俺は、たった今殺した男のディ・パックを漁っていた。
妙な体術を使い、つべこべと説教してくるうっとおしい男だった。
もっともこんな状況下で無駄口を叩けるだけの実力は持ち合わせていたが。
だがこの俺、サー・クロコダイルの悪魔の実の能力、『スナスナの実』の前では無力。
思っていたよりだいぶ時間は食ったが、大したダメージも受けずに勝利することができた。

「とはいえ……」

いくらか気になる点はある。
全身を砂にすればこのわずらわしい首輪も外せるかと思ったが、
どういう仕組みかこの首輪は砂になった俺の体(恐らく、この状態でも爆発すればただではすまないんだろう)の一部にぴったりついてきた。
首輪自体を干からびさせようとも思ったが、まるで効果が無かった。
まあ、これはそう気にする必要も無いだろう。
あの何とかって野郎は『生き残った最後の一人』と戦うとホザいてやがった。
こんな大掛かりな舞台をわざわざこしらえたことからしても、最後の一人になった俺をいきなり爆殺することはあるまい。

「……ん?」

ディ・パックの中身は俺のものとそう変わらなかったが、一つだけ妙な物があった。
それは、果物だ。紙切れにくるまれた、奇妙な果実だ。
紙を開くと、なにやら文章が書かれている。


『ウシウシの実:これを食べればアナタも驚きの牛人間に! パワー増強、角がついて三倍! 可:人間牛(やや小さく『注:カナヅチ』)』


悪魔の実か。
俺は一人頷くと、悪魔の実を懐にしまった。
男の死体を眺め、なぜこの実を食わなかったのか、と考える。
主催者から支給された食い物を警戒したのか、牛人間になりたくなかったのか。あるいは、何か信条でもあったのか?
まあ、これを食われていれば、より始末は面倒になっていただろう。
俺は悪魔の実を掌で転がしながら考える。
悪魔の実は一人につき一つしかその能力を得られず、二つの実を食べた者は爆死するという噂がある。
まだ『王下七武海』に入る前には、よくそんな話を海で聞いたものだ。
俺の能力はこの『スナスナ』だけで十分だし、わざわざリスクを背負ってまでそれ以下のスカ能力を引くつもりもない。
これはあの麦わらにでも食わしてやるとしよう。

「麦わら……か」

俺は、自分の全てを奪った海賊、モンキー・D・ルフィの顔を思い出す。
俺が奴より弱かったことが原因、別に奴を恨んではいない。
だが、次にあったら殺したいと思っていたのは確かだ。
こんな形で機会が来るとは思っていなかったが……。

「クハハ……」

俺は笑いながら次の獲物を探すべく、干からびた男の死体を踏みつけ、街を目指して歩き出した。

【高槻巌@ARMS 死亡確認 残り64人】


【サー・クロコダイル@ワンピース】
【1日目 現時刻: 深夜】
【現在地:H3廃坑】
【状態】:ダメージ(小)、やや疲労
【装備】:
【道具】:基本支給品一式、不明支給品1(確認済み)、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース
【思考・状況】
1 皆殺し
2 麦わらの一味はやや優先度高く殺害する





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最終更新:2012年11月27日 00:17