少女、一人
聖杯戦争という名の殺し合いが始まって30分以上が経過した。
「…………」
そんな中、彩峰慧(1番)は無言でただ黙々と森林の中を進んでいた。
島ならば真っすぐ歩いていけばいずれ海に出るだろうという判断であった。
それに、自分が最初にスタートしたので周囲を気にする必要もないからスムーズに先へと進めた。
「あ」
数十分歩き続け、彼女は森林の外へ出た。
そこは田畑が広がる耕作地帯であった。
よく見ると、その周囲には道が、そしてそこから少し離れた場所には民家と思える建物が建ち並ぶ集落が見えた。
「…………」
ここに来て慧は初めて自分のバッグを開けた。
そして、すぐさま地図とコンパスを見つけて取り出した。
「…後ろが北。それなら向こうは南………村がある」
地図で今自分がいると思える場所を確認すると、慧は再び歩きだそうとした。
しかし……
「…そういえば私何貰ったんだろう?」
各自ランダムで支給されるというアイテム。そのことを思い出すと慧は再びバッグを開いて中身を確認した。
もちろん見過ごしが無いよう今度は隅々まで調べる。
「……これ銃だよね?」
慧はバッグから黒い鉄の固まりを取り出した。
それは間違いなく銃であった。
さらにバッグを調べると支給されたアイテムの説明書と銃の予備のマガジンを見つけたので取り出した。
――イングラムM10。それが慧に与えられた銃の名だった。
「…なるほど。こうやって射つんだ」
説明書に書かれていた射ち方通りの姿勢になり、慧は試しにトリガーを引いてみた。
すると、ぱらららという音を出して数発の弾丸が目に見えない速さで飛んでいった。
「……凄い」
初めて射った銃の感触に一瞬言葉を奪われる。(といっても彼女は普段からあまり喋らないが…)
――当たりの武器が手に入ったからだろうか? その瞬間から慧の頭にはある選択が浮かんできた。
――あなたはこの聖杯戦争という名の殺人ゲームに乗りますか?
YES/NO
「……ま。別にどっちでもいいんだけどね」
そう呟くと慧はマガジンをポケットに入れ、説明書をバッグにしまうとイングラムを片手に今度こそ歩き始めた。
「…まずは村に行こう。ゲームに乗るか乗らないかは後で考えればいい……」
彩峰慧
【時間:1日目午後12時35分】
【場所:耕作地帯】
【所持品:イングラムM10(9ミリパラベラム弾28/32)、予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発入り)×5、他支給品一式】
【状況:村(南側)へ行く。ゲームに乗るか乗らないかはその内決める】
【備考】
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最終更新:2010年06月27日 16:27