。」
茜「あら、アンタ沙都子ちゃんだねぇ。
  "北条"のアンタがうちに何の用があるってんだい?」

茜が北条家なら容赦はしないという顔を見せる。
"鷹の目"で見入られた沙都子は言葉を発することができない。
レナも詩音も茜を相手に気押されているようだった。

479 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 19:27:50.59 ID:YF7VRS8H0

魅音があきらめ、皆を帰らせようとしたそのとき、圭一が口を開く。

圭一「ちょっと待ってくれよ。」

全員の視線が圭一に集まる。
もちろん、茜の"鷹の目"も圭一を射抜いた。
しかし、圭一は臆せずに続ける。

圭一「沙都子が北条だからとか、そんなこと関係ない。
   俺達は、友人に会いに来たんだ。」
茜「友人?魅音のことかい?」
圭一「露伴さんのことだッ!!」
茜「・・・。露伴さんはうちにはいないって、昨日電話したと思うんだけどねぇ。」
圭一「その"うち"って言うのはどこのことなんですかね?
   園崎家の敷地内に露伴さんがいないって、はっきりそう言ってくださいよ。」
茜「くッ・・・、魅音・・・あんた・・・。」
詩音「おねぇは関係ないです。
   私達が推理しただけですよ、さぁ、お母さん。
   敷地内に露伴さんがいないなら、はっきり言ってください。」

茜「・・・入りな。」

茜はそう言うと、扉を開けたまま奥に引き下がる。
圭一達は茜に見えないようにガッツポーズをした後、門をくぐるのだった。

523 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 21:27:35.62 ID:YF7VRS8H0

圭一達が無言で門をくぐり終えると、茜が魅音に目配せをする。
魅音は意図を読み取り、扉を閉め、閂を通す。
退路が絶たれたと思うと、圭一は武者震いがした。

茜は無言のまま歩いていく。魅音はすぐ横に付き添っている。
茜達の後ろに圭一、レナ、詩音、沙都子の順に続く。
沙都子は怖いのか、詩音に手を握られながら最後尾を歩いていた。

茜達はそのまま母屋までたどり着く。
扉を開け、圭一達を中に入れようとした。

圭一「えっと・・・魅音のお母さん。
   俺達はここには用はありません。」

525 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 21:28:39.16 ID:YF7VRS8H0

茜「・・・茜だよ。覚えときな。」
圭一「それじゃあ、茜さん。俺達は露伴さんに用があります。
   露伴さんは、"地下祭具殿"にいるんですよね?」
茜「へぇ・・・そこまで知ってるのかい。
  でも、ひとつ聞いていいかい?」
圭一「なんですか?」
茜「私ゃ、さっき露伴さんに会わせるって言ったかねぇ?」
圭一「・・・。」

圭一達と茜の間に不穏な空気が流れる。
魅音はどっちについたらいいものかとキョロキョロしていた。

圭一「じゃあ、俺達を何で入れたんですか?」
茜「うちら園崎家っていうのはさ、警察とあんまり仲がよくなくてねぇ。
  あんたたちに、露伴さんが監禁されてる、なんて通報されたらたまったもんじゃないのさ。」
圭一「つまり、俺達を帰す気はないってことですか?」

その圭一の言葉を聞き、レナや詩音は体を強張らせる。
沙都子は詩音に抱きついていた。

526 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 21:29:39.77 ID:YF7VRS8H0

茜「おやおや、人聞きが悪いったらありゃしないね。
  露伴さんがお帰りになるまで、君達も泊まっていってもらおうかってだけさね。」
圭一「魅音の友達として招待してもらえるってわけじゃあなさそうですね。」
茜「乱暴なことはしないよ。明日の綿流しのお祭りが終わるまで、
  うちで遊んでってくれりゃあいいのさ。」

圭一が茜に睨み返していると、レナが口を開いた。

レナ「綿流しの祭りが終われば、露伴さんは解放されるんですか?」
茜「私ゃ詳しいことは知らないけどね。鬼婆さまがそうおっしゃってるよ。」
レナ「圭一くん・・・どうしよう・・・。」
圭一「どうもこうもねぇ・・・俺は最初に言ったはずだぜ。
   俺達は露伴さんに会いに来たってな。」
魅音「圭ちゃん・・・。」
圭一「その返答が、家で遊んでろだぁ?
   そりゃぁ明確なNoって答えだよなぁ、レナ。」
レナ「・・・うん・・・そうだね。」

528 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 21:31:13.97 ID:YF7VRS8H0

レナと圭一の目つきが変わる。
詩音も二人の覚悟を感じ取ったらしく続いた。

詩音「お母さん、私達は露伴さんに会いに来たんです。
   それを止めるっていうなら・・・。」
沙都子「容赦しませんわよッ!!」

沙都子が詩音から離れ、一歩踏み出して言い放った。

詩音「沙都子・・・。」
沙都子「露伴さんは私の友人ですわ。
    その友人を閉じ込めて会わせないって言うなら、私は容赦しませんわッ!!」
圭一「よく言ったぜ沙都子ぉ。茜さん、そういうわけだ。
   祭具殿の鍵を出してもらぜッ!!!」

圭一はそう言うと、ケースに入っていたバットを取り出し茜へ突き立てて構える。
すると、家の中から葛西を含む数人の男達が飛び出してきた。
沙都子や圭一が声を張り上げたので気づいてきたらしい。
男達は茜を中心に圭一達を取り囲むように広がった。
魅音は一人邪魔者のように男達の後ろへと追いやられた。

531 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 21:33:01.80 ID:YF7VRS8H0

茜「圭一くん・・・。アンタが娘の友達だから1回だけ忠告してやるよ。
  アンタ、ここで獲物を私に向けるってぇーのがどういうことかわかってやってるのかい?」
圭一「さぁな、ぜんっぜんわかんねぇよ。」
茜「ふふふ、お馬鹿さんだねぇ。おばさんが教えてあげようか?」
圭一「あぁ、馬鹿にわかるように説明してくれよ。」
茜「威勢だけはいっちょまえだねぇ。ふふふ。
  ・・・ここは園崎本家。そこらの家と違って山奥みたいなもんさ。
  アンタ達が泣こうが叫ぼうが誰にも助けは届かない。
  もし、アンタ達の身に何があっても誰も助けてくれないよ?」
圭一「だからなんだってんだ。」
茜「まぁーだわかんないってのかい・・・。

  この"鹿骨の鬼姫"と呼ばれた園崎蒐に獲物向けといて、
  タダで済むと思ってんのかって聞いてんだよッこの糞餓鬼がぁぁぁあああッ!!」

茜が今までに見せたこともない顔で凄む。
圭一達だけでなく、葛西以外の若い衆までその勢いに気圧される。

533 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 21:34:59.86 ID:YF7VRS8H0

レナはこれは相手が悪いと諦めかけた。
詩音もかつて見たこともない母の顔に恐怖を覚えた。
沙都子も今すぐに逃げ出したいのを堪えるので必死だった。

そんな中、圭一だけが茜を睨み続ける。
そして長い沈黙の後、口を開いた。

圭一「駄目だな・・・。ぜんっぜん駄目だぜ・・・。」
茜「・・・降参かい・・・?」

茜は圭一の目が死んでいないことに気づいていた。
しかし、圭一の不敵さはそう聞き返さずにはいられないものだった。

圭一「違う・・・。駄目なのはアンタだぜ、茜さん・・・。
   アンタこそ何もわかっちゃいねぇ・・・。」

誰もが圭一の言っている意味がわからなかった。
全員の注目が圭一に集まる。

圭一「アンタこそよ、全然わかってねぇんだよ・・・。
   この前原圭一が仲間に会わせろってバットを構えてる意味がまったくわかってねぇッ!!!

   アンタこそ覚悟しろッ!!俺達の仲間を捕まえてッ会わせもしねぇでッ!タダで済むと思うなァァアッ!!!」

535 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 21:36:30.80 ID:YF7VRS8H0

圭一が叫び終わるとレナも詩音も沙都子も、もう怯えてなんかいなかった。
レナはカバンから鉈を出す。カバンを横に放り投げ鉈を構えた。
沙都子はポケットに手を入れ何かを掴んで構えている。
詩音もスタンガンを構えた。

レナ「茜さん、私・・・友達のためなら容赦しないですからね・・・。」
沙都子「本当は裏山で迎え撃ちたいところですが、しょうがありませんわねぇ。」
詩音「まさか、葛西にこれを使う日が来るとは思いませんでしたよ。
   ねぇ、葛西・・・?」
葛西「・・・。」

4人が構え、互いに背中を任せあうように陣取る。
茜はまさかこうなるとは思わなかったらしく口を開けて驚いていた。

魅音「やめてッ!圭ちゃんもレナも詩音も沙都子もッ!!
   みんなやめてッ!!」

魅音が男達の後ろから割り込んでこようとする。
しかし、茜に一喝された。

茜「黙ってなッ!!」

537 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 21:37:25.79 ID:YF7VRS8H0

茜の一言に魅音の体は凍りつく。
割り込もうとした男達に押し戻されてしまった。

茜「そこまで上等キメられちゃあ、こっちも黙ってらんないね。
  さぁ、かかっておいでよ、坊や達。」

茜はそう言うと懐から短刀を出し、構えた。
葛西を含む男達もみな構える。

もう誰も言葉を発しない。
誰かが言葉を発すれば、それが戦いのスタートになるからだ。

そんな中、圭一が口を開く。

圭一「いっくぞぉぉおおーーーーッ!!!」

圭一が茜に飛び掛った。

641 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 23:50:23.54 ID:YF7VRS8H0

圭一「ウッディッ!!!」

圭一が茜に向けてバットを振り下ろすが、バットは空を切り地に叩きつけられる。
茜がヒラリとかわしたのだ。剣道有段者の茜にとって、
圭一のバットの一振りなど下手投げのボールをよける程度のものだった。

バットを振り切った圭一に男達が飛び掛る。
3人の男が圭一に飛びつき、押さえ込もうとした。
圭一はなんとか抵抗するが、組み伏せられるのは時間の問題だろう。

残る3人はこの隙を逃さない。
圭一のおかげで今手が空いているのは葛西と男3人に茜。
少しでも相手が少ないうちに仕掛ける必要がある。

642 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 23:50:49.40 ID:YF7VRS8H0

まずは詩音が飛び出した。
詩音は葛西の相手が務まるのが自分しかいないと思った。
葛西にスタンガンを向け、飛び掛かる。
詩音と葛西も組み合う形になる。

残った男達に沙都子は飛び掛った。
ポケットから取り出した香辛料の混合物を男達の顔に向けて投げつける。
男達は目をやられ、視覚を失いながら沙都子を追いかけることになる。


パンッパンッ

視覚を失った男達の足元で沙都子の癇癪球が破裂する。
男達もそれには動揺を隠せず、場は混乱しはじめた。

沙都子とそれを追う男達が茜の視界を遮ったそのとき。
一瞬にしてレナが茜との間合いを詰め、鉈で殴りかかった。
茜がレナの攻撃に気づいたとき、すでに避けられないほどレナは接近していた。

ガキィッ、ビィリィィィイイッ!!

645 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 23:52:29.14 ID:YF7VRS8H0

茜はなんとか短刀でレナの鉈の軌道を逸らした。
そのとき、レナの鉈に着物の袖を持っていかれる。

茜「やってくれるねぇ・・・レナちゃん。
  この服は気に入ってたんだよッ!!」

茜がレナとの間合いを一気に詰める。
レナは抵抗しようとし、鉈を振るが茜のほうが手が早かった。
合気道かなにかだろうか、あっという間にレナを組み伏せ地面にたたきつける。

そしてレナの首に短刀を当てて言った。

茜「レナちゃん、いい子だから動かないでおくれよ。
  おばさんも娘の友達は殺したくないからねぇ。」
圭一「レナを離せぇぇぇえええッ!!」

バットを捨てることでなんとか3人の男から逃れた圭一が茜に殴りかかってきた。
茜はレナを離すと圭一の攻撃を避けて間合いを取る。

650 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 23:53:46.16 ID:YF7VRS8H0

茜と二人は間合いを開けたまま睨みあった。
沙都子は既に捕まったようだ。
詩音も葛西にスタンガンを取り上げられ、後ろ手に掴まれている。

詩音「葛西ッ!!放しなさいよッ!このっ、このッ!!」
葛西「詩音さん、こんなことの為にスタンガンを差し上げたのではないんですがね。」
詩音「うっっさーい。何に使おうと私の勝手でしょーッ!」

沙都子も詩音もなんとか反撃しようと抵抗しているようだが、
明らかに形勢は圭一達に不利だった。

レナも圭一も諦めてはいなかった。
だが、何か他の手を打つしかないと、自分達の負けを悟っていた。
5人の男がレナと圭一を組み伏せようと近づいていく。
まさにその男達が飛びかかろうとしたとき、

「やめなさいッ!!」

651 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 23:55:06.44 ID:YF7VRS8H0

その声に一同は声の主を伺う。
その声の主は、魅音だった。

魅音「やめなさい。詩音と沙都子も放しなさい。」

魅音の鋭い目つきに男達は茜と魅音を見比べた。
どちらに従えばいいのか困惑しているようだ。

茜「それは、園崎家頭首代行としての言葉かい?」
魅音「えぇ、そうです。」
茜「ふふん。私にはアンタが友達をかばって言ってるようにしか聞こえないねぇ。
  頭首代行として、この場を収める理由を聞かせておくれよ。」

茜が睨みつけるが、魅音はそれを睨み返し、堂々と応える。

魅音「今日は綿流しの前日です。
   夜には村長や役員が本家を訪れるでしょう。
   このまま続ければ園崎本家の玄関先が血まみれになる。
   それだけでは不満ですか?」
茜「・・・放しておやり。」

652 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 23:56:48.94 ID:YF7VRS8H0

男達は茜に命じられると、沙都子と詩音を開放した。
詩音が沙都子を抱きしめながら、圭一とレナの元へ戻る。

茜「場を収めたのはいいけど、この子らはどうするんだい?」
魅音「彼らに非はありません。
   彼らは友人に会いに来ただけです。
   地下祭具殿の鍵を持ってきてください。」
茜「それも頭首代行のお言葉で?」
魅音「・・・。

   これは、頭首"代行"の言葉ではありません。
   園崎家次期頭首園崎魅音の判断です。」
茜「婆様がお怒りになったら、ケジメはあんたが取るっていうんだね。」
魅音「そういうことになりますね。」
圭一「違う・・・、もし魅音がケジメをつけるなら、それは魅音だけじゃない。
   俺達もつける。俺達は魅音の仲間だからな。」

茜はその圭一の言葉を聞くと、誰にも見えないようにクスクスと笑った。

茜「祭具殿の鍵を持って来るから待ってな。
  次期頭首様の言葉には逆らえないからねぇ。」

そう茜は言い残して母屋の中に消えていった。
葛西も男達を引き連れ、母屋に戻っていった。

654 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/13(日) 23:57:58.04 ID:YF7VRS8H0

残された圭一達はやっと緊張が解けたようだ。
沙都子と詩音はその場にぺたんと座り込んでしまう。

詩音「流石に、今回は死ぬかと思いましたねぇ。」
沙都子「私も、もうヘトヘトですわぁ。」

圭一が魅音に近づき、声をかける。

圭一「魅音・・・すまない。」
魅音「もう、圭ちゃんたちってば勝てない喧嘩ふっかけるんだから。
   おじさんも流石にあれは無謀だとおもうんだけどぁー。」
圭一「・・・大丈夫なのか?俺達をかばって。」
魅音「・・・かばったんじゃないよ。
   私も圭ちゃん達が正しいと思っただけだよ。」
圭一「そうか。」
詩音「おねぇが最初から助けてくれればこんなことにはならなかったってんです。」


詩音の嫌味を無視して圭一は魅音の頭をぐしゃぐしゃと撫でてやった。





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