少年は息を切らせながらただただ走っていた。
-あれは化け物だ-
-数刻前-
仲間と合流し、同士をつどいゲームから脱出しよう。
少年の想いは小さな爆発音で中断された。
少年の想いは小さな爆発音で中断された。
思わず、爆発音のする方向を確認する。
少し遠くにたちあがる煙の隙間から見える二つの黒い影。
一つの影が自分から離れて行く様に逃げていく……がしかし
(危ない!)
そう思うが声にならなかった。
黒い鎧をつけた体格の良い男は浮遊しすぐさま逃げる「彼」に追いつき……
少し遠くにたちあがる煙の隙間から見える二つの黒い影。
一つの影が自分から離れて行く様に逃げていく……がしかし
(危ない!)
そう思うが声にならなかった。
黒い鎧をつけた体格の良い男は浮遊しすぐさま逃げる「彼」に追いつき……
とてもではないが直視できるような光景ではなかった。
「彼」は岩に叩きつけられ口から血を吐きだす。
「彼」は岩に叩きつけられ口から血を吐きだす。
思わず少年の頭の中にフラッシュバックするあの光景。
飛び散る血、爆発する「彼女」の死体、転がる「彼女」の白くて細い体、嘲笑う声。
あれは夢だ。今、目の前でおきてる事もきっと夢で……
そう思ってしまえば楽だった。しかしながら、これは決して夢や妄想ではなく
現実である事を手に持つデイパックの重みが告げていた。
飛び散る血、爆発する「彼女」の死体、転がる「彼女」の白くて細い体、嘲笑う声。
あれは夢だ。今、目の前でおきてる事もきっと夢で……
そう思ってしまえば楽だった。しかしながら、これは決して夢や妄想ではなく
現実である事を手に持つデイパックの重みが告げていた。
既にアイツ -声に出すのも汚らわしい-
が言ってた殺し合い……ゲームに乗っている者がいようとは。
少年はその事実に恐怖し、追い詰められた「男」が自らの死を省みず
岩を爆発させ二人が瓦礫に沈んで行く光景を
ただ見ている事しかできなかった。
が言ってた殺し合い……ゲームに乗っている者がいようとは。
少年はその事実に恐怖し、追い詰められた「男」が自らの死を省みず
岩を爆発させ二人が瓦礫に沈んで行く光景を
ただ見ている事しかできなかった。
このゲームを阻止し、アイツを倒そうと決意した筈だった。
仲間である少女が震えてるのを見てそう決心した筈だった。
仲間である少女が震えてるのを見てそう決心した筈だった。
だが実際はどうだ。何もできなかったではないか。
少年は初めて感じる自分の無力さに戸惑っていた。
その思考を突然中断させるような気配に思わず少年は物影に息を潜めた。
少年は初めて感じる自分の無力さに戸惑っていた。
その思考を突然中断させるような気配に思わず少年は物影に息を潜めた。
崩れた瓦礫の山から伸びる奴の黒い手。
-まさか……死んだはずじゃ-
しかしながらその思考を裏切るかの様に瓦礫から
這い出て来た黒い鎧の男は傷だらけではあったものの
その目の光は衰えるどころかぎらつくような獣の目をしていた。
-まさか……死んだはずじゃ-
しかしながらその思考を裏切るかの様に瓦礫から
這い出て来た黒い鎧の男は傷だらけではあったものの
その目の光は衰えるどころかぎらつくような獣の目をしていた。
「殺される」
少年は肌で感じた。
あの男……-化け物-は危険だ。
少年にはもうただ息を潜め-化け物-の気配が消え去る事を
ひたすら待っている事しかできなかった。
あの男……-化け物-は危険だ。
少年にはもうただ息を潜め-化け物-の気配が消え去る事を
ひたすら待っている事しかできなかった。
その後は何も覚えていない。
どこをどう走ってきたのか足や手は泥だらけである。
恐らく何度もこけたのだろう。
それすら思考に入ってこない程、少年は恐怖していた。
どこをどう走ってきたのか足や手は泥だらけである。
恐らく何度もこけたのだろう。
それすら思考に入ってこない程、少年は恐怖していた。
死とはかけ離れた世界で生きてきた。
だからこそ無茶な行動だってできた。今だってできるはずだと思っていた。
だからこそ無茶な行動だってできた。今だってできるはずだと思っていた。
あの、傷つけ合う戦闘 -バトル- を今度は自分達が……?
死んでも生き返らない。死と隣り合う世界。
優しい人ばかりじゃない。自分を殺そうとする人間がいる。
優しい人ばかりじゃない。自分を殺そうとする人間がいる。
今までいたセカイとは違うんだ。
その恐怖を。情景を。さまざまと見せ付けられたのだ。
あの-化け物-に見つかれば、一緒に戦ってくれる仲間も、
旅を共にする仲間もいない無力な自分はただ殺されるだけだろう。
あの-化け物-に見つかれば、一緒に戦ってくれる仲間も、
旅を共にする仲間もいない無力な自分はただ殺されるだけだろう。
そう。「彼女」や「彼」のように……
あまりの自分の考えの恐さに少年は
自分がどうしたら良いのか分からなくなっていた。
いつもの強気な少年の姿はそこにはなく、自分自身と周りの状況に追い詰められ
……ただ何かから逃げだしたくて走り続ける事しかできなかった。
自分がどうしたら良いのか分からなくなっていた。
いつもの強気な少年の姿はそこにはなく、自分自身と周りの状況に追い詰められ
……ただ何かから逃げだしたくて走り続ける事しかできなかった。
少年が始めて味わう挫折であった。
「ピカチュウ……? カスミ……? タケシ……? どこだよ……。
俺を一人にしないでくれよ……」
俺を一人にしないでくれよ……」
呼び掛ける小さな声が驚くくらい広い森に吸い込まれていくその孤独感に終われながら
少年 -サトシ- は力無くただ走り続けていた。
少年 -サトシ- は力無くただ走り続けていた。
【一日目 朝 場所:H10(森の中)】
【名前: サトシ(ポケットモンスター)
健康状態: 良好だが自信喪失中
武装: 十得ナイフ・ウサギずきん (ゼルダの伝説 ムジュラの仮面)
所持品: 支給品一式
現在位置: H10(G11の方向に移動中)
第一行動方針: ここから逃げ出したい。
第二行動方針: ピカチュウ・カスミ・タケシと出会いたい
第三行動方針: 知らない人とは出会いたくない。特にガノンドロフは避けたい。
最終行動方針: ゲームからできれば仲間と共に逃げ出す
備考:孤独感・恐怖感・自身の無力さから自信を喪失し、酷く落ち込んでいます。
乗り越えられれば大きな成長を遂げるかもしれませんが
現在の意思の方向は前向きな脱出ではなく後ろ向きな逃げ出すです。】
健康状態: 良好だが自信喪失中
武装: 十得ナイフ・ウサギずきん (ゼルダの伝説 ムジュラの仮面)
所持品: 支給品一式
現在位置: H10(G11の方向に移動中)
第一行動方針: ここから逃げ出したい。
第二行動方針: ピカチュウ・カスミ・タケシと出会いたい
第三行動方針: 知らない人とは出会いたくない。特にガノンドロフは避けたい。
最終行動方針: ゲームからできれば仲間と共に逃げ出す
備考:孤独感・恐怖感・自身の無力さから自信を喪失し、酷く落ち込んでいます。
乗り越えられれば大きな成長を遂げるかもしれませんが
現在の意思の方向は前向きな脱出ではなく後ろ向きな逃げ出すです。】