夏の風物詩といえばなんですか。
海とか、お盆とか?
いやいや、夏祭りとか花火でしょう、やはり。
というわけで、今日はお祭りのお話。
海とか、お盆とか?
いやいや、夏祭りとか花火でしょう、やはり。
というわけで、今日はお祭りのお話。
「アキラー、こっちこっちー!」
「あ、待ってよ裕奈」
アキラがそう言うのもそっちのけで、裕奈は金魚すくいの夜店に駆け込んでしまった。
まったく、せっかちなんだから・・・アキラはそんなことをつぶやきながら苦笑い。
あくまで急がずに夜店の前までやってきたアキラがひょいと店先を覗くと、
まったく、せっかちなんだから・・・アキラはそんなことをつぶやきながら苦笑い。
あくまで急がずに夜店の前までやってきたアキラがひょいと店先を覗くと、
「おじさーん! やらせてやらせて!」
「お、元気のいい嬢ちゃんだねぇ。 ほれ、やってきな!」
早速金魚をすくいまくる裕奈が。
しかも見るからにやる気満々、どう見ても目の色が変わっている。
しかも見るからにやる気満々、どう見ても目の色が変わっている。
――――裕奈って、お祭りとかそういう楽しいこと、大好きだからなぁ。
とかなんとかアキラが考えてる間にも、裕奈はどんどん金魚をすくっていく。
「にゃはは~、絶好調だよ~!」
ぬはーっ!と、まるでねずみを見つけた猫というか、どこかのはだしで追いかける奥さんから魚を頂戴した猫というか。
そんな物を彷彿とさせるぐらいのテンションで入れ物の中に金魚を放り込んでいく裕奈。
だがしかし、段々と雲行きが――――というか、裕奈の眼の輝き方が怪しくなってきた。
そんな物を彷彿とさせるぐらいのテンションで入れ物の中に金魚を放り込んでいく裕奈。
だがしかし、段々と雲行きが――――というか、裕奈の眼の輝き方が怪しくなってきた。
「ゆ、裕奈・・・・・・? ちょ、ちょっと落ち着いて・・・・・・」
なんともいえない不安がよぎったアキラが軽くたしなめてみたものの、
「にゃはは~っ、どんどん行くよ――――ッ!!!」
・・・ダメだ、聞こえていない。
というかなんかスイッチが入ってしまっているっぽい。
まるで猫、というかもう猫そのものが泳いでいる魚を狩っているかのような勢いで金魚をすくう裕奈。
とりあえずこういう状態になった人とはあまりお近づきにはなりたくないね。
だが裕奈の連れ兼保護者(強制的に)のアキラはそうもいかない。
というかなんかスイッチが入ってしまっているっぽい。
まるで猫、というかもう猫そのものが泳いでいる魚を狩っているかのような勢いで金魚をすくう裕奈。
とりあえずこういう状態になった人とはあまりお近づきにはなりたくないね。
だが裕奈の連れ兼保護者(強制的に)のアキラはそうもいかない。
「裕奈っ、落ち着いて裕奈ぁぁぁぁぁぁ!!!」
「にゃははははは、すくえすくえ――――――――っ!」
「ゆーなぁ――――――――ッ!」
アキラの必死の叫びも今の裕奈には届かない。
目が完全に逝ってしまっている、そこまで金魚すくいが楽しいかね裕奈サン。
処置なし、とアキラが涙目になりながら頭を抱えた、そのとき。
目が完全に逝ってしまっている、そこまで金魚すくいが楽しいかね裕奈サン。
処置なし、とアキラが涙目になりながら頭を抱えた、そのとき。
「・・・ゆぅぅぅぅぅぅぅなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドゴッ!
「みぎゃあああっ!」
バッシャーン!
絶叫と、爆音が交互に2回。
最初の絶叫がまき絵、次の『ドゴッ!』がまき絵のジャンピングクロスチョップを受けた裕奈の後頭部。
次の絶叫がダメージを受けて悶絶する裕奈、そして最後の『バッシャーン!』はそのまま裕奈の顔面が金魚の生け簀にダイビングフォーユー。
とんでもない水ハネだったが爆心地である裕奈自身はそれほど濡れなかったのはせめてもの救いかもしれない。
・・・救いなのか、コレ。
それはともかく、裕奈の頭と一緒に吹っ飛んだ入れ物の中に囚われれていた金魚たちは広い生け簀に帰って悠々と・・・はしてないな、何せ脳天に大ダメージの裕奈の頭が沈みっぱなしだ。
・・・とここまで呆気にとられていた周囲の連中(アキラおよび加害者・まき絵含む)が、はっと我に返った。
沈みっぱなしって、マズイじゃん。
最初の絶叫がまき絵、次の『ドゴッ!』がまき絵のジャンピングクロスチョップを受けた裕奈の後頭部。
次の絶叫がダメージを受けて悶絶する裕奈、そして最後の『バッシャーン!』はそのまま裕奈の顔面が金魚の生け簀にダイビングフォーユー。
とんでもない水ハネだったが爆心地である裕奈自身はそれほど濡れなかったのはせめてもの救いかもしれない。
・・・救いなのか、コレ。
それはともかく、裕奈の頭と一緒に吹っ飛んだ入れ物の中に囚われれていた金魚たちは広い生け簀に帰って悠々と・・・はしてないな、何せ脳天に大ダメージの裕奈の頭が沈みっぱなしだ。
・・・とここまで呆気にとられていた周囲の連中(アキラおよび加害者・まき絵含む)が、はっと我に返った。
沈みっぱなしって、マズイじゃん。
「ゆ、裕奈! 大丈夫?!」
真っ先に我に返ったアキラがすぐさま裕奈を生け簀から引き上げると、
「きゅ~~~・・・・・・」
見事に目を回してしまっている。
そりゃいきなり後頭部に全体重乗っけた突撃かまされたら気も失いますよ。
そりゃいきなり後頭部に全体重乗っけた突撃かまされたら気も失いますよ。
「ご、ごめん裕奈ぁ、しっかりしてぇー!」
加害者A・・・ではなく、悪気なくやってしまった(つまり何も考えちゃいなかった)まき絵も、半パニック状態で平謝り。
つうか謝るなら最初に加減するとかしろよ、まき絵。
つうか謝るなら最初に加減するとかしろよ、まき絵。
「ちょっ、裕奈?! ま、まき絵何やったん?! え、何? 何がどないなったん?!」
さらに亜貴も出てきて混乱のるつぼ、上を下への大騒ぎ。
この間にやれ人工呼吸だアキラぐっといけだの眼が覚めないなら力ずくでも覚まさせるようにフランクフルト用のマスタードでも塗ってやれだのと色々あったのだが諸事情により割愛させていただく。
とりあえず裕奈のために一言だけ言っておくとすれば、とりあえず何も大事なものを失ったりせずに無事目覚めることができました、オメデトウ。
人は知らないほうが幸せなこともある。
まぁとにもかくにも、裕奈は命に別状があったりするようなこともなく、ただちょっと後頭部にこぶができたのと(まき絵が泣きながら謝って許してもらった)、頭が水浸しになったくらいの被害ですんだ。
裕奈本人も、「なんか熱くなりすぎちゃってたから、かえってよかったかもにゃ~」などと気楽なことを言っている。
その間のドタバタやらを考えるとそんなもんじゃすまない気もするのはスルー。
そして色々とたくさんある突っ込みどころは各々の胸に秘め(なのでここで語ることは出来ない)、アキラは後頭部を強打したのに帰ろうとしない裕奈と、亜貴は加害者なのに一番泣きじゃくるまき絵を連れて別れた。
この間にやれ人工呼吸だアキラぐっといけだの眼が覚めないなら力ずくでも覚まさせるようにフランクフルト用のマスタードでも塗ってやれだのと色々あったのだが諸事情により割愛させていただく。
とりあえず裕奈のために一言だけ言っておくとすれば、とりあえず何も大事なものを失ったりせずに無事目覚めることができました、オメデトウ。
人は知らないほうが幸せなこともある。
まぁとにもかくにも、裕奈は命に別状があったりするようなこともなく、ただちょっと後頭部にこぶができたのと(まき絵が泣きながら謝って許してもらった)、頭が水浸しになったくらいの被害ですんだ。
裕奈本人も、「なんか熱くなりすぎちゃってたから、かえってよかったかもにゃ~」などと気楽なことを言っている。
その間のドタバタやらを考えるとそんなもんじゃすまない気もするのはスルー。
そして色々とたくさんある突っ込みどころは各々の胸に秘め(なのでここで語ることは出来ない)、アキラは後頭部を強打したのに帰ろうとしない裕奈と、亜貴は加害者なのに一番泣きじゃくるまき絵を連れて別れた。
『お互い苦労するなぁ』
『そうだね・・・』
なんてニュアンスのアイコンタクトを交わしながら。
この二人は根っからの苦労性なのだろうか・・・いやむしろ、裕奈とまき絵が根っからのトラブルメーカーなのか。
多分後者だ。
そんなことを考えながら、とりあえず濡れっぱなしの裕奈の頭をなんとかしようと、手持ちのタオルを取り出す。
裕奈はというと、祭りで歩き疲れた人のために設けられた休憩所の椅子に腰掛け、なんだかご機嫌のご様子である。
この二人は根っからの苦労性なのだろうか・・・いやむしろ、裕奈とまき絵が根っからのトラブルメーカーなのか。
多分後者だ。
そんなことを考えながら、とりあえず濡れっぱなしの裕奈の頭をなんとかしようと、手持ちのタオルを取り出す。
裕奈はというと、祭りで歩き疲れた人のために設けられた休憩所の椅子に腰掛け、なんだかご機嫌のご様子である。
――――前から思ってたけど、裕奈ってやっぱり猫っぽいよね・・・
何度目か分からない苦笑いを浮かべながら、ごしごしごしごし。
裕奈の艶やかな黒髪を丁寧に優しく拭いてやると、裕奈のご機嫌メーターも上昇。
「ふにゃ~」などと、まさに猫そのもののように喉を鳴らしてご満悦。
裕奈さんよ、アンタホントは猫又とかじゃないだろね。
もちろんアキラがそんな無粋な突っ込みをすることはなく、むしろそのご機嫌ぶりをほほえましく眺めながらその御髪をごしごし。
そろそろいいかな、と思ったアキラがふと裕奈の頭から眼を上げると、ちょうど座っている裕奈を真上から見下ろす状態になった。
その瞬間、アキラの眼に飛び込んできたもの、それは――――――――
裕奈の艶やかな黒髪を丁寧に優しく拭いてやると、裕奈のご機嫌メーターも上昇。
「ふにゃ~」などと、まさに猫そのもののように喉を鳴らしてご満悦。
裕奈さんよ、アンタホントは猫又とかじゃないだろね。
もちろんアキラがそんな無粋な突っ込みをすることはなく、むしろそのご機嫌ぶりをほほえましく眺めながらその御髪をごしごし。
そろそろいいかな、と思ったアキラがふと裕奈の頭から眼を上げると、ちょうど座っている裕奈を真上から見下ろす状態になった。
その瞬間、アキラの眼に飛び込んできたもの、それは――――――――
裕奈の、谷間。
何の、かは推して知るべし。
それを目撃した瞬間、アキラの顔は一気に真っ赤に染まり、タオルを胸に押し当てたままぱくぱくと意味もなく口を開閉するだけ。
もちろん当の裕奈本人は気付いていない。
ただご機嫌なままで足をぶらぶらさせているだけ。
だがしかし、気付いてしまったアキラのほうはそうはいかない。
とりあえず(自分の理性のためにも)、早く裕奈に浴衣の乱れを一刻も早く直してもらいたい、いや直させなければいけない。
それを目撃した瞬間、アキラの顔は一気に真っ赤に染まり、タオルを胸に押し当てたままぱくぱくと意味もなく口を開閉するだけ。
もちろん当の裕奈本人は気付いていない。
ただご機嫌なままで足をぶらぶらさせているだけ。
だがしかし、気付いてしまったアキラのほうはそうはいかない。
とりあえず(自分の理性のためにも)、早く裕奈に浴衣の乱れを一刻も早く直してもらいたい、いや直させなければいけない。
「ゆ、ゆゆゆ裕奈、あっ、あのね・・・・・・」
「んー? どしたのアキラー」
「ゆ、浴衣が・・・・・・・」
そこまで言って、ふと気付いた。
このままストレートに「胸元がはだけてるから直して」と言って裕奈が素直に聞いてくれるのか?
・・・聞いてくれない気がする、いやむしろ「もぉ~アキラったらやらしいんだから~」とか色々言われそうな気がすごくする。
いつものメンバーしかいないような状況ならまだしも、公衆の面前でそんなことを言われて耐えられるほど、アキラの神経は太くできていない、残念ながら。
このままストレートに「胸元がはだけてるから直して」と言って裕奈が素直に聞いてくれるのか?
・・・聞いてくれない気がする、いやむしろ「もぉ~アキラったらやらしいんだから~」とか色々言われそうな気がすごくする。
いつものメンバーしかいないような状況ならまだしも、公衆の面前でそんなことを言われて耐えられるほど、アキラの神経は太くできていない、残念ながら。
「浴衣? 浴衣がどーかしたかにゃー?」
だがそんなアキラの心中をまったく気付かず、裕奈は無意識上目遣い。
ああ、しかもちょっと仰け反った格好だから余計に胸元が・・・アキラ君ピンチです、とてもピンチです。
なんとか理性を総動員しつつ、自分でも真っ赤に火照ってるのが分かる顔を裕奈に見えないようにごまかしながら、なんとか裕奈に忠告。
ああ、しかもちょっと仰け反った格好だから余計に胸元が・・・アキラ君ピンチです、とてもピンチです。
なんとか理性を総動員しつつ、自分でも真っ赤に火照ってるのが分かる顔を裕奈に見えないようにごまかしながら、なんとか裕奈に忠告。
「ゆ、浴衣の着付けがちょっと崩れちゃってるから、直したほうがいいんじゃないかな?」
よし違和感なく言えた、大丈夫!
心の中でアキラがこっそりガッツポーズ。
だがしかし、裕奈がそう簡単にことを済ませてくれるわけがない。
アキラに指摘されて自分の胸元を覗き、再びアキラのほうに視線を戻すと・・・・・・
心の中でアキラがこっそりガッツポーズ。
だがしかし、裕奈がそう簡単にことを済ませてくれるわけがない。
アキラに指摘されて自分の胸元を覗き、再びアキラのほうに視線を戻すと・・・・・・
にやーり。
笑った。
どう見ても何かを企んでる笑みを浮かべた。
瞬間、アキラの背筋が寒くなる。
どう見ても何かを企んでる笑みを浮かべた。
瞬間、アキラの背筋が寒くなる。
「んにゃ~、ホントだ、ありがとねアキラ!」
そういって、今度はにぱー、っと。
『何にも企んでなんかないよー』感満載の笑みを浮かべてくれた。
怪しい、どう見ても怪しい。
思わず後ずさりするアキラ。
その腕をがしっと引っつかみ、
『何にも企んでなんかないよー』感満載の笑みを浮かべてくれた。
怪しい、どう見ても怪しい。
思わず後ずさりするアキラ。
その腕をがしっと引っつかみ、
「――――アタシひとりだと直せないからさ、あっちの影で手伝ってよ!」
にっこりと。
可憐に、無垢に、純真に。
それでいて否やを言わせない謎の圧力を感じさせる笑顔の裕奈。
先生、アキラ君に勝ち目はありますか?
いいえありません。
可憐に、無垢に、純真に。
それでいて否やを言わせない謎の圧力を感じさせる笑顔の裕奈。
先生、アキラ君に勝ち目はありますか?
いいえありません。
「・・・・・・うん、わかった」
諦めの溜息をつきつつ、裕奈の後についていくアキラ。
まぁ抵抗しようが強制連行なんですけどね。
で、連れて行かれた先は祭りを主催する龍宮神社の奥まった一角。
祭りみたいなにぎやかなときでも、こういう場所はなぜか人気がないことが多い。
なので、少人数で何かやりたいことがあるときは活用されたし。
・・・言っておくが、何も深い意図があるわけではない。
まぁ抵抗しようが強制連行なんですけどね。
で、連れて行かれた先は祭りを主催する龍宮神社の奥まった一角。
祭りみたいなにぎやかなときでも、こういう場所はなぜか人気がないことが多い。
なので、少人数で何かやりたいことがあるときは活用されたし。
・・・言っておくが、何も深い意図があるわけではない。
「よ~し、このへんなら誰も見てないかな~?」
きょろきょろと辺りを見回し、満足げにつぶやく裕奈。
「いや、何もそんなに気にするほどのことでもないんじゃ・・・」
軽く眉をひそめながらつぶやいてはみたものの、裕奈はまるで聞いちゃいない。
背を向けていたアキラのほうへ勢いよく振り返り、
背を向けていたアキラのほうへ勢いよく振り返り、
「じゃあ、早速手伝ってもらおっかにゃ~」
などといいながら、はだけかけた胸を張る。
眼に毒だからやめて・・・とはアキラもおおっぴらに言えず、目線を外して祐奈の近くへ。
だがふとそこで気がついた――――手伝うって、何するのさ。
眼に毒だからやめて・・・とはアキラもおおっぴらに言えず、目線を外して祐奈の近くへ。
だがふとそこで気がついた――――手伝うって、何するのさ。
「ね、ねぇ裕奈? 僕が言い出したことで悪いんだけど――――僕、手伝うようなことって、ある?」
思わず思ったことを口にしたアキラ。
だが裕奈のほうは相変わらずにこにこしたまま、
だが裕奈のほうは相変わらずにこにこしたまま、
「うん、もっちろん!」
と、元気よくお答えになった。
そうですか、でも僕は何をすればいいかわかりません。
そんな落ち着かない気持ちでいると、裕奈がとんでもないことを言い出した。
そうですか、でも僕は何をすればいいかわかりません。
そんな落ち着かない気持ちでいると、裕奈がとんでもないことを言い出した。
「アタシが帯抑えとくから、アキラが浴衣のあわせ直してくれる?」
・・・えーっと。
それはつまり、僕に“わざわざ”“進んで”裕奈の胸に触れるか触れないかなんていう際どいところに近づけ、ってこと?
・・・・・・できるわけないでしょ?!
それはつまり、僕に“わざわざ”“進んで”裕奈の胸に触れるか触れないかなんていう際どいところに近づけ、ってこと?
・・・・・・できるわけないでしょ?!
「――――だだだっ、ダメだよそんなのっ! ぼ、僕が帯抑えといてあげるから、あわせは裕奈が――――」
「えー、だってアタシ不器用だし。 それに自分で見てあわせるより誰か他の人に合わせてもらったほうが綺麗にできるでしょ?」
「そ、それは、そうだけど・・・・・・・!」
自分の理性を保てる自信がありません!
・・・とはさすがに言えず、しぶしぶ言われたとおりにするアキラ。
裕奈はといえば、本当に帯を抑えているだけで完全な無防備。
いやだから胸元が、ともはや突っ込むのすら馬鹿らしく思いながらも、ややもすればそっち(胸)へ行きがちになる意識を必死で紛らわせ、手早く裕奈の浴衣のあわせを整える。
・・・とはさすがに言えず、しぶしぶ言われたとおりにするアキラ。
裕奈はといえば、本当に帯を抑えているだけで完全な無防備。
いやだから胸元が、ともはや突っ込むのすら馬鹿らしく思いながらも、ややもすればそっち(胸)へ行きがちになる意識を必死で紛らわせ、手早く裕奈の浴衣のあわせを整える。
「――――はい、できたよ」
アキラがそう言って離れようとしたとき。
裕奈の腕が、アキラの腕に絡みつき、引き寄せ、そして。
裕奈の腕が、アキラの腕に絡みつき、引き寄せ、そして。
むにっ
アキラの腕を、自らの胸に押しつけた。
「・・・なっ、なななななっ?! ゆ、裕奈、ちょっ、はなし・・・・・・・ッ!」
当然アキラはパニくりながら、どうにかその柔らかいものの間から腕を抜こうと必死にもがく。
だが裕奈は両腕でしっかりとアキラの腕を抱え込み、その腕にしなだりかかりながら、
だが裕奈は両腕でしっかりとアキラの腕を抱え込み、その腕にしなだりかかりながら、
「えへへ、ありがとねアキラ! さっ、早くお祭りの続きまわろうよ」
幸せそうな表情で、誘う。
その顔は、本当に、楽しそうで、嬉しそうで、艶かしくて、可愛くて。
そんな顔で提案されたことを断るようなことは、アキラには到底できなくて。
その顔は、本当に、楽しそうで、嬉しそうで、艶かしくて、可愛くて。
そんな顔で提案されたことを断るようなことは、アキラには到底できなくて。
「う・・・・・・じゃ、じゃあ、行こっか、裕奈」
「うんっ!」
裕奈の胸元で腕を絡め取られたまま、満面の笑顔で歩き出す裕奈に引きずられるようについていく。
変な方向に考えが飛びそうになったときは、裕奈のほうをじっと見る。
その無邪気な笑顔を見れば、自分の変な考えなんて吹っ飛んでしまうから。
だけど――――――――
変な方向に考えが飛びそうになったときは、裕奈のほうをじっと見る。
その無邪気な笑顔を見れば、自分の変な考えなんて吹っ飛んでしまうから。
だけど――――――――
――――僕、理性どこまで保てるかな・・・・・・・
そんな不安を抱えつつ、アキラは裕奈と腕を絡めて、にぎやかな祭りに繰り出した。