猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

獅子国伝奇外伝09

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獅子国伝奇外伝 第9話

 
 
 その日、私は門前街に買い物に出かけていました。
 道場の皆さんの食べ物や雑貨を買って、山道を帰っていたとき、突然背後から何者かに襲われたんです。
 後ろからいきなり押さえつけられ、そして口に何か布のようなものを押し当てられ、そこで意識を失いました。

「…………」
 目が覚めたとき、私は自分の置かれている環境がしばらく理解できませんでした。
 窓のない殺風景な部屋。その中心に椅子がぽつんと一つあって、そこに座らされていました。
 椅子の周りには砂が撒かれ、そして砂の外側には、椅子を囲むように溝があって水が張られています。
 そんな場所で、私は。
 椅子に、ベルトのようなもので縛り付けられていました。

 両手は、後ろ手に回されたまま固定されていました。
 足首と腿のあたり、そして首も革ベルトで拘束され、ほとんど身動きできなくされていたのです。
 自分のおかれている状況が理解できないでいると、扉がきぃと開きました。
「誰?」
 わたしは、思わずそう尋ねました。
 ネコ……のようでした。
 丸縁の眼鏡をかけ、薄茶色のコートのようなものを着たその男は、手になにやら瓶を持ち、残酷そうな笑みを浮かべています。
「あんたの飼い主に、ちと借りがある者さ」
 男は、そう言って私に近づいてきました。
「旦那様に……?」
「ああ、そうさ」
 男は、私の前に立つと、口許を歪めてこう言いました。
「フェイレンの野郎には、仲間をずいぶんやられちまってなぁ。ちいとばかり、仕返してやらなきゃ腹の虫がおさまらねえのさ」
 その言葉に、私は背中が寒くなるのを感じました。
 椅子に縛られたままの私には、逃げ出すことも抵抗することも出来ません。
 身体が震えるのがわかりました。
「そう怯えることもねえよ。べつに殺すつもりはねえ……下手な真似をしなければな」
「な、何も……」
 震える声で、そう答えるのが精一杯でした。
 私の返事を聞いて、男は満足げに笑います。
「よーし、いい子だ。お嬢ちゃんには、これからたっぷりと気持ちいいことをしてやるからいい子でいるんだぞ」
 でも、その言葉で再び私は冷や水を浴びせられたような気分になりました。
 気持ちいいこと。
 とっさに、強姦されるのだと感じました。
「い、いやぁ……」
 たまらず、声が漏れます。その声に、男は不機嫌そうに鼻を鳴らすと、私の頬を平手で叩きました。
「あうっ!」
 悲鳴を上げた私に、冷酷そうな声で告げます。
「ワガママを言える立場かどうか考えるんだな」
「…………」
 私には、どうすることもできませんでした。

「時間はたっぷりあるからな。今は嫌がってても、すぐに嬢ちゃんは俺のチ○ポなしじゃいられなくなる」
 品のない嘲弄の言葉。私は聞こえない振りをしました。
「ゆっくりと、嬢ちゃんをかわいいメスにしてやるぜ」
 そういって、瓶の中身を私の衣服に垂らしました。
「嫌っ……冷たいっ……」
 身体をよじろうとしますが、拘束されていて動けません。
「あまり嫌がると、また痛い目にあうぜ」
 冷酷な言葉。その言葉に、私は思わず、びくんと身をすくめました。
「よーし、いい子だ。おとなしくしてたら、ちゃんと気持ちいい目にあわせてやるからな」
「…………」
 そして、残った瓶の中身を砂に振りまきました。
 瓶の中身のせいで、身体がべとつきます。
 これから、どんな目に合わされるのかと思うと不安でたまりませんでした。
「もうすぐ、嫌でもわかる」
 男が、私の表情をみてそう笑います。
「ほら、もう出てきやがった」
 そう言って、砂を指差します。
 それを見て、私はぞっとしました。
 椅子の周りに撒かれたすなのあちこちに小さな穴が開き、そこから、ぞろぞろと黒い虫が這い出てきたのです。

「ヌノキリアリだ」
 男が、こともなげにそういいます。
「こいつ等の好物は甘いものと繊維だ。とくに、人の衣服なんかには目がねえ」
 その言葉を、ほとんどわたしは聞いていませんでした。
 なぜなら、蟻は動けない私の周りに集まってくると、ぞわぞわと椅子を、脚を這い上がってきたからです。
「嫌っ! いや、いやあああっ!」
 私は、恐れと嫌悪でパニックになっていました。
 動けない身体を無理によじり、なりふり構わず叫びました。
 無数の蟻は、私の脚を這い登り、次々と服の隙間に入り込んでゆきます。
 自由を奪われている私には、ただ身悶え、助けを求めることしか出来ませんでした。
 男は、そんな私を見て、ただにやにやと笑うばかり。
「どうだい? クセになるだろ。嬢ちゃんのかわいい裸を隠す布切れは、こいつ等に残らず食ってもらう。なに、最初は気持ち悪くても、三日もすれば嬢ちゃんはこの蟻のトリコさ」
「そ、そんな……ああっ!」
 太ももを這い上がってきた蟻が、下着の中に入り込んできました。
 たまらず脚を閉じようとしましたが、ベルトで拘束されていて、脚を閉じることさえできません。
「いやぁ! 助けて、もう許してぇ!」
「くっくっ、声が変わってきたぞ?」
 男は、なぶりものにされている私を見下して、あざけるように言います。
「お楽しみ中悪いが、あとは一人で楽しんでくれ。明日の朝にまた会おう」
「やぁっ、そんな、待って……いやあああっ!」
 服の中を蠢く無数の蟻が、私の懇願をさえぎりました。
 おへそも、胸も、私の肌を無数の蟻がうごめき、気持ち悪い刺激を与え続けるのです。
 縛られてさえいなければ、今すぐに服を脱ぎ捨てたいぐらいでした。

 扉が閉まり、部屋に残されたのは私と、私をなぶりものにする無数の蟻ばかり。
「いやぁ! いや、もういやあああっ!」
 部屋の中に、私の声だけが響きます。
 助けはありません。
 私には、一人きりでこの責め苦に耐えるしかありませんでした。
 やがて。
 私の着ている服がすこしづつ切り裂かれ、肌が露出していきました。
 服が、食べられているのです。
 ひんやりとした空気が、すこしづつ肌に触れるようになってきました。

「いや……いやぁ……」
 叫びつかれて、声も出なくなった私は、蟻達のなすがままでした。
 もう、どれだけの時間がすぎたかわかりません。
 着ていた衣服はほとんど食べられ、ほんのすこし布切れを残しただけの裸にされていました。
 今の私には、身体を腕で隠すことさえできません。
 生まれたままの姿で椅子に拘束され、全身を蟻に這い回られて泣き悶えるばかりでした。

 どれくらいの時間が流れたでしょうか。
 再び、部屋の扉が開いて、男が現れました。
 手には、なにやら小さな箱。
 それを持ったまま、男は私に近づくと、じっくりと私を舐めるような視線で眺めました。
「裸に剥いたら、かわいい身体してるじゃねえの」
「……っ……」
「ロリの気はないと思ってたが、嬢ちゃん見てるとむらむらしてくるぜ」
 嬲られる姿を見る視線に耐え切れず、体をよじろうとするのですが、どうすることも出来ません。
 それをいいことに、男は前から後ろから、蟻達に弄ばれ続ける私の裸を眺めていました。
「フェイレンの野郎、でけえ図体してこっちの趣味があったとはねえ……くっくっ」
「旦那様を悪く言わないでくださいっ!」
 たまらず、そう声を上げました。
「へぇ……」
「旦那様は、そんな人じゃありませんっ……」
 そういうと、男はまたいやらしい微笑を浮かべます。
「ほほぉ……健気なこと言うじゃねえの。さぞや大切にされてきたんだろうねえ」
 男は、そう言いながら小箱の蓋を開けました。
「その大切な嬢ちゃんを、じっくりといたぶり、弄び、俺のものにする……くっくっ、たまんねえな」
「…………」
 小箱の中には、薬瓶と筆が数本入っていました。
 男は薬瓶の蓋を開けると、筆をその中に浸け、そしてこう言うのです。
「こいつは魔法の薬なのさ。こいつを嬢ちゃんの大事なところに塗ると、信じられないほど気持ちがよくなる。……気も狂わんばかりにな」
 その言葉にびくんと、身体が震えました。
「そう怯えることもねえ。塗ってみたら最高の気分になれる」
 そう言うと。
 男は、私の乳房に薬を塗りました。
「いやあっ!」
 筆の刺激に、私は声を上げました。
 次の瞬間、男が私の頬を平手で打ちました。
「暴れたら、どうなるか言ったはずだ」
 そう言って、また、私の胸に筆を走らせました。
「あっ、あぁ……ひぃ……」
 ぶたれるのが怖くて、必死に我慢しているのですが、それでも筆の刺激とひんやりとした薬のせいで、声が漏れてしまいます。
 男が筆を動かしている間も、私の体は蟻達に這い回られていました。
 全身を、例えようもない刺激が襲い続けていたのです。
「ほら、ここはどうだ?」
「あっ……」
 男の筆が、私の敏感な場所を次々と見つけ出しては、くすぐってゆきます。
 左右の胸は、すでに薬をたっぷりと塗られ、蝋燭の光で輝いていました。
 そこに、もう蟻が集まってきては、私の胸をいやらしく嬲るのです。
「かわいい顔して、もう乳首が勃ってきてるぜ」
 男が、そう言ってにやりと笑います。
「ほれ」
「あぁっ!」
 もう一度、筆が私の胸の先端に触れました。
 筆の先端が、円を描くようになぞり、そしてつんつんと、筆先で先端をつつくように責められると、耐えられないほどの甘い刺激が走ります。
 蟻と筆でいいように嬲られ続ける私は、ただ泣いて許しを乞うことしか出来ませんでした。
「あぁ……お願い……します……もう……ゆるしてください……」
「許してという割には、身体の方はすっかり出来上がりかけてるぜ?」
 男は、私の懇願をあざけるようにそういうと、再び私の体に筆を走らせます。
 おへそ、わき腹、太もも。
 そして、最後に。
「嬢ちゃんのここ、とろとろじゃねえか」
 そういって、男は私の下腹部に筆を運びました。
「いやぁっ! 駄目、そこだけは、そこは許してください!」
 私は必死になって逃れようとしました。
 ですが、両手足を革ベルトで縛られて自由を奪われ、脚を左右に広げられた姿で拘束されている私には、どうすることも出来なかったのです。
「いやぁ……やぁ……」
 男の筆が、何度も私の大事な場所を犯します。
 筆がなぞるたびに、私はじんとする甘い感触に包まれ、意識が遠のきました。
 涙がこぼれます。
「だんなさま……たすけて……」
 知らず知らずのうちに、私の口からは旦那様を求めていました。
「くくっ、フェイレンの奴ならこねえよ」
 男が、妙に自信のある声で言います。
「一ヶ月もしたら、呼んでやってもいいがな。そのころには嬢ちゃんは、もう俺の虜さ」
 そう言って、たぶん笑ったのだろう男の顔は、もう涙で見えませんでした。

「そろそろ効いてきたかい? 汗が浮かんできてるぞ」
 男の言うとおり、私の体には明らかに変化が現れていました。
 全身が熱っぽく、肌が何倍も敏感になって、蟻が蠢くたびに、耐え切れないほどのくすぐったさと甘さが襲うのです。
「あぁ……いやぁ……」
「乳首はおっ勃てて、下の口は大洪水……嬢ちゃんもかわいい顔して淫らだねぇ」
 男は、そう言って私の胸の先端を指でかるく弾きました。
「ああぁっ!」
 悲鳴を上げてのけぞる私の胸を、男は玩具のように揉みます。
 そのたびに、私は拘束された身体をのけぞらせて悶えるしかありませんでした。
「胸が小さい方が感じやすいっつーけど、嬢ちゃんも敏感だねぇ。柔らかくていいおっぱいだ」
「んっ……んんっ……」
 男と蟻におもちゃにされながら、私は瞼の裏に旦那様の顔を思い描いていました。
 きっと、旦那様が助けてくれる。
 だから、負けちゃいけないと、そう自分に言いきかせ続けました。

 ときどき、薬瓶に入ったどろりとした液体を飲まされました。
「下の世話までする気はねえからな。こいつがメシの代わりだ。嬢ちゃんが生きていくには不足ねえ養分がある」
 ほんの少しだけ甘い、どろりとした液体。一日二回、それを瓶が空になるまで無理やり飲まされました。
「死なせはしねえよ。俺の大事な玩具だからな」
 そして、そう言って笑うのです。
 ですが、きっと養分だけではなかったんだと思います。
 それを飲まされ始めてから、私の身体は、前よりもいっそう敏感になっていました。
 肌を這う無数の蟻の一本一本の足の感触までが、甘く、くすぐったい刺激となって私を昼夜問わず襲い続けました。
「あぁ……あぁん……いやぁ……」
 全身を蠢きまわる感覚。私の口からは、ただ言葉にならない喘ぎばかりが絶え間なく漏れていました。
 縛られたまま、私は何度も絶頂を迎えさせられ、私を拘束する椅子にぐったりと身をゆだねるばかりでした。
 ときどき、気を失っていたようです。
 しかし目覚めると、また同じように蟻達が全身に群がり、私を嬲りつくしているのです。
 夢なら、早く終わって欲しいと思いました。
 男は、ときどき顔を見せます。
 そして、私にあのどろりとした薬を飲ませ、そして気が向けば、また筆に媚薬を浸して私の身体を弄びました。
「耐え切れなくなったら、舌噛んでもいいぜ。ただし、フェイレンは悲しむだろうなぁ……くくっ」
 ……負けない。
 私は、崩れ落ちそうな心を必死に繋ぎとめました。
 旦那様は、きっと助けに来てくれる。
 だから、それまではどんなことがあっても、どんなひどい目にあっても耐えようと誓いました。

 何日が過ぎたでしょうか。
 男が、従者らしいネコにいつもとは違う檻の様なものを運んで来させました。
 その中には、小さな獣が数匹入っていました。
「こいつが気になるかい?」
「…………」
「こいつは、もう少ししてからのお楽しみだ。その前に」
 そう言って、男は私の身体を前から後ろから眺めます。
「くっくっ、すっかりいい感じに開発されてきたねえ。そろそろ次の段階に進んでも良さそうだ」
「…………」
 次の段階、と男が言ったのが聞こえました。
 これから、もっとひどい凌辱が待っているのです。
 どんな目に合わされるのかと、とても不安になりました。

「さて、嬢ちゃんは後ろの穴は経験あるかい?」
 そう言って、男は私の背中に回りました。
「う、うしろ……」
 そんなの、あるはずがありません。
 答えないでいると、突然男の指が私のお尻を触りました。
「ああっ!」
 悲鳴を上げて、びくんと震えます。
 椅子の台座の中心には、穴が開いています。
 そこから、男の指が私のお尻をなで、そして後ろの穴の周りを指でなぞるのです。
「いやっ……お願い、お願いします、そこだけは……」
 私は、必死に懇願しました。
 でも、それは逆効果だったのかもしれません。
「こりゃあ、後ろはまだ生娘っぽいな。……つまりは、俺がいただいたら初めてなわけか」
「……そ……そんな……」
 恐怖で、身体が震えるのがわかりました。
「白くて柔らかくて敏感、本当にいい尻だ。くっくっ、嬢ちゃんはまさに、俺達に犯られるために生まれてきたような雌だな」
「……んっ……」
 男が、指を這わせながらそう言います。
 そのたびに、私は望まぬ快感に身もだえました。
「これだけ敏感なら、後ろの開発もうまくいきそうだ」
 そう言って、指が一度私のお尻から離れました。
 でもも、しばらくして。
「あぁっ!」
 ずぷりと、何かが私のお尻の穴に入り込んできました。
「いやぁ! いや、いやあああっ!」
 私は、動けない身体を暴れさせましたが、どうすることも出来ません。
 なにかがお尻の中に入れられ、そして指が離れました。
「心配するな、ただの座薬だ。ただし特製の媚薬だがな」
「び……媚薬……」
 まだ、私の身体をおもちゃにされるのです。
「直腸からの吸収は強烈だからな。効果も長持ちする」
 そして、私の前に姿を見せると。
「前の穴には、こいつだ」
 黒光りする革の小箱。
 その中には、おぞましい形をした張形が入っていました。
「嬢ちゃんも、いつまでもアリンコばかりじゃ要求不満だろうからな。こいつで中からかき回してやるよ」
「や……いやぁ……」
 身体が、がくがくと震えます。
「怖いのは最初のうちだけだ。すぐに気持ちよくなる」
 そう言って、私の大事な場所にそれをゆっくりと差し込んでゆきました。
「あっ……あぁ……んんっ……」
 張形を差し込まれる刺激に、私の口は耐え切れずにいやらしい声を上げてしまいます。
「ほら、根元まで入っちまったぜ」
 そう言って、男は私の顔をむりやり下に向けさせ、張形に貫かれた下腹部を見せ付けました。
 そして、抜けないようになにかベルトのようなもので押さえつけます。
「さあ、あとはこうすればいい」
 そういって、私の口に猿轡を噛ませました。
「ちいと激しいからな。ここからは間違って舌を噛んだりしないようにさせてもらうぞ」
 そして、男なにか口の中で呪文のようなものを唱えたとき、張形に異変が起こりました。
「……んんっ!」
 張形が、私の何かでぶるぶると振動しはじめました。
 それほど激しい振動ではないとはいえ、それでも、私には耐え切れないほどの刺激でした。
「んーっ! んんっ、んーっ……!」
 声にならない悲鳴を上げる私に、男は言います。
「まだまだ、一番弱いんだぜ。これでそんなに感じてちゃあ、身がもたねえぞ」
「んんっ……んー、んんーっ……」
 声にならない声をあげながらもだえる私を、男は楽しそうにしばらく眺めていましたが、やがて私に背を向けると、先ほどの檻の中から、ふかふかとした獣を連れ出してきました。
「もう、このアリンコどもは用なしだからな。こいつ等に始末してもらおう」
 そういって、私の体の上にその小動物をおきました。
「こいつはネズミアリクイといってな。アリクイの中では最も小さいが貪欲だ。蟻をみれば、長い舌でぺろぺろと舐めて食い尽くす。つまり……」
「んっ……んんっ……」
 アリクイ達は、私の身体を動きながら、長い舌で蟻を捕食してゆきました。
 それは、つまり……
 わたしは、張形に犯されながら、同時にこの小さなアリクイたちに全身を舐められ続けることになったのです。
「んん……」
 アリクイは、全部で八匹。
 それが、器用に私の身体を歩き回り、ぺろぺろと私の身体を舐めるのです。
「アリクイもいくつかいるが、こいつのいいところは爪がねえところだ。嬢ちゃんの身体に傷をつけずに、気持ちよくしてくれる」
 男がそう説明します。
「んっ……」
 胸の先端をアリクイの舌に責められ、私はぴくんと身体を震わせました。
 蟻達は、捕食者から逃れようと、私の肌の上を不規則に駆け回ります。
 それが、敏感になった私の肌にさらなる甘い刺激を加えました。
「いい眺めだねぇ、嬢ちゃん」
 張形に貫かれ、アリクイたちに全身をなめられる私の姿を、男が好色な目で見下ろしていました。
 男の目の前で、私は望まぬ絶頂を迎えさせられ、それでもまだ嬲られていました。
 言葉さえ奪われ、許しを請うことさえできません。
 ただ、涙を流して身もだえ、火照った体を絶え間なく襲う三重苦に弄ばれるばかりでした。

 旦那様やキョータさんとの楽しかった日々を、脳裏に思い描いていました。
 もしかしたら、私が狂ってしまうまでもう見つけてもらえないかもと、そんなことさえ考えてしまっていたのです。
 ごめんなさいと、心の中で謝りました。
 これ以上は耐えられないかもと思いました。
 旦那様に救われてからの日々は、楽しい夢でした。
 でも、結局は私はこの世界では奴隷なんだって、そんなことを考えていました。

 そのとき。

「ミコトっ!」
 扉を蹴破る音と共に、懐かしい声が聞こえてきました。
(だんな……さま……)
 扉の向こうには、鉄棍を握り締めた旦那様が立っていました。
 胴着も、鉄棍も返り血に染まった姿。殴りこんできたのかもしれません。
 男が、驚いたように扉の方を見ていました。
「てめえっ! ミコトになにしやがった!」
 いいながら、駆けて来ます。
 男が、弾かれたように我に返り、そしてなにか呪文を唱えようとしたようです。
「凍てつく極北の空より来たれ、我はかk……」
「うるせえっ!」
 男が呪文を唱えるより早く、旦那様の鉄棍が真一文字に振り抜かれていました。
 真横から鉄棍を叩きつけられた男は、そのまま壁まで吹き飛ばされ、首がおかしな方向に曲がったままぴくりとも動かなくなりました。
「ミコトちゃん! 大丈夫?」
 キョータさんが駆け寄ってきました。
 アリクイをぽいぽいとまとめて投げ捨て、そして革ベルトを外してくれます。
 最後に、張形を抜くと、ぐったりとする私をキョータさんが抱きしめて、上着をかけてくれました。
「ミコトちゃん見つけた?」
 外からは、お嬢様とサーシャさんが入ってきます。手には武器を持ったまま。
 みんな、返り血で真っ赤。そんなにして助けに来てくれたんだと思うと、なんだか涙が流れてきました。
「ごめんね、遅くなっちゃった」
 サーシャさんが謝ってくれます。
「いえ……ありがとう、ございます……」
「ごめん。一緒についてけばよかった」
 キョータさんも、そう言って謝ってくれます。
 ふと見上げると、キョータさんの目がすこし潤んでました。
「泣いて……るんですか?」
「っ……その、ほんとうにごめんっ!」
「ううん……いいんです」
 私を心配して、泣いてくれる人がいる。
 命がけで助けに来てくれる人がいる。
 それだけで、すごく嬉しくて。
 だからきっと、このひどい経験も……
 もしかしたら、幸せな出来事だったと言える日が来るのかもしれません。

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