即興かつ煩悩
練習にいそしむ水泳部員が水面に飛び込む音と、指導の声が盛んに飛び交いますは麻帆良学園中等部・屋内プール。
その部員達の中でも、一際整ったフォームと速いスピードで泳ぎきった少女が一人おりました。
練習にいそしむ水泳部員が水面に飛び込む音と、指導の声が盛んに飛び交いますは麻帆良学園中等部・屋内プール。
その部員達の中でも、一際整ったフォームと速いスピードで泳ぎきった少女が一人おりました。
「……フウ」
プールから上がって、女子中学生と言われても疑問に思いそうな長身にタオルを被ったのは3-A・出席番号6番、大河内アキラさん。
「……そろそろ、時間だよね」
どことなくソワソワしていた彼女が時計を確認しますと、急ぎ更衣室に戻って制服へと着替えます。
「おっ、来たにゃー」
「遅れてごめんね、裕奈……それじゃあ、行こう」
「遅れてごめんね、裕奈……それじゃあ、行こう」
プールの出口でアキラを迎えたのは、同じく3-Aの生徒であります明石裕奈さん。
先に待っていたらしい裕奈を促して、アキラが向かいます場所は……
先に待っていたらしい裕奈を促して、アキラが向かいます場所は……
「そーだよねー……そろそろ一週間になるもんねー、しっと団の年初めの活動日って」
「いや、そんなこと聞いたことないよ裕奈……来週はバレンタインデーだよ」
「いや、そんなこと聞いたことないよ裕奈……来週はバレンタインデーだよ」
2人並んで巡るのは学園都市のスーパー、それも菓子コーナーでありまして、会話の内容からしてやることは決まっているようです。
「分かってるって、アキラが愛しのバカレッドに手作りチョコと、恋する気持ちをプレゼントする日なんでしょ?」
「ちょっと裕奈! からかわないでよ……」
「ちょっと裕奈! からかわないでよ……」
裕奈さんは無造作な手つきで、義理チョコにするっぽい包みのチョコレートをカゴに放り込みながら、アキラの気持ちをわかりやすーく代弁しております。
「いやいやー、私は感心してるんだってば。中等部に入ってすぐにこっちもオドロキな理由でアキラが惚れちゃってから、何かと気持ちを表せなくてやきもきしてばっかりだったのに、バレンタインデーなんて絶好のタイミングで告白しようだなんて……人間って成長するんだねー」
「ま、まだ告白なんてするつもりないよ……そんな勇気ないから……」
「ま、まだ告白なんてするつもりないよ……そんな勇気ないから……」
アキラの気持ちを至近距離で見守ってきた裕奈が褒めてみせますが、当のアキラはそこまで明け透けに言えないのか、顔を赤らめて小声になってしまいます。
「だからそれがダメなんだってば! あのエロバカってば高畑先生に一直線なんだし、いっそ”チョコより私を食べて~”ぐらいしないと……」
「そ……そんなこと、出来るわけないじゃない!」
「あはははは……そりゃそーだよ、ジョーダンで言ったんだから。あ、ひょっとしてやってみようとか思ってた?」
「思ってないって! もう、裕奈ってば……」
「そ……そんなこと、出来るわけないじゃない!」
「あはははは……そりゃそーだよ、ジョーダンで言ったんだから。あ、ひょっとしてやってみようとか思ってた?」
「思ってないって! もう、裕奈ってば……」
冗談を受け付ける状況じゃなかったアキラは、裕奈にそっぽを向けて拗ねてしまいましたよ。
「あーゴメンゴメン……それにしても、アキラの男の見る目を疑う気はないけど、どーしてアレを好きになれるんだか……」
「え、それは……」
「え、それは……」
裕奈が謝るついでに言った言葉に、アキラは自然に答えようとしましたが。
(裕奈が言ってるように成績は悪いらしいし、ちょっといやらしいところもあるし、高畑先生に憧れてるらしいけど……気取ったりしないで、素直に人を信じてくれて、口が悪くても気持ちは優しくて……そういう男の子だから、好きになったんだと思う……)
いざ答えてしまったら、それこそ恥ずかしさで茹だってしまいそうな理由だってことに気付いて、押し黙るしかなくなってしまいました。
「それは……何なのよー、好きな人ジマンしてくれるんじゃないのー?」
「な、何でもないってば! ほら、早くレジに行こうよ……」
「な、何でもないってば! ほら、早くレジに行こうよ……」
そんな尻切れトンボで裕奈さんが見逃すワケがありませんで、レジへと逃げるアキラをチクチク問い詰めながら追いかけていきましたとさ……嗚呼、女子中学生の恋バナよこっぱずかしき哉。
「「……あ」」
「あ……あ゛あっ!?」
「あ……あ゛あっ!?」
そこへ突然アキラの進む先で見つかったのは、”課長・島耕作パンツ”、略して”島パン”をカゴに入れた意中の人……なんて最悪のオチを噛ませて終幕でございます。