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シャーラ・カ・モキスートの冒険02a」を以下のとおり復元します。
<h4>シャーラ・カ・モキスートの冒険 その二(前編) 二つの月と郷愁と決意</h4>
<p style="line-height:140%;"> <br />
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<hr /><p> <br />
 はるか東方では、神(おおいなるもの)の威光は薄れ、<br />
 木々はやせ細り、暑さと寒さが月々で変わり、<br />
 魔洸や蒸気なるものの力で、地を走る鉄の獣がおり、<br />
 その力で栄えしネコが、セパタるものを使い世を治める国があり。<br />
 <br />
 それを大地を食いかけたイヌが羨むも、<br />
 今は絹糸の縛られ封じられてると聞きまする。<br />
 <br />
     ――カトリに東の果てを説明する台詞より</p>
<hr /><p> <br />
 <br />
「……釣れねえ……」<br />
 <br />
 拝啓皆様、俺は月光の下で夜釣りをしています。<br />
 <br />
「釣れないでする?」<br />
 <br />
 ああ、全然だ、俺が落ちて来たり、縛られたり、<br />
その、あんな事したりした建物、ヒルダが神殿って言ってた、<br />
木造のギリシャ神殿っぽい外観をしている……いや、言ってる俺でも、<br />
想像するのが難しいのは分かるんだが、そうとしか言えない建物の、<br />
裏手に広がる、馬鹿デカイ湖である東方湖で、<br />
食材調達と精神安定のために、釣りをしてると言うわけだ。<br />
 ちなみに、餌は石の下に居た蟲、竿は木の枝、針と糸は裁縫用を加工したもので、<br />
ヒルダからの貰い物である。<br />
 <br />
 で、何故俺がこんな説明的な思考をしてるかと言うとだ、<br />
隣で俺を覗き込んでる、ヒルダの谷間が見えてますっ!<br />
さらに、すぐ近くにいるので、良い匂いもするし、そして、<br />
昨夜の事が思い出されて、うん、やーらかかったな、<br />
そうそう、いま背中に感じるよーに、ふにゃっと……<br />
 <br />
「ヒ、ヒルダさん、当たっておるのデスガ?!」<br />
「こんなのが、好きなのでする?」<br />
 <br />
 はい、凄く、とっても、何故かさん付けまでしてしまうほど、凄いとです、<br />
落ち込んでたり、もう元の世界に戻れないのも、どーでも良くなってきた。<br />
 <br />
「ごめんなさいでする」<br />
「いや、良いって……ヒルダにも会えたしな」<br />
 <br />
 そう言いながら俺は、今日有った事を思い出していた。<br />
 </p>
<hr /><p><br /><br />
「いっぱい……出たでする……」<br />
 <br />
 俺の上でヒルダがそう呟いて、その仕草だけで可愛いと思ってしまうのは、<br />
惚れた弱みなのだろうかと思う、実際に可愛いのだが。<br />
 <br />
「ん……元気になったのでする……ヒトって……みんなこうなのでする?」<br />
 <br />
 困ったような視線を俺に向けるヒルダに、いえ、一週間ぶりなためでは無いかなとか、<br />
そんな言葉を耳元で言われたら、余計元気になりすぎますとか、<br />
三回も出してるのにコレは俺的にも不思議です、とか頭の中で言い訳する、息子自重しろ。<br />
 <br />
「ひゃっ! ま、また大きくなったのでする?!」<br />
 <br />
 すみません、生きててすみません、あったかくて、やーらかくて、<br />
困った顔を見たら、我慢出来なくなったと申しますか……死ねば良いのに、むしろ、殺して。<br />
 <br />
「わかったので、ありまする……んっ!」<br />
 <br />
 そう言って、体を起そうとするのだけど、力が抜けてしまったのか動けないヒルダを見て、<br />
さらに元気になって、自己嫌悪と恥ずかしさに浸っていると、耳元に囁かれた。<br />
 <br />
「んっ! ダメでするっ! 縄を解いたら……突かれて舐められて、<br />
胎内に全部出されて、しまうでするっ!!」<br />
 <br />
 起きられないならと、再び抱きしめてくれたのは良いのですが、その大変素晴らしいもののせいで、<br />
息子が暴れすぎて、喘ぐ声が色っぽいと言いますか、もちそうにありません。<br />
 <br />
「カトリ様っ! キス……して、んっ! 良い……でする?」<br />
 <br />
 頷くと同時に首筋に走る鋭い痛み、二度目の吸血(きす)による甘い痺れに、<br />
限界だった息子は胎内に白濁を放っていた。<br />
 <br />
「すき……でする……いっぱい……」<br />
 <br />
 そう囁くヒルダの唇は、俺の血で赤く汚れていると言うのに、<br />
艶やかさや色気を感じるための要素にしか、なっていないと感じる俺は、、<br />
なんとも、つまり、その、ヒルダは、かーいいなと思ってしまうと言うことで。<br />
 <br />
「え?! ヒトって……すごいでする?!」<br />
 <br />
 呆れられました、俺も息子に呆れてます、むしろ、何でか全然疲れません、と言うか、<br />
何回でもいけそうです。<br />
 <br />
「また……するでする?」<br />
 <br />
 それに即座に頷くと、困ったような、嬉しいような表情のあとで、<br />
すっと、手が動いたと思ったら……自由になる俺の体。<br />
 <br />
「もう……動けないので……して……ほしいのでする」<br />
 <br />
 ランプに照らされた室内でも分かるほど、顔を赤らめたヒルダも可愛くて、<br />
迷わず抱きしめていた。<br />
 <br />
「んっ! 揉んだり……吸ったりは……ひゃっ! 激しいのでするっ!!」<br />
 <br />
 </p>
<hr /><p><br />
 <br />
 あの後、朝までずーーっと、いたしておりまして、<br />
我ながらケダモノかと思いましたね、うん、死にたい。<br />
 <br />
 <br />
 じゃなくて、お昼に、ようやくこの世界、つまり異世界に来たと言う事を詳しく説明された、<br />
ヒトは落ちてくる少数が居るだけで、人間と言ったら、<br />
男は半獣人、女は人に獣の部位を付属させる者達が主となっているらしい。<br />
 まあ、羽と触角の生えた吸血鬼が目の前にいるので、他に猫耳娘や狼男がいても、<br />
不思議では無いよなと納得したが、ふと、蚊って獣? と思っていたら、<br />
この地域は西域と呼ばれる、自然を多く残した地域で、<br />
他の地域に比べて、幻想と魔法の時代だった頃の存在が残っていると、<br />
微妙に答えになってない説明をされた。<br />
 <br />
 まあ、その話の最中に、そう言えば、昨晩は耳を舐めようとしたら無かったので、<br />
頬を舐めたり、試しに触角はどうなのか試してみたら、<br />
凄くヒルダが乱れたなーと、考えていたら拗ねられた、怒られるより困るなあれは。<br />
 <br />
 ヒトは基本的に奴隷階級らしいと聞いて、シェーラの俺に対する扱いも理解出来てしまった、<br />
納得は出来ないが。<br />
 そこで、何故ヒルダは俺を様付けで呼ぶんだろ? と思ったら。<br />
 <br />
「カトリ様はシェーラ様の所持するヒトにして、神からの賜り物で御座います」 <br />
 <br />
 即答された、小さく「言わなくてはダメでございまするか?」 と、赤くなりながら、<br />
付け加えられたのは、聞かなかった事にしないと、我慢が出来なくなりで……ふと、<br />
なら子供は出来ても、結婚とかは無理なのかと聞くとそうでも無いらしく。<br />
 <br />
「立場、種族、性別、年齢を問わず、子供が出来たら結婚するのでする」<br />
 <br />
 つまり、相思相愛で体液の交換を十月十日行えば、誰とでも子供が出来てしまう種の特性と、<br />
母親の性質しか受け継がないために、相手によって血筋が変化する事も無いので、<br />
子供が出来るほどお互いに愛しているなら、誰とでも何とでも結婚出来るのだとか。<br />
 <br />
「大抵は同族でありまする、けれど……」<br />
 <br />
 異種族や言葉さえ通わない存在とすら子を成して、結婚した例が無い訳ではないらしい。<br />
 そんな話をしていたら、昨夜の事を思い出してしまって、<br />
真昼間から何考えてると俺が思っていると。<br />
 <br />
「日も高くなったでするし……またするのでするか?」<br />
 <br />
 爆弾発言がきました、何でも蚊は種族的に肌が弱く、目も強い光に弱いために、<br />
基本的に夜行性で、睦事は本来は昼にする事らしい。<br />
 <br />
 文化の違いにショックを受けつつ、このまま流されると押し倒してしまいそうだったので、<br />
話を変えるべく……帰れるのかを聞いたら、困った顔をされて。<br />
 <br />
「神(おおいなるもの)にお伺いを立てないと、分からないのでする」<br />
 <br />
 なんでも、蚊の部族の所にヒトが飛来して来たのが300年振りらしく、<br />
しかも、その前回来たヒトは、この地で妻を娶り天寿を迎えて神となったらしく、<br />
参考にならないとか、なんてうらやましい。<br />
 </p>
<hr /><p style="line-height:140%;"><br />
「引いてるでする?」<br />
「え? あっ! おおっ!!」<br />
 <br />
 禄でも無い事を考えていた俺は、竿が引かれるたのに気が付き、ようやく我に返った。<br />
 <br />
「あんなのでも釣れるんだな……って、引きが強すぎないか? おいっ!」<br />
「お手伝い、するのでするっ!」<br />
 <br />
 釣りは合宿で食料調達の為に経験済みな俺だが、ブラックバスとは比べられない引きだっ!<br />
 焦る俺をヒルダが助けて……って、背中に抱き付かれますと嬉しいのですが、<br />
俺の集中力と理性が、ゴリゴリ削れるのですが?!<br />
 <br />
「ご、ごめんなさいなので……ひゃうっ!」<br />
「あたっ! あー、逃げられちまったか」<br />
 <br />
 俺の理性と本能の綱引き……では無く、即席の針では荷重に耐えられなかった様で、<br />
勢い余った俺達は、地面に重なり合うように倒れた。<br />
 <br />
「ヒルダ、やーらかいのが当たっ……」<br />
「どうしたんでする?」<br />
 <br />
 当たってたいへんな事になってる、そう言いかけた俺は、</p>
<p style="line-height:140%;">倒れた拍子に、俺に乗っているヒルダの背景……夜空を見て、</p>
<p style="line-height:140%;">そこに浮かんだ、二つの月から目が離せなかった。</p>
<p style="line-height:140%;"><br />
 本当に今さらだが、異世界に来たんだなと思い、お袋やダチの顔を思い出していた。<br />
 <br />
「泣いて……いるのでする?」<br />
 <br />
 そう言われて、初めて視界が滲んでいることに気が付いた。<br />
 俺は泣いてるのか? そう呆然と思っていると、ヒルダが顔を近づけてきて……<br />
涙を舐め取られ(きすされ)ていた。<br />
 <br />
 </p>
<hr /><p> <br />
 <br />
「ごめんなさいでする」<br />
 <br />
 どれくらい、そうしていたのだろうか? ヒルダの声に我に返る。<br />
 <br />
 神(おおいなるもの)に巫女(ヒルダ)が助力を願って、ヒト(俺)が落ちて来た。<br />
 この事を説明されてから、ヒルダから謝罪の言葉を聞くのはこれで三回目、<br />
その度に気にするなとは言ってるのだが、俺は内心では迷惑と思っていたのかも知れない。<br />
 情けねえっ! 好きな女を守ると決めたのに、俺がヒルダを不安にさせてどーするんだ?!<br />
こんな姿をダチに見られたら、漢じゃねえと殴られる、むしろ、俺が殴るっ!<br />
 <br />
「ヒルダ」<br />
「なんでする?」<br />
 <br />
 ああ、馬鹿な俺が、うじうじ考えても仕方無いんだ、やりたい事も、やるべき事も同じ、<br />
なら俺は幸せだなと、改めて思いながら、まず、ヒルダに謝る、けじめはつけないとな。<br />
 <br />
「すまん、迷っていた」<br />
 <br />
 お袋やダチの事を忘れる訳じゃ無い、全部終わったらヒルダの事を紹介しないといけないしな。<br />
 そしてふと、シェーラにはきっちり声に出して宣言したのに、<br />
ヒルダには言葉で伝えて無かったなと、いまさら気が付く自分が馬鹿だと思う。<br />
 <br />
「好きだ、お前と共に居たい」<br />
「……私で良いのでする?」<br />
 <br />
 ヒルダを抱きしめる事で返事をする、此処が異世界だろうと、どんな相手と喧嘩をする事になっても、<br />
もう戻れなくなかったとしても、うん、この思いは間違いじゃないっ!!<br />
 </p>
<hr /><p> </p>
<p> 馬鹿と言う奴は、単純なだけに強い。<br />
 迷う事も無いほど、好きになっちまった俺は、<br />
 だから、今、本当の意味で馬鹿になったんだと思う。 </p>
<p> </p>
<hr /><p> </p>
<p> ちなみに、後の守護者カトリの主であるはずのシェーラ様は、<br />
 冷めてしまったご飯を前に、早く帰ってこないかなと、待ちぼうけでありまする。<br />
 <br />
つづける? (Y/<a target="_self" href="http://www9.atwiki.jp/nekomimi-mirror/?page=%EF%BD%BC%EF%BD%AC%EF%BD%B0%EF%BE%97%EF%BD%A5%EF%BD%B6%EF%BD%A5%EF%BE%93%EF%BD%B7%EF%BD%BD%EF%BD%B0%EF%BE%84%E3%81%AE%E5%86%92%E9%99%BA">N</a>)</p>
<hr />

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