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双子SS(風太史伽)

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双子SS(風太史伽)
暗い山道を、一歩一歩確かめながら上っていく。

「史伽、転ぶなよ」

「わ、わかってるです・・・あうっ!」

あーもう、言ってるそばから。
小石か何かにつまづいた史伽の手を引っ張ってやって、服についた泥を払う。
昔はこの後に泣いてる史伽を泣き止ませる仕事があったけど、さすがにそれはなくなったなぁ。

「大丈夫かよ?」

最後に足元のほこりを落としながら尋ねる。
見た感じひねったようには思わないけど、変に負けん気の強い史伽だから、やせ我慢して隠してるかもしれない。

「う、うん・・・大丈夫」

すまなさそうに口ごもる史伽の顔をじっと見る。
もし嘘ついてたら目がふらふらするからすぐわかるんだけど、そんなことはないから多分ホントに大丈夫だろ。

「そっか」

そうつぶやいて、また先に立って歩き出す。
今度は、さっきよりも足元に注意する。
そして、史伽が転びそうな石ころや草なんかを少しでも史伽が歩きやすいように足でどけていく。
そのおかげかはわからないけど、史伽はそのあと、一度も転ばずに世界樹の丘のてっぺんにたどり着いた。
先に世界樹の根っこのところに座っていた俺のところまで走ってくる史伽。
転びやしないかとはらはらしたけどぎりぎりセーフ、何回か危なかったけど。
少し息を整えてから、史伽が俺の隣にぺたんと座る。
えへへ、とはにかんだ顔でこっちを見るのはいつもの史伽の癖だ。
ずっと一緒にいるけど、こうする理由だけはどうしてもわからない。
まぁ、どうってことないからいいんだけど。
しばらくそうして俺のほうを見たあと、やっと今日俺が夜中に史伽を連れ出した“理由”に史伽が目をやった。

「――――わぁ・・・・・・・っ!」

次の瞬間、史伽の口から出たのは、大きなため息のような声。
まばたきするのも忘れて、大きな目をまん丸にして、世界樹の下に広がる学園都市を見下ろしている。

「どうだ? すげぇだろ」

へへっ、とちょっと得意げに笑う。
最初にこの景色を見つけたのは、ちょっといたずらを仕掛けたのがバレて、ハルナ達から逃げ出したとき。
思いっきり走ったせいか、今と同じ場所に座った後、どうにも眠くなって、沈んでいく夕日を見ながら、ついうっかり居眠りした。
冷たい風が吹いたのがきっかけで目を覚ましたとき、俺もさっきの史伽と同じような声をあげて、この景色に見入ってしまった。
冬、空気が澄んできて、暗いこの世界樹の丘からだと、星がよく見える。
それなのに、世界樹の下には、学園都市の明かりが地上の星みたいにキラキラと輝いている。
空の星と、地上の星。
まるで小さいころ夜店で見た色とりどりのガラス玉をばらまいたみたいな、そんな気分になる、綺麗な景色だった。
あんまり綺麗だったから、最初は自分だけの秘密にしようかとも思ったけど――――やっぱりやめた。
ずっとずっと一緒だった、誰より大切な史伽には、秘密になんてしたくなかったし、する意味もないと思ったから。
だから今夜、俺は史伽を連れ出してここに来た。
何気なく、隣の史伽を見る。
史伽は、宝石みたいに目をキラキラさせながら、ずっと景色に見入っている。
大分喜んでるみたいだ――――よかった。
俺がそんなことを考えたとき、ふと史伽が顔を下ろして、ぽつりとつぶやいた。

「・・・お兄ちゃん、すごいです。 こんな素敵な場所、見つけられるなんて」

「だろ? 楓姉だって知らないぜ、きっと」

「うん・・・ホント、すごいです」

口ではそういってるのに、史伽の顔は段々下がっていくばかり。
声もなんだか暗い、どうしたんだろ。

「お兄ちゃんは、いたずらとか、色々考えたり、あちこち新しいところに出かけていったり、何でも自分でできるのに・・・私は、お兄ちゃんについていくだけで、精一杯だね」

抱え込んだ足の間に顔を隠して、ぽつりぽつりと、史伽が言う。
肩が震えてるのは、寒いせいじゃないと思う。

「私、もっと、お兄ちゃんの役に立ちたいけど、何すればいいか、わかんないです」

段々弱く、震えていく声でつぶやく史伽。
何言ってんだよ、料理とか掃除とか、お前のほうが俺よりうまくできること、一杯あるじゃん。
そういうのは簡単だけど、簡単すぎて、意味がない気がした。
じゃあどういえばいいんだろう、そう思って考えたけれど、いい言葉が思い浮かばなかった。
――――だから、小さいころ、泣いてた史伽にしてやったみたいに、史伽の頭を抱えるみたいにして、ぎゅっと抱きしめた。
ほんの子供のころから、ずっと変わらない、この感じ。
ちょっとだけ背が高い俺が、史伽を見下ろすみたいになるのも。
泣いてる史伽が、俺に心配をかけないように、絶対俺の顔を見ないのも。
昔と変わんないや、そう思ったとき、ぱっと懐かしいシーンが頭の中に浮かんだ。

「・・・なぁ、ずっと小さかった頃ってさ。 俺もお前も、どっちが上だとか下だとか、そんなの全然気にしなくてさ。 一緒に遊んで、一緒に泣いて、一緒に怒って。 兄妹ってよりは、仲のいい友達だったよな」

「・・・」

こくん、と小さくうなずく史伽。
なぜか、無意識のうちに俺の顔がほころんでくる。

「でさ、いつだったか、遊びまわって帰ってきたら、母さんいなくて。 家中探し回ったけどどこにもいないってわかったら、俺が泣くより先にお前がわんわん泣き出したことがあったんだよ」

「・・・覚えてる、です」

「え? ホントかよ、俺絶対忘れてると思ったのに」

「ひ・・・酷いですー! 私、そこまでバカじゃないもん!」

あはは、怒った怒った。
怒る元気があるなら大丈夫だな。

「ごめんごめん・・・それでさ、俺だってどうしたらいいかわかんなくて泣きたかったのに、お前が先に泣いちゃったら、なんでかわかんないけど『泣いちゃダメだ』って思ってさ・・・そんで、必死になってお前のこと泣き止ませようとしたんだよ」

「・・・うん」

寄せていた眉根を開いて、でも俺のほうを見たまま、ひとつうなずく史伽。
その目をちゃんと見つめたまま、話を続ける。

「で、お前がなんとか泣き止んで、それでもまだぐずってたからテレビつけて。 また泣き出したらたまんないから番組見ながらわぁわぁ騒いだりしてたら母さん帰ってきて。 そんときお前がなんて言ったか覚えてるか?」

「え・・・? え、えっと・・・・・・」

忘れてるよなぁ、やっぱ。
ホント小さい頃の話だし。
少し苦笑いをして、その後は、なんだか優しい気持ちになった。
そうだ、あのときからなんだ。
俺がいろんな奴にいたずらを仕掛けたり、あちこち探検して、面白い場所を見つけるようになったのは。

「『お兄ちゃんがいたから大丈夫!』って、お前言ったんだよ」

俺がそういうと、史伽はびっくりしたように目を大きく見開いて、じっとこっちを見つめた。
嘘じゃないぞ、笑って釘を刺して、ゆっくりと、独り言を言うみたいに続ける。

「そんときさ、俺、少し照れくさかったけど、嬉しくて、『俺は兄ちゃんだって思ってもらえたんだ』って、誇らしかったんだよ」

そこでいったん言葉を切って、史伽のほうをこっそり盗み見る。
笑ってると思った史伽の顔は、意外なくらい真剣に、俺のことを見てくれていた。
なんとなくだけど安心して、次の言葉を口にする。

「それで、俺は兄ちゃんなんだから、史伽が少しでも笑ってられるようにしてやろうって、そう思ったんだ。 俺がいたずらしたり、あちこち面白そうな場所見つけたりすんのは、お前が楽しんでくれれば俺も嬉しいから・・・だから、そんな役に立つとか立たないとか、気にすんなよ?」

そういって、もう一回、ぎゅっと史伽を抱きしめる。
今度は、せっかく見つけた景色がちゃんと見えるようにして。

「うん・・・ありがと、お兄ちゃん」

史伽は一言だけそういって、ちょっと俺のほうにもたれかかってきた。
触れ合った場所から伝わってくるぬくもりを感じながら見上げた空を、流れ星が二つ、流れていった。

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