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エヴァ戦後某日

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匿名ユーザー

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俺、神楽坂明日哉は麻帆良学園中等部に所属するしている学生だ。バカでガサツなバカレ
ッドという不名誉なレッテルは貼られているのが唯一の不満だが今はそんなことはどうで
もいい!俺は夢にまで見た女性をものにしようとしているのだから!!

「どうしたの?明日哉君。もしかしておじけずいたのかな?」

そう俺の目の前に広がるパラダイス。麻帆良生なら一度は憧れるだろう銀髪の美女タカ
ナ・T・高畑がベッドの上でただ一枚身につけたワイシャツをはだけさせ艶やかな瞳で見上
げているのだ。

「俺はこの時をどんなに求めていたか。おじけずいたりしませんよ。先生、覚悟してくだ
さいね…」

クールに先生に迫るもえーとどうすればいいんだ?ドキドキして頭が動かねぇ…。

「ふふ、どうすればいいかわからないって顔してるわね。さぁこっちにおいで…」

先生は目の前で膝立したまま固まっている俺の手を引いて側に横たわらせた。されるまま
に導かれ横たわった先にははだけたワイシャツから溢れ自己主張する双房。ゴクリ、俺の
海綿体の充血度は今や高まるばかりだ。

「明日哉君の視線はエッチだね。どこをみてるのかしら?けど胸は少しおあずけ…もう少
し近くに寄って…そう、次は私の首に手を回してみて…」
「えと、こうですか?」

横になった姿勢のまま俺は先生の首に両手を伸ばした。

「うん、そう。どう?こんなに近いよ?」

自然、顔と顔が近づく。

「ち、近いですね。」

先生はいつもの優しい顔だけど俺を蕩けさせるような眼差しは大人の色気そのものだった。
つい恥ずかしさから視線を逸らしてしまいたくなる。

「さ、男と女がせっかくこんなに顔を近づけてるのだしね…キスしよう?」
「は…い」

吸い込まれるように俺は生まれて始めて(あいつとのはノーカン)唇を重ねた。本能のま
まに俺は先生の口腔を犯し歯列をなぞりあげる。繰り返される舌の絡み合い。長い口付け
はいつしか互いの口から水音を響かせとろけさせ劣情に火をつける。たまらず荒い息遣い
が女の口から漏れる。

「んっ…んぁふっ!上、手はぁん…んんっ!」

その嬌声は理性をすっ飛ばした。

「もう…俺!止まりませんよ!」

密着したまま体を女の股に割り込ませ先ほどはおあずけを食らった胸を目指し首、鎖骨へ
と舌を這わす。

「あ、ああ、いい、よっ」
「先生のここの感触久しぶりですね。」

昔すこしだけ触らせてもらった感触を思い出しながらよく整った胸を根元からこねるよう
に揉み上げその先端を吸い上げた。

「あれ、昔より小さい気が…」

それは違和感。

「は、は、クシュン!」

そのとき先生がクシャミを…て声が先生の声じゃない?そう意識した途端視界がぼやけだ
す…

「こ…この感じは…夢?」

世界は暗転する。



……目を開けた。時間に目をやると現在午前3時半。もうバイトの時間だ。体には夢同様
の布団とは違った肌の温もり…とりあえず一言言わせてもらうけど俺、神楽坂明日哉は大
人の女性が好きだ。高畑先生がストレートど真ん中だ。当然真逆のガキには興味はない!
断じて!けど…この状況はまず過ぎる…俺は赤いロングの髪の女…いやガキの上に…これ
だけで犯罪的だというのに…上半身脱げたパジャマの下にこじんまりと存在するこいつの
胸に俺は…俺は…しゃぶりついていた…ナンダコレ?夢の中で聞いたクシャミの主もどう
やら起きていたらしい。目が…あった…

「あ、あの明日哉さん…」
「ネ、ネギネ…なんでお前が俺の布団に!ふっざけんなよ!お、俺はバイトに行く!じゃ
あな!」

ネギネの反応を待たず俺はベッドから逃げ出した。準備は一瞬ですむ。バイトへ――

「ん?あー明日哉、もうバイトいくん?」

バタバタと着替えてた俺に気づいたのかもそもそと学園長の孫娘近衛木乃香が目をこすり
ながら起きてきた。

「ああ、行ってくる。今日は朝飯はいいからな。」
「駄目や、明日哉、朝食はちゃんと食べな大きくなれんよ。」

ある種頑固さをもっている木乃香だがそれは純粋な好意ゆえだ。そして俺のことは意外と
信頼してくれている。だが俺はその信頼を裏切ってばかりな気がする。ごめんな木乃香。
今俺は一時も早くこの部屋から抜け出したいんだ。

「今日は早く来い、って言われてるんだ。悪い!明日はちゃんと食うよ!」
早く来いは当然、嘘だ。
「そうなん?そんじゃあしゃあないな。でも、な。あんまり朝食抜いたらあかんよ?」

玄関まで送りにきてくれる木乃香。心の中で謝りながら靴を履いた。ドアを開けるついで
にベッドの方に目を向けるとネギネが目じりに涙をため俯いてた…。その涙は俺の心を蝕
む…。
寮の外へ駆け出す。やっちまった。ガキ相手になんて大人げない。その場で謝ればこんな
罪悪感に駆られることもなかったはずだ。クソッ!その苛立ちは寮の外へ繋がる階段を蹴
らずにはいられなくさせていた。

「おーう荒れてるねぇ兄貴。結構刺激的なことしちまったもんなぁ。自己嫌悪かい?」

背後から聞こえる最近はもう聞きなれた声。ネギネのペット、アルベール・カモミールで
ある。

「エ、エロガモ!?なんでここに?てゆーかてめぇさっきの見てやがったのかぁぁぁ!」

反射的に口封じをしようと手を伸ばすも身軽な動きでかわされた。

「おっと危ねぇな。姐さんにあんなことしておいておれっちをエロ扱いかい?姐さんの小
さな胸に舌を這わすとこなんてなかなか堂に入った動きだったぜやるねぇ兄貴。ムフフ♪」

いやーな笑いをたてながら一服する小動物。まるで借金取りのようだぜ。この畜生。

「ぐぐっな…何が望みだこの野郎…」
「まぁまぁおれっちを見損なうなって兄貴。何も兄貴にたかろうってわけじゃねぇ。この
前の仮契約で儲けさせてもらった恩もあるしな。今回は純粋に助言しにきただけだ。兄貴
は気にしてるようだけど何も心配はねぇと思うぜ。姐さんはそんな小さな女じゃねぇよ。」

知ったような口を叩きやがってさっきのあいつの涙をみてねぇからだ。大体こいつのいう
ことはどこか抜けてるしな。信用できるかっての。

「ふん俺よりあいつのことわかってるっていうのか?」

タバコをふかしたままカモの余裕は崩れない。

「兄貴に女心がわかるならおれっちがいうことはねぇ。クク、まぁ言うことは言ったし後
は兄貴達次第だ。おれっちはクールに去るぜ。」

言うやあっという間に視界から消えるカモミール。チッ考えるのは苦手なのに余計なこと
言っていきやがって。

「バイト…いかなきゃな。」

滅入った気持ちを解消するには体を動かすのが一番だ。新聞屋のおっちゃんには驚かれた
が休んだ人の分も合わせて2人分の仕事を爽快にこなし悩みを吹っ飛ばした。つもりだっ
た…。

「あいつ全然授業できてないじゃんか。なにやってんだ。」

悩みの根源は授業に全く集中できていなかった。ページを間違えたり科目を間違えたり…
当然クラスの連中も異常に気づきざわついてたりしていたが昼休みとなればいつものバカ
騒ぎとなった。

「千津兄、今日は176ページからお願いね。」
「ここかい?昨夜の続きのところだね。」

教室の一段高くなっている教壇の前で向かい合う共に赤髪の男女。少女に千津兄と呼ばれ
た少年は年齢にそぐわぬ大人びた顔立ちと少年ながら肩先まで伸びたカールした髪、柔ら
かな眼差しが印象的である。対する少女は少年に比して頭二つ分ほど小柄で少女期特有の
ものであるそばかすを顔に残しまたショートにカットされた髪が少女の純朴さを引き立て
ていた。

「では始めるよ。 ああ!姫!この宮廷には存在しないあなたの小さな胸と素直な瞳は私
の心燃え盛るほど熱くする!なんと罪作りな人!この私の思いを知って尚あなたは今日も
人知れず湖の向こうへ去っていくのですね?せめて、せめてお名前を!あなたのお名前を
心に刻むことができたならば幾千の夜の孤独も例えあなたに捨てられた夜であっても私は
乗り越えていけることでしょう。どうかお名前を!」
「ああ、王子あなたのお心はなんて清くお美しいんでしょう。けれどなればこそ私はあな
たの側から去りましょう。褒めてくださった小さな胸もこの瞳もこの煌びやかな世界では
生きられぬ、そうまるで灯火に引き寄せられやがては燃え滅びる蛾のように脆くはかなき
存在。ましてこの煌びやかな世界の中心に居られるあなたさまに見惚れるなどとなんと大
それた罪だったのでしょう。この数日想いは幻なのです。目を凝らせば消え行く幻だった
のです。」
「何度あなたに氷の刃のような言葉を向けられようと私の気持ちは――
「ヒューいいぞ!もっとくっつけー。」

少年、那波千津郎と少女、村上夏美は昼休みに演劇の練習に興じるのが日課であった。実
際は夏美の練習を千津郎が手伝っているだけなのだが二人の演技とは思えぬ迫真ぶりのお
かげでクラスの昼休み名物と化していた。

「那波さん、やっぱかっこええなー。」
「亜子は年上好きだもんね。」
「アキラそのセリフは那波さんに失礼だよー。村上もこの時ばかりはとっても綺麗だねー」
「ゆーなも村上さんに失礼だと思うけど。」
「二人ともかっこいいよー私もやりたーい。」

ギャラリーから一歩引いた形で考え事をしているのか上の空の明日哉…に左右から迫る二
体の影があった…。

「いっよう明日哉、何黄昏てるわけ?悩みなら経験豊富な俺に相談してみろよ。」
「仮に罪の告白なら神父見習いの俺に任しとけ。」

ガチッと両側から押さえ込まれる明日哉。

「なあ!?柿崎!空!何のつもりだ!?」

明日哉と仲がいい二人だからといって日頃からこんな風に絡まれる覚えはない。

「俺と空はさ、今日のネギネちゃんの挙動不審はお前のせいだと見込んでるんだけど、ど
うかなー明日哉君?」

にんまりと明日哉の心を見透かすように問う柿崎。

「な、なに、言ってやがる!」
「お、義砂(よしずな)なんか動揺しているように俺には思えるんだけど。あーやっぱり
罪の告白の時間だな。さ、ゲロッちゃえよ全て吐き出せば楽になるんじゃん?いいんちょ
に殺されるかもだけどさ。」
「じょ、冗談じゃねぇ!」
グワンッ
「うわっ」「いってーさすがバカレッド」

バカレッドの異名をもつバカ力は両肩を固めていた男子二人を振り払いその勢いのまま後
方に飛びのき距離を取った

「いいんちょの奴にバレルくらいなら俺はハルオの漫画のモデルにでもなってやるぜ!」

啖呵を切る明日哉。このクラスの同人漫画家早乙女ハルオはBLものも書くとの噂があった。

「その覚悟は汲むけどさぁ…今の発言は墓穴掘ってるんじゃないかぁ。」
「さすがバカレッド…アーメン…」

コッコッコッコ。死の宣告の前兆ともいえる足音は背後から迫っていた。そして肩に伸ば
される夜叉の腕。

「ホホホホホ、聞きましたわよ明日哉さん。あなたが早乙女さんの漫画のモデルをなされ
る必要はなさそうですわね。なぜなら今、ここで私にあなたの罪が暴かれるのですから。」

夜叉の微笑み!明日哉はムンクと化した!

「お、驚かせやがって。お、俺は何もしらねぇよ。何のことだがさっぱりわかんねぇよ」

顔が強張ったまましどろもどろな言い訳をする明日哉。普段なら喧々諤々な口論をする二
人だが今日は完全に勝敗が見えていた。その明日哉の反応に顔を絶望に曇らせ花をバック
に膝から崩れ落ち涙を零すあやか。

「ああ…明日哉さん。あなたの今の表情は嘘をついてる顔ですわ。私はこれでもあなたの
ことは信じていましたのよ。たとえネギネ先生がどんなに可憐で天使のような美少女であ
っても明日哉さんは決して道を踏み外す人ではないと…うう。」
(さすがの明日哉もいいんちょには言われたくないと思うんだけどね。)
(さってねーまぁいいんちょはこうでないと面白くないだろ?)
「ふ、ふん俺を信じてくれてたのは嬉しいけど勝手に話を進めるなよな。もう少し信じろ
よ。俺はネギネの人生に禍根残すようなことはしてねぇよ。」

ふて腐れたように呟く明日哉。その明日哉の表情に誠意をみたのかあやかは涙を払い立ち
上がった。

「いけませんわね。私としたことが。明日哉さんみたいに人望がない人はクラス委員であ
るこの雪代あやかが信じてさしあげなければ誰が信じてあげられるというのでしょう?い
いえだれもいませんわ!私はあなたを改めて信じます。明日哉さん。」

あやかの背後に咲き誇る大輪の花とその輝く瞳に圧倒される男3人。

「あ、ああ。ありがとう…」
「それでも…先ほどあなたが見せた嘘顔の真相の方を聞かないことには安心して眠れませ
んわ。どうか教えてくださりませんか?」

真直ぐな視線と真摯な心で踏み込んでくるあやかに明日哉は後ろに引くことも忘れただ立
ち尽くすしかできなかった。

「じ、実はさ…」

あやかの真摯な思いに突き動かされたのか明日哉は悩みを打ち明けてしまいたい衝動に駆
られる。が、そのとき天の助けか悪魔の悪戯かあやかと明日哉の間に近衛木乃香が割って
入ってきた。

「いんちょ、どうしたん?明日哉がまたなんかしたん?」
「こ、木乃香」

あやかの勢いに呑まれかけていた明日哉は木乃香の登場に自分を取り戻し自分のしようと
していたことに恐怖した。あやかにとって木乃香の行動は明日哉をかばうようで少し面白
くなかったが彼女に悪意が無いのだということも理解していた。

「明日哉さんとネギネ先生に何かあったのではないかと質問させて頂いていただけですわ。
ネギネ先生の今日の様子がおかしかったのはあなたも気づいていたでしょう?二人と同室
の木乃香さんは何かご存知ないのですか?」

木乃香にとってその内容は意外だったのか目をぱちくりさせたが次第に顔を赤らめ俯いた。

「そのことやったんかぁ。ウチな今朝ネギネちゃんから聞いたんやけど…」

マ・ズ・イ。明日哉のわずかな脳に危険信号あ点滅した。そしてスイッチが入った後の行
動は素早かった。木乃香を後ろから羽交い絞めにし右手で口を塞ぐ。

「も、が、あ、あしゅーや?」

突然のことに訳がわからずモガモガと口を動かす木乃香に明日哉は耳元で小さく諭した。

「今は黙っててくれ、ややこしくなる…というより俺の身がやばくなる。」

珍しく真剣な明日哉の表情にコクコクとうなづく。だが明日哉にとって事態は悪化してい
た。先ほど吹き飛ばした義砂、空も立ち上がり不敵な表情で後方を固め、正面には不機嫌
な表情に変わったあやかが…

「わ、私の前で抱き合うとはいい度胸ですわ…」

それは誤解だろうと突っ込みたい明日哉だったがそんな余裕はない。逃げ場を封じられた
この危機に腕に力が篭る…と

「ん…な、なぁ明日哉ー」
「どうした木乃香?」

恥ずかしそうに何かを訴える木乃香。な、やっぱこの体勢はまずいのか?

「明日哉殿、左手でござるよ。左手。ニンニン。」

天井の忍者からの助言。自分の左手に改めて意識をやるとやらかい感触…力を込めた腕は
強くそれを…近衛木乃香の胸を鷲?みにしていた!

「どわああ!悪い!木乃香!」

あわてて手を離した。

「え、えんよ。別に…な?これは事故や…」
「そ、そうか?」
「明日哉相手ならこのくらいいややないし…何も気にせんでええんよ」
「木乃香…」

照れ笑いを浮かべる木乃香に釣られて明日哉も顔を赤らめる…見詰め合う二人。

ブチッ
「不埒です!不埒ですわ!あなた達!この神聖な教室で何をなさっているのですか!?た
とえ学園長先生が許そうとこの雪城あや…ヒッ!?」
「おい明日哉、近衛から離れた方がいいぞ。俺も逃げる。」

背後に立っていた春日空から掛けられた言葉に明日哉はうなづいた。

「わ、わかってる。」

あやかをビビらせるほどの殺気が教室に満ちる。あやか、義砂は腰が抜け尻餅をつき空は
すでに逃走ししていた。空同様すぐに逃げ出したい明日哉であったが殺気がもろに向けら
れており動き出したくても容易には体が動いてくれない。額からは冷や汗が流れる。

「おい刹那。素人相手にそんなに強力な気を放つのはよせ。みんな怯えてるぞ。」
「黙っててくれ龍宮!おのれ神楽坂…このちゃ、お嬢様に対する無礼これ以上は我慢なら
ん!今日こそ夕凪の錆にしてくれる!」
「落ち着け。教室で夕凪を振り回す気か?」

ムンズと伸ばされた龍宮真の腕が桜咲刹那の襟首を掴み動きを封じる。

「龍宮!?は、放せ!」

真ほどの男に捕まってはあやか達を怯えさせるほどの殺気を放つ刹那といえど冷静さを欠
いた状態では体格さもありとても抜け出せるものではなかった。龍宮真、目の前の少女が
暴走せぬよう手綱を引いてるこの少年は身の丈180を越える長身でありその表情も歴戦
のつわものを彷彿とさせる面構えである。実に中学生離れしていた。真の腕の中で不貞腐
れた表情をしている少女は近衛木乃香の護衛を自認する凄腕の剣士であり真の仕事仲間で
もある。ただ近衛木乃香に対する思いは強固であり仕事の時とは全く別の顔を見せる。刹
那にとって木乃香と同室で何かと親しく見える神楽坂明日哉はうらやまし…ではなく許せ
ぬ、特に警戒するべき相手だった。
明日哉は日頃から浴びせなれている殺気の主の管理者に目をむける。明日哉の視線に気づ
いた真は教室から出るよう指示した。明日哉は事態を飲み込めていない木乃香に余計なこ
とを喋らぬよう口止めし教室の外へと脱出したのだった。しかし神楽坂明日哉はいかなる
星の元に生まれたのか追ってが尽きることはない。

「お待ちなさい!明日哉さん!」

明日哉の逃走に気づいたあやかは殺気に怯えていたのも忘れただちに明日哉を追う。その
様子を見て取ったあやか同様尻餅を着いていた柿崎義砂は感心していた。

「いいんちょのあの執念はすごいね。恋する乙女は無敵って感じかな。さて、円、桜子こ
の鬼ごっこどっちに賭ける?」
「結果は見えてる気がするんだけどいいんちょはなんか応援したくなっちゃうのよね。私
はいいんちょに食券10枚賭けるわ。」
「私はもっちろん明日哉に賭けるよ☆食券50枚!」

些細なことでも賭けにして日々を楽しむのがチアリーダーとそのマネージャーのモットー。
一方

「お嬢様ご無事で!?あの下郎に触れられた場所は入念に洗っておくことをお勧めしま
す。」

明日哉が教室から出て行ったのを確認し真は刹那を解放した。解放された刹那は他のもの
には目もくれず一目散に木乃香の元へ駆けつけていた。

「明日哉も悪気はなかったんよ。せっちゃんもそんなに嫌わんといてあげて。」
だが明日哉を天敵認定している刹那には聞ける話ではない。
「いえ、お嬢様をあらゆる危険から守るのがこの私の務め残念ながら神楽坂さんは…」

クドクドと明日哉の危険性を説く刹那。刹那は元々クラスのなかで目立つ存在ではなかっ
た。しかし一学年の一学期半ばに、明日哉、木乃香絡みのことで暴走を演じてしまって以
降影ではクラスのネタ要員と目されるようになってしまっていた。

「ふふ、相変わらず桜咲さんはいい禁断ラブ臭放ってるね。お兄さん創作意欲がビンビン
刺激されちゃうよ。」
「そのわけのわからない臭いは知りませんがみんなに面白い存在だと思われているのを本
人が気づいていないのはある意味不幸だと思うです。それよりクラスの人を題材にして漫
画を書くのは感心しないですよ。ハルオ?」

教室後方でクラスを観察しているのはあまり整えられていないボサボサの髪と眼鏡、大柄
な体格、テンションの高さが特徴の少年。それとは対象的に全体的に細身で能面のうよう
な表情をした少女の二人

「俺としてはね夕映がモデルになってくれて細部まで描写できればエロなしのレズものシ
リーズよりもっと受けるのが書けるきがするんだけなー?」

ズイッと迫る少年。

「何度言われてもお断りです。大体どんな物を書かれるのかわかったもんじゃないです。」
「なんだ。どんなのになるか興味あったの?それは…」
「…言わなくていいですよ。ハルオの表情でなんとなくわかるです。」

不思議な飲み物を飲みながら顔を背ける少女。

「いやーここまでいったら最後まで言わせてよ。ずばりっ幼女!図書館の特別授業!迫る猥褻図書!な感じかなー」
「…誰が幼女ですか…ほんとバカばっかです…」

教室の喧騒は続くそしてそれは廊下でも。

「おいっ!いつまで追ってくるつもりだ?」
「ホホホホ!明日哉さんが観念するまでですわ。去年の鬼ごっこでの雪辱今こそ晴らさし
ていただきます。私から逃げようなんて無駄ですわよ!」
「楽しそうに追ってきやがって。少しは俺に悩む時間を与えろーちくしょー」

3-Aのこの雰囲気が苦手で前もって逃れているものもいる。その二人にとっては今日も昼
休みは静かだ。

「昼は眠い…」
「マスター…」
「わかっている。さっさとこっちにこい小娘。今朝の様子からするとどうやらそっちの相
談みたいだな。今日は割合機嫌がいい。聞いてやろうじゃないか。」



俺は昼休みの逃走を成し遂げた!幸い午後の授業は移動教室でネギネと会うことも無くま
た昼休みの激烈な鬼ごっこで屍と化したいいんちょはもう追求してこなかった。けれどホ
ームルームではやはり担任と会う。そして別れの挨拶のあとあいつは俺に爆弾を残してい
きやがった。

「放課後、体育館の裏に来てください」と
俺はない頭で考える。これはなんだ説教か?課題か?いや説教なら職員室でいいし課題な
ら教室でいいはず…。は!?もしかして誰もいないところで俺の記憶を消す気か?…それ
はそれでいいかもな…いや!逃げてばかりじゃ男らしくねぇ!消されるにしてもあいつに
謝ってからだな。

「いくか…」

決意を固め廊下へ出ると見下すような視線を向けてくる吸血鬼がこちらを見ていた。

「エ、エヴァンジェリン!…珍しいなお前が一人でいるなんて」

先日の事件を思い出し警戒する。こいつはなにをするかわからない。

「そんなことはどうでもいいだろう神楽坂明日哉。まぁそんなに構えるな。ククク。今日
はあの小娘に色恋の相談をされてな。下らん話だったがお前ら二人びは多少興味があるか
らな相談とやらを聞いてやったぞ。そしてこうしてお前らの顛末を見届けてやろうという
わけだ。ありがたく思え。」

両腕を組み尊大態度を崩さないチビっ子。ぜんぜんありがたくねー。

「逃げるなよ?それでは面白くないからな。」
「逃げねぇよ。今からいくところだ。」

こっちの苦境を楽しんでやがるなこのサドが。

「お前のような男なら喜んで行くだろうな。放課後の体育館裏だ。愛の告白でもされるか
もしれんからな。ククク、そうだろう?なぁロ・リ・コ・ン」
「チゲー!誤解だー!」

必死に否定する俺…くそう惨めだぜ。

「貴様が今朝した行いを総合したら自明だろ?本当に夢など見ていたのかも怪しいしな。
もしかして私のことも守備範囲なんではないだろうな?」

嘲笑含みの表情、挑発的な瞳で上目遣いに見上げてくる吸血鬼…。ケッ少しもぐっとこね
ぇよ。

「バッカじゃねぇか。俺はババァになんて興味は…」
「死にたいのか?」
「何でもないいです…」

コエー空気が凍ったぜ。

「フンッ下らん冗談をしていても詰まらん。貴様などさっさと小娘のところへ行ってしま
え。」

はき捨てるようにいうやエヴァンジェリンは踵を返した。

「エヴァンジェリン」

俺の呼び声に不機嫌そうに顔だけを向けた。

「なんだ?」
「ネギネの奴の相談…乗ってやってくれてありがとうな。多分俺も助かった。礼をいっと
く」
「フンッ馬鹿だな貴様は。ただの暇つぶしだ。だがな貸し一つ、だ。覚えておけ。」

少し表情を緩めたエヴァが人差し指を向けて笑った。

「ああ。」

俺はエヴァンジェリンに別れを告げ体育館へと駆け出す。だが体育館を前に俺の脚は止ま
る。先ほどのエヴァンジェリンの言葉が頭をかすめた。
「色恋の相談をされた」「放課後の体育館裏」
これはあらためて思うとベタベタな告白のシチュエーションじゃないか?いや落ち着け俺。
相手は10歳だぞ。そんなこと考えつくか!とはいえあいつは俺よりはるかに頭がいい。
朝の俺に男を感じてしまったとか?どうする俺は告白なんてされたことねーし。勢いに流
されるかも…まてまて!あいつはあくまで妹みたいなもんだ。確かに肌の感触は柔らくて
よかったが……………おーっと!あ危ねぇーあやうく危険な道の扉を開くとこだったぜ…

「明日哉さん来てくれたんですね。」
「ゲッ…」
「ゲッですか?」

いつのまにか体育館裏に着いていたみたいだ。うれしそうなネギネがいる…。

「い、いやなんでもない。で、何の用なんだ?」

あくまで冷静にそう冷静に問いかけた。

「わかりました。では聞きたいんですが今朝のことを覚えてますか?」
きりっと真面目な顔になったネギネが俺を見据える。やっぱり怒ってるのか。
「ああ、覚えてる。」
「そう、ですか…」

俺の返事に不思議とためらったネギネは言葉をついだ。

「そのことを昼にエヴァンジェリンさんに相談したら心に溜めておくのはよくない。思い
は包み隠さず告白するのが一番だって言われました。勇気がなくて言うのをやめとうなん
て思ってましたがエヴァンジェリンさん言葉を聴いて心が決まりました。やっぱり私の気
持ちを伝えますね。私、明日哉さんの…」
「待った!」
「え?」

あぶねー今のは俺の漫画の知識からいえば告白の2秒前だ。

「悪いなお前の思いは受け取れない。お前がどんなに思っていてもそれは決して許される
もんじゃない!考え直せ!」

言った…これでいい。たとえこいつの肌が柔らかろうが気持ちよかろうが付き合うわけに
はいかない。俺のためでもあるしこいつの為でもある。と、ネギネの奴は目いっぱいに
涙を浮かべた。

「ううっやっぱりタカナとの夢を私が邪魔しちゃったことを怒ってるんですね。授業中も
イライラしてたみたいだし。私ホントは邪魔するきなんてなかったんですよぉぉ。ただち
ょっと寒くてついクシャミが…明日哉さんのタカナへの気持ちも知ってますし…邪魔しち
ゃって本当にごめんなさい!」

必死に頭を下げるネギネ。

「は?」

俺は間抜けにも口を開けたまま固まった。

「う、うわーんほんとにごめんなさいー」

罪悪感?に押しつぶされたのかネギネは広場の方へ向けて駆け出した。

「バッカネギネそんなくだらないこと気にしてやがったのか。待てこのバカ!」

広場にでる前に首根っこを捕まえるのに成功した。

「聞けよ!俺が教室でイラついてたのはお前にすぐに謝らなかった自分自身にだ!そもそ
も謝って済むかもわかんねぇけどよ!…わるかった。ごめんな。お前に嫌な思いをさせた
と思う。もう…絶対しねぇよ…許してくれ。」 
「グスっなんで明日哉さんが謝ってるんです?」

訳がわからないという表情のネギネ。

「忘れたのかよ?俺の夢では高畑先生だったけど実際はお前で…その…なんだ胸に吸い付
いたり、キスしたりしたんだぞ?この場合どうみても俺が悪いだろ?」

今朝の感触を思い出したのかネギネは恥ずかしそうに胸を抱えた。

「それは…ですね。もちろん恥ずかしかったんですけど勝手にベッドに入り込んだ私も悪
いですしそれに…タカナと重ねてみてもらえてるんだなーというちょっとうれしい気持ち
もあってこれもいいかなーって思ったんです。エヘヘ…ごめんなさい。」

ネギネは恥ずかしそうに頭をかく。

「じゃ、じゃあお前は全然怒ってないのか?」
「はい。もちろんです。明日哉さんも私こと気にしてくれてたんですねうれしいです。明
日哉さんも怒ってないみたいですし…あ、そういうことは私も明日哉さんも怒ってないし
なんの問題もないんですね。よかったー。」
「ああ、そうみたいだな…」

これでいいのか本当に…もし俺があのまま起きなければどうなってたんだ?最後までとか
…サーや、やめよう考えるのは・・・
そんな明日哉とネギネを見守る影が草むらから覗き込んでいた。

「二人仲直りしたみたいやなーよかったわ。」
「ええ、本当にお美しい笑顔ですわネギネ先生。」
「せやけどやっぱり…ウチは…」
「なにか仰りましたか木乃香さん?」
「別に、ウチそろそろ夕飯の支度しにそろそろもどらんとや。さよならいんちょ」

いつもの笑顔それはいつもの木乃香。

「そうですか。私もう少し2人を見てから帰りますわ。さようなら木乃香さんまた明日お
会いしましょう。」

翌日からネギネがまた精力的に授業を始めたため問い詰められることはなくなった。あの
日のことを知る人間は俺達以外では木乃香、小動物、エヴァだけだが…その最後の奴が最悪だった…

「おい、神楽坂」

俺を見てニタと笑う数百歳のガキ、俺の弱みはなんて罪な奴…俺は今、奴隷制廃止を改
めて訴えたい…。

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