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アスタ×刹那

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「…………」
「…………」

「……明日太、さん」
「……何だ、刹那さん」

「切っていいですか?」
「……おすきにどーぞ」

「…………」
「…………」

また無言に戻った電話の受話器から漏れてくるのは、
俺の部屋からでも聞こえた車のクラクション。


――――――――――――――――――

どうせそれは大義名分でしょう?

――――――――――――――――――


「登校日っていつか解る?」

「21日で9時登校です」

「サンキュー」

2分で終ると踏んでいた用件は20秒も立たずに終了した。
あとは受話器を置くだけなのだけど、
いい様のない名残惜しさが俺の後ろ髪を引いて切るタイミングを奪い取ったようで。

時折うんとか、ああとか意味のない言葉を織り込んで
通話時間がじわりじわりと増えていく。


「明日太さん、電話代大丈夫ですか?」
「大丈夫」

「そう、ですか」
「そうだ」

電話の相手である刹那も迷惑なら切れば良いのに。
いや、そうさせないのは俺の所為なのかも知れない

それでもこの行為をやめる気なんてさらさらなくて。


メールで済む用件をわざわざ電話で寄越したのは、
そこらへんの心情が関係したものだろうと思う。

「……じゃあ、切りますよ?」
「ん」

切り出された言葉に軽く同意した。
残念だけれど、ここでタイムリミットと言うことだ。
では、と言う言葉を皮切りに電話が切られる。


そして聞こえてくる機械音。


ため息交じりで受話器を置いて、がちゃり。無機質な音。
呟く言葉は独り善がりなのだろうか。


「…………馬鹿か、俺は」


ジャストタイミング。


呟いた言葉に反抗するかのようになったのはコール音。
眉をひそめながら電話を見やる。
相手に気取られないようにため息を入れて、受話器を取った。
勧誘お断わり、間に合ってます、ドスの聞かせた声で一言はい

さあどれにしようか?

そうして電話の受話器から漏れてくるのは、
俺の部屋からでも聞こえた車のクラクション。
刹那、舌で転がしていた言葉が胃に舞い戻って行く。


まさか。


開口一番、電話線向うの相手は


「何か言いましたか、明日太さん」


「っ……刹那!」
「はい」
「…………何もねぇ」

「さ、これで電話代のことはとやかく言えないですよ、明日太さん?」
「……そうだな」

鼻を鳴らすだけの返事を返せば、
受話器の向う側、くすりと微笑む音がする。
瞬間に熱くなる耳たぶは、それに押し付け過ぎた受話器の持つ熱が
伝わってきただけのことだ。それだけのことだ。


「さぁ、何から話しますか?」


向う側で刹那が笑う。
ああ、でも。とまだ笑いを含んだ声で


「どうせすぐに無言電話になるでしょうね」


それでも最高に有意義な時間だ。

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