7月29日の講演会に行ってきました。
リハ協主催かと思っていたんですが、日本DAISYコンソーシアムが主催だったんですね。
以下報告:
日時: 2011年7月29日 14:00~16:30
主催: 日本DAISYコンソーシアム
場所: 日本財団ビル 大会議室
講演: 「DAISYの新時代―EPUB3を使って自分らしい知識のスタイルを選ぶ」
河村宏(DAISYコンソーシアム会長)
9月末から、DAISY4のパブリックコメント募集開始。
- 配布フォーマットは EPUB3、マスターがDAISY4
目的=出版と同時に「だれでも」「どこでも」=メインストリーミング
1. そもそもなぜDAISYを開発?
①使い勝手 (テープではかさばる。検索が容易でない)
②劣化 (テープでは、経年劣化、 コピーによる劣化が発生)
③国際交換 (テープ時代は、地域により生成機器の形式がことなった。←著作権保護の観点もあった)
2.システムと規格のちがい
デイジーは規格⇒世界共通
eg. MP3:再生機器には、「MP3対応」の記載
ポイントは規格間での縄張り争いを起こさないこと
(cf. ビデオ VHS vs β)
3.録音図書とテキスト
録音図書:ヨーロッパ、日本 (綴りを知りたいニーズ)
テキスト:北米
4.マルチメディアの良さ
録音図書+テキスト ⇒マルチメディア・デイジー (録音、テキストの機能を活かす)
合繊音声は、英語で先行
5.「オープンで無償の規格」の意義と苦労
特許を取らない。
オープンスタンダードで、規格を「守って育てる」
6.開発と持続
一過性でないものを。
7.メンテナンスのコスト
初期開発コストは全体の20%
残りは、メンテナンスコスト
⇒ いかにメンテナンスコストを削減するか。
- すでに認められている標準のみを使用
- パーツの新機能を取り入れる。
eg. web(オープンマインド)のアクセシビリティのガイドラインを取り入れる (ガイドライン=パーツ)+ コンテンツ作成ツールのガイドラインを取り入れる→ 出版物のアクセシビリティ、デイジー
cf. 作り方によりアクセシビリティに差
eg. PDF:読み上げができない部分も
8.アクセシビリティの再定義
web: インターネットの文字情報のみの時代=視覚障害者には便利
↓
2次元の画像の時代=視覚障害者にとっては、不便⇒抗議
⇒マルチメディア: 視覚障害者→ユーザーのひろがり
9. DAISY利用の開拓―浦河プロジェクト
(2005.5~)
北海道、浦河ぺテルの家のとりくみ
ぺテルの家(知的障害者のホーム)で、防災マニュアルをマルチメディア形式で作成
10. 第二次アジア太平洋障害者の10年
2002年~ ITの活用が盛り込まれる
11. DAISY For All
グローバルライブラリー構想
国連びわこミレニアムフレームワーク :
- アジアにデイジーの技術移転
- 発展途上国に対して、新しいものを提供。
(古いものは、新しいものに変えていかなくてはならない。
一気に新しいものを導入することで、むだの削減)
12. 国連世界情報社会サミット
デイジーコンソーシアムがコーディネーター役
デジタルデバイドの解消
幅広い障害者の意見を集約
13. 国連障害者権利条約
12.を受けて、作成
情報アクセス部分の充実
cf. タイ モンテン・ブンタンさん (国会議員、国連タイ代表)
14. DAISYと防災
防災という基本的ニーズ部分で、DAISYと活用
12.13の実現のため、プーケットで2回の会合を開催
15. 著作権問題
日本 : 2010年1月 著作権法改変 (33条、37条)
⇒障害者のアクセシビリティの向上(デイジーを意識:奈良デイジーの学習障害者への取り組みが参考資料に)
世界知的所有権紀行(WIPO)で著作権問題審議中
法に縛られな合意(米、EU) vs .法的強制
16. DAISY4の開発
DAISY3 2005~2008 SMIL、動画、ストリーミング
DAISY4 2009~
20119月 パブリックコメント
17. EPUBとDAISY
EPUB : IDPF(電子書籍出版社)の国際フォーマット
デイジーコンソーシアムもメンバー⇒ワーキンググループの統一
=EPUB2でデイジーの技術の取り込み(小説程度の内容のもの)
→EPUB3でデイジーの必要条件の取り込み
=DAISY4でコンテンツの製作、エンドユーザーには、EPUB形式で提供
DAISY4 :
① 録音、音声ナビ
② テキスト+目次 (TTSで読み上げ)
③ マルチメディア (①+②)
④ ビデオ、動画 (手話)
課題 :
キャンバス(お絵かき機能)をいかにカバーするか。
動画像の圧縮形式未確定
←アクセシビリティのためのガイドライン作りが必要
- DRM : 情報の暗号化がアクセシビリティの妨げに
参考:国会図書館、蔵書のテキストベース化=DAISYフォーマット使用
願わくば、DAISY4形式であってほしい。
(*私見:形が今だ定まっていないものに対して、現時点で採用決定はありえないのでは。)
18. 新しい知識基盤―今後の展望―
コンテンツの製作はDAISY4形式で行い、完成品をマスターデータとする。
マスターデータをパイブラインツールを使い、各種形式に変換。
- EPUB
- DAISY3.0
- DAISY2.02 (2.02から4へのコンバートも)
- テキスト
- 点字
マルチモーダルで、その時の状況に応じたアクセス方法が選択可能に
eg. 動画入りデイジー : 動画のON/OFFが可能
国内におけるDAISY普及について
報告1 DAISY教科書提供事業について
★濱田滋子
特定非営利活動法人 奈良DAISYの会)
マルチメディアデイジー教科書提供活動
利用者 562名
利用形態 個別、通級、家庭
障害内容 眼球運動障害、構音障害、弱視
コスト
日本語化
ボランティアの獲得
国の支援
環境
小学校 59/280
中学校 58/131
計 117/411
高校 0/900
参加者 13グループ 96名
★野村美佐子
(日本DAISYコンソーシアム事務局長)
~のちほど、資料をSkyDriveに掲載予定~
報告2 サピエにおけるDAISYオンライン
杉山雅章 (特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会)
ポケットリンクのデモを交えてDAISYオンラインの紹介
~のちほど、資料をSkyDriveに掲載予定~
最終更新:2011年08月08日 08:07