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まんじゅうクラフト > 書籍 > 【悲報】チノ・フェット、敗れる

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「座りなよ」
 チノ・フェットはテーブルにカップを置き、もう片手で目の前の少年にそう促した。
 その表情はどこか余裕に満ちた様子で、恐らく彼がなんらかの大きなカードを手にしたのであろうと窺える。
「僕が君と同じテーブルに着くと思うのかい?」
 さいほうへいきは椅子に手を掛けたまま、しかし座ることなくそう返す。「僕と君では立場が違う」
「そうかな?」
 チノはそう溢し、懐からとあるものを取り出した。それを、パチン、と音を立ててテーブルに乗せる。
 カップに満ちるアーチャウ茶の水面が僅かに揺れた。
「キミはテーブルに座る必要がある――座らなくちゃならない、違う?」
「……」
 へいきは口を閉ざし、チノの手の中にあるそれをよく見極めようとしていた。
 その様子を見てチノはより深い笑みを溢す――これまで『支配図書館』や『支局基地』といった横暴を受け入れるしかなかった彼が、漸くへいきの立場を引きずり降ろすことに成功したのだ。
「この薬莢は」黄銅と真鍮の弾丸がチノの手の中で転がる。「数日前にキミが俺の暗殺を試みたものだ」
「ふん……」
 へいきは不快そうに鼻を鳴らすが、反論はしなかった。
「この事が公になれば、さすがのキミでも失墜は免れ得ない。そうだろう? キミの名声は今、俺が協定に基づいて支援していることで担保されているんだからね」
「……そうかい。交渉を……あるいは何かのディールを、僕とすると?」
「その通り!」
「……はぁ」
 カチャリ、と軽い音が部屋に反響した――
「君は現状をとても勘違いしているようだ……。あの図書館はもう完成してる。彼らにとって、チノ・フェットという王はもう一介の他人に過ぎないのさ――」
 二つ目の薬莢が宙を舞い、軽快な金属音と共に地を転がった。

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考察

最終更新:2025年10月21日 22:50