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肉体派苦学生アスた! 3

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8話 勝利までの階段は長く険しいから連帯責任で登るべし

”前略、天国のおふくろ様。
いや、本があればOKな人らはいいかもしれないけどさ、
俺としては別の娯楽ないと住めないよ? せめて熟女分がないと……”


8話 ”勝利までの階段は長く険しいから連帯責任で登るべし その1”
前話まで:せっかく魔法の本を見つけたのに、動く石像に阻まれ仕舞いに落とされる。どこ行くの?

「お母さん、元気ですか……ネギです。今私は落ちている最中です、ええコントのオチ任されてるとかそんなんじゃなくて。これも約2名アホな生徒がいたおかげでして……あうっ」
「余計なこと言ってねぇで、魔法も使えないんだから身を守るなりしろよ! ほれ!」
「そんな明日太さん抱きとめないで……あ、明日太さんの体って広いんですね……」
「いやあのさ、そういう勘違いさせるセリフやめてくれる? 俺ロリもペドも射程外だし誤解されたくねぇんdぶぶっっ!!」

長々と落とされて久しく、明るい間に出たかと思えば水面へ叩きつけられ気を失う一同。そして一夜が明けるほどの時間が経ちまして。

「う……ゾイドモドキを群がらせないで……マ○プス化はいやーーっ!!」
「……んだよまたネギの寝言か……ってあれ部屋じゃn、いや図書館島……だよな?」
「んー、確かゴーレムのトラップで大チョンボをやらかしたお陰で落とされて……ってアレ!?」

2人が疑うのも無理はなし、一面を水と本棚と木々に囲まれ所々から光が漏れる光景は、今までの図書館島とは明らかに異なるものでありました。

「んあ……こ、これナニ!? 明らかに地下って感じじゃないよー!」
「天井までだけでも、20メートルはありそうでござるな」
「んー……もう朝アルか? でもあれだけ落ちたのにこんな明るいのも変アルね」
「こ……ここはまさか幻の『地底図書室』!?」
「「知っているのか雷電!?」」

まき男は前も言ってたからいいが、楓さんも知ってたのな。

「ジャ○プネタは前話で終わりだろです! 地底図書館とは、『地中深くにありながら暖かい光と貴重品の住まう都』(引用:『図書館探検部監修 超センセイがご案内!図書館島の神秘』鈴音書房 刊)であり、本好きの多くが楽園として求める場所です」
「そうなんや、初耳やわ~。それにしても広いな~」
「ですが、この図書館を見た者は生きて帰ってこなかったとか……」
「うっそマジ!? 僕らも帰れないってこと!?」
「じゃ、何で超が本にしてるアルか?」

そこはそれ、昔から良くある設定だからツッコミは無用ですよ。

「それは当人に訊かないことには……ともかく、容易に脱出できはしないでしょう」
「訊くにしても、まずは明後日までに帰れないとテストに間に合わないアルよー」
「それよりもさ、あの石像みたいなのがまた出てきたら明後日まで生きられるか……あーん、僕のご無体な~が!」
「み、皆さんとにかく落ち着いてくださいっ!」
「あれこれ考えるよりそこら中を探してみようぜ! 超の言うことだし案外簡単に出られるかも……痛つつつつ」

明日太の提案が通りそうなとこですが、その提案者は顔をしかめて左肩を押さえまして。

「大丈夫ですか明日太さん!? ひょっとしてさっき私をかばったときに……」
「……あぁいや、別に何もありゃしねぇよ、お前もとっとと探して来い」
「いーえ、すぐに治療しますから! ラス・テル・マ・スキル……」
「オイ、魔法は封印してたとか言ってたのはどこのどいつだ。使えても頼る気ねぇんだが」
「あ……忘れてた! 飛べれば出られるかもしれないのに超超超ヤバイってカンジ~!」

ネギ先生が魔法を使えないまんまなのは確かに危機的なんだが、自ら削ぐような口調使ってるよな。

「綾瀬隊長、やっぱダメッス! アリ一匹登っていけそうにないッス!」
「うーむ、携帯が繋がらないことに気付いて、ハルナとのどかが救援を呼んでいればいいのですが……」
「拙者でも、駆け上がれるか怪しいところでござるな……どうしたものか」

家探しならぬ図書館探しも空しい結果で八方をふさがれ、どうしたものかと悩む探検隊一同の空気を破るお方が……

「みなさん、元気を出してくださいっ! 根拠はありませんが帰る方法は見つかりますよっ! とりあえず期末を見越しての勉強をしておきましょう!」
『べ……勉強ってどゆこと!?』

ああもうネギさん、突飛なお話にバカレンジャーがまたキャラ忘れたコメントしてっぞ。

「プッ……アハハハハ、この状況で勉強はないアルよネギ子ー」
「そう言わないで、きっとすぐに出られますから!」
「赤毛のアンやポリアンナもびっくりなポジティブやな~ネギちゃん」
「ありがとうネギちゃん……ホントは僕……と明日太がやらかして魔法の本も取れなくてこうなったのに、痛みに耐えてよく頑張った、感動した!」
「この天然野郎が、あっさり俺の名前出しやがって……」

そうは言うがな明日太よ、その指摘って間違ってないジャマイカ。

「いえー、アホの明日太さんには期待してませんでしたから♪ それに魔法の本を待つより捨て身の努力ですっ!」
「コラ、オリジナル笑顔全開で生徒見下すんじゃねぇ!」
「まあまあ明日太殿、ここは落ち着いて勉学に励むでござるよ」
「あわよくば10点アップは狙いたいアルね」
「了解しました、ネギ大統領!」

明日太の激昂は無視されて、ネギのいい発言のみ真に受けてテスト勉強へと燃え上がる皆皆さまで。

「一体どこから大統領が出てきたですか……とりあえず、一通りのテキストは見つかったですよ」
「非常にグッドでぃす夕さん! では早速授業を……」

気力300まで上り詰めたかの如きテンションで発奮するネギですが、そこに流れる腹の虫の鳴き声。

「ね、ネギちゃーん、おなかへったしロリ分か食べ物を補給してくれないかなー?」
「ロリ分でどうやって腹ふくらます気だお前!? ま、腹が減ってはいいクソは出ねぇ、ということで!」
『食料探し、いってみよーー!!』
「あ、待ってください私もー! ってか明日太さんその間違い下品ですよっ!!」

夕以外のバカレン4人組が雄たけびを上げて林へ突っ走る姿は、どう見ても野獣そのものですなぁ。


さて、ネギの本気な授業は次の日まで超特急で進んでいきまして。

「このガキ、ちょい難しいと思ったらすぐ当てて来やがって……何度もやるようならマジで殴るぞ、コラァ!」
「だって~仮にもテスト勉強だし~解けるようにしなきゃ意味無いじゃんってゆ~か~」
「ギャル語でごまかすんじゃねぇ! あぁあ、明日になりゃ魔法の封印解けんだろ?」
「出るとしたら、魔法がバレることは覚悟しないとですけど……でもキッチンにトイレに食料たんまりなんて衣食住に優れまくってますよねココ」

水も溢れて食うに困らぬ桃花源っぷりに、ネギも明日太も感心しきりなご様子。

「本に囲まれた暖かい楽園……観光名所になりそうやな~」
「もうここに骨を埋めても構わないです」
「ってのんびり寝ながら本読んでないで、勉強してくださいってばー!」

砂浜の寝椅子に陣取って本を読みふける夕と木乃香に、ネギが注意しよかと駆け寄っていきまして。

「おぉおぉ、授業が終われば振り回されちまってやんの」
「明日太、ちょっとこっち来て来て!」

呆れつついい気味と思いつつな明日太に、背後からこっそり声をかけるはまき男クン。

「なんだよまき男、んな物陰から出てきて」
「いやさー、2日も風呂入らないで汗臭くなってきたなーとか思ってなーい?」
「あぁ、そりゃまぁ確かに」
「そういうわけで、あ見て、あ見て、あ見て見て見て見て!」
「マー○ィー岡田ってコアなモノマネだな……おぉ、こいつぁ澄んだ水で」

浮かれたまき男が連れまわした先には、なるほど水浴びにうってつけな水源があったとさ。

「アニキ、背中お流ししやすから入りやしょうぜ!」
「んだな。ほいじゃ脱ぐとしようか」

……あー、男の脱ぎっぷりなんて実況したかないのでちょっと時間飛ばすよ。うん。


「僕さ、ここから出て最下位脱出したら、ネギちゃんにご無体な~プレイ頼むんだ……」
「趣味云々はともかく、そのセリフ死亡フラグだぞ」
「え、マジ?」
「あぁ、大マジ」

何もズバリ言わんでもいいだろうって会話をしながら、のんびり水と戯れる野郎2人。あー気色ワルッ。

「まさかぁ、こんなギャグ全開なのにキャラ死なすワケがないじゃーん。それにしても、水浴びってチョー気持ちいいねー」
「泥臭いことばっかしてたからだな、わんさか湧き水が出てて水もキレイだし……ん、何だ?」

そんな裏事情言っちゃめーなのです。明日太は分かってるから触れないまま……と思ったら何かに気付いたようですね。

「あれ、どったの明日太?」
「木陰から誰か見てるっぽいんだが……夕か? 入りたいなら遠慮しなくていいぞ!?」
「なんだー夕くんか、だったら僕が連れてくるよ……ワァーーーーーオ!!」

探索に言ってきたまき男の嬉しそうなシャウトに、明日太もまき男の人格疑い始めてますが。

「何シムケンさんみたいな声出してんだ……って、何しに来たんだネギ子」
「ムフフフフ、ネギちゃんもいっぱしの女の子だからノゾキに来たみたいだよー♪」
「ち、違いますよ! 私ノゾキなんてしませんからね何疑った目で見てんだシバくぞゴルァ!!」
「お前ら落ち着けよ、ガキがのぞいてくるワケねぇだろ」

そもそもいっぱしの女の子がノゾキなんてするのかいな、って疑問はつつかずに明日太も宥めようとしますが……

「ああそうですよ私はガキですよ大体なんですか担任に向かっておっぱいアルよーってあのバカコンビがっ長瀬さんは言うに及ばず古菲さんもそこそこデカイからっていい気になりやがってあーそうだよ私は貧乳だよ悪かったなチクショー!!」
「どうしたのネギちゃん、落ち着いてよ! 貧乳って愛があってイエスだと思うよ?」
「まき男止めとけ、何かスイッチ踏んだみたいだから少し待ってやれ」

はらわたが煮えくり返って堪らない様子でまくし立てるネギさんに、2人共一歩引いて聞き流してあげましたとさ。

「今度巨乳共が何か吹っかけてきたら教員権限で全員うどん踏みの刑だ待ってろよフゥハハハーハァー!! ……あ、すいません明日太さん別にノゾキじゃありませんよ!」
「どうしてそうあっさりテンション戻せるかこの娘っ子は……」

突っ走りすぎてツッコミきれないネギのテンションに、明日太もお手上げで頭を掻き掻きしていますと。

「……あ、明日太さん、腕の包帯取れかかってるじゃないですか! 今取り替えますねっ」
「んあ? 確かにそうなんだが別にいいわい、コレぐらいなんともねぇし」
「ダメですっ、私のせいでケガしたんですから……うわっ、なんともないって結構ヒドイケガですよ!?」
「いいなー明日太、僕もケガしとけばよかったなー」

明日太を岩に鎮座させて包帯をいそいそ替えるネギの姿を、羨ましそうに眺めるまき男クンだがイジけるほどじゃないんじゃね?

「構やしねぇって、昔からこの手のケガには慣れっこなんだぞ……ってお前にはそうでもないか。今度のテストで最下位だと、俺らが初等部に落とされるからって巻き込んじまって悪かったな」
「……へ?」
「何素っ頓狂なツラしてんだ、学校側で決めた話だって……」
「いえ、私がクビになることしか聞いてませんけど……」

あれまぁ、話が全くかみ合ってませんね。信じる側に無理があったのはそうなんだが。

「え、ウソォ!? ネギちゃん辞めちゃうってマジ!?」
「オイオイちょっと待て……まさかクラス解散とか初等部へバイツァダストとかってデマかよ!?」
「そ、そんな話は聞いてないので多分……」
「ふざけんじゃねぇぞコラァ!! お前のためだけにこんなリルガミンの迷宮に潜ったのかよ、すっげぇ時間のムダじゃねぇか!!!」
「そ、そんなー、ヒドいですっ!!」
「そーだよ、ネギちゃんが辞めちゃうのだって立派な一大事じゃん!」
「ロリコンは黙ってろ!! いっつもだネギ子、俺を不幸に駆り立てるのは貴様だっ!! 貴様は俺の……」
「私だってトラブルに巻き込まれてるのにー、ってか明日太さんそれ死亡フラグですyっていやーーん!!」

せっかくウソをウソと見抜けたのに、言い争いを止めない皆々様で……あ、ネギさんお水へボッシュート。

「なっ……すまんネギ、今のはやりすぎた! ホレ、手ェ貸すから立ってみ」
「ね、ネギちゃんが気圧されてズブヌレとな!! ダメだ、3本目の足が静まらないー!!」
「あーん、先生びしょびしょです……つーかまき男さんドコ行くんですか、助けてくださいってばー」

男の象徴が燃え盛るまき男が外れへ撤退するのをよそに、明日太が主犯の責任を感じてかネギの手を取りますが。

「うっ……あだだだだだだだだだだだ!!」
「あ、明日太さん大丈夫ですか!? 北斗真拳の使い手!?」

腰でタオルを押さえる右腕の代わりに、手負いの左腕で引き上げたもんだから痛いの痛いの。

「べ、別に大したこっちゃねぇよ! 今のも言い過ぎちまったし、水浸しにしちまって済まなかった、ごめんな」
「え……いえ、私も別に怒ってるわけじゃありませんし、そんなお兄ちゃんっぽい顔されても……」
「何ぶつくさ言ってんだか……ん、何顔赤くしてんだよ、カゼ引いたか?」

陥落の合図を熱っぽいとしか見えないとは、明日太も天然系スケコマシなようですね。

「くっそー、こっちがクールダウンしてるのにいいフインキになって……明日太のヤツ、やっぱり恋敵になる気なんじゃね?」
『あんまりソワソワしないでーーーーー』
「……え!?」
『ダーリン浮気はダメだっちゃーー!!』
「ぎょ、ぎょわーーーーー!!」

端で恥じ入るまき男の元に、忘れられない巨体の影が滝から参上!

「な……昨日のデカブツ、まだいやがったのか!!」
「ゴーレムも一緒に落ちてきていたみたいですね……ってまき男さん捕まってるー!!」
『ここから先は出すわけには行かな行け!南国ア○スホ○ケー部!』
「語尾ネタも相変わらずムリヤリじゃねぇか!!」

はてさて、みっともなさが底辺のまんまな敵を相手に、彼らは生き延びることが出来るのか!?


佐々木まき男 曰く、
”え、ほっちゃん使っておきながらぶった切りオチっスか!?
やべーよー、本編の転落っぷりと重なってやべーっスよー! 誰か打開策送ってください、あて先は下のテロップで……って出てない!?”


”前略、天国のおふくろ様。
そりゃ魔法の本をかっぱらおうとした俺達が悪いかもしれんけどもさ、
登るたび難しい問題かましてくるのは悪趣味って言いますよね。よね?”


8話 ”勝利までの階段は長く険しいから連帯責任で登るべし その2”
前回まで:ゆったりと進ぬ! 勉強生活の最中、またしても少年誌ネタに燃えるゴーレムが!

「麻帆良旋風クーフェイ、お呼びとあらば即参上アルー!」
「甲賀中忍って知ってるでござるか? 昔、ジパングでイキに暴れまわっていたっていうでござる……」
「え、え~と……イェイイェ~イやえ~!」
「ネタ続かないなら無理にボケるなよです……な、また石像ですか!」

まき男の悲鳴を聞きつけて、探検隊一同が集まってきたぜ! 第2ラウンドっスか!?

「みんなー、ボケてないでたーすけてーー!!」
「まき男さん、大丈夫です! 今助けますから……ラス・テル・マ・スキル・マギステル!」
(ってオイ、魔法バラす気か、いいのかよ?)
「まき男さんの安全が先ですっ、サギタ・マギカ(魔法の射手)!!」
『な、それはつかっちゃいけないでしょ浦○鉄筋○族!』

相変わらずセンスの無い語尾ネタが印象的な石像さん、もうコレで出番終了とは悲しいねぇ……

「「「……ネギ子さん、何やってんの?」」」
「あ……まだ封印残ってたの忘れてたってカンジ~! そういや明日解けてから魔法の杖で飛ぼうとしてたのに~!」

良かった、その2始まったばかりなのにすぐ終わっちまうかと……あ、魔法使えないまんまなの忘れてたんだって。

「ネギちゃん、酸素欠乏症にかかってもうたんやな……」
「い、いやぁ、ネギも続けと必死にボケた結果なんだよ、認めてやれ、な!?」
「勘弁できるかよです! この土壇場で先生にまでボケられたら堪んねえよです!!」
『……まーともかく、ここから出るには3日は歩いて出るしかないぞよ、諦めるしかないのウダ○ダやってる○マはねェ!』

相変わらず機能してそうにない誤魔化しが通じたところで、石像さん絶望的なこと言ってるよ。

「それじゃテストに間に合わないアルよ! PAR使いはいないアルか!?」
「お前ら落ち着け、そんな不便な場所にこんなデカイのが落ちてくるわけねぇ! 明日のテストのために、絶対に抜け道を探し出してやるぜ!」
「明日太さん……そうです、諦めないで下さい! 私と明日太さんの愛で乗り切りましょう!」
「いやだから、誤解招くこと言うんじゃねぇよバカ野郎!」

悪ノリは抜け切らないながらも、絶望に負けまいと気炎を上げる明日太に皆も引っ張られます。

『そ、そそそそそそんなもの無いよ、でででで出口なんて無いから諦めた方がいいでス○ライド!』
「目に見えて慌ててる、ってことはあるっぽいぞ! 逃げきって探し回んぞ!」
「……いえ、逃げる前にあの石像の首の所を見るです!」

テケトーで言ったことが的中した模様で、明日太が方針を決め込んだところに夕が割り込んで来たれば。

「あっ、メルキセデクの書が引っ掛かってます! 一緒に落ちてきたみたいですっ!」
「バカリーダーより各員へ、本を奪還するです!」
「バカイエロー了解アル! 中国武術研究会部長の一撃、ゴッドハンド・スマッシュ、アルー!!」
「バカブルー了解、古、腕にもう一撃!」

魔法の本を確認したもんだから、夕も手に入れようとバカレンジャーを動員ですよ!

「アイヤー、真空回し蹴りアル!」
『な、やられただ特攻○女!』
「って今放されたら落ちちゃうよ、オチじゃなくて落ちちゃうよ!」
「そこをナイスキャッチでござる!」
「うわっはぁ、長瀬ちゃんホントにナイス! 負けじとご無体なリボンーー!!」
『ま……待ちなさい、本を持っていくな○か6/17!』

驚異的な連携でまき男を解放させて、そのまき男もすかさず魔法の本を奪取しやがったよ!

「いよっしゃー、魔法の本Get's!」
「バカレンジャーの実力ここに見たりです……ってそのアポストロフィー文法にあってないですよ」
「よっし、本を頂いたとありゃ、とっとズラかっちまうか!」
「慌てて出てきたのを見ると、この周辺に出口がありそうです」
「ケコウ重たい本アルなー、ダンベル代わりになりそうアル」
「もう逃げてまうん? とりあえず服持ってきたえ~」

さりげなく抜け出して衣類を集めていた木乃香も合流しまして、スタコラサッサの為にと探検隊は走り回ります。

『い、いい子ですから、逃げ回らないで諦めましょう涅槃○み○ろ!』
「そうはジャッキーも事故らないアルよー!」
「いや、それ諺になってないです……あ、あの滝の裏! 非常口がありましたよ!」
「夕くんお手柄! 早く入ろうよ……って何コレ!?」

せっかく出口らしきものを見つけましたが、一筋縄ではいかなそうな文章が飾られていますよってに。

「”問1 readの過去形変化の発音を答えよ”……問題解けと言うのですか?」
「オイ、さりげに本編からランクアップしてっだろ、リハじゃ聞いてなかったぞ!?」
「そんな裏事情バラさないでください、ってか昨日から勉強してたじゃないですかー!」
「ダイモ・キック、アルーー!!」
『蹴るなんてやめ鉄○のジャ○!!』

いや、分かってても緊急事態だし解ききれるかどうか……あぁ、探検隊よさらば!

「ぬ……秀才パワーでひらめいたアル、[ri:d]・[red]・[red]、アルー!」
「な……おなじみのゼ○ダの効果音で開いた! 早く中に入っぞ!」
『だから待ちなさいと、タノ無敵○板娘!』

たまたま本を抱えたままのクーフェイさんが、見事に解答しまして非常口が開きましたよ。

「も、もしかしてこの本のパワー!? 持ってるだけで頭が良くなる幸せの石っスか!?」
「持てるだけで台本の中身が思い出せるアル!」
「だから台本とか言わないd……こ、このらせん階段を登るんですか!? 先生足がガクガクになっちゃいますっ!」
「エロネタかます余裕あんなら問題ねぇよ! 石像も足止め喰らってる今のうちに逃げるんだよネギィィィィッ!!」

上る道が見つかった以上、辛くてもジョースター家伝統の戦法で行くしかないとみんなも駆け登ります。

「ここ、これなんて走りこみっスか!? あー、二ノ宮先生の怒った顔が浮かんできて……」
「まき男、即身仏になたらいかんアル! 楓、まき男支えるから本を預かるアル!」
「あいわかった、でござる」
『逃げ回ってないで、本を返すのでSwit○h!』

必死に駆け上がる一同ですが、捕獲されてたまき男は体力も磨り減っていたようで。そんなこんなで本保護係も楓にバトンタッチ。

「まき男さーん、先生は強い男の子が大好きでーす、頑張ってください!」
「……古ちゃんいいよ、もう放して……成せば成る、佐々木まき男は男の子ーーー!!」
「おーまき男、ネギ子で元気出すとは現金アルなー……ん、明日太何立ち止まてるアルか」
「いや、また問題付きの壁でふさがってやがんだよ、しかも数学」

まき男の下半身パワー発動も空しく、一行の道を塞ぐは問題でございます。

「”帰納法と演繹法の違いを150文字以内で説明せよ”……って中学レベルの問題じゃないですよっ! ここは私が解くしか……」
「待たれいネギ子……ふむ、演繹法とは三段論法に代表される(中略)であり、帰納法とは多くの事象から共通する(中略)ある……これでどうでござるか」
「……あぁごめん、理解できてなかった……って開いた!? よく分かんないが正解だったっぽいぞ!」

お前ら本当に中学生かと思うくらい知的な解答の連続は、これに留まらなかったのである!

「”アニメ2期1話の最初に出てきた英文を翻訳せよ”」
「下半身パワー全開! ”15年前……欧州はとある場所で、吸血鬼の(中略)知る者はいない”……正解、イエス!!」

「”大化の改新において、蘇我氏の分家でありながら中大兄皇子らに協力した豪族は?”」
「あぁ、”蘇我倉山田石川麻呂”な……正解、次行くぞオラァ!」

……問題出す方も出す方なら、答える側も答える側だな。

「す……すごいですバカレンジャーの皆さん、アホの明日太さんとまき男さんが答えられるなんてメルキセデクの書様々ですっ!」
「コラそこのバカ教師、自然にアホ呼ばわりすんじゃねぇ!」
「上手く引き離しているですし、この調子なら……うわっ!!」
「え、夕く……いや~~んっ!!」

本の魔力で順風満帆に進むのかと思いきや、またアクシデントだよぉ。

「夕さん、木乃香さん!? 大丈夫ですか!?」
「痛たたた……木の根に足を引っ掛けたようで、僕は無事なのですが」
「ん……大丈夫や、ちょっと足にケガしただけやえ」

夕がすっコケて木乃香を引き倒す事故が起きまして、当人がちょっとと言う怪我も見た目は言うほど良くもなし。

「ウチはええから早よ逃げて、本を持っていかな……」
「僕の所為で怪我させたのに見捨てられませんよ! 肩を支えますから、一緒に逃げ……ま……しょう!」
「諦めないで下さい、木乃香さん! 私も手伝いますから……んんーーんっ!」

歩みの遅れそうな木乃香の為に、夕とネギで両肩から支えますが、身長差もありまして一筋縄ではいきませんよ。

「夕くんもネギちゃんもええんやて、そろそろ石像はんも登ってくるし……」
「そうは……いきまs……あ、明日太さん!?」
「……あのなぁ、お前らだけでムリやろうとしねぇで、図々しくバカ力を頼ってみろってんだ」
「ひゃん! あ……明日太……」

たまりかねた明日太が戻ってきまして、木乃香をお姫様抱っこでまた駆け上り始めます。

「大体お前らだって大丈夫かよ、もう1時間以上登ってんだぞ?」
「あ~~ん、ありがとな~明日太、ウチのこと見てくれなくなったんかと思ってたわ~!」
「コラ木乃香、バランス崩すからしがみ付くな!」
『返しなさい~、待ちなさ恋愛出○絵巻え○×むす!』

怪我したのに妙にテンションが上がる木乃香を抱きかかえつつも、進軍速度は収まらず関門も突破していきますと。

「ん……携帯の電波が入りました! 地上はそう遠くないでしょうから急ぐです! ……のどか、早く電話に出るです!」
「地上……ま、マジだ! 業……業務用のエレベーターがあるみたいだよ!」
「業務用ってことはロケの入りで使ったやつより遅いんじゃね!? もっとマシなの置けよ!」
「楽屋ネタやりたきゃ後でやって下さいっ! 皆さん急いで乗ってください!」

夕が携帯を必死でいじくりながらも、やっとこさ帰るアテが見つかったとみんなして一斉に駆け込むエレベーター。それに返すは祇園精舎のブザー音!

「「「「「じゅ……重量オーバーって何だよ!?」」」」」

あーあ、またバカレンジャーがキャラ忘れて驚愕だよ。

「この2日、栄養値計算忘れて飲み食いしたせいアルか!? サツキも連れてくればよかたアル!」
「いや、もう1人いたら絶対重量オーバーになるじゃん! ……まさかS○AP上に乗ってないよね!?」
「スペース余ってるんやからオマケしてくれたってええやん、根性悪いエレベーターやな~」

肉が付いたかどうかなんて今更調べようがないのに、そこで揉めてどうするんですかこの人ら。

「いや……片足でも放せばブザーが止むんだ! 夕、まき男、服脱いで調節すんぞ!」
「わ、分かった! ストリップでネギちゃんを救うんだー!」
「そんな僕らが服脱いだ程度でどうにかなるわけ……ってやっぱり効果なかったじゃねーかです!!」
「恥は道連れ世は迎え酒アルよ、ワタシも協力するアル!」
「くーふぇさんその間違い中途半端ですっ、この際上着だけでも全員脱いでしまって……あーんやっぱりダメー!!」

どれだけ衣類をほっぽろうが無駄無駄ァ、と言わんばかりに空しく響くはブザー音。居残り戦隊バカレンジャー、大馬鹿散華の時が迫るんスか!?


古菲 曰く、
”あの石像、デカい口叩く割には動きがニブかたアルね。
この程度では修業の前座にもならないアルよ、巨○兵やアルテ○ウェ○ンぐらい出してほしいアル!”


”前略、天国のおふくろ様。
……いや、そんな刺さるような視線でなんて見ないで下さい。
俺がやったことでヒヤヒヤしたのは分かるけどさ、そんな悲惨な結果になるわけ……オイそこのAD、何クスクス笑ってんの!?”


8話 ”勝利までの階段は長く険しいから連帯責任で登るべし その3”
前回まで:何のかんので魔法の本を頂いて脱出を計る探検隊。だが最大の敵は贅肉だった!?

一向に動かぬエレベーターには、いくらトロい石像でも追いつかないということは無いのです。

『ホホホホホ、ついに追いつきましたゾク○イ!』
「……あーあ、やっぱダメでしたかー」
「な、いきなり何言ってんだネギ!」
「明日太さん達みたいなバカ生徒を勉強出来るようにするなんて無理だったんです。こんな目に遭うんだったら、先生なんて辞めればよかったなー」

この窮地に、突然ネギが呆れ顔でぶっちゃけ始めました……おいおい、原作の主人公がそれでどうする。

「ハァ!? 諦めた口叩いてないで、何か考えろよ!!」
「だ~か~ら~、それが面倒になったんですよ。私は帰りますから、好きにやっててください」
「そんなネギちゃん、僕らを見捨てるなんてヤだよー!!」
「……ネギ先生、帰るって言っていながら何故エレベーターを出ようとするですか」

……あ、言われてみれば確かにネギが外に出てるよ。いつのまにやらブザーも止まってたし。

「え、あ、その、それは……」
「てめぇ、ともかくこっち来いって……一体何がしたかったんだこの野郎!?」
「だって、皆さんが試験を受けるためには、誰か降りて軽くするしかないって……」

明日太が引き寄せて自白させますと、なかなかの美談になりそうな証言が。生きて帰れればの話だけどね……

「お前が教師になれるかってテストにいなくてどうする! ガキの分際でムリやってるんじゃねぇよ!」
『ホホホホホ、打つ手が無いと分かったのなら、本を返してもらいましょうカオシッ○ルー○!』
「るっせぇ、うまくもねぇ語尾ネタかましながらしつこく追っかけまわして来やがって! そんなに返してほしけりゃ……」
「あ、明日太、そない本を振りかぶるってことは……」
「クライスラー、いやホンダだっけ、あぁもう思い出せないけど魔法の本を喰らえぇぇぇっ!!」

さっとかっぱらった魔法の本が、明日太に投げられて石像の顔面に吸い込まれていきまして……

『ふごっ!! 顔は女の命なんだから遠慮してくれたまエイケ……ああーーーー!!!』
「結局あれをオチに持ってきたかっただけですか……言い切れてないですし、本も無くしたですし」
「あ、ブザー止んだよ、コレでエレベーター動くよ! 本無くしたけど!」
「まったく散々なところだったアルー。本無くしたアルし!」
「これもいい修業になったと考えるでござるよ。本は無くしたでござるが!」
「……お前らさ、ピンチだったんだし許してくれるとか……イヤムリっスか、スンマセン」

あら、石像は衝撃で背後の虚空へ落ちていったようで……見届けた後に動き出したエレベーターの中で、流石に明日太も集中攻撃を喰らいますわな。

「何を言うでござるか、拙者らに許すことなどないでござるよ。本は無くしたでござるが」
「いや、この際はっきり言ってくれ長瀬……」
「大丈夫です皆さん、明日の朝のテスト開始まで時間は十分にありますっ! 先生と一緒に徹夜でガンバリましょう!!」
「え、先生と朝まで一緒!? やったー、僕一生懸命やるよ! 本無くしちゃったしね!」
「だから……いっそ殺してくれぇぇぇっ!!」

この生殺しが最高なんじゃないか、ってケンアクな空気が込められたまんま、無事にエレベーターが上がっていきまして。

「1階に着いたアル……うおっまぶし! ついでに本も無い!」
「そのネタ前も使っただろ、ってかまだ指摘すんのか!!」
「じきにのどかとハルナが服を持って来てくれるので待ちましょう。本も無くしたことですし」
「その流れで本のあるなし関係ねぇだろ!?」
「ま~ま~明日太、そこまでツッコミフルスロットルでなくてもえ~やん」
「そうですよ明日太さん、なんとか外に戻れたんですし! 本は無いですけど!」
「お前までマネすんなネギ子ォォォ!!」

当分明日太をイジるネタだけが収穫な探検は幕を閉じまして……あ、この後テストもあるんだよね。無事で済むのかバカレン&ネギ!?


「天国の父さんと母さん……明日太です。今俺達は、遅刻しそうだってんで全力疾走で登校してるわけで……違うんですよ、1時間だけ寝ようね、ってことで仮眠とってたらもう出なきゃいけない時間になってたわけで……」
「無駄にナレーションしてる暇があるんでしたら走ってくださいっ、もうテスト始まっちゃいますよー!!」

次の日の朝、明日太が説明してくれたように遅刻だイカンと学校へ走り続ける元探検隊の一同で。徹夜って時点でありえることではあった気が……

「何吐かすか、俺ムチャクチャ走ってるよ! 木乃香抱えながらも精一杯走ってるよ! つか長瀬代わってくんね!?」
「いやや~、ウチは明日太に抱えてって欲しいんや~」
「……と言ってるでござるし、もう一踏ん張りするでござるよ。本無くしたでござるし」
「それってまだ引きずるんスか!?」

自爆ながらも明日太が貧乏クジを引かされた行軍も、校舎が見えてきて次の段階へ進むところですね。

「あ、明日太たち来てるよー! どーお明日太、テスト前だけど元気ーー!?」
「コレが……ハァハァ……元気に見えるのか、桜子ぉ!」
「明日太さんが来たですって!? 明日太さん、ネギ先生まで巻き込んで何をしていたのですか!?」
「いや君ら、お願いだから席に着いてよ! 先生さっきから頼んでるじゃん!!」

失踪から帰るのを待ちわびていたクラスメイトも乗り出して、桜子やいいんちょも呼びかけてきました。でも瀬流彦が無視されるのはデフォ。

「みんなゴメン、でも間に合ったから大丈夫だよー! 本無いけど!」
「うわ、今更お前に言われっとさらに腹立つ!」
「……騒がしくしてると思ったら、ネギ先生と神楽坂たちか。テスト前に遅れてくるとはどうしたんだ?」
「あ、スンマセン新田先生! 木乃香がケガしてたのもあって遅れちまいまして……」

何でか知らないが外を歩いていた新田先生に鉢合わせまして、木乃香の怪我を言い訳にご報告です。

「まあ遅刻したとはいえ始業前だ、別教室で試験を受けなさい。それと! 事情はどうあれネギ先生には職員室で始末書を書いてもらいます」
「は、はうっ!」
「分かりました、スンマセン……じゃあネギも頑張れよ、俺らも頑張るから」

ネギに軽い実刑判決が言い渡されたところで、明日太たちも戦場へ向かいかけたその時に。

「み、皆さん頑張ってくださいっ! 私のせいで魔法の本も無くして……あ、台本にこう書いてあったってだけでホントは明日太さんが……あと皆さんの足も引っ張ってしまって……これも台本だけで基本的に明日太さんが……」
「ナメた解説付け加えんなバカネギ!」
「そんな謝ってばっかじゃなくてさ、僕らを信じててよネギちゃん! 本無くしたけど……」
「本なんかなくてもなんとかしてみるアルよー! 本なんか……」
「ずっとネギ先生に付いて頂いて、ありがとうございましたです。本があればもっとはかどったでしょうが……」
「何も言わず、拙者たちに任せるでござるよ~~。本は無いでござるが……」
「……何? お前ら罪悪感煽るの大好きなクチか?」

ネギの言葉に自信無いながらも答えるバカレンジャー、でも明日太をイジるのは忘れない。

「心配せんでもええよネギちゃん、明日太が責任もってちゃんとやってくれるハズやえ」
「木乃香まで追及すんのかよ!? ……まぁよ、居残り戦隊っつっても教師を追い出すマネはしたくねぇし、実際本を捨てたのは俺だし……なんとかブービーぐらいは狙ってやるから、とっとと始末書書いて休んでろよ」
「は、はい……」

頼りないなりにファイトを見せる明日太に、ネギの心配も少しは緩んだようで。学生諸君も荷が軽くなったカンジで期末テストへと挑まんと教室へ向かいます。


「……なぁ新田先生、ギブアップってないんスか?」
「ある訳無いだろう神楽坂。ともかく私語は慎め」
「眠気が……眠気が香港映画のリンチみたくワタシを攻め立てるアル……」
「くっそー、徹夜は失敗だったなー、ご無体なな妄想で眠気を飛ばしてれば……」
「古菲に佐々木、私語は慎めと言ったぞ」

遅刻組の集まる特別教室、テストが始まって30分は経とうかというところですが、基本がバカ揃いでしかも体力ナシなもんで振るわぬ様子。

(クソッ、新田先生に結果出すよう言われた以上は……でも状態悪いのは変わらねぇよな……ン、何だこの匂い?)
「……お、裴景のトーン変わりそうないい匂いだー、頭もスッキリ……」
「やる気全開アル、バイキルトにザメハがかかたアルよ」
「コラ、私語は慎めと……まあいい匂いだし今回は許そう」
(な、なんか新田先生まで人格変わったような……お、ありゃネギか?)

そこに新田先生を丸くする程の芳香が教室に満ちてきまして、普通の展開じゃないと思った明日太の視界にネギが写りまして。

(なんか随分やつれてるような……始末書キツかったのか? まぁ元気は出てきたし、ここは素直に感謝だ、ネギ)

なんとか頭にヤk……いえ魔法が回った一同は一心不乱にテストを解き解き、あっという間に5教科目の試験終了が近づいてきましたよ。

「……よし、試験終了だ。速やかに筆記用具を置いて答案を集めなさい」
「……ハァァァァ……どうだお前ら、出来たか!?」
「ぜ、善処はしたアル……」
「途中からなんか頭が冴えてきてん、いつもの調子出てきたえ」

答案が手から離れたと同時に、興奮して聞いて回る明日太ですが、返事は微妙なところ。

「まー私たちは何とかできたけど、問題は夕たちが魔法の本ナシでどれだけ出来たかよね」
「……あ、ハルナいたのか。ってかお前まで俺責める気かよ!?」
「な……失礼なこと言わないでよ! 確かにアス×夕か夕×アスか迷ってて会話に参加してなかったけどずっといたわよ!」
「そこの腐女子、ブッ殺すぞです……」
「甘いなマンモーニの夕くん。ブッ殺すと心の中で思ったときには、そのとき既に行動は終わっていないとでしょ!?」

やっと会話に入り込めたハルナさん、妙にハイテンションだなぁ。

「試験が終わってホッとしたのは分かるが、騒ぐのも程ほどにしてゆっくり休みなさい。あともう遅刻はするんじゃないぞ」
「はいー……ようし、明日太さんのせいで魔法の本はないけど、僕が頑張った以上はネギ先生をクビになんか……」
「本屋まで名指しで責めてる!?」

はてさて、急激に明日太がイジられるようになった現状は解決されるのでしょうか。ってもう結果は決まっちゃったんだけど……


長瀬楓 曰く、
”魔法の本もないでござるし、拙者も今後の身の振りようを考えねばならないでござるな。
バル○ャークのモノマネは出来るでござるから、ヒーローショーの中の人に……っとと、よい子が聞いていたらトラウマになるところでござった、危ない危ない……”


”前略、天国のおふくろ様。
もうとにかく見てくれ、感動するから。
……ってこれじゃおすぎと変わんねぇじゃん! えぇと……展開しゃべれねぇからここまで! スマン!”


8話 ”勝利までの階段は長く険しいから連帯責任で登るべし その4”
前回まで:魔法の本を犠牲にしてテストに間に合った元探検隊。結果発表まで肝も冷えるさ……

答案返却と点数発表、普通なら授業時間を割いて各クラスで行うものですが、異境・麻帆良学園は違っていたッ!

「あードキドキする、僕とネギちゃんのキャンパスライフがかかってるんだ……」
「今回はS-Bに食券10枚アル」
「手堅く行ったですね」
「中等部はキャンパス言うのかよ……しっかし毎度ながら大規模なもんだ、バクチまでやってるし」

校舎1階のホールに大きく下げられたスクリーンは勿論、そこら中のスピーカーやテレビにて報道部独占中継なわけだから、恥の上塗りはバツグンなこと間違いなさそうですね。

「何にせよ、最下位なら初等部に戻るというのがデマで助かったですね」
「発表も気が楽になたアル。超が地底図書館の情報と引き換えに食券を大量にくれたアルし」
「安心しちゃダメだよ、ネギちゃんが辞めたら僕人生辞めちゃうよ!」
「そんなまき男さん、駄目ですっ! 皆さんもそんな気にしないで……」
「ム、気にしないわけにはいかないアルよ、ネギ子をクビにはさせないアル!」
「そうやネギちゃん。みんな頑張ったし、ちゃんと結果出とるはずやえ」

それぞれが自分に対してでもある励ましの言葉をネギに掛けますが、果たして皆さんの心境は晴れませんで。

『えー、続いては第2学年の発表です! 今回の学年全体の平均点は73.4点! 健闘してますねー』
「コラ司会者! もったいぶってないでとっとと順位言え、タダでさえテレビ番組でやるヒッパリが大嫌いなんだぞコラァ!」
「明日太さん落ち着いて下さいっ、騒がないで待ちましょうよ!」
『観衆からせっつく声も出てるでしょうが視聴率のためですからねー。それでは第1位から発表です! 1位・2-え……』
「”え”で始まる……ってことはもしかして!?」
『……F組! 今回のトップは2-Fだったッッッ!! 平均点は80.8点!!』
「あー、食券ムダにしたアルー!」

そんなに都合のいい展開は無かったね……順位発表が始まりましたが、このジラしじゃショックも大きそうですね。

『続きまして第2位! 2-え……S組! 平均点は79.8点だッッッ!!』
「あらら、上位層狙えたカンジだったんだけどなー」
「……なぁネギ、お兄ちゃん殴りこんでいいかな!? もう我慢の限界来てるんだわ!!」
「だから抑えて下さい、いくら最下位がメインな構成だからってそんなイライラしなくても……」

そんなイライラが晴れる機会は遥か遠く、いつの間にやら21位まで発表されても2-Aの名前は出てきませんで……

「あ、あのさ……僕らやっちゃったんじゃないかな!? あと3クラスなのにまだ出てきてn……」
『もうヤバイ段に来てる22位! 2-Pで平均点70.8点だッッッ!!』
「……って言ってるそばから! あーもうどうしよー、次出ないと最下位じゃんかー!!」
「は、はわわわ……」
「ね、ネギちゃんそないそわそわして……」
(く……この調子だと本捨てたのマズったかもしんねぇ……だがあの状況はどうしようもなかったし……しかし男としては責任とらんと!)

数名が自信アリと宣言した割には、丁か半かの結果にまで迫ってきまして……どうなっちゃうのさ!?

『さーてドキドキの残り2クラスの為に発表しようブービーの23位! こ、これは……』
「2-A! 2-A出してお願いだからホントに!」
「天狼よ、ビリ脱出の力を与えたまえアルー!」
「つかまだ引っ張る気か! いい加減にしろよマイクで頭カチ割るぞコラァ!!」
『……ファイナルアンサー?』
「な……何がファイナルアンサーだ畜生テメェ! 待ってろ乗り込んで頭カチ割ってやる、空中明日太チョップかましてやるッ!!」
「明日太さん抑えてくださいって~~!」

司会者のジラしっぷりに、明日太だけでなく他の2年生もボルテージが高まりまして、決壊するときが迫ってきます!

『……ハイ、2-Kで69.5点でーす、次頑張れよー! 歯磨けよー!』
「そ、それって……」
『2-Aって、最下位確定ですかーーー!?』

トンでもない結果が見えてきたバカレンジャーたち、魂の抜ける叫びと同時に真っ白に燃え尽きちゃったよ。

「た、丹下のオッサン……投げるハズだったタオルで首絞めてくれや……ヘヘッ……」
「まき男キャラ崩れすぎだよ~、ワタシのようにどーんと構えてればいいじゃなーい!?」
「いや、古菲さんも口調飛んでるですよ……」
「ネギ先生……決めた、僕はネギ先生と添い遂げる!! 先生の為なら死ねるよラヴィ!!」
「のどか、いくらショックだったからってそこまで行っちゃ駄目! せめて夕を掘りなさい!!」
「おい、キャラ外れてないけどお前もとんでもないこと言ってるぞです!」

燃え尽きた割には、結構度のキツイボケ合戦になってる気が……ん? これで真っ向に被害受ける人がいたような……

「……あ、ネギちゃんいなくなっとる、どこ行ったんやろ!?」
「ま、マジか!? あの野郎気ィ早すぎるだろ、とっとと追いかけるぞ!!」
「りょ、了解っスバカレッド! ……って速っ!? 3馬身ぐらい離れてるよ!」

ネギを追っかける一団から、ダントツの足で抜け出る明日太が真っ先に校内の駅に向かうと、案の定ネギが見えてきました。

「オイ、ネギ待てって! 済まなかった、俺のせいで魔法の本も取れないで、お前を辞めさせちまって……」
「いえ、誰のせいだなんて決め付けられませんよ……そりゃ確かに明日太さんが魔法の本は捨てやがりましたけど」
「そこは否定しないのな!?」
「……でも、そんな本に頼らないと勉強させられないなんて、教師として未熟だったってことですし……2-Aの皆さん、特にバカレンジャーや図書館探検部の人たちにはお世話になりました。短い間でしたが、ありがとうございました」

あぁもしっかり結果を見せ付けられたのか、予めまとめておいた荷物を担ぐネギの言葉は酷く覇気が抜けています。

「待てよ、何お別れシーン気取ってるんだ! サウザン何たらを探すとかマギ何たらはどうした、そんな簡単に放り投げるモンだったのかよ!?」
「……さ、さようならっ!」
「さようならじゃなくて、質問に答えろマヌケがぁぁぁぁぁっ!!」

本人より諦められない明日太が、改札機を飛び越えてネギを掴みまして……あ、コレ犯罪じゃ……ってシーン台無しにしちゃ駄目か。

「確かにガキは大嫌いだがよ、きちんと目的持って、シャカリキになってるヤツを嫌いになったりしねぇ! それに、すぐに物事放り投げるヤツは、ガキだってことより最悪なんじゃないのかよ!?」
「あ、明日太さん……でも……」
「ネギ子早まるなアルー!」
「待ってネギちゃん、僕も人生辞めるから待ってー!」

超人的な足の無い方々も、なんとかたどり着いたみたいですよ。

「あいつら追いついたか! 待ってろよ、すぐにこのバカガキを連れ戻して……」
「そ、そんなの……どんな顔して会えって言うんですか! 明日太さん放してくださいっ!!」
「なっ……この野郎勝手に抜け出るな!」
「ネギちゃん! 必殺のご無体なー!!」
「あぶっっ!!」

必死に電車へ走るネギに、まき男のリボンが襲い掛かってまた足止め! すかさずみんなして改札機を……ああ、中学生犯罪グルーp……スンマセンもう言いません。

「ご、ゴメンネギちゃん! でも酷いよ、僕が人生辞めるの見ていってもらわなきゃ……」
「ネギ先生、天国では幸せな家庭を築きましょうね……子供は5人以上欲しいから週3ペースで……」
「とりあえずお前らはややこしくなるから黙ってろです!」
「ネギちゃん、おばあちゃんにもう一度頼みに行こ、な?」
「そうアル、も一度テストやらせてもらうアル!」
「目的のために、何度失敗しても挫けない心が大事でござるよ」
「そ……そう言われましても、この課題には納得した上でやらせてもらいましたから……」
「ホホホホホ、私を呼びましたかね?」
「「「ば……化け物が出た!?」」」
「真っ先に機嫌損ねることを叫ぶなです!」

どう言われても食い下がるネギと生徒の前に救世主が……ってよりにもよって化け物扱いかよ。

「まぁ大人らしく水に流しますが……それよりもネギ君には済まないことをしました。遅刻組の採点を私がしたのですが、クラスの成績に加える前に発表が始まりまして……報道部もカンカンでしたよ」
『え……何その取って付けたオチ!?』
「……それって、ウチらの分の点数が入ってへんってことやったら……」
「もしかして世紀の逆転最下位脱出ってこと!? WBCもビックリかもよ!!」
「いや、何年先の話だよです」

いや、ホントに救世主だった! 合計点が増える可能性があるなら、最下位はなかったことになるかもしれませんよ!

「で、でもさ……木乃香たちはともかくバカレンジャーの点が入ったくらいじゃ……」
「せっかくだしここで発表しましょうかね……佐々木まき男は平均66点、よく頑張りましたね」
「ほら、66点だって……66点!? ウソマジっスか!?」
「部活熱心なのはいいですが、もう少し勉強にも熱を入れてください」
「さ、Sir, Yes Sir!」
「女性に”Sir”はないだろです」

トップバッターのまき男からして思わぬ結果に二度見までしまして、こりゃ望みも出てくるってものです。

「古菲67点、長瀬楓63点。次もこの調子で頑張りましょう」
「お、ボチボチかと思たらそれ以上アル!」
「うむ、これはひょっとするかもでござる」
「綾瀬夕63点、孫が世話になっていますけど、普段からもっと真面目にしましょう」
「な……イヤだよキメェよですクソババァ」
「こら夕、予想外の結果に本気で拒絶しないの!」

……こんなこと言われてばっかりで、よくメゲませんね学園長。

「……まぁこの後楽屋で追及するとして、早乙女ハルナ81点、宮崎のどか95点、木乃香が91点、安定した打線ですね」
「え、えぇまぁ学園長先生、夕があんなこと言ったけど機嫌直して、ね?」
「……最後に神楽坂明日太!」
「え、そこでムシしたってことは聞く耳ナッシング?」
「71点、根性見せましたね明日太君」

やっぱりメゲてそうだな、ってそれはともかく明日太まで高得点をマークしたとあれば、これは期待大な感触……かも。

「あ……学園長、それで結果は……」
「ええ、これを合計した2-Aの平均点は81.0点、最下位脱出どころか2-Aが1位ですよ!」
『は……ハッピーエンドキターーーーー!!』

おめでとうバカレンジャー、予定調和といわれても君らの未来は開けたよ!!!

「そ、そんな……明日太さんが魔法の本を捨てたのにどうやって!?」
「まだ言うかこのガキは……」
「その本とは、これのことですか?」
「「あ……えぇっ!?」」

ネギが疑問に思って……って生徒に失礼だよな、というのはさて置いて学園長が差し出しましたるは……魔法の本!?

「偽装のために多少頭の働きのよくなる魔法をかけましたが、そんな大層な効果はありませんよ。今回見せてくれたのは君たちの頑張った結果だったのですよ」
「……ってその本持ってるってことはバアサンが謀ったってこと~? 超ショックなんですけど~!!」
「……ネギ君も後で楽屋に来なさい。まぁ今回の課題では子供のネギ君が今後教師としてやっていけるかを試したのですが、図書館島のトラップに心を折ることなくよく頑張りました、ましてや学年1位にするとは、生徒にも恵まれましたね」

今回だけで散々言われる学園長に同情したくなるが、そこはプロ、ネギの手腕をキチンと褒めてみせます。

「ともかく合格ですネギ君! これに驕らずに、さらに精進して下さい」
「あ……は、ハイ! それとさっきのを水に流して……」
「そりゃムシが良すぎるだろ……まぁ、よかったじゃねぇかネギ」

一旦落とされてからの成功だったからか、ネギの目にもうっすらと涙が浮かんでいました。

「はい、明日太さん……」
「オイオイ、タダのガキじゃねぇんだから大泣きはすんなよ? 新年度かられっきとした教師なんだからな」
「は、はいっ……よろしくお願いしますっ!!」
「え、お願いしますってことはまた担任!? ってそれより最下位脱出したんだしご無体なプレイしよーよ!」
「え、そんなこと約束してnイヤーーーッ!!」
「な……まき男の変態スキルが目覚めたわ! のどかも負けじと変態プレイで誘うのよ!」
「え、でも僕、官能小説しか読んでないし……」
「官能小説でも十分だろです、ってそもそもそこで張り合おうとするなです!」

あ、感動の場面なのにヘンタイが寄って来た。

「コラお前ら、締めだからって自由すぎるだろ!」
「せやったら……ウチらも好きにしたらええんちゃう?」
「あの、木乃香さん? なんでそんな色っぽい目で見てくるんスか!?」
「それではネギ子を胴上げアル! 勝ったら胴上げとババとイノキも言てたアル!」
「ならば、拙者も手伝うでござる!」
「馬場さんも猪木さんも言ってねぇよ! いや木乃香抱きつくなって……オイ、これでオチなのかよォォォォォ!!」

うっわグダグダだ!! ……かくして、ようやくネギが正式な教師になるまでのムダに長い一幕でしたとさ。


『エンディングは反省会byバカレンj……ってオイ、夕は?』
『ネギ子と一緒に学園長に説教されてるアル』
『えー、なら僕もネギちゃんと説教されたかったなー』
『その分ここで締め上げてやるよ! ってかお前ら俺を責めすぎだよ! 結果オーライだったんだし手は緩めろよ!』
『随分男らしくない言葉でござるな、男ならイジりの一つ二つ笑って受け止めるでござる!』
『う……長瀬が言うと説得力ある!』
『そうアル、間違いは正直に認めるモノとホクトアキラも言てたアル』
『それって健介さんじゃねぇのか!? でも確かにそうだ……』
『えっと……二ノ宮先生は酒が入るとオッサンくさくなるけど、そこがいいって言ってくれる彼氏もいるって言ってた!』
『いや、それ何の関係もねぇじゃん。罰としてお前、来週の黒板ネタ当番な』
『な、ちょっと待ってよ! そもそも僕悪くないしテキストで黒板ネタって何!? 死刑宣告っスか、地味キャラ確定っスか!?』



9話 自分の庭だと思っている場所ほど意外なところでコケる

”前略、天国のおふくろ様。
あれだよ、せっかく騒動が一段落したっていうのにさ、
何でも混ぜっ返すガキの面倒見させられるって死刑宣告か何かですか?”


9話 ”自分の庭だと思ってる場所ほど意外なところでコケる その1”
前話まで:テストで好成績を出したおかげで教員になれたネギ。終了式でもいろいろやっちまったんだけど……

涼風吹き始める春休みが始まりますと、麻帆良学園都市もそこいらの都会に近い賑わいを見せてきます。
……そんなところに、道に慣れない子供なんて放り込んだらさあ大変。

「オーーーイ、ネギ子どこ行ったー?」
「ネギちゃ~ん、ウチと明日太を2人っきりに~なんて気い遣わんと帰ってきてや~」
「いや、あのガキのことだから案内頼んだの忘れて素で迷ってるんだろ」

すっかり保護者に落ち着いた明日太と木乃香が、展望台を歩き歩き探し回るんだがね、都市ってぐらい広いもんだから見つけ

られっこないっスよ。

「せやかて~、終了式からこっち、明日太ウチに冷たくなってるやん……はっ!? まさか別の女に騙されてるとか……」
「んなもんねぇってばよ。大体俺と付き合ってるってことされても困るって、学園長が聞いたら黙ってねぇぞ」

妙にアプローチかけてくる木乃香さんにも、戒めの効いてる明日太は惑わされまいと受け流してます。

(……そりゃあなぁ、終了式の夜中に『近衛のお嬢様に手を出してみろ、骨すら残さん!』って刀持ったヤツに襲われたら身

構えもするわい!)

……って別にも理由あったのね。しっかし脅迫犯にしても刀とはレトロな。

「おばあちゃんたちが何言うても、ウチの明日太への気持ちは変わらへんも~ん。あ、終了式で思い出したんやけど、おばあ

ちゃんが千雨くんn」
「いや、それは言うな! 長谷川のことはそっとしてやってくれ! イジられる苦痛を知る人間として頼む!!」

さて、そんな長谷川クンに一体何があったのかは……後日語るから待ってて下さい。

「え~~、ウチはカッコええ思うんやけどな~ホスt」
「だから言うなっての! ……あぁ、とりあえずネギ探さねぇといかんよな! ここは蛇の道を通るヘビを呼んでみるか……

当初の目的に戻りましたらば、何かひらめいた明日太は携帯を出して掛け始めました。

『はいはいこちら報道部2A-3本部ー。どうしたの明日太、奥さん2人と散歩中じゃなかったの?』
「奥さん言うな! あのよ、ネギがはぐれちまったんでさ、ちょっと頼まれてくんね?」

ごにょごにょと電話越しの朝倉に何かを伝えてしばらくしますと、そこいらのスピーカーから放送の始まるメロディが響きま

す。

『迷子の御案内です。中等部英語科のネギ・スプリングフィールドさん、保護者の方々が展望台近くでお待ちです。中等部英

語科の……』
「あ~、朝倉に放送頼んだん!? 明日太結構エグいことするんやな~」
「まぁ、人を散々探させたバツってこった。コレで少しは勝手に歩き回ったり……」
『迷子のご案内です。中等部2-Aの神楽坂明日太くん、担任の先生が市街ブロック・迷子センターにてお待ちです。中等部

2-Aの……』
「ってソッコーで放送返しかよあの野郎!?」

流石ネギ先生さん、バカ中学生の頭の上を行くくらい朝飯前……でも子供のやることだよな。

「あのクソガキ、待ち合わせはこっちなんだから自分から来りゃいいだろが! 木乃香、今連れてくるから待ってろ!」
「分かったわ、早よ戻ってきてや~」

はらわたを煮えくり返らせて明日太は走っていきまして、そのうち困り顔のネギを引っ張って戻ってきましたとさ。

「怒りたいのはこっちですよっ、乙女心を弄ぶ輩は地獄の業火に投げ込んでいいって又吉さんも言ってましたっ!」
「言うか! だいたい仕返しにしたって可愛げがなさすぎるわい! 人の休日使ってる自覚ねぇだろ!?」
「ほら、明日太もそのへんにしとき~。ネギちゃんも迷ったらすぐ連絡するんやえ、何せ1日2日じゃ案内しきれんくらい広

いんやし」

どうやら来るまで口ゲンカを続けていた様でして、木乃香の一声でやっと沈静化ですよ。

「分かってるよ、ったく……ほらネギ、こっち来て見てみな」
「う~~ん……風も気持ちええし、おてんとさんもよう見えてええ日和やわ~」
「来てみな、ってそんな景色ごときで私の機嫌を直そうなんて……うわーーっ、すごいですーーーーっ!!!」

渋々ネギが覗き込んだ学園の風景は、東京ドームで数えるのも疲れそうな広大さと、洋風の建築物と自然が絶妙に融合した光

景でありました。

「あっこらへんが住宅街とウチらの学生寮があるやろ、校舎はあっちの方で……」
「へー、そうなんですかー……あ、あれはどういうところなんですか?」
「絵に描いたようにはしゃぐもんだな、オジサン付いていけねぇよ……まぁ解説できるほど知らねぇのもあっけど」

手のひら返したようにウキウキなネギと、流石学園長の孫娘ってぐらい流暢に説明する木乃香に比べて、嫌々来てた明日太の

ノリきれないことで。

「奥の方に見える大きな木が……あ、おばあちゃんからメール来とる……ん~、ウチに用事あるみたいやから、後は明日太が

案内してくれへん?」
「ハァ!? 休みだってのに2人連れでそこいら回れってか! それにお前だけ呼ぶって、あのババァまたか?」
「えーっ、明日太さんと2人きりなんて私身の危険感じちゃいますっ!」
「勝手に感じてろバカタレ!!」

そこに学園長から最後通牒! 木乃香さんが戦線離脱せにゃならんのですが明日太もネギも拒絶気味さ。

「大丈夫や、ウチの明日太ならできるて。ほなちょちょいと断ってくるからまた後でな~~」
「コラ待て木乃香! 大体断ってくるっつって断れた試しねぇだろ!」
「あー……行っちゃいましたね木乃香さん」
「しゃあねぇ……帰るか」
「って決断早すぎですよっ、この日を待ってた私の気持ちを踏みにじるなんて、明日太さん鬼子ですっ!!」
「お前だって俺と回るのはイヤだっつってたろが! とにかく俺は帰って寝たいんだy」
「見つけたぞネギ子! ちあーーーっ!」
「ちあーーっ!」

2人置きざられて行くか帰るかでまたケンカがおっ始めりましたが、そこに鳴滝風香さんが2人ほど……え、2人!?

「んだよ、風香が2人で何しに来t……って何で両方とも風香なんだよ!? アレか、ドッペルゲンガーか!?」
「ま、まさかまた入れ替わりを見抜けって言うんですか……」
「そのとおり! ボクら2人のどっちが本物のボクか当ててみろー!」
「ネギ子が僕らの先生なら、ちゃんと当てられるハズだよねー!」
「……お前さ、またこいつらのイタズラにノせられてんのかよ。ちゃんと断れよ」
「だって、登校拒否とか私の経歴にキズつけるような事言い出すんですもん……でも、当てる方法はありますっ!」

どうやら、また双子さんにイタズラをけしかけられているようで。しかしネギには秘策があるようで、すっと前に立って深呼

吸をしますと。

「そうです、どうせ聞こえないなら、言ってしまいます! 史也さん好きですっ! 史也さん愛してます! 史也さん、春休

みに入る前から好きだったんですっ! 好きなんてもんじゃありません、史也さんの事をもっと知りたいんです! 史也さん

の事はみんな、ぜーんぶ知っておきたい! 史也さんに抱き締められたいんですっ! 潰されるくらい抱き締められたいです

っ! 心の声は心の叫びでかき消しますっ! 史也さん! 好きですっ、史也さーん! 愛しているんですっ! 私のこの心

の内の叫びを聞いてくださいっ、史也さーん!」
「ね、ネギ子、一体何言い出して……」
「クラスを受け持ってから、史也さんを知ってから、私は貴方の虜になってしまったんです! 愛してるってこと! 好きだ

ってこと! 私に振り向いてくださいっ! 史也さんが私に振り向いてくれれば、私はこんなに苦しまなくって済むんですっ

! 優しい貴方なら、私の心の内を知ってくれて、私にに応えてくれるでしょう! 私は貴方を私のものにしたいんです! 

その美しい心と美しいすべてを!」
「オイてめぇ、アドリブでどんだけ尺使う気だよ!?」
「誰が邪魔しようとも奪ってみせます、恋敵がいるなら、今すぐ出て来なさい! 相手になりますっ! でも史也さんが私の

愛に応えてくれれば戦いません、私は史也さんと抱きしめ合うだけです! 貴方の心の奥底にまでキスをします! 力一杯の

キスをどこにもここにもしてみせます! キスだけじゃありません、心から貴方に尽くします! それが私の喜びなんだから

、喜びを分かち合えるのなら、もっとふかいキスを、どこまでも、どこまでも、させてもらいます! 史也さん! 貴方がツ

ンドラの中に素っ裸で出なさいと言うのでしたら、やってもみせます!」
「さっきから聞いてりゃふざけんじゃねぇ! 史也はボクのものだ!」
「……はい、そっちが風香さんですね」

世界中に聞かれて恥をかきそうな告白をかましたところ、本物の風香も負けじと告白しまして正解と相成りました……ってこ

れでいいのか。

「お、お姉ちゃん、今なんて言って……」
「う……なんでもないよ! ネギ子が変なこと言い出したから対抗しただけだよ!」
「またこのガキ、人間関係に亀裂作るの上手ぇよな……」

この後家族会議になりそうなことが起きれば、戸惑うのもムリはないよな。

「と、ともかくコレでネギ子の勝ちなんだからいいだろ! ボクらはさんぽ部の活動があるからまたね!」
「ん……ちょっと待った、どうせなら一緒にネギも案内してやってくれ。ほら、お前らなら歩き慣れてるだろ?」
「あー、ネギ先生を案内するんですか、いいですよー……お姉ちゃんもいいよね?」
「え……分かったよー。そのかわり明日太、あとで食券10枚くれよー!」

そこに明日太がちょっと思いつきまして、さんぽ部のお2人さんにネギを任せようと話を持ちかけてきました。

「ありがとうございますー、風香さん。じゃ明日太さんも行きましょう」
「って行きましょうじゃねぇよ、風香たちに任せて俺は帰って寝ようってシナリオが……」
「そ……そうだよ明日太も行こーよ、人数多いほーが楽しいしさー!」
「決まりですねー、かえで姉と空さんがいないけど楽しくなりそうですー」

仕組んだくせに、しっかり明日太もメンバーに入れられてるとは悲しいことよ。

「オイ、何でそうやって俺を巻き込もうとするんだっt……コラ風香、押すんじゃねぇ!」
(しょーがないだろー、場の流れでも史也にあんなこと言っちゃったから気まずいんだよー。食券くれなくていいから明日太

も来てよー)
「んな理由で巻き込むな! 言っちまったお前が悪いんだろ!」
「何やってるんですか明日太さんにお姉ちゃん、行きましょうよー」

もうこうなったら後には引けませんよ、諦めような明日太。

「そういえばさんぽ部の活動とかって言ってましたけど、どういうことをしてるんですか?」
「活動って言ってるですけど、ただ学園をブラブラ歩いて、世間話とかをしてるだけですねー」
「ふっふっふ……それは世を忍ぶ仮の姿だよ史也!」
「よ……世を忍ぶ仮の姿、って他に何かあるんですか?」
「そうだよネギ子ー。散歩競技っていうのは裏社会で300年の歴史を持ってて、サハラ砂漠からシベリアまで己の足だけで

横断する別名”デス・ハイク”に至っては、険しい自然と数々の戦乱に阻まれて多くの死傷者が……」
「えーーっ! 知りませんでした、散歩にそんな恐ろしい競技があっただなんて……」

世間話に絡めた風香の突拍子もないウソ話に、ネギも大きなリアクションを……あっさり真に受けてどうすんだ。

「オーイ、何ちゃっかり騙されてるんだアホ教師」
(シーッ、こういうときは騙された演技をして純粋無垢な女性を演出した方がいいってコリン星の雑誌で……)
「……とりあえず、風香もお前もロクな女にならねぇってことは分かった」
「ごめんなさいですー、お姉ちゃんがウソつきまして……それじゃ、中等部のあたりから案内するですよー」

黒い、ネギはどこまでも黒いぜ! そんな黒味に気付かない史也が一行を引っ張っていきまして……常人が少ない今、君だけ

が頼りだ。


鳴滝風香 曰く、
”くっそーネギ子のやつ、ボクら双子の入れ替わりトリックをあんなヒキョーなやり方で台無しにして……
やっぱり史也にかつら被せるだけじゃインパクトないのかなー、化粧……はボクもしてないしなー……”


”前略、天国のおふくろ様。
まぁ怒ってなかったみたいだし、今度からキチンと見に行かなきゃいかんよな。
……って何その刺すような視線、俺何も悪いことしてねぇだろ!?”

9話 ”自分の庭だと思ってる場所ほど意外なところでコケる その2”
前回まで:鳴滝姉弟も巻き込んで、ようやっとネギのための学校案内が始まったところです。

「はいー、中等部専用体育館に到着ですー」
「体育系の部活は大体こっちで練習してるんだってさー。空の陸上部とか、桜子のラクロス部とか、刹那くんの剣道部とかは

違うけど」

学内をのんびり歩いて着きましたるは、ネギはお目にかかったことがなかったらしい体育館でありました。

「うわーっ、大きいですねー。顧問もしてないですから、あんまり見たことなかったんですよー」
「やほー、ネギちゃんたちじゃない。どうかした?」

外から構えをじっくり見ていますと、後ろから裕奈が呼びかけてきましたよ。

「あ、裕奈さんこんにちはー。風香さんと史也さんに学校案内してもらってるんですよ」
「へー、なら私は備品取りに行ってたところだからさ、ネギちゃんも一緒に入って見ていきなよ」

ボールかごを押す裕奈の言葉に甘えまして、中に入りますと熱気高まる練習がそこら中で行われていました。

「わーーっ、中も広いんですねー!」
「うちの学校だと、あっちのバレー部とかドッジボールと……あと強いのドコだっけ?」
「新体操部は男女で大会出てるですよ」

初めて見るものだから興奮するネギと、ノリもよく説明する風香に史也……についていけんのでゆっくり付いて入ってきたの

は明日太くん。

「……それにしても、明日太がネギちゃんの面倒見てるなんて前じゃ考えられなかったよねー」
「見させられてる、ってのが正しいぞ。最近ツイてねぇなぁ、俺も」
「ひがまないの。そうやってグチ言っててもキチンと面倒見てくれるトコに、内気な子だと惚れちゃうもんなんだよ」
「ハッ、何だそりゃ」

裕奈も気になって話しかけて、地味な援護射撃を仕掛けますがこの朴念仁には効かんようです。

「へー、明日太がそんなそっけないってことは、まだアキラは告はk」
「こら風香、そーゆーことは本人から言わせなきゃ意味ないでしょ!」
「さっきから何の話してんだお前ら……」

緊急事態を悟った裕奈が慌てて風香の口を塞ぎに掛かりまして……しかし、明日太もここまで無頓着だと殴りたくなってくる

な。

「ふぐぐ……ぶはっ! 何だよゆーな、いきなり口ふさいできて! あーネギ子ー、運動部の中で一番弱いのってバスケ部な

んだyもががが……」
「ほっとけーー!! 毎回キズ痛めつけるよーなことばっか言ってこいつーー!」

あれま、裕奈の逆鱗にジャストミートするようなこと言ったもんだから風香が益々脱出不可能な状況に……

「……まあでも、こうやって若い頃から体を動すのはさわやかでいいですよねー」
「どこぞのバアさんかお前は」
「見えた! ネギちゃーーーーーん!!!」
「え、このリボンまさkイヤーーーッ!!」

そんなやり取りを見ないつもりで年食ったことを言うネギに、突然ロリコンの魔の手が迫って来まして。

「まき男さん落ち着いてください、ネギ先生は僕たちが案内してるんですからー!」
「だったら僕も付いてくよ! ネギちゃんとのキャンパスライフの第一歩だもんnグハァッ!!」
「……佐々木、遊んでる暇があるなら館内10周!」
「に、二ノ宮先生、クラブ投げちゃイヤン……」

ロリコンも顧問の放った一撃には勝てず、体育館の中を走らされるハメになったとさ。

「よーしネギ子、体育館もじっくり見たでしょ、次行こーよ!」
「えー、もうですか?」
「回らなきゃいけないとこたくさんあるんだししょーがないじゃん、ほら行こー!」

いつのまにやら解放されてた風香が先導しまして、案内は次へと進んでいくようですね。

「風香隊員、よろしく頼んだ!」
「ラジャ!」

出て行く風香に何でか合図を取り合う裕奈、なんて奇妙な図式がちと気になった明日太ですが、まあ無視して付いていきまし

た。


「ここは屋内プールですー。僕らの授業でも使ってますけど、主なのは水泳部ですねー」
「水泳部もすごいんだよ、うちのアキラがエースなんだー」

風香がいそいそ引っ張って着いたのはなんと屋内プール……私立学園って金があっていいねぇ。

「やっぱり麻帆良学園だと、プールの設備も大きいんですねー……あ、今泳いでるのアキラさんですよね、とっても速いです

よ!」
「ほぉ、ありゃすげぇわ……なんだかんだで初めて見るもんなぁ」
「え、明日太さん見たことないんですか?」
「あぁ、一応大会に来てって言われるんだけどな、つい忘れてバイト入れちまって……」
「ふーん、最低ですね」
「いちいち言わんでいい!」

練習の真っ只中だったようで、一心不乱に泳ぐアキラを見つけてネギも明日太も感心しきりです。

「お、もうゴールした……おーい、アキラー!」
「あ、風香ちゃ……え、明日太君も来てたんだ……」
「あー、その子がウワサの子供先生かー!」
「こんな子が授業やってるんだ、いいなぁー」

いきなりドギマギし出しながらも近づいてくるアキラですが、それより速く集まってきたのがネギに興味津々な水泳部員だっ

てね。

「うん、そうだけど……あんまり詰め寄っちゃ……」
「は、はわわわ……」
「あぁスマン、あんまりそうやって群がらないでくr」
「はいはーい、ネギ先生に質問がある人はならんでならんでー! ほら明日太、ジャマだからどいててよ!」
「何がどいててよだ風香、んな殺到されてんのにお前らだけでって押し出すなぁっ!!」

風香が率先してネギの取次ぎをやろうと張り切り始め、ついでに明日太を群がりから追い出してしまいました。

「だ、大丈夫、明日太君?」
「いや、なんともねぇが……しかし済まなかったな、練習のジャマしちまって」
「そんなことないよ、明日太君が見に来てくれて……その、嬉しかった……」
「んな大ゲサな、むしろ今まで見に来れなかったことも謝らにゃいかんし」
「謝るなんてそんな、明日太君が忙しいのに、頼んだ私が悪いんだし……」

アキラも顔が高潮してくるぐらいの長話が続いて……いや、彼女基準でね。でも、右向いたり左向いたりしないで正面向いた

方がいいかと……

「……ん、どうしたアキラ、そんなキョロキョロして……うわっ、顔も赤いじゃねぇか、体冷えちまったのか?」
「えっ、そんなことないけど……あ、明日太君、そんな覗き込んで、顔近づけてきちゃ……」
「お……こりゃスマン。まぁ埋め合わせと言っちゃなんだが、これからは時間見つけて来るようにするよ」

急接近でヒートアップした上、これからも来ると言われちゃイベント成就近しってモンだ。ラブコメパートのネタ無くなっぞ

!?

「んだが、さすがアスリートだよな。ゲン担ぎからしっかりしてるなんてよ」
「……ゲン担ぎ?」
「え、前に俺がシャーペン貸したときにテストの点数よかったって言ってたから、そういうあやかりかたをするんだと思って

たが……何か他にあったか?」
「う、うん……そんな感じ、かな……」

……まぁまかり間違ってもそんな展開ないか。明日太がどうでもいい過去を引っ張り出して自己補完してまして、アキラも拍

子抜けなまんまうなずいちまったよ。

「明日太さーん、そろそろ次の場所行くですよー」
「っと、んじゃアキラ、そのうち見に来るぜ」
「え……うん、明日太君、ありがとう……」

ハイ時間切れ、ってことで史也の呼びかけに向かった明日太に、精一杯返事をするアキラさん。まあこんなもんですか……

「いや、礼にゃ及ばねぇさ。そんじゃなー」
「ちぇー、あんだけ水泳部の相手してやったのに、あれっぽっちの進展と食券5枚だけかよー。ゆーなの頼みなんて聞くんじ

ゃなかったなー」
「なんだ風香、また何か企んでたのかよ!?」
「……なんだか、水泳部の女子に群がられると通常の3倍腹が立ちますっ」
「先生がひがむなひがむな」

明日太にすりゃドタバタ以外は肌になじんでなさそうだから、色恋センサー働かないんだろうが、ねぇ。


プールから校舎近くに戻ってきまして、次に訪れたは広大なるグラウンドです。

「グラウンドでは、屋外系の運動部が活動してるです。これだけ広くても、毎日場所取りばっかり起きてますけど……」
「……あ、ネギちゃんたちじゃない! こっち見ていきなよ、チア部伝統のフォーメーションの練習中だよー」
「この声は、美砂さんのチアリーディング部ですね……って、これは何なんでしょう……」

柿崎さんに呼ばれた先を見て驚くのも無理はなし、柿崎と桜子をそれぞれ片手に抱えて辛そーにしている釘宮くんがそこにお

りました。

「い、今呼ばなくてもいいだろ美砂! ちょっとの振動でも腕が死にそうなんだから!」
「おー、クギミーこんなことも出来るんだ、面白いからもっとやってみせてー!」
「頑張ってよーくぎみん、バカ力の明日太に鼻で笑われちゃうよー?」
「こんなんこれ以上続くか、ってクギミーとかくぎみんとか言うんじゃな……どわあああっ!!」
「「あっ……キャーーーッ!!」」

名字へのこだわりが仇となりまして、哀れにも崩れたフォーメーション。そしてやはり尻に敷かれるは釘宮円。

「あっちゃー……もう円、もうちょっと保たせなきゃ演技で使えないじゃない」
「今のヤツをどの演技にどう入れるつもりだったんだよ!!」
「えー、”やっぱりくぎみん、2人で乗ってもだいじょーぶー!”ってやるつもりだったのにー」
「応援でそんなことやったらつまみ出されるだろ、ってかまたくぎみんって言ったな!?」
「あはは……くぎみんさんって見事なまでに尻に敷かれてますねー」
「お前もイジる気満々で言うなよ!」

必死でやったところに、この扱いは非情と言うんじゃないんスか。ネギさんも感心すなや。

「でハ、そんなクギミークンに超包子謹製肉まんはいかがカナ? 今回は特別に食券一枚3コのトコロ4コでゴ奉仕するヨ!


「超まで来たのか、ってお前もクギミー言うんじゃなーい!」
「いや、ツッコミどころそこじゃねぇだろ」

それも目立たぬ賑やかさの中に、いわゆる飯屋の超包子の皆さんが車両ごと来てその上オマケ商売ですよ。

:今日もできたてでおいしいですよ、どうぞ食べてってください
「ちなみに本日の栄養値算出表は……あれ、どこだったっけ茶々丸?」
「カウンターの上に用意しておきました、ハカセ」
「うわっ、あっという間にお客さんが集まってますっ、すごいですねー」
「基本、いつどこに出てくるか分からねぇからな……神出鬼没っつぅか、天才のやることは理解できねぇよ」
「フム、古が中武研でいないとはいえ客足は上々ネ、流石天才の手腕ヨ……お、ネギ老師に神楽坂クン、いいトコロに」

見る見る内に客を集めて、お仲間に切り盛りさせて自画自賛な超も、素直に驚くネギと明日太を見かけて近寄ってきます。

「イヤー、バカレンジャー達の情報のおカゲで『図書館探検部監修 超センセイがご案内!図書館島の神秘 改訂版』がバカ

売れしたヨ。お礼に特製肉まんをサービスするヨ」
「わー、ありがとうございますー……あむっ、おいふぃでふ~」
「なんかムカつく理由だが、ありがたく貰っとくよ……ってコラネギ、口の中無くしてからしゃべれ!」
「期待どおりのリアクションに感謝ヨ。風香サンに史也クンもどうカナ?」
「あー超さん、お気持ちはありがたいですけど……」
「ボクらはもうおやつの時間なんだー、今度にするねー超りん」

至福な顔して肉まん頬張るネギを目の前にして、何でか双子さんは買わない方針です……妙に我慢効きますね。

「超くーん、私たちにも1袋ちょうだい。円のツケでねー」
「あいワカタ、すぐ用意するヨ」
「え、ちょっと待て美砂、また俺に払わせる気なのか!? 桜子なら期末テストのトトカルチョ当てたしたまには払えよ!」
「えー、私と美砂はダイエット中だから半分づつだもーん、一番食べる円が払うべきでしょー」
「何勝手に大半食わせようとしてんの!?」
「体力つけるには食べるのが一番でしょ。ほら桜子、はんぶんこで食べよー」
「ありがとー美砂……ん、いつもよりお肉少な目っぽいー!? ラッキー!」
「……ああ、もういいや……」

ブレイクタイムに入ってもこんな扱いに滅入りすぎてツッコミ意欲を無くした円くん。挫けるな明日があるよ!

「さーて、そろそろおやつの時間だよ明日太ー」
「んあ? 何で俺に言うんだよ」
「だって、案内を頼んできたのは明日太さんですから……ちょっと食堂棟まで顔貸してもらうですよー」
「あぁそゆこと……ったく食い意地の張ったお子さんだぁな」
「明日太さん、ゴチになりまーすっ!」
「って一緒になってオゴらせようとすんなバカ教師!!」

我慢が効くんじゃなくて報酬はきっちり頂く主義だった風香と史也とついでのネギに引っ張られて、明日太は食券消費場もと

い食堂棟へレッツらゴーでございます。


佐々木まき男 曰く、
”はーい、今週の黒板ネタいきまーす! ’平○綾使えば『そうそう言い忘れてたヨ、麻帆良に住んで食べなかた人ナシの美

味、中華屋台・超包子は絶賛営業中ヨ! 詳しくはボクが経営するネットテレビChaoでゴ覧になるヨロシ♪』’……って

超くんカブってるじゃん! え、ADさん次週もやれってマジ!?”



”前略、天国のおふくろ様。
そりゃ夕方アニメもやってるしさ、小中学生が見てるかもしんねぇのも分かるさ。
でも、あの場ではあぁツッコむしかなかったんだ! 下ネタなんて分かりきってたけどさぁ!”

9話 ”自分の庭だと思ってる場所ほど意外なところでコケる その3”
前回まで:要するに、クラスメイト紹介してたんです。

「屋上から地下まで……もぐもぐ……ぜーんぶ食べ物のお店ばっかりなんですね……んー甘くておいしー♪」
「ホントは文化部も……むぐむぐ……紹介したかったんだけどさ、160個はあるし今日だけじゃムリっぽいしー……うーん

、このマンゴープリンココパルフェは当たりだよー!」
「今月の新作も……あむあむ……おいしいメニューばっかりですねー。あ、そのジュースこっちですよ店員さーん!」
「……なんか、見てるだけで腹がふくれてきた……」

食堂棟はとあるお店、ネギたちの座るテーブルの上にはごまんとスイーツが乗っかっておりまして、明日太以外は我先と格闘

戦っつーかお口の中へほいほい持っていくことしきりです。

「そーいや明日太、ぜんぜん頼んでないじゃん。この空気で何も食べないのは変だぞー!」
「自分の食券引き換えに空気守りたくねぇよ、ってかお前ら遠慮って日本語知ってるか?」
「はい、史也さんあーん……はー、なんだか童心に戻った気分ですっ。風香さんも史也さんも私より身長低くて、子供っぽい

生徒さんで助かりましたよー」
「お前はまず毒含んだコメントをやめんか!」

この児童たちに、自制を働きかけようなんて無駄な努力だと思うお。

「なんだよー言うじゃんかネギ子ー! そっちだって10歳のクセに先生なんてやってて薄ら汚れてるんじゃないのー!?」
「ガンチクがあるって言ってくださいっ。幼なじみでアーノンってすごいいたずらっ子がいたせいで、いろいろ世知辛いこと

学んでますからねー」
「なんだか、本格的に発言がババァじみて来てっぞ……ってオイコラ、何喋りながら名簿に書き込んでんだよ、また妙なこと

書いてっだろ!?」
「え、何書いたですかー、見せてくださいですー」
「な、何にも書いてないですよっ! とりあえず、もう日も落ちてきましたしお開きにしましょうよ、ね?」

何か思うところをクラス名簿に書きとめたネギですが、追求されて勝手にお暇しようとしてます……だったら目の前で書くな

よ。

「何言ってんだよネギ子、まだ大事なところが残ってるんだぞー!」
「あ……あそこだねお姉ちゃん、すっごく重要なところなんですよー」
「は、はい、分かりました……誤魔化せたしいっかー……」
「良かねぇ良かねぇ」

思うところがあるのかもう一箇所と風香が促しまして、とっととテーブルの上をまっさらにしまして行動再開です。


「こ……この裏山に何かあるんですか?」
「もう少しです、頑張って先生ー」
「頼りねぇな、こんぐらいの坂でヘバってんじゃねぇよ」
「ボクらより早く息が上がるなんて、ネギ子も大したことないなー……お、見えた見えたー!」

険しい山道を登り続けてネギも消耗気味ですが、見上げた先にようやっと目的地が見えたようです。

「あ……この樹ってドコからでも見えてるあの……ってこんなに大きかったんですか!?」
「この樹は学園が建てられる前からあったらしいですよー」
「みんなは世界樹って呼んでるよー。ホラ、しずくとか葉っぱがスゴイ回復アイテムになるあれみたいなカンジー」
「あー、なんとなく分かりました……でも見た感じ、この~木なんの木気になる木~の方が近いような……」
「オイ、そこのイギリス人」
「知らないもの持ち出してくるなよー。それより上登ってみよーよ、夕日がキレイなんだー!」

東京ドーム1個分は覆い隠そうと葉が生い茂り、塔と言わんばかりに太い幹、これぞ麻帆良裏名物・世界樹に連れてこられた

ネギさん。
説明も手早く済んでそんな大層な樹を登るハメになりました……って今日は頑張るなぁ風香さん。

「……そうそう、この樹って伝説があるんだー。片思いの人にここで告白すると想いが叶う……ってよくあるヤツだけどさー


「も、もう何も……聞こえませんっ……」
「あー、お姉ちゃんそれが教えたくて先生を連れてきたんだー……って先生大丈夫ですか?」

えっちらおっちら登っていって、平然と歩けるくらい太い枝に嬉々として辿りつく風香と史也……あれ、ネギ先生もう限界っ

ぽいよ!?

「くっだらねぇ、んなことのためにわざわざ樹ィ登らせたのか」
「下らないとはなんだー! 明日太みたいなハーレムの主と違ってなー、ボクやネギ子みたいな女の子はロマンチックな話に

憧れるんだぞー!」
「誰がハーレムの主だ! それにネギなら死にかけになっててまるで聞こえてねぇぞ!?」

あ、やっと明日太が指摘したか。

「ふーん……じゃあ史也、試しにネギ子に告ってみなよー。世界樹が叶えてくれるかもよー」
「そ、そんなことできないよー! 第一、僕は生徒だしネギ先生とじゃ……」
「う……うっせー史也のクセに生意気だぞー!! 姉と弟よりショーガイ少ないんだから、男ならぶつかってけー!」
「その理屈よく分かんないよお姉ちゃーん!」

要するに世界樹の伝説でからかいたかっただけですか……ハタ迷惑な子ですなぁ。

「ひ、人が疲れてるからって勝手に進めないで下さいっ……」
「一体何がしてぇんだかこの双子は……」
「だったらボクがお手本を見せてやるー! おい明日太! デザート今度からもおごってほしいから付き合えー!!」
「誰がんな理由で付き合うかぁっ!!」

あれま、明日太にまで飛び火しちゃったよ。猛烈に拒否ったところで、明日太のケータイに着信が。

「ん、木乃香か……ハイ、俺だがどした?」
『ゴメンな~明日太、おばあちゃんいつもより押し強うてな、断りきれんかったわ~』
「……まぁ、そりゃいつものことだよな」
『ほんでな、今日家具の安売りがあんねや。いつまでもネギちゃんソファに寝かせられんし、いろいろ買うていきたいから荷

物持ちしてくれへん?』
「あぁ、構わねぇが……ネギが1人で帰れそうにねぇんだよな、もう少ししてから……」
「何だよ明日太、用事ー? だったら行ってきなよ、ネギ子はこっちで引き受けるからさー」
「も……もう……動けませーんっ……」
「ネギ先生しっかりー……お姉ちゃんも言ってますし、先生のことは任せてくださいですー」

唐突に木乃香からコールがかかりますが、死に体のネギを連れて戻るわけにもいかず。でも心優しい鳴滝さんが預かってくれ

るってよ。

「そ、そうか? 悪いな、面倒押し付けちまって……木乃香、俺だけでもそっち行くわ、今ドコだ?」
『ん~、中等部校舎の入り口におるえ、待っとるからすぐ来てな~』
「あぁ分かった……んじゃすまねぇな風香、史也、俺帰るわ!」
「あばよー明日太ー!」
「さよならーですー」

明日太も好意に甘えまして、世界樹を急ぎ降りて校舎へと向かっていきました。


「よく買い込んだもんだな、運送屋はあさってだっけ?」
「そやよ。ネギちゃんもこれからが頑張り時や、奮発してもバチは当たらんえ~……そうそう、風香ちゃんと史也くんて、ち

ゃんと案内できてたん?」
「まぁところどころでふざけちゃいたが、結構分かりやすかったんじゃねぇか?」

そんな家具の買い物から帰ってきまして、小物棚をからって寮の部屋へと戻り行く明日太と木乃香さん。
今日の塩梅を話しながら、部屋の戸を開けますと。

「あ……おかえりなさーい……」
「お、もう帰ってたのかネギ。その様子じゃまだ疲れてんのか」
「ただいま~ネギちゃん、今日はどうやった?」
「え……子供扱いされてばっかりでしたけど、それなりにうまくいったってゆーか……」

既に帰ってきていたネギですが、疲れてるにしたって歯切れの悪い返事ですなぁ。

「なんや、釈然とせ~へんな~……あ、クラス名簿に何か書いたん、見して~な~」
「あ、だ、ダメですよっ」
「何だお前、まだ何か書いてたのか! この前は”バカレッドの すごい 回し蹴り”なんて書いてたし、モノによっちゃ…

…」

ペンを取り開いていたクラス名簿に気付かぬわけもなく、木乃香と明日太が覗き込んでみますと……

「な……”カンじるところを見抜いてくれるお姉さま”!?」
「い……”いざというときは野獣のように……”やて!?」

あーあ、”花よりダンゴ””2人ともまだまだ子供”って書いてあるのが消された風香と史也のところに、口に出すのも恥ず

かしいコトバが……

「え……わ、私そんなこと書いてないですよっ!」
「お……お前あの後何してたんだ!? アオ○ンか!? ア○カンなのかぁっ!?」
「ネギちゃん詳しく聞かせて~、ウチ興味津々やわ~」
「あーーん、違いますってー!!」

コイツは一大事と、ネギを尋問しながら夜は更けていきました……ってか、主犯は見当つくんじゃねーの!?


『ボクと史也が書き残した言葉で、ネギ子の信頼は崩れ去ろうとしていた! そしてそれは、ネギ子をこよなく愛するいいん

ちょであっても例外ではなかったー!』
『じ、次回、”僕らが求めた戦争だ”……って戦争になるんですかお姉ちゃーん!?』
『しょーがないだろー、元ネタがいじりづらかったんだからさー』
『……っつぅか、グッダグダだなお前ら』
『エンディングトークなんてこんなもんですよ明日太さん。ウソ予告でも私を貶める内容にするなんていい度胸ですけど』
『上等だネギ子ー、そこまで言うならリングまで上がってこいやー! 史也を賭けてショーブだ!!』
『まー史也さんならー、キープの1人にでもできそうだしー、相手になってやってもいいってゆーかー』
『あのなぁ、そんなよく分からん流れでタイマンに入るんじゃねぇよ!』
『そんな、お姉ちゃんもネギ先生も止めてよー……ほ、ほら僕、女子高生とか好きだからーーー!!!』
『『『……マジ!?』』』



10話 イヤンな時期を分け合った馴染みは特に大事にしよう


”前略、天国のおふくろ様。
どうにも、俺は金持ちのタタズマイってやつになじめないようです、ハイ。
……だってのに、あいつとの付き合いは途切れそうもねぇってのが変なもんだわなぁ”


10話 ”イヤンな時期を分け合った馴染みは特に大事にしよう その1”
前話まで:鳴滝の風香さんと史也くんに散々イジられたネギ。フラストレーション溜まってるかも……

『……転校生を紹介します。海外から転校してきた神楽坂明日太くんです……』
『…………』

春休み満喫とばかりにすやすや眠る明日太君が夢の中には、珍しいことに彼の過去の光景が浮かんでいました。
麻帆良初等部の教室らしき場所で、教師が彼をクラス中へ紹介しているらしい場面ですね。

『……とアナタ、その態度と目つき……校生のくせに、生意気じゃ……』
(……こいつ、ガキなのにタカミみたいな口調使おうとしてる……)

たまに夢に見たときでさえしょっちゅうノイズっぽく遮られる言葉も、何だか妙に思い出せるのですが、明日太にはまだ気付

けることではなく。

『うるさいよ、ガキが……』
『な……何よー! あんたの……ガキでしょー、このチビ!』
『……! ギャーギャー言ってくるのは、ガキのやることだろ、バカ!』
『……カだケンカだー! ……んちょに10円賭けちゃうよー……』

大抵、金髪の女の子が明日太と思しき男の子とケンカする姿が浮かんでくるのだが、夢見る当人も首を傾げるくらい男の子は

意思表示に欠けるお子さんだった。
そのケンカの最中に大きなノイズがたんまり押し寄せて、また金髪の女の子と顔を突きあわせる場面に変わって……だが、女

の子の顔は妙に晴れやかに見えます。

『もうすぐ……が生まれるんですの、いつ生まれてもいいようn「明日太さん起きてっ、起きてくださいってばー!」』

……って、肝心な部分に入りそうなところで現世からお呼びがかかっちまいましたよ。

「……ん、何だよネギ……春休みはバイト終わって3時間は寝かせろっつったろうがよ」
「何言ってるんですか、明日太さんが一緒に来いって勝手に予定組んだんじゃないですかっ」
「そやよ明日太、大事な日なんやし早よゴハン食べて行こ~や」

ネギに揺り動かされた明日太も本意気で目覚めまして、木乃香の呼びかけどおり朝食の席に着きました。

「……まったく、明日太さんにしては気遣いできること言うんだなー、って感心してたのに台無しにしてどうするんですかっ


「あぁあぁ悪うござんしたよ」
「でも、みんなして行こう言うたんは上出来やん。ウチとしても浮気は見張らなアカンし~」
「それはもういいっつってんだろ……」

今日は3人揃ってお出かけに行くようでして、他愛もないことを喋くりながらもご飯を食べきり、学外へと発って行きました

……あれ、ドコ行くんですか!?


「今日もええお天気でよかったわ~、絶好の外出日和やえ」
「まぁな……んだってのに、どうしてこんな成金臭漂う場所に来なきゃいけなかったんだろうなぁ、俺って」
「俺って、も何も明日太さんが言い出したことですよ……でも、ホントにお城みたいなお家ですよねー」

旅して着いた先は構えの大きい……って大きすぎね!? そんな驚くような大豪邸でございまして、ご一行は周りを長々巡っ

て正門にたどり着きますと。

「ネギ先生ー!! ようこそいらっしゃいまし……なっ、何で明日太さんに木乃香さんまで!?」
「どうもーいいんちょさん。そんなおしゃれしてどうかしたんですか?」
「やほ~いいんちょ、久々に来ても~たわ」
「……あのなぁ、明らかに何かやらかそうって行動ばっかり起こしてるくせに、俺らがネギ1人だけで行かせると思うのかよ

門の近くでソワソワと待っていましたいいんちょさんが元気に呼びかけ、明日太たちを見るやぶった切ってツッコミに入りま

したとさ。まぁ大邸宅が似合いそうなのは彼女しかおらんか……

「バカを仰らないで下さい! 折角ネギ先生が家庭訪問に来て下さったのに、あなた方がいてははかどるものもはかどりませ

んわ!」
「はかどるって何だよ、手篭めにするための工作とかか?」
「……ムキーーーッ!! 明日太さんそこに直りなさい、手討ちにしてくれますわ!」
「上等だ! 逃げも隠れもしねぇ、男の中の男出て来いやぁ!!」

あれまぁ、この人ら会うたびによくもケンカしますよねぇ。

「お嬢さま、落ち着いてください!」
「明日太抑えへんと……てまさか、そないかがんでケンカしとるのは、いいんちょのパンツ見やすいようにしとるんじゃ……

浮気はダメやよ明日太~!」
「明日太さんもいいんちょさんも抑えてくださいっ、テレ隠しのケンカなんていつでもできるじゃないですかー!」
「「な……テレ隠しじゃねぇ!!」ありませんわ!!」

かと思えば周りの制止にシンクロツッコミとは、仲がいいのを見せ付けたいだけですかキミら。


「ふう……先程は失礼しました。ではネギ先生案内いたしますわ、こちらが前庭になりますの」
「え……とっても広いですけど、どこからどこまでが前庭になるんですか?」
「そりゃ見える範囲全部ってヤツだよ。絵に描いたような大金持ちは存在からイヤミだからなぁ」

争いも一段落したところで早速雪広邸のご案内……なんだが敷地だけでも桁違いなスケールにネギも理解が遅れるもんだ。一

方で明日太が知った風な口を聞いてるのが以外っつうかなんつうか。

「そこは私が解説するところですわ、そもそも嫌味で作ったわけではありません! ……ところでネギ先生、昨夜に家庭訪問

していただけると聞いたときは驚きましたが、どうして急に私などの所へ?」
「はい、それはですね……」
(な……こっち見んな! 俺の名前出すなよ!)

いいんちょに来た理由を訊かれて後ろを伺うネギですが、目線の先の明日太はお手を振り振り名前を出されたくない合図で。

「……いえ、学級委員長のいいんちょさんと是非仲良くしたいなーって思いまして」
「ええっ! そ、そんな喜ばしいお言葉……私、原作はおろかリリ○ン女学院も引くぐらいの百合も覚悟完了ですわっ!!」
「オイ、そこの放送禁止人物」

だってんで取り繕ったセリフを吐けば、いいんちょも燃え上って息も荒くネギをなでなでし始めて……大丈夫か!?

「誰が放送禁止なものですか! では先生、シャワーをお浴びになってから寝室の方へ……」
「その発言が18禁だろがバカ野郎!! つかシャワー浴びてからって血じゃなくて金でつながったパパかテメェは!?」
「いいんちょ行動早いな~、そこは明日太にも見習ってほしいわ~」

コラコラ、そんなビデ倫に引っ掛かるとかPTAに注意されるとかになりそうなコト言わない。

「え、いいんちょさん、私今日は妊娠検査薬しか持ってきてないんですけどっ……」
「お前もやるつもりになってんな、ってか妊娠検査薬ってどんなボケだよ!?」
「あ……そ、そういえば家庭訪問なのでしたわね、こんな漫才に時間はかけられませんわ……では皆さん、私の個室に上がり

ましょう」
「いやいいんちょ、明らかに本気の目ェしてただろ」

何とか妄想の彼岸から帰ってきたいいんちょさんに連れられて、彼女の部屋に入りましたがこれまたどこぞのスイートかって

レベルですよ。

「こちらですわ、お入りになってください」
「うわー、お部屋も広いんですねー」
「あ~、また模様替えしたんやな。このカーテン高そうやわ~」
「まぁ部屋の中はともかくとして、眺めは変わんねぇっつうか、進歩がねぇっつうか……」
「あら、勝手にベランダに出てしまうおサルさんに、言える義理はないと思いますわよ?」

今回は驚き役に徹した感じのあるネギはともかく、勝手知ったるって動き様な木乃香と明日太にはさすがのいいんちょもイラ

ってきてるっぽいな。

「……まあ重大な行動に出なければ好きにしていて貰いたいですけど……そうそうネギ先生、ハーブティーがお好きとのお話

でしたよね」
「え……そうなんですけど、いいんちょさんに話しましたっけ?」
「その程度の情報、雪広の家名があれば造作もなく探れますわ……そして、各地の農園を買収して手に入れた茶葉をお出しす

ることも容易!」

何気に怖いことを呟きながらいいんちょが指を鳴らしますと、ハスの花に包まれたガンダm……じゃなくて呼ばれて飛び出た

執事と女中さんが数多あろうハーブティーと共に参上しましたよ。

「ど、どうも、グ○ース家ばりのトンデモ能力さまさまですっ……って最近誰か後付けてきてるなーって思ってたのはまさか

……」
「買収も何も買ってきただけじゃねぇか……そうだネギ、ここ出たらすぐ警察行こうか」
「さらにお茶請けのお菓子もよりどりみどりですわ!!」
「うわ~、洋菓子の文明開化や~~!」
「ツッコミ流しにメイド召喚してんじゃねぇ!!」

さらに大型ワゴンに狭しと乗って出てきたお茶菓子もセットで、なし崩しながらティータイムが始まりました。これでいいの

か……

「ん~、この香りは洋物やないと出せんわ~。いいんちょありがとな~」
「……なんか、洋物と聞くとアレなビデオとか思い出すな、ホンコン土産とか」
「全く……こんな和やかな雰囲気で、下品なことを口に出すものじゃありませんわ」
「悪かったな……ってか俺何もドンピシャなこと言ってねぇのに思い浮かぶんだな、ロリ物でも夜のお供にしてんのか」
「な……貴方の熟女趣味と一緒にしないで下さい!! 私はあくまでネギ先生とはプラトニックな関係から入ろうと……」

プラトニックならいいのかとか、女子相手に夜云々てセクハラやんとかいろいろツッコミ甲斐のあるトークばっかりでうんざ

りしそうなところに。

「美味しいですっ、いいんちょさん。ハーブティーはいつもお兄ちゃんが淹れてくれたので大好きなんです」
「あら、お兄さんがいらっしゃるんですの? これは結納で売り込むためにももっと詳しい情報を……」
「フゥーーーー、飽きた!」
「えっ、いきなりどうしたんですか明日太さん!?」

何だかいいんちょの心をくすぐる話題になってきましたが、始まって10分も経たずに貧ぼっちゃまが終了宣言かよ。

「あぁぁ何つうのかな、俺昔からこういう高い金払って香りも楽しめっての好きじゃねぇし、だったらジャ○ティでいいじゃ

んって……」
「そんな我儘で場の空気をぶち壊さないでくれませんか!? それにジャワ○ィってまだ売ってるんですの!?」
「だったら午後○ィーでもいいわい! それよりプール貸してくれよ、俺ら出る前に飯食ったばっかだし、動かねぇと腹に入

らんって」
「あ~せやわ、いいんちょの家てプールあるんやえ~ネギちゃん」

おいおい、何突然プールなんて言い出してんの、いくら金持ちだからって常備じゃねーんじゃ……

「何を勝手に行く流れに持っていってるんですの! まだネギ先生にお出しするものが……」
「えー、いいんちょさん、私とっても気になりますっ♪」
「え……ネギ先生がそう仰るならば仕方ありませんわ、どうぞこちらへ」

あー持ってたのね、それはそれで驚くこっちゃないが……ともかくネギのデビルスマイルでプールへ赴くことに決定ですよ。

(ったく……おい、そこの悪女こっち来い)
「え、明日太さんどうしm……いたたたたたたた!」
(あのなぁ、兄弟だ姉妹だとかはもっといいフインキになってから話題にしろっつったろうが、後先考えろよ!)
(その雰囲気を真っ先に壊してるのが明日太さんじゃないですかっ!)

明日太にちょいちょい指で招かれたネギが寄っていきますと、いきなり頬をつねって合間の反省会始まりー。

(しょうがねぇだろ、アイツ自体ツッコミどころの宝石箱なんだから! そこら辺は災害かなんかと割り切れ!)
(無理ですよぉー。でしたら木乃香さんあたりにフライ○グガッ○マンツッ○マンでもしてもらって、それに延々ツッコんで

てくださいっ)
(お前ヒロイン候補に何頼もうとしてんだ!?)

ヒロインにする気なのかよと叩きたくなる発言はともかく、とあーる企みを成功させようと必死なネギと明日太の運命は如何

に!? 失敗しそうだけどな……


ネギ・スプリングフィールド 曰く、
”広大な敷地、豪奢な邸内、何のかんの言いながら世話を焼く美しい令嬢……
                       こんなのに小さい頃から慣れ親しんでれば、明日太さんがハーレムを目指

すのも無理ないじゃねってカンジー?”


”前略、天国のおふくろ様。
なんというか、思い出せる部分も少ないのにこれだけやろうとする俺は何者なんだろうかなぁ。
ってか、またネギのせいでオンビンに済んでねぇ気がするんだが……”


10話 ”イヤンな時期を分け合った馴染みは特に大事にしよう その2”
前回まで:ネギの来訪にのた打ち回って喜ぶいいんちょだが、明日太曰くまだ足りないとか。

「ウチからいくえ~、空飛ぶお嬢様~~!!」
「なんの負けるか、ベア○ロー2つに2倍のジャンプに加えて3倍の回転でぶごぉっ!!」

どこからか用意してきた水着を身に纏い、プールへの飛び込みからしてリキの入った木乃香と明日太……に比べますと。

「全くもう……あんな尺のセリフが言い切れる訳ないでしょう」
「いいんだよ、後でアテレコすっから」
「特撮じゃあるまいし、そんなことしません!!」
「ま~ま~そない深いこと考えんと、いいんちょとネギちゃんも一緒に競争せ~へん?」
「嫌ですわ、明日太さん河童みたいに速いんですもの」

実家だってのに振り回されてヤレヤレって顔ないいんちょと、見て回るだけで満足なネギは付き合いきれずにプールサイドで

くつろぎ始めちゃったよ。

「カッパとは失礼な、水中マッハ1で泳ぐガマク○ラと並べても負ける気がしねぇぜ!」
「そんな○デ隊員無視しながら真珠買い歩くアキ○隊員で〆る回なんて、今のコ分かれへんよ~」
「いや、少なくともお前食いついてるじゃん」

んなディープな特撮ネタからなだれ込んで、水の掛け合いなんてレトロにはしゃぎまくるお2人さん……朝から体力あるねぇ

「それにしても、今日はちょっと手を込ませすぎなんと違うん?」
「何がだよ?」
「そないネギちゃん引っ張り出して~とかやの~て、素直に明日太が一緒にいて気持ち埋めたる~ってのでええんやない?」
「そういうことか……いいんだよ、俺にしちゃそんなダイレクトにやる気は起きねぇってことでさ」

かと思えばはしゃぎながら木乃香さんが、明日太にすりゃ突かれたくないだろう部分を尋ねてきてまして……器用だなあ。

「ん~、ウチが思うに自分がカッコようなるようにビシッと決めたいけど恥ずかしいからでけへん、って見えるけどな~」
「デタラメな分析すんじゃねぇって、ネギ寄こしゃ食いつくってチョロい考えなんだよ」
「せやったら、ネギちゃん引き渡してハイ終了、で済むやん? そうしないってことはやっぱいいんちょのこと大切にしとる

んよ」

木乃香さんも女の子、アホの明日太とは比べ物にならないほど心の機微を知っているようですね。

「……はぁ、分かったよ。もうツッコまずに聞いてやるから、六星占術だとどうなんのか言ってみ」
「ん、別に直して欲しいとかそういうことやないよ? そのうちいいんちょもそういう気遣いに気付くんやし。明日太が見た

目そっけないなんて、初等部から付き合うてるウチもいいんちょもとっくにお見通しなんよ」
「ハイハイ、左様でございますか……ってんなマンガみたいな展開あるもんかぁ?」

まあマンガだしn……じゃなくてじゃなくて、こんだけウブな子につき合わされりゃ探り方も覚えるって。お前の所為だぞ明

日太!

「でもな、いいんちょとはちゃんと仲のいい幼馴染で清算せんとアカンえ!? ウチは浮気も2マタも絶対許さへんよ~」
「あぁ、それが言いたかっただけなのな……ってか近衛家も雪広家も両方敵に回すってどこのアウトローだy」
「あや……心配要らずやわ、いいんちょがネギちゃん抱き止めとるし。アツアツやな~」

明日太のツッコミも遮って、木乃香さんもネギといいんちょの痴態にガッツポーズ。ですが……

(オイオイ何やって……って待て、何かネギの周りに風が渦巻いてってまさか!?)

ネギの習性と能力に詳しい神楽坂明日太クン、異変に気付いてすぐさま飛び掛っていきましたよ。

「ハンタァァァァァチャァァァァンスッッッ!!!」
「はぎゃーーーっ!!!」

ドコに持ってたのか謹製ピコハンをネギにぶちかましまして、ついでにふん捕まえてネギを尋問し出します明日太選手。

(お前魔法使おうとしてただろ、してただろ!? 何考えてんだ一体!?)
(はう……だって、目の前に美豊乳があったのでついムカついて……)
(美豊乳じゃねぇよ、ムラムラ来ないように出来るだけ視線を向けまいとしてた俺の胸へのこだわりの万分の一もお前にあん

のかガキャァ!!)
「明日太さん……私のネギ先生をドツいて……挙句勝手に連れまわすなど……」

ネギがデンジャーなことしようとしてたとは気付けないもんで、いいんちょにすりゃ単なる略奪行為でキレる対象でありまし

た様子。

「な……連れまわすも何もあるか、コイツがちとお痛をしようとしてたから……」
「問答無用ですわ! 毎度毎度全く、日がな私の邪魔をしないと気が済まないのですか!!」
「吐かせ、いつもはお前がバカみてぇな口叩くからだろ! こっちも毎度思うが、ロリコンでレズだってのにそのほっそいク

セに出るとこ出た体意味あんのか!?」

あーあ、勘違いが発端だってのにマジゲンカになってるよ。挙句にセクハラまで……

「な……よくもそんな辱めを! もう絶交です、二度とこの家の敷居はまたがせませんわ!!」
「あぁあぁ了解だよ、こっちだってこんなトコ出れて清々するわい!!」

そしてとうとういつもどおりのオチに。仕組んでた作戦はどうするんだか一体。

「あの、明日太さーん」
「今のはちょっと言い過ぎたやろ、あやまってき~や明日太~」
「……だぁぁっ! 分かった分かった、オイいいんちょ!!」

……かと思えば、流石にコレで見納めも悪いと思ったのか、明日太ももう一度いいんちょに向き直ります。

「今の……ロリとかレズとかセクハラ発言とかは言い過ぎた、あやまっから水に流してくれ、すまねぇ!」
「…………」
「あ、明日太さん……」
「じゃあ帰っぞ、後はテメェでどうにかしろよ、ネギ!」

なんともぶっきらぼうな捨て台詞を残して、帰る明日太とそれに従う木乃香さんでした。


「ええんかな~、ネギちゃんだけ残してって」
「俺みたく、怒られてたたき出されることはねぇよ」

電車を乗り継ぎ学内の駅で降りまして、学生寮へととぼとぼ歩いて行く最中、木乃香が口を開きまして。

「別の意味で心配でもあるんやけど……でも今日は特別やもん、な?」
「まぁ、確かにな」
「それにしても、”ネギちゃんを亡くした妹代わりに預ける”なんて、明日太がよく言い出せたもんやな~」

それは木乃香も話に聞いて覚えている記憶。丁度明日太が麻帆良に転校してきた年、あやかさんの家であったオメデタの一件

「あの時のいいんちょはみんなに言いふらしてて、だんまりばかりの明日太にもウキウキで話してたもんな~」
「あぁ……そう、だったんだよな」

ところが、提案した当人はあまり鮮明に覚えていない様子でありまして、今朝の夢でもはっきりしていた方ではありました。

「そんな期待してたのに、あの年の今日に流れてもうて……でも、明日太がちょっかい掛けてたらいつの間にかいつものいい

んちょやったし」
「……なんだよな、みんなそれは話すんだよな……徒競走で対決してて、毎回桜子がバクチやって大もうけしてたのとかは覚

えてるんだが」

ここら辺にくると完璧に記憶から消えてるようであります。まあ、周りも本人も驚く人の変わりようだったらしいしね、明日

太って。

「……ほんでな、ネギちゃんのことやから、多分そのことをいいんちょに喋ってると……」
「な、そういうこと先に言えよ! すぐ電話して念を押さねぇと!」
「もう手遅れやよ、今頃いいんちょは明日太に感謝しつつ、ネギちゃんと”ゆうがたは おたのしみでしたね”ってなっとる

ころや。せやからウチらも……」
「え、何腕組んできてんの!? あ、何か暗殺者っぽい視線を感じる! 俺ら付けられてる、殺られちゃうって!!!」

仕組んだの台無しっぽくてパニクる上の出来事にに、終了式の夜のことを考えるとデマカセでもなさそうなことを言って逃げ

ますが……無事かなぁ?


何とか寮部屋に戻っても無事だった明日太と、無事にした木乃香がゆっくりとしている夜に入り始めた頃、やっと外から人影

が……

「た、ただいまですー」
「おかえり~ネギちゃん、今日はおたのしみやった?」
「そうなりそうでしたけど、命からがら逃げてきたっていうか……」

そう言うネギも微妙に息が上がってまして、ホントかウソか判別できんのじゃないかなあ。

「……いいんちょ、何か言ってたのか?」
「はい、”ゴメン、あと死ねばいいのに”だそうです」
「いや、最後のは勝手なアレンジだろ!?」
「またまたー、分かってるんでしたら聞かなきゃいいのにー♪」
「るっせぇ、始業式近いんだからとっととフロ入って寝ろ!」

流石にネギに茶化されると、明日太も怒って場を濁そーとしてます……そしたらネギがまたゴソゴソと。

「あ、テメェまた名簿に何か書いたのか、見せてみろ!」
「あーん、駄目ですってー」

そんなネギが付け加えたのは、いいんちょの横に”明日太さんと四次元殺法コンビ”と……

「……お前、ナメてんのか」
「いえ、正直笑いが足りないかなーって真剣に……」
「だったらテメェで作れやぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「ほげーーーーっ!!」

今宵もまた、ネギがハンマーを喰らったっぽい奇声が寮にこだましましたとさ。とはいえ、今回は自業自得もあるしな。


『さーて、来週のアスた!h』
『全く以って納得がいきませんわーーーー!!!』
『なんだよ、ウソ予告でしょっぱく〆ようってとこをジャマすんな!』
『どうして私とネギ先生の進展があるべきところに、明日太さんとペンタ○ン&ブ○ックホールな関係なんてまとめになるん

ですの!? スタッフ、特に脚本と演出は出頭しなさい! 即刻”百合百合パニック大作戦!”……いえ、ここは原作にあや

かって”昨日の百合は今日も百合!”で作り直してもらいますわ!』
『やめてやれよ、つか題名以外原作から離れる気満々だろ!?』
『この世のアニメにオリジナル展開はつき物ですわ! よっていずれは明日太さんにも火s』
『え、あれ熱いって聞いてるよ、やれってか! 俺にやれってか!?』
『……あら、とりあえず次回予告? 今度もネギ先生を追いかけられるのですね!? それでは次回、”ネギ、雪広姓になる

”もまた見てくださいね! じゃんけんグー! うふふふふふ……』
『結局ウソ予告はするのな!?』


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