「でさー、そこで姉貴が…」
ビールの入ったジョッキを片手に、カモはほろ酔い気分で語っている。
ここは人気の屋台、超包子。朝や昼は学生たちの憩いの場だが、夜になるとちょっとしたバー的な雰囲気になる。
仕事が終わり、ここでの一杯のために生きている…という教員もいるとかいないとか。
カモも、ここの常連だった。
楽しそうに、五月に日頃のドタバタを語るカモ。五月も、時々相槌を打ちながら、笑顔で黙って聞いている。
ここの人気のもう一つの理由は、愚痴から惚気話まで笑顔で聞いてくれる五月の存在だ。
そんな彼女の笑顔は、荒れてる人の心さえも癒すという。
「あーっ、やっぱりここにいた!」
カモが話していると、ネギの声が背後から聞こえてきた。
「あ、姉貴ー」
「どこ探してもいないし…心配したんだよ? 一言、声かけてくれればいいのに…」
「あはは~。ごめんね姉貴~」
頭をポリポリ掻きながら、カモはネギにコップを差し出す。
「はい、姉貴。ジュースでも飲んで落ち着きなよ」
「え、そう?」
ネギはカモの隣に腰を下ろし、コップを受け取る。
「綺麗な色だねー。何のジュース?」
「まぁまぁ。とりあえず飲んでみなよ」
「う、うん」
ビールの入ったジョッキを片手に、カモはほろ酔い気分で語っている。
ここは人気の屋台、超包子。朝や昼は学生たちの憩いの場だが、夜になるとちょっとしたバー的な雰囲気になる。
仕事が終わり、ここでの一杯のために生きている…という教員もいるとかいないとか。
カモも、ここの常連だった。
楽しそうに、五月に日頃のドタバタを語るカモ。五月も、時々相槌を打ちながら、笑顔で黙って聞いている。
ここの人気のもう一つの理由は、愚痴から惚気話まで笑顔で聞いてくれる五月の存在だ。
そんな彼女の笑顔は、荒れてる人の心さえも癒すという。
「あーっ、やっぱりここにいた!」
カモが話していると、ネギの声が背後から聞こえてきた。
「あ、姉貴ー」
「どこ探してもいないし…心配したんだよ? 一言、声かけてくれればいいのに…」
「あはは~。ごめんね姉貴~」
頭をポリポリ掻きながら、カモはネギにコップを差し出す。
「はい、姉貴。ジュースでも飲んで落ち着きなよ」
「え、そう?」
ネギはカモの隣に腰を下ろし、コップを受け取る。
「綺麗な色だねー。何のジュース?」
「まぁまぁ。とりあえず飲んでみなよ」
「う、うん」
ゴクッゴクッ…
ブバァッ!!
「お酒じゃないかーーッ!!!!」
「姉貴、汚いよ」
飛び散ったお酒を、五月は素早く拭く。
「チューハイだよチューハイ。あんまアルコールも入ってないし…」
「入ってることには変わらないでしょ!」
「まぁまぁまぁ。お酒の一つも飲めないと人付き合いできないよー」
「私、まだ10才ですからっ!」
「じゃあこれは?」
そう言って、再びネギにコップを差し出す。中には、氷と白い液体。
「……カルピス?」
「そ。それだったらいいでしょ?」
「う、うん…」
疑いながらも、カルピスを一口飲む。
「あ、おいしい」
「でしょー?」
その美味しさに、ネギのカルピスはあれよあれよという間に減っていく。
…多少、五月の笑顔が引きつってるのは気のせいだろうか。
「姉貴、汚いよ」
飛び散ったお酒を、五月は素早く拭く。
「チューハイだよチューハイ。あんまアルコールも入ってないし…」
「入ってることには変わらないでしょ!」
「まぁまぁまぁ。お酒の一つも飲めないと人付き合いできないよー」
「私、まだ10才ですからっ!」
「じゃあこれは?」
そう言って、再びネギにコップを差し出す。中には、氷と白い液体。
「……カルピス?」
「そ。それだったらいいでしょ?」
「う、うん…」
疑いながらも、カルピスを一口飲む。
「あ、おいしい」
「でしょー?」
その美味しさに、ネギのカルピスはあれよあれよという間に減っていく。
…多少、五月の笑顔が引きつってるのは気のせいだろうか。
「うぅぅ~~…」
ネギはカウンターに突っ伏して眠っていた。
「あちゃー、少し飲ませすぎたかな」
実は、カモがネギに飲ませたのはカルピスではなく、カルピスハイだったのだ。
結局、ネギは四つもコップを空け、遂に潰れた。
「姉貴ー、起きてよー。お~い」
カモはネギの頬をぺちぺちと叩いたり、むにゅぅと引っ張ったりするが、ネギが起きる気配は無い。
「しょうがないなぁ…」
言うとカモは自分の背中にネギを乗せ、言わば「おんぶ」の状態で立ち上がる。
「ごめんね、さっちゃん。迷惑かけて」
その言葉に、五月は笑顔で首を横に振る。
「はは、じゃあまたねー」
カモは五月に小さく手を振り、超包子を後にした。
ネギはカウンターに突っ伏して眠っていた。
「あちゃー、少し飲ませすぎたかな」
実は、カモがネギに飲ませたのはカルピスではなく、カルピスハイだったのだ。
結局、ネギは四つもコップを空け、遂に潰れた。
「姉貴ー、起きてよー。お~い」
カモはネギの頬をぺちぺちと叩いたり、むにゅぅと引っ張ったりするが、ネギが起きる気配は無い。
「しょうがないなぁ…」
言うとカモは自分の背中にネギを乗せ、言わば「おんぶ」の状態で立ち上がる。
「ごめんね、さっちゃん。迷惑かけて」
その言葉に、五月は笑顔で首を横に振る。
「はは、じゃあまたねー」
カモは五月に小さく手を振り、超包子を後にした。
寮へ向かう道に、カモの影。その背中にはネギ。
(…姉貴って軽いんだな…。って、10才だし当たり前か)
「うぅ~ん…」
ネギが軽く唸る。
「あれ…? 起きたかな?」
カモが立ち止まると、ネギはカモをぎゅっと抱きしめる。
「…お…かぁ…さん…」
(…姉貴って軽いんだな…。って、10才だし当たり前か)
「うぅ~ん…」
ネギが軽く唸る。
「あれ…? 起きたかな?」
カモが立ち止まると、ネギはカモをぎゅっと抱きしめる。
「…お…かぁ…さん…」
ザァッ…
風が、吹いた。
ネギの、恐らく寝言に、カモは胸に痛みを感じた。
ネギの、恐らく寝言に、カモは胸に痛みを感じた。
まだ10才。
しかしその小さな背中に背負ってるものは、とても重くて。
辛い過去を持って、寂しい思いもしてきた。
だけど、みんなの前ではいつも笑顔で。
苦しみや、辛さを感じさせない笑顔で。
しかし心では、寂しかったんだろう。辛かったんだろう。
夢にまで、見るほどに。
「……姉貴…」
カモは呟くと、夜空を仰ぐ。
吹く風が、お酒で火照った体には丁度いい。
「大丈夫だよ。姉貴には、私がいる。姐さんも、このか姉さんも、刹那の兄さんも。うぅん、クラスのみんなや、先生たちもいる」
優しく、微笑む。
「もっと、頼って、甘えてもいいんだよ」
それに答える声はなく。
しかしカモは、届いてると思った。
「まさに、『カモがネギを背負ってくる』だね」
笑いながら、カモは再び歩き出す。
ネギが背負っているものを、半分背負って。
カモは呟くと、夜空を仰ぐ。
吹く風が、お酒で火照った体には丁度いい。
「大丈夫だよ。姉貴には、私がいる。姐さんも、このか姉さんも、刹那の兄さんも。うぅん、クラスのみんなや、先生たちもいる」
優しく、微笑む。
「もっと、頼って、甘えてもいいんだよ」
それに答える声はなく。
しかしカモは、届いてると思った。
「まさに、『カモがネギを背負ってくる』だね」
笑いながら、カモは再び歩き出す。
ネギが背負っているものを、半分背負って。
ネギが、いつまでも笑っていられるように。
その日まで。いや、それからも。
このひとに、ついていこう。
終わり