アットウィキロゴ
MOON☆RIVER Wiki
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

MOON☆RIVER Wiki

第8話

最終更新:

moonriver

- view
だれでも歓迎! 編集

第8話

何だかんだで、その場は解散することとなった。
「ま、明日からお前らの強さ、見せてもらうよ」
にやにやと微笑みながらディスが言い残し、ショーティ、リオ、魔性のぬいぐるみくぴごんを連れて帰った。
ふっ、と葉奏が一息つく。
「なんか、随分騒々しい一日だった気がするわ・・・」
「だねー」
歌妃が相槌(あいづち)を打ち、窓の外を見やる。
「もう日も落ちてきてるし、おいらカシュウたんとこ行くわ」
「あ、今日はカシュウさん帰ってるんだ」
「うんむ」
頷き、少し照れながら頭を掻く。
「冒険者同士だから、あんまり時間も合わないしねー。お互いいる時くらいは、飯でも作ってあげないとね」
歌妃は普段、葉奏、ティンカーベルと同じ部屋に泊まっている。しかし本来は他ギルドの冒険者、『月影旅団』のカシュウと結婚しているため、カシュウが冒険に出ていないときにはカシュウの家に泊まるようにしている。
「明日の七時、遅れないようにね」
去ってゆく背中へ、葉奏が告げる。
「あいおー」
後ろ手にぱたぱたと手を振り、歌妃は去っていった。
「・・・歌ちゃん、もしボクらが宿屋追い出されたらどうするのかな」
ティンカーベルが小さく呟く。もし葉奏とティンカーベルが宿屋を追い出された場合、『愛染』はほぼ解散状態になるのは間違いない。その場合、歌妃だけはカシュウの家で暮らせば、冒険者稼業を続けることができる。
「・・・だから」
葉奏がにこ、と笑った。
「そうならないように足掻くんでしょ」
「・・・だね」
ティンカーベルも笑顔を浮かべる。不安に思っても仕方ないのだ。出来る最低限のことをするしかないのだから。
二人は帰路についた。明日の平穏を願って。

「で」
部屋に帰った瞬間に、葉奏がティンカーベルの体を鷲づかみにする。
「あの時、あたしはティンに何て言ったかしら?」
ぞく・・・とティンカーベルの体に悪寒が走る。
「ナ、ナンノコトダカ・・・」
「『これ以上違う世界に飛んだら、今日帰ってからティン専用おしおき箱へ入れる』って言ったよね? で、最後飛んだよね?」
「あ、あれは過呼吸じゃん! ボクに過失は・・・」
「問答無用っ!」
葉奏が部屋の隅へと移動し、そこに置いてある箱を開く。そしてティンカーベルをその中へ投げ入れ、蓋を閉め、自身がその上に乗った。
「その中でゆっくり反省しなさい」
恐怖の『ティン専用おしおき箱』。それは内側に数多くのだるまの絵を描き、空気穴以外は全てが密封されている小箱。内側には暗闇でもだるまの絵が見えるようにヒカリゴケを培養(ばいよう)してある。制作費に2万Gかかったのは葉奏だけの秘密だが。 聞くだけならば、ティンカーベルにとってはまさしく楽園のはずだった。が――
「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
箱の中から聞こえる、ティンカーベルの悲痛な叫び声。
「両目があるっ! 体が青いっ! こんなのだるまじゃないぃぃぃぃっ! いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
だるまでありだるまでないモノに囲まれて、ティンカーベルは叫び続けた。

日が落ち、宵闇(よいやみ)が訪れて随分と時間が経た。ティンカーベルはベッドに寝転がり、安らかな寝息を立てている。しかし葉奏は窓際の椅子に座り、青白い月を肴(さかな)にワインを愉しんでいた。
吸血鬼という種族の特性なのかは知らないが、葉奏はこれまで一度も眠ったことがない。このような夜でさえ、まどろみさえ訪れてこないのだ。
「・・・姫」
後方から声。
「調べられる限り、調査をして参りました」
すぐ後ろに、尚徳が立っていた。葉奏は驚きもせず、振り向かないままでそれを聞く。
「報告を」
「は」
短く答えて、尚徳が続ける。
「まず『七魔団』の動向、目的についてですが、調査した所、『七魔団』は正式にガラナ遺跡の調査依頼を受け、その前準備として調査を行っているもようです」
「・・・正式に調査依頼を受けた、ですって?」
「はい。国王ミラクル様より『正式』に、です。これについては私も戸惑いを隠せません」
「ダブルブッキングはルール違反だなんて、誰でも分かりきってることなのに・・・」
葉奏は軽い嘆息と共に、顎(あご)に手をやって黙考した。
「確認をしようにも、その時間も残ってないわね・・・それにミラさんじゃはぐらかされそうだし」
「『七魔団』側も、このダブルブッキングについては調査済みの筈です。ただ『七魔団』側は余程自信があるのか、これについて国王を問い詰めるつもりは一切無い様です。来るなら来い、ということでしょう」
「・・・なるほどね」
葉奏がにや、と不敵に笑った。
「上等ぉ」
「あと『腐蝕の龍ファフニール』については、新たな情報はありません・・・力不足、申し訳ないです」
「構わないわ。十分」
「あと、老婆心(ろうばしん)ながら忠告を一つ」
尚徳はごく自然は動作で、優雅(ゆうが)に一礼をした。
「クローゼットの中に侵入者がおります。かなりの手練と思われますので、ご注意を」
驚きに、葉奏が目を見開いて後ろを振り向く。尚徳は既に――消えていた。
同時にクローゼットの中から、全身を黒い衣装で包んだ刺客が現れた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー