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刹那♂×ハルナ

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匿名ユーザー

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君の目線になってみたいね。と、彼女が笑った。


午後11時の繁華街。車が隣を行き来する。


「――は?」

眉を潜めさせて、突然の彼女の申し出、と言うか思いつき。
いや、と言うよりは若干ネジが飛んだ発言に、
世界でもっとも短い答えを返した。むしろ反射で返してしまった。
そんな思考回路の隅っこで彼女、早乙女ハルナの思考の瞬発力は侮れないなと再度確認。


「いや、だから。刹那さんの目線になってみたいな。と」


それにしてもは?は酷いんじゃないかい? 反論が来た。
もう慣れっこだとでも言うように、はい、だとかええ、だとか適当な言葉で受け流しながら、
俺とハルナさんは人ごみの流れに従いながら、目的地であるコンビニへと向かっていた。

麻帆良の夜空は家庭やネオン街の光に反射して、
何処か赤く薄く、発光している様でもあった。
蛍が放つの光は調度これ位の強さなのだろうかと薄っすら思う。
もっとも、蛍が放つような美しさは、この夜の帳には無いのだろうけど。


褐色の月が雲に隠れ、世界はより濃い闇に包まれていく。
山向こうに見えるほの暗く赤い光は隣町のネオンが反射したものだろうか。
戦火に見えなくもない。

なだらかな曲線を描いて空に真っ黒な切り抜きを作る山に、
ゆらゆらと浮かんだ家庭の光をぼんやりと見ながら、これは少し嫌な色だなと俺は思った。


文化祭準備中の買出し。
……と言ってもその大半は夜食やらジュースやらお菓子やら
プリンやらあんみつやら(後者に到ってはどうせ経費で落す魂胆だろうが、そうは行かない)

とにかく、良く言えば買出し、悪く言えばそのパシリに
男手の自分とじゃんけんに負けた彼女が借り出されたのだ。


「距離感があるんだよね」


沈黙を作った張本人でもあるハルナさんが言う。
親指と人差し指とで10cm程の物差しを作って、隣を歩く俺に見せた。


「これが刹那さんと、私との距離」
随分と近いですね、と言おうとしたら、随分と近、で止められた。



「たかが10センチって思っちゃ駄目だよ?
 10センチで世界はガゥラリと変るんだよキミィ!」


あ。

この人貫徹でハイになってんな。と確信する。


普段のテンションとの差で解る。
……性質の悪いこわれ方する人だな。
…………口が裂けても言えないけどな。
寸の所まで出てきたため息を飲み込んで、変わりに言葉を紡ぐ。


「10センチ、ですか――なら。これならいいでしょう?」


とにかくこのナチュナルハイを黙らせようと、
俺はそう言ってハルナさんの脇を持って
車道と歩道を別けるブロックに立たせた。
ブロックに立った彼女と言えは、数秒黙考したあと、気が付いた用に発言する。


「……あー。おー。これが刹那さんの目線かぁ。おお、よきかなよきかな!」
「いつの時代の方ですか貴女は」
「うん。でもほら、はは、これはすごいよ! 刹那さん!」
「――――――?」

ふいに、空気と夜の雰囲気が、動いた。息を飲む。
反射で目をつむる。唇に注がれる、柔かい感覚。

不意打ちかよ! 喉に詰って、そんな言葉も出ない。
そのようすをくすりとハルナさんは見た後、ほら。と、言うのだ。




「爪先立ちじゃなくても、刹那さんにキス出来るじゃない?」

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