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龍達の狂宴〜後編〜

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龍達の狂宴〜後編〜

 リュカが人間の娘を捨てるどころか、血族に加え、更に龍の血液まで啜らせた。この事実に、エンジェラとエルトシャンは激怒した。一年を待たずして、リュカ討伐軍を編成。人間三億、魔物五千万、龍十一種の大軍。
「くくくっ、大軍と言うよりは大群だな」
 魔王城のバルコニーから、地平線をも埋め尽くす討伐軍を見たリュカの感想。
「お父様、戦闘準備、整いました」
 腰まであった髪の毛を、ショートにして、黒いマントを羽織ったハカナが後ろから声をかけた。その口元には鋭い犬歯が見え隠れしている。血啜り一族の、吸血鬼の証。
「勘違いするな俺の娘。これは戦闘ではない。これは戦争だ。龍の時代をぶち壊すための、人や魔物やお前らが、お前ら自身で未来を作る、そんな世界を創造する戦争だ」
「では、言い直します。戦争準備、整いました」
「そんな素直なところが好きだぜ、俺の娘。で、こっちの兵力は?」
「好きだと正直に言うところが好きですよ、お父様。こちらの兵力は人間八百、魔物千二百、血啜り一族二千、龍が二人、それから私です」
「秒殺されそうだなおい」
 圧倒的な戦力差。絶対的な戦力差。絶望的な戦力差。それでもリュカは笑っていた。
「ええ。しかし誰一人として、逃げる者は存在しません。存在させません。どいつもこいつも私が地獄まで連れて行きますよ」
 ハカナも笑っていた。
「そんな悪者に育てた覚え、ないけど、父親の影響が強すぎたかしらね」
 金髪で、青い帽子と青い服を身にまとった龍、ハカナの母親役の破魔の龍レイアが、会話に入ってきた。
「…お母様」
「俺のせいにすんなって。つーか、俺達は悪者だろ? いやいや、世界を作り変えようとする極悪人さ」
「そうですよお母様。では、愚か者共に死を。血啜りが王と血啜りが姫に背いた罪をその生命の終焉を持って償わせましょう。懺悔の時間は与えません。祈りの時間も与えません。出陣しましょう」
「くくくっ。全軍死んでこい。そして俺の娘は、龍共を滅ぼせ!」
 そして、歴史上最大規模の超大戦がはじまる。誰にも止められはしない。誰も止めようなどと思わない。誰もが死んで誰もが狂って誰もが小さな世界の終結を感じた。
 結局、世界は何も変わらなかったのだけれど。
 結局、龍達はいつまでも支配者のままで。

 笑いながら笑いながら血塗れで死塗れでハカナが戦う。
 数百万の人間を虐殺し、五種類の龍を滅殺し、それでもまだ戦う。
 血啜りの一族はあっという間に絶滅危惧種に。魔王軍はすでにバラバラで、ほぼ全ての兵が屍と化し、残った者を不利を悟って逃げ出した。今残っているのは、リュカとレイアとハカナのみ。
 リュカは雷鳴の龍をまとった天照の龍と、全知の龍を相手にしていた。
「おもしれぇ、おれもしれぇぜ! この俺を、この俺を、もっと楽しませろ!」
 それはどこか狂喜に似ていた。それはどこか狂気を思わせた。
 そしてその血を死に彩られた戦場は、その戦場で戦い続ける様は、まるで、まるでまるで、宴。
 その宴の中でレイアが倒れた。眠りについた。ハカナもリュカも満身創痍で。それでもそれでもそれでも、戦った。
 最終的に、この世の最悪はエルトシャンによって記憶と力を封印され。
 この世の災厄はエルトシャンによって精神と肉体を分離され、精神を娘の体の中へと封印された。

 それから千年後。あるいは二千年後。もしかしたら三千年後。
 止まっていた時が流れ出す。溢れ出す。終焉へと向けて、加速する。
 この世界に特別は三つ。間違うことなく三つであると賢者の石に教えられた。龍を滅ぼすことのできる三つ。
 一つは覇王。一つは龍を喰らう者。一つはブラッディプリンセス。
 覇王はミラクルが滅ぼした。
 ブラッディプリンセスはミラクルの手中にある。
 そして、龍を喰らう者はこれからミラクルが利用する。すでに策はある。何も問題ない。
「ああ、つまり、うちが支配者ってことだね」
 一人、賢者の石を撫でながら、ミラクルが微笑む。
「龍なんてうざい存在、ちゃっちゃと消しちゃって、それから世界を」
 野望に狂った策士が一人。欲望に溺れた国王が一人。
「世界をうちの所有物に」
 賢者の石を手にした者は、世界が終わりに向かって進みだすまで、直接物語りに関わることはできない。それは法であり唯一動かない絶対的な決まりごとだ。しかしミラクルには自信があった。賢者の石で知った未来を、直接関わることなく思いのままに変える自信が。

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  • お、俺の活躍はーΣ(゚ー゚ )≡( ゚ー゚)? -- ハジャ
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