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こたつの中の眠り姫

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匿名ユーザー

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さて、そろそろ三月も真ん中を過ぎて。
まぁまだちょっと寒いゆーても、あちこち春らしい感じになってきとるわけで。
「・・・まき絵、起きなあかんて」
「・・・んん~・・・・・・」
いくらなんでもこの時期までこたつを出しっぱなしゆーんもどうかと思うわけやね。
まぁ、確かに夜はまだ冷えるし、なかなかしまいとうないゆうのもわかんねんけど。
でもな、まき絵。
「こたつで寝たら風邪ひく言うとうやろ? ほら、はよ起きー」
「う~・・・やぁだぁ・・・・・」
毎晩毎晩このやり取りせなあかんのやったら、もうさっさと片付けてまおうな、こたつ。



「こたつの中の眠り姫」



「あーもう、寝たらあかんてまき絵! ほら、起きてベッドまで行く!」
腰に手ぇ当てて、隣近所に迷惑にならんくらいの声で怒鳴って寝室へ行くように命令する。
でも、それくらいで解決するんやったら警察いらんっちゅーもんなわけで。
「・・・・・・・むぅ」
「布団かぶってごまかそうとしてもあかーん! はよ起きー!」
もう慣れた手つきでまき絵が引っ被った布団をつかんで思っきり引っ張る。
男子対女子、それも片方は寝ぼけとんねんからあっけなく引き剥がせ・・・剥がせ・・・あれ?
「ちょっ・・・なんでこんな重いねん! このっ、コラ、起きろーっ!」
ぐいぐい引っ張ってもなぜか布団がまき絵から離れん。
ま、まずい・・・ちょっとコレはまずいでいくらなんでも!
何がまずいってまき絵が風邪ひいてまうゆーんもあるけど『腕力でまき絵に負けた』なんちゅーことになったらボクどうすればええねんいやどうしょうもない!反語!
なんでもう必死で布団を引っ張る、引っ張りまくる。
けれどしかし布団はまったくびくともせぇへんという。
な、なんでや、なんでやねん。
本気で焦り始めたそのとき、ふと違和感に気がついた。
ボクが引っ張っとる布団の向かい側、まき絵が包まっとる部分。
その端っこが丸まっとるのはなんでなんかなまき絵サン。
・・・まさか。
「・・・あーっ!? ど、道理で重いはずや・・・思いっきり布団自分のほうに巻き込んどるやん!」
――――そう、まき絵は自分の身体の下に布団引き込んで自分の全体重でしっかり布団を押さえとったわけやね。
そりゃー僕が膝立ちで引っ張っとるくらいやったら動かへんはずや。
・・・お願い、そういうことにしといて何も言わんと、な?
何も言わん優しさゆーのもあると思うんや。
まぁそれはともかく、そうとわかれば対処は簡単。
さっきまでとは反対側に回り込んで、巻き込まれた布団の下に手を突っ込む。
そのままずりずりと手を奥に差し込んで、中でまき絵がつかんどる布団の端っこを探り当てる。
・・・なんかやらかいもん触った気ぃするけど気のせいや、気のせい。
そしてその布団の端っこをしっかりつかんで、しっかり体勢整えて。
「せぇー、のぉー・・・・・よっ、と!」
「むぎゅっ」
思いっきり端っこを手前に引き寄せて放り上げる。
するとあーら不思議、さっきまでだんご虫みたいに丸まっとったまき絵が簡単に出てきましたよ?
そのまま布団をテーブルの上に上げて、うつぶせのまま動かんくなっとるまき絵の体をゆする。
「ほら、まき絵、もー観念して起きぃなー。 さっ、ベッド行ってあったかくして寝よ、な?」
「うぅ~・・・・・・」
お、動いた動いた。
やれやれ、頼むからもうちょっとだけ聞き分けようなってほしいわ・・・ってうおーい!?
「ちょっ、まき絵?! 何こたつん中潜っとんねん! あかんて、ほこりっぽいから出てき!」
「やーだー、私ここで寝るもん」
「やーかーらー! かーぜーひーくーゆうとんねん!」
「だいじょーぶだよー、私風邪ひかないから」
「なんでやねん!」
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・アホやから、とか?」
「(こくこく)」
うっわ認めよったでこの子!?
確かにアホやアホやとは思とったけど自覚あったんやな!
「まーどっちかっていうとバカだけどね」
「大して変わらへんて」
思わず突っ込む。
アレか、まき絵は自覚あるバカやったわけか。
ある意味もうどーしょうもないな。
しかしまき絵は突っ込みスルーでさらにこたつの奥へと潜り込んでいきよる。
わかりやすう言うとアレやね、こたつのテーブルのトコで体育座り(コレ正式にはなんちゅーんやろな)のカッコで横になっとるわけやね。
・・・いや、今そんなんはどうでもええねん。
「もーっ・・・まーきー絵ーっ! わがままゆーたらあかーん!」
半分自棄になりながら叫びつつ、まき絵の体をつかんで引っ張りだそうとしてみる。
けどまき絵もテーブルの足つかんで抵抗するからもうどうしようも。
しばらく出るの出えへんのと大騒ぎして、結局勝ったのはまき絵。
だってしゃーないやん・・・まき絵引っ張ったらこたつまで動いてまうねんもん・・・コンセント抜けるし上のもん落ちそうやし。
とまぁ、そういうわけでこたつの横で座り込んだままため息ついてしばらく頭抱えとったやけど。
「・・・・・・ん?」
くいくい、と服を引っ張られとるのに気づいて、すっかりこたつむりと化しとるまき絵のほうに目をやる。
まき絵はまー一体どないしたらそんなうまいこと丸まれんの?と聞きたくなるほど器用に体を折り曲げて、こたつの中からじーっとこっちを見てくる。
といっても仲間になりたそうとかそーゆーわけでもないやろうしね。
まぁ、まき絵がこっちのお願い(=こたつから出ろベッドへ行け)聞いてくれへんわけやからボクがまき絵のお願い聞く理由はないんやけども。
「何? どないしたん、まき絵」
・・・こう聞かずにおれんのは後々拗ねると厄介なだけや、ホンマそんだけ。
べ、別に尻に敷かれたりしとるわけやないで、コレホンマホンマ。
「・・・・・・」
「・・・やから、何? 黙っとったらわからんやろー?」
そう尋ねても、まき絵は黙ったまんまでこたつの中からこっちを見上げとるだけ。
こう、顎の下に手ぇ置いて、こたつの中であったまって赤うなったほっぺで上目遣いで・・・・・・・・・
と、そこまで考えたところで慌てて目を逸らす。
あ、あかん!コレあかんて!反則やって!
た、ただでさえ子供っぽいまき絵がこの上目遣いは・・・反則!何が何でも反則!
・・・とか、勝手にテンパっとったら。
「・・・・・・亜貴」
「ふぇっ?! な、何?!」
・・・思いっきり声上ずってもうたし!情けな!
心の中で自分に思いっきり突っ込みながら、なんでもない振りして顔を近づける。
それでもまき絵は黙ったまんま、やからボクも黙ったまんま。
なんとも微妙な空気が漂いだしたころ、ぽつり、とまき絵が呟いた。
「・・・・・・入んないの?」
「へっ?」
「こたつ。 入んないの?」
・・・いや、入んないのとか言われても。
そもそもキミがこたつん中ほとんど占領してもーとるのにどこに足入れろっちゅーねん。
はーあ、とでかいため息ひとつ。
「・・・入らへんよ。 ボクは風邪ひきとうないからベッドで寝るし」
やれやれ、と肩をすくめて立ち上がる。
さすがにあんだけまき絵とドタバタやったら疲れたわ。
まぁいくらなんでも一晩こたつで寝たくらいやったら風邪もひかんやろ・・・と、自分に言い訳して寝室に~・・・行かせてくださいまき絵さん。
「・・・まき絵? お願いやから手ぇ離してくれへんかな? ボクそろそろ寝たいねんけど」
「やだ」
即答?!即答なん?!
ま、まさかボクがこたつから引っ張り出そうとした仕返しに自分が寝るまで嫌がらせするつもりとか?
イヤホンマ勘弁して!寝かせて!
と、まき絵に懇願するべきか一瞬迷った、そのとき。
「抱っこ」
自分の耳を疑うようなことを言われた気が。
「・・・・・・は?」
したので、聞き返してみる。
「抱っこ、して?」
・・・聞き間違いやなかったみたいやね、残念ながら。
っちゅーか一体何を言い出しとるんやろねこの子は!いきなり『抱っこ』て!
「・・・あのなまき絵。 幼稚園児やないんやからそんないきなり『抱っこ』とか言うたかて誰も」
「抱っこ。 して。 亜貴」
・・・押すかー、ココで押すかー。
あーもう、と拳でこめかみをぐりぐりと押さえながら、ため息交じりに尋ねる。
「・・・抱っこしたったら、ちゃんとベッドで寝てくれるんやね?」
「寝る。 亜貴が一緒に寝てくれるんなら寝る」
「いや、それはあかんから」
この子はホンマに何を言うとんやろね!?
あかんやろ、常識的に考えて一緒に寝るんはあかんやろ!
「・・・それならやだ。 ここで寝る」
「いやそんな無茶な」
「じゃあ抱っこして。 あと一緒に寝て」
「・・・・・・・・・・」
・・・どうしようもないな、ホンマ。
もうこうなったらお手上げ、降参、ボクの負け。
両手を上げて、参りましたのポーズをとりながら。
「――――はいはい、わかりました。 抱っこして、ベッドまで運んで、一緒に寝ればええんやね?」
ボクがそういうが早いか、「うんっ♪」と顔を輝かせてこたつから飛び出すまき絵。
・・・一気に元気になったな、現金な娘や・・・・・
苦笑いしながら、こたつから出てきたまき絵の膝裏と背中に手を回して持ち上げる。
いわゆる“お姫様抱っこ”の形。
こうせんとまき絵はへそ曲げるからな・・・ホンマにもう。
「・・・えへへ~・・・・・・♪」
「ご機嫌やね、まき絵・・・」
皮肉交じりに言うた、つもりやねんけど。
「うんっ♪」
満面の笑顔で返された。
・・・あかん、ホンマ反則やわこの笑顔。
色々いいたいことあるはずやのに、この顔見たら何も言えんわ。
このへんやろうなぁ、ボクがまき絵に弱い理由って。
そんなことを考えながら、まき絵を寝室のベッドに寝かせて・・・・・・滅茶苦茶恥ずかしいけど、そのベッドに自分ももぐりこむ。
背中合わせになりたいとこやったけど、にこにこしとるまき絵を見たらそういうわけにもいかんくて。
しゃーないから、火が出そうなくらい真っ赤になった顔のまま、まき絵と向き合って横になる。
はよ目ぇ瞑って寝て・・・と祈るボクの気持ちとは正反対に、まき絵はじーっとこっちを見たまんま。
あ、明らかに何か期待しとるよね・・・勘弁して・・・とは思うんやけれども。
「えーっと・・・まだなんかあんの? まき絵」
「うん♪」
そんな笑顔で言われても。
もう反論する気力もなく、諦め混じりで尋ねる。
「・・・何? はよ言うて・・・・・・」
「腕枕」
「はい?」
「腕枕、して?」
・・・・・・そう来るかー。
「・・・あんな? そうするとな、ボク明日の朝まき絵が起きるまで起きれへんやん? 朝ごはんとか」
「して? 腕枕」
「・・・えーっと」
「し・て? う・で・ま・く・ら(はぁと)」
「・・・・・・ハイ」
このわがままバカピンクめ・・・・・・いつか覚えとれ・・・・・・!
心の中でそう叫びつつ、まき絵の頭の下に腕を差し入れてやる。
案外軽い(バカやからかもしれんね)頭を乗っけて、にこにこしながら、まき絵が一言。
「――――お休み。 大好きだよ、亜貴」
そういって、目を閉じた。




・・・・・・・・・・あーあー、もう。
どんだけわがままでも、どんだけ振り回されても。
ボクがどうしてもまき絵を嫌いになれへんのは、やっぱり。
こういう、どうしようもないくらい可愛いところのせいなんやろな。
そんなことを考えながら、まき絵の頭を優しく撫でて。
「・・・ボクも大好きやで、まき絵」
そう呟いて、目を閉じた。

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