番外編第四章
1-砂塵の道「砂塵の道」
太陽が照りつける荒れ果てた砂漠、 何もない故に静寂に包まれている… そこに何かが空から降ってきて、 空気を読まずに沈黙を破ったーー | |
アリン | うぅわぁああぁああ〜〜!! |
アリンは甲高い悲鳴をあげながら。 頭から砂に突き刺さった… シフォンはゆっくりと降りてきて、 ふぅっとため息をつくーー | |
シフォン | ここはホントに暑いわね こんなに陽に照らされて、 お肌が荒れたらどうしてくれるのよ? |
アリン | 熱っ!熱っ!お前… こっちはお肌が荒れるどころじゃないぞ! めっちゃ熱い砂で顔が焼けるかと思ったぞ! |
シフォン | 何よ?自分で手を離したんでしょ スカイダイビングをしたいのかと思ったわよ |
アリン | もう握力が限界だったんだよ! 休みなしで飛び続けるから! |
シフォン | フンっ…もっと鍛えなさいよ それより、早くクレブを見つけないと! |
アリン | それはそうだが… この扱いの酷さ…基本的人権は尊重されないのか…? |
【声】:君、人間じゃ無いよね | |
アリン | うるさいよ! うぅ…クレブが恋しい… アイツなら召使いだから、好き放題できるのに… |
【声】:基本的人権がどうとか言っておいてそれ? 君って奴は…ホント…カス | |
シフォン | いいから早く探すわよ! あ、あれ見て! |
シフォンの指の先には、古き墓があった… 地下へと続く入り口があり、 暗く怪しげな雰囲気が伝わってくるーー | |
アリン | むう… ミイラとかゴーストとか出てきそうな雰囲気だな… |
シフォン | 今のおかしくなってるクレブが 地のルーンを手にしてしまったら、 きっと大変なことになるわよ? ビビってないでさっさと行くわよ! |
アリン達は古き墓の中へ入る… そこは外の熱気とはまるで異なり、 寒気がするような冷気が漂っていた | |
アリン | 外は暑かったけど、中は寒い… 不気味な場所だな… |
シフォン | シッ…何が出てくるかわからないんだから、 小さな声で喋って |
奥の方から音が聞こえてくる… 何かが壁にぶつかっている模様ーー | |
アリン | クレブかな…? もしくはやはりミイラか? |
【声】:この道にレラジェの気配が残ってる… 奥にいるのはきっと君の召使いさんでしょう | |
アリン | なんだ?さらに狂って暴れてるのかな? |
【声】:レラジェのやることは… 同族である悪魔でもよくわからない時があるんだよね | |
アリン | そういえば、同じ悪魔だからレラジェは仲間だろ? なんでこっちの味方してくれるんだ? |
【声】:悪魔は…同族=仲間ではないよ お互いの利害が一致した時、協力することもあるだけ 今の私にとっては、レラジェは面倒ごとの種なんだよね | |
【声】:それに… レラジェだけ好き放題できるなんて…… | |
アリン | それってもしかして、嫉妬じゃないのか? 単に羨ましいから邪魔してるだけなのでは?ププッ |
アリンが悪魔と話しながら走っていると、 何かに躓いて転び、舌を噛んでしまった… のそっと起き上がってシフォンを指さすーー | |
アリン | あ、あひひっかけたらろ! なひをする!? |
シフォン | ……ずいぶんと楽しそうね |
アリン | あ………えっと……ごめん こっちの悪魔が何であっちの悪魔の味方をしないのか 聞いてたんだよ… |
シフォン | へえ〜、何で味方しないの? |
道を進みながら、 アリンはシフォンに悪魔の考えを説明するーー |
3-砂塵舞う坂「砂塵舞う坂」
クレブが壁に突進している場所に辿り着く… クレブは無我夢中で突進しており、 その表情は凶悪そのものだったーー | |
アリン | おい!クレブ、何してるんだ!? |
クレブ | 誰!?ああ…マスター クレブ…壁に突進している |
アリン | わかってるよ!…壁にぶつかると何かあるのか? |
クレブ | クレブ…壁に突進…グフフフフ、 もっと強い力を手に入れる |
アリン | この頭の悪さは…いつも通りな気もするな 操られてるようには見えない |
【声】:そうかな…? 君の召使いさんは本当にいつもこんな感じ? | |
アリン | そうだな、 マヌケだからぶつかって転んで、 大げさに痛がる感じだな |
シフォン | ちょっと違うわよアリン 普段ならクレブはこんな怪力でも無いし、 こんなに丈夫でもないでしょ? |
アリン | そうだ…たしかに! やはりクレブは悪魔に操られている! |
【声】:…………この頭の悪さは…君のいつも通り? | |
クレブ | マスター!クレブ、もともと強い! 何かに縛られて力発揮できない! 開放できれば強さ取り戻せる! |
シフォン | パパ達がクレブの力を抑えるために、 力の封印を施したのよねたしか… |
アリン | ただの嘘つきクソ野郎だと思ってたが、 本当だったのか… |
クレブ | おお!…クレブ思い出した… |
クレブが突然振り返って、じっとアリンを見つめるーー | |
クレブ | この封印、マスターの両親作った 所有権は今マスターに譲られてる マスターいなくなれば…封印消える! |
アリン | なんか片言だし、 頭の悪さがオーバードライブしてるぞクレブ… |
クレブ | 封印を壊すために壁にぶつかる必要ない… マスター…クレブ賢い? |
クレブが異様な笑顔を浮かべて、 アリンにじりじりと歩み寄って来るーー | |
アリン | キモッ!得も言われぬキモい笑顔! …まさか、このオレを…殺す気か!? |
クレブ | マスター、大丈夫! 苦しまない、一瞬で終わらせる… |
クレブがアリンに向かって猛突進してくる… アリンが目を瞑りながらも反射的に手を前に出すと、 クレブが後方に吹っ飛んでいったーー | |
アリン | え…どういうこと? |
シフォン | パパが言ってたわ、クレブに施した封印は… 主への攻撃不可の強制力もあるって… 絶対的な効果があるみたいね |
クレブ | …クレブ失敗…どうしよう? |
アリン | そうだな… もう諦めてさっさと木のルーンを寄こすんだな |
【声】:無理ね… 今は君の知ってる召使いさんではない… 説得に応じるとは思えないから、 強制的に奪い返す方法を考えた方がいいよ | |
クレブ | おお!…クレブ閃いた… マスター直接殺せない… けど道を壊して落ちて死ぬ これでどうだ? |
アリン | クレブのかしこさが1あがった! レベルアップしたなクレブ |
シフォン | ふざけてる場合なの? 先に地のルーンを取っておいた方がいいでしょ |
シフォンが力任せにアリンをぶん投げ、 地のルーンの祭壇の方へと飛んで行く… しかし、アリンが降り立った場所にクレブが突進し、 巨大な岩が崩壊するーー | |
アリン | クレブめ、普段は役立たずのくせに… オレを殺そうとする時だけやる気満々だな… |
クレブ | マスター、覚悟! |
クレブが異常に速い速度で無差別に暴れ回り、 崩れた岩で道が塞がれるーー |
5-禿鷹の原野「禿鷹の原野」
アリン | シフォン…質問がある…… |
シフォン | 無駄話しないで!今忙しいのわからない? |
シフォンがアリンを引っ張りながら飛んで、 クレブの無差別突進や落石を回避しているーー | |
アリン | 無駄話とかじゃなくて 魔法で対応しないのか? |
シフォン | 魔法を詠唱する時間的余裕が無いのよ! ワタシはアンタと違って、 クレブからの攻撃が無効にならないの! |
アリン | え!?なんで? |
シフォン | クレブの主は一族の長… つまりアリンだけ… わっ! |
大きな瓦礫が目の前に迫ってきて、 シフォンが間一髪で回避するーー | |
アリン | クッ…このままでは4種類揃えるのは難しい… 地のルーンを手に入れられても、 クレブから木のルーンを奪えないか… |
【声】:まだ、やり様はある… 君が3つのルーンを持ってクレブに触れば、 契約を強制的に成立させることができるよ | |
アリン | そうなのか! 契約さえ成立すれば、 オレがパワーアップするから何とかできるはず… 行ける…シフォン! |
シフォン | 何よ!!手短に言え! |
アリン | オレをクレブの所に投げてくれ! その後、地のルーンを取ってこっちに飛ばしてくれ! 直接ルーンには触るなよ!? あとはオレがなんとかする |
シフォン | 無茶でしょ!アンタ死ぬわよ!? |
アリン | 大丈夫!クレブはオレに直接攻撃できないし、 何とかしてみせる! |
シフォン | アリン… |
アリン | 早く!!! |
シフォンは意を決して アリンをクレブに向けて魔法で飛ばす… そしてすぐに祭壇の方へ飛んで行くーー |
アリン | よし!捕まえたぞクレブ!! |
クレブ | マスター?何を…? |
アリン | 何をって何よ? お前を止めるんだ! |
クレブ | マスター、弱い… クレブ止めるの無理 |
アリン | 無理でもなんでもやるんだよ! 家来の暴走を止めるのは主の務めだろ! |
クレブ | マスター、ホントにバカ でもクレブ、嬉しい これからやること、申し訳なく思う |
アリン | 謝罪はいらん! お前が正常に戻ったら、サボテンに磔の刑に処す! 蠍も頭に乗っけてやろうハハハハハ〜! |
クレブが力を入れてアリンを投げようとしたが、 アリンはクレブのベルトを掴んで抵抗するーー | |
アリン | 絶対に…離さないぞ! |
クレブ | マスター、必死 でもここまで!! |
クレブは空中に高く飛んで姿勢を変え、 アリンが下敷きになるような体勢になるーー | |
クレブ | マスター、さよなら |
アリン | なっ |
クレブはアリンをがっしりと抱きしめ、 地面に落下をはじめるーー | |
アリン | うおおおおおおおお! このまま終わってたまるかあ!! |
アリンが必死に逃れようとするが、 クレブは微動だにしないーー | |
アリン | シフォン…まだか…? ヤバい… |
シフォン | アリン!受け取って!!! |
シフォンが地のルーンを魔法の渦に包んで、 アリンに向かって飛ばしたーー | |
クレブ | マスター、無駄な抵抗やめる! |
クレブは片手でアリンを抑えながら、 もう一方の手で地のルーンを取ろうと構えるーー | |
アリン | 黙れ脇役! 主役はオレだああああ!! |
アリンは全力で手を伸ばし、 クレブの頭にあるポットを掴んだ… クレブは驚愕の表情で手を緩めてしまうーー | |
クレブ | そこはらめええええ〜! 壊れちゃうううううう! |
アリン | 死ぬほど気色悪い!おとなしくしてろ! |
クレブの手を押しのけて、 アリンは飛んで来たルーンを掴んだーー | |
アリン | よっしゃあああああ! 今だバイサク! |
【声】:4属性のルーンが揃いました…条件成立です 我が身の力はすべて、真祖アリンに捧げる… 彼の望みをすべて叶えよう…この命が尽きるまで… | |
4つのルーンが光を放ちはじめる… 同時にアリンの体から黒い瘴気が噴き出し、 落ちて行くアリンとクレブを包み込んだーー |
番外四章「終幕」
アリン | ファッ… オレまだ生きてるか? |
アリンが全身の痛みを感じて目を覚まし、 隣で気を失っているクレブに気付くーー | |
アリン | さんざん迷惑かけやがってこの野郎め! どうしてくれようか… |
クレブを蹴り上げてみるが、微動だにせず、 クレブは目を覚まさないーー | |
アリン | 契約成立したから…オレじゃ強くなってるはずでは?… なんか…特に感じないけど…? |
アリンは試しに岩の壁を一発殴ってみるが、 拳の痛みでしばらく言葉が出なかった… 壁は無傷ーー | |
アリン | クッ…全然強くなってない! おい悪魔、出て来い!説明しろ! |
【声】:はい……契約…………失敗です! | |
アリン | はあ?ここまでやらせておいて失敗ってどういうことだ! 責任とれよ!訴えてやる! |
まあまあ、落ち着いて… どうせ君は、もともとの能力が低すぎて、 仮に強化されたとしても雑魚だったでしょう | |
アリン | 雑魚だったでしょう、じゃないだろ! よくも騙してくれたな! |
【声】:いや、騙したわけじゃなくて、 本当に意外な結果だよ…よくよく考えてみれば、 落下中に勢いで契約させるなんて… 慌てちゃって失敗しても仕方がないよね? | |
アリン | お前のせいか!! |
【声】:君を強化する予定だったけど… 反対に君以外の者を強化する契約になってしまったよ うっかり | |
アリン | …うっかりじゃないだろ それで済ます気か? |
【声】:けど君は、 もともと戦闘には参加してないだろ? | |
アリン | むうっ!……… まあ…そうだけど |
【声】:それなら… 配下の能力をアップできた方が、 君が能力アップするよりいいんじゃない? | |
アリン | ……何かうまく言いくるめられてる気がする… とりあえず、責任者を呼んでくれ |
【声】:責任者は私です。クレーマーですか? とにかく、ルーンの使い方について教えるから、 何か不明な点があれば聞いてね | |
ズッシリと重い分厚い書物がアリンの前に出現した… アリンはパラパラっとページをめくってみるーー | |
アリン | 読むのめんどくさい!! |
【声】:まあ、少しずつ覚えていけばいいよ | |
アリン | とにかく、同じ種類を揃えたり、 ルーンを進化させたりすればいいんだよな? |
シフォン | アリン!目が覚めたのね また女悪魔と話し込んでるの? |
シフォンは水を汲みにその場を離れていたが、 タイミングよく戻ってきたーー | |
アリン | いや…シフォン、見てくれよ! 悪魔からルーンの説明書を受け取ったんだけど、 わけわかんないんだよ! |
【声】:細かいことを気にしたら負けだよ? | |
シフォン | フン、頭が悪くて理解できないだけじゃないの? ちょっと見せて見なさいよ |
ふたりで説明書を読みながら、 悪魔にルーンの取り扱いについて色々と質問する… その傍らで…すでに正気に戻ってはいるが、 死んだふりを続けるクレブが冷や汗を流しているーー | |
クレブ | この後一体どんなお仕置きが待っているのやら… ううう…恐ろしすぎますゾ… ひょっとして実際に死んだ方が楽なのでは?…… |