LET'S ICTスキルアップ
1 はじめに(マニュアル化の経過と背景)
~ パソコン研修体系表の示された背景とその目的 ~
(1)ICT研修実態調査から浮かび上がった問題点
ここ数年のIT研修実態調査から主に下記2点が問題点として考察されました。
ア 研修内容の偏り
- IT研修の内容の多くが、ワード、エクセルなどアプリケーションの操作方法に集中している。
イ 研修担当者の負担が大きい
- 会員個々の知識分野やレベルが違うので研修計画の立案が難しい。研修内容や講師の選定が難しく、会員が期待するレベルや内容ともずれがでてしまい、企画する者の負担も大きい。
(2)問題点を改善する方策
体系表(各地区研へ配布、県事研HPに掲載済み)は、パソコン検定表を元にしたものでしたが、記述がやや抽象的で、具体的な研修内容までは示されていませんでした。そこで当委員会としては、系統的でバランスの取れたパソコン研修が地区研で企画できるよう、体系表を見直し、学校に必要な知識、技能にある程度絞って示すことが必要であると考えました。
ア 研修内容の偏りの解消のために
地区研のパソコン研修が特定のアプリケーションソフトの操作方法に偏りがちな傾向があります。パソコンや
ソフトウェアの操作方法に習熟することは必要ですが、IT研修は本来幅広い内容を含んでいます。情報そのものをどう扱うかについて、またそれらが学校事務とどう結びついていくのか、体系表のマニュアル化によって体系表の活用しやすい方法を提示します。これにより会員が効果的に情報リテラシー(後述)を身につけていくことが出来るような研修ができることを目指しています。
イ 地区研担当者の負担軽減のために
研修企画は各地区研に任されており、県事研としての講師の派遣も困難です。パソコン研修の体系表及びマニュアルの活用により研修内容の選定の一助とし、地区研及び研修担当者の負担を軽くすることが必要であると考えました。体系表の記述を具体化し、何ができれば体系表の内容をクリアしたと言えるのかを明確にすることを目的としています。
2 学校事務に必要なITスキルとは
(1) IT化社会の発達
ア 社会の動きから
社会はユビキタスネットワーク(どこにいても、いつでも、どんなものからでもネットワークを利用できる)が進みつつあります。誰もが時間や場所を問わず、多種多様で膨大な情報に容易にアクセスでき、日常生活における利便性の向上が図られようとしています。国、県、市町村レベルでもIT化が進んでおり、常に身近なものとして存在する状況です。
イ リテラシーとは
そのような社会情勢の中、情報機器の操作能力だけではなく、情報を活用する創造的能力「情報リテラシー」が事務職員にも求められています。具体的には情報手段の特性の理解と目的に応じた適切な選択、情報の収集・判断・評価・発信の能力、情報および情報の手段・情報技術の役割や影響に対する理解など、情報の取り扱いに関する広範囲な知識と能力をいいます。
それらに関連する概念として、メディア(情報流通の媒体)を使いこなす能力「メディアリテラシー」があります。これはメディアの特性や利用方法を理解し、適切な手段で自分の考えを他者に伝達し、あるいはメディア上の情報を取捨選択して活用する能力のことを指します。特にインターネットや携帯電話などの新しいメディアの発達により、これらの利用にまつわるトラブル等も頻発するようになっているため、メディアを正しく利用する能力であるメディアリテラシーの重要性が高まっています。
さらにコンピュータ等のIT技術を使いこなす「コンピュータリテラシー」と呼ばれるものもあります。これはコンピュータを利用して課題を解決するための知識や技能のことで、コンピュータの基礎的な動作原理や特性、機器の扱い方、操作方法等がそれに当たります。
ウ 変化への対応
これらの事柄はIT関連技術の発達により、互いに関連する部分も多くありますが、従来のパソコン研修等は当然ながらコンピュータリテラシーを高める内容が多くを占めていました。しかし、「メディア」と「コンピュータ」が高度に発達し、複雑に絡み合いながら情報が流通している現在、コンピュータ操作の講習だけでは、不十分ではないか考えられます。例えば個人情報の保護や情報漏洩等の様々なトラブルを防ぎ、また万が一そのような事態が発生した場合に適切に対処するためには、より広範囲な知識とそれらを応用する能力が必要です。
(2)IT化社会における学校事務
ア ITスキル向上のための研修
情報の価値、情報を扱う仕事の重要性が増している今日、学校に関わる情報は速度・量ともに増大しています。しかしその情報を最大限に利用するには、ただ受けとるだけではなく、膨大な情報の中から必要な情報を取捨選択して、それを有効活用する情報リテラシーが必要です。
・どこから情報を収集してくればよいのか
・最新の情報、活用できる情報をどこから手に入れたらよいか
・どのように活用したら効率化につながるのか
・どのように活用したら事務改善につながるのか
これら必要とされる情報を選別して活用することができれば、学校事務の効率化・事務改善を進めやすくなり、質の高い学校運営が期待できます。パソコン(ソフトウェア)の使い方から、仕事に活用するノウハウの習得へと、研修計画の深化が求められています。
イ 情報の共有、連携のために
学校事務においては、学校間や会員同士の連携が、学校教育・教育行政の進展に寄与していることは、これまでの共同実践などの成果でも明らかです。情報の共有、連携を円滑に進めるためには、情報格差(デジタルデバイド)を生まないことが重要です。情報格差をそのまま放置すれば、重要な情報にアクセスできる人とそうでない人との間に深刻な溝が生じて共同や連携が困難になり、格差のさらなる拡大を招く恐れがあります。そのような偏りをなくし、全会員がある一定の水準まで知識、理解、能力を高めていくことが重要です。
IT研修内容の偏りの解消、地区研担当者の負担軽減を目的として、提示した体系表とマニュアルですが、それらを活用し会員個々がそのスキルを高めていくことで「会員の資質向上を図り、学校教育、教育行政の進展に寄与する」という大きな研究目標につなげていくことを願っています。
3 ITスキルアップ研修体系化のためのカテゴリー(体系表)
体系表参照 (県事研ホームページ掲載済)
4 ITスキルアップの具体例
~IT研修マニュアル(別紙 研修マニュアル参照)について~
今回体系表をより具体化するために、体系表の項目を分類・整理し、IT関連の項目ごとに【学校事務での具体例】【ポイント】【解説】を加えました。IT関連用語を網羅するとともに、学校現場での事例や確認しておきたいポイントを例示し、解説で身に付けたいスキルやポイント、用語について説明しています。あくまで一例として挙げたものですので、学校現場やパソコン研修会の内容と必ずしも一致しないケースもあるかと思いますが、何を学べばよいのかについて例示されていますので、研修会設定の参考となるのではないかと思います。
なお、県事研ホームページに掲載してあります「研修マニュアル」のExcelファイルは、シート上の【関連項目】等からリンクを張ってあります。内容についてさらに詳しく知りたい方は、「IT用語辞典 e-Words」
http://e-words.jp/ を参照することができます。
5 おわりに
時代とともに学校現場には多くのコンピュータやソフトウェアが導入されており、自治体等のイントラネットも今や業務に欠かせないものとなっています。また、近年は個人情報保護の意識の高まりもあり、関連する法令等も整備され、情報漏洩には罰則を伴う厳しい処分が待っています。そのような社会情勢の中、われわれ学校事務職員も情報を適正に管理・運用していくための対応に迫られています。
多くの事務職員がIT研修の重要性を認識してはいるものの、研修の機会が必ずしも十分に確保されていない中、またソフトウェアの操作法にとどまりがちなパソコン研修会が多い中で、数少ない研修の機会を活用しながら、個々のITスキルを高めていくことが求められています。今回提示しましたIT研修マニュアルは、そのような情勢の中で、学校事務職員が知識と技能、情報管理に関する姿勢を学んでいくための手段として、活用することを主な目的としています。各地区研での研修会に役立てていただきたいと思います。
今後はWeb上でデータを共有した研修会や、各地区研で行った研修テキストや研修計画等を共有し、相互に活用すること等も考えられます。今後の情勢等も考えながら、学校現場に必要な研究を先取りしていく必要があると考えています。
≪参考資料≫ 学校事務とICT技術のあゆみ
| 時期 |
内容 |
備考 |
参考(通知) |
| H13.10 |
インプット様式のExcel帳票化 |
除一部帳票 |
H13.9.11付13会号外 |
| H14. 4 |
旅費入力システム |
口座振替払 |
H13.12.5付13教義第338号 |
| H14. 4 |
学校職員任用内申書作成システム |
任用内申書・報告書 |
H14.3.8付13教義第452号 |
| H14. 5 |
教職員履歴管理システム |
前歴登録票 |
H14.5.31付事務連絡(義務教育課) |
| H14.12 |
教職員履歴管理システム |
人事記録カード |
H14.12.4付14教義第301号 |
| H16. 4 |
給与データ入出力システム |
|
H16.2.6付15教義第354号 |
その他学校現場で現在導入・採用されている情報技術の一例
| 文書登録システム |
学年会計ソフト |
| 電子調査票収集システム(地方教育費調査) |
学籍管理ソフト |
| 就学援助費等支給システム |
県事務研様式集・ソフトウェアライブラリー |
| 教科書需要数入力・集計システム |
共済組合・互助組合の様式集 |
| 市町村グループウェア |
各省庁・行政機関の法令検索 |
| 市町村財務会計システム |
|
最終更新:2009年01月28日 20:34