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史也×風香

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匿名ユーザー

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さて夏も終わって大分経ち、随分涼しくなってまいりました。
さんぽ部に所属する鳴滝姉弟にとって、絶好のさんぽ日和な日々が続いておりましたとも。
だからこそ、風香も自然に『今度の日曜日、一緒に出かけよう?』てなことをいつもの部活の延長みたいな言い訳をつけて約束させることができたわけです。
がっ。

「・・・なんで、なーんーでっ! こういう日に限って思いっきり天気予報って外れるかなぁ!?」

むきーっ!という効果音がぴったりな形相で机に張り付き、剣呑な雰囲気を振りまいている風香。
そりゃそうだろう、ここ何日かすっきりした秋晴れが続いて、天気予報でも「週末はすっきりした晴れ模様となるでしょ~」なんていわれてたのに思いっきり大雨に降られちゃあ。
しかもそれが、せっかく、せーっかく勇気を出して誘ったデートの日(たとえ史也が自覚してなくても)だったりしたらもうご機嫌メルトダウンも致し方ない。
だがしかし、誘われた側の史也はそんな風香の気持ちなんて知る由もなく。

「まぁまぁお姉ちゃん・・・そんな怒らなくたっていいじゃない。 きっと来週はまた晴れるよ」

少々呆れ気味に、机にへばりついて陰々滅々うじうじうじうじ(そこまでじゃないやい! by風香)している姉をたしなめる。
しかし、風香にしてみれば史也の態度そのものが気に食わない。
何さ人がせっかくデートに誘ってあげたのにそれに気付かないなんてっていうか弟なのになんでそんな偉そうなの私がお姉ちゃんなんだぞ。
そんな気持ちを籠めに籠めた眼で史也をきっと睨みつけ、また机にへばりつく風香。
風香としては、そんな安っぽい慰めよりも、『お姉ちゃんと出かけられなくて残念だなぁ』くらいのことを言ってくれたほうがよっぽど嬉しいのだ。
だがこの鈍い鈍い弟はそんなことにも気付かない、あああもうバカバカバカ!
うがーっと手足を振り回し、全身で機嫌の悪さを表現。
イライラのぶつけ先がないだけに余計にストレスがたまる。
その溜まったストレスを発散しようにもどうしようもないからまた溜まる。
最悪のストレススパイラルモードに突入した姉を目の前に、史也はこっそりと溜息をつく。
そもそもなんで出かけられないくらいで(史也が風香の気苦労に気付くはずがない)こんなに怒るのかなぁ、などとのんきなことを考えている。
とはいえこのまま放置して八つ当たりされるのは勘弁だ。
この状況でなんとか風香の機嫌を上向きにするにはどうすべきか。
史也の頭で考えうる限り考えた結果出た結論、それは。

なでなで。

コラそこ安易とか言わない。
これは文也の経験からはじき出されたもっとも友好と思われる対風香ご機嫌メーター上昇ウェポンなのだ。
いやまぁ早い話が『お姉ちゃんが不機嫌なときはなでてあげれば大体なんとかなる』という経験則からの行動というだけなのだが。
ちなみに『なでればなんとかなる』というのはただ風香が単純だというわけではない、断じてない。
風香にとって史也は誰よりも大好きで、愛しくて愛しくてしょうがない相手だ。
そんな相手に頭を撫でられたりすれば、どんなに不機嫌であっても『史也が撫でてくれてる』という理由だけで嬉しくてしょうがない、という可愛らしい乙女心の表れなのだ。
まぁ風香のそんな想いに気付けていない史也が知るはずもないことだが。

「・・・・・・何、史也」

とりあえず頭を撫で続けていた史也を上目遣いの涙目で睨みつつ、不機嫌な声で風香が問う。
あ、コレはまずいかも。
史也は自分の読みが外れたらしい状況に冷や汗を流しながらも、平静を装って答える。

「え、えっと・・・なんかお姉ちゃんが随分イライラしてるみたいだから、ちょっとでも落ち着いてくれればな~、って・・・あぶぅっ?!」

冷や汗を流しながら空笑いする史也の頭を、風香のゲンコツが直撃。
史也は思わず、風香の頭に載せていた手をそのまま自分の頭の上に持っていき、風香にぶん殴られたところを抑えて身悶える。
風香はふん、とそっぽを向いてまたふてくされている。
よかれと思ってやったのにこれはないんじゃないか。
ちょっとそんな腹立たしさを感じた史也が風香に抗議する。

「・・・・ったぁ・・・何するんだよぉ、お姉ちゃん」

「うるさい、馬鹿史也」

何それ。
いくら温厚な史也でもさすがにむっと来た。
なので、史也もそっぽを向いてそっけなく言い返す。

「・・・何だよ、もう。 大体、なんでそんなに怒ってるのさ? 何かしたいことでもあったの? ていうか・・・」

その続きをいおうとして風香のほうに向き直った史也は、思わず息を呑んだ。
何で僕を誘ったの、とはいえなかった。
風香が涙を一杯にためた眼で、きっと史也を睨んでいたから。
きっと言い過ぎたんだ、ごめん――――史也が慌ててそう謝ろうとした、そのとき。

「――――むぐぅっ!?」

風香のくちびるで、思いっきり口をふさがれた。
もっと簡単に言えば、キスをされた。
突然のことに史也の頭は大パニック、何で、とか柔らか、とか意味を成さない単語が頭の中を飛び回っている。
それに対して、史也の口から自分のくちびるを離した風香は、相変わらず泣きそうな顔を不機嫌にゆがめたままそっぽを向いている。
そして、風香の口がゆっくりと開き、

「――――こんなことを、もっとロマンチックにしたかったんだよ・・・馬鹿史也」

そういい残して、さっさと自分の部屋に戻ってしまった。
取り残された史也は、ただただぽかんとしているだけ。
窓の外では、激しい雨がまだ降り続けていた。

今の風香と史也の仲は、窓の外の景色と同じ土砂降り。
この先、雨が止んで、雲の切れ目からまぶしい太陽が顔を出すのか、それともさらに酷い嵐になるのか。
天気ひとつ読み当てられない人間には、二人の心の行く末など読み当てられるはずもない。
さてさて、いったいどうなることなのやら。
それは誰にもわからない。

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