猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

笑顔のカケラ 四章

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笑顔のカケラ 四章


目覚まし時計がうるさい。
あーあ、せっかく夢見てたのにもったいない。
もっと眠っていたい、そう思ってもぞもぞするが、
時計がいい加減うるさくなってきた。
ベッドから手だけ出して、うるさいのを止める。
よし、これでゆっくり眠れる。
あと十分―
―――ゴン。
頭に鈍い衝撃を浴びせられ、はっと我に返る。
「起きなさい。遅刻するよ」
今さっき自分を殴ったであろう人物に声をかける。
殴られたところがヒリヒリする
「痛てーよ母ちゃん、まだ七時前だろっ」
「バカじゃないのかい、八時前だ!」
え?と時計を見ると、本当だった。
やばい、遅刻だ。
あわてて母ちゃんを部屋から追い出して、部屋着を脱ぎ捨てる。
タンスから下着を出してつけて、
制服は・・・ハンガーに掛かってる。
シャツ、ズボン、ベルト、ネクタイ・・・ああもう急いでる時ほど、うまく結べない。
少し格闘して、次は上着、靴下ハンカチにあとは、授業の用意がまだじゃん!
時間割を見て確認だ、今日は英数体技国化・・・と、
ない教科を鞄からひっぱり出して、足りないのを突っ込む。
えっと体操服もだ。
詰め終わったら階下へダッシュ。
鞄2つを玄関の横に置いて、洗面所へ
顔洗って、歯磨きをパパッと澄ませて、
ヤバ寝癖ついてる、なんとかごまかして、
居間に一声。
「母ちゃん、メシはー?」
すぐに声が返ってくる。
「遅れるんでしょーが、抜き!」
「えー、そんなこと言わずにさー」
「・・・八時になるよ」
慌てて時計を見る。
「うっわマジ、うひゃー」
生徒指導の先生怖えんだよ。
急がねえと怒られるー。
空いた腹を抱えて外に出る。
遅刻は八時十分から。
今は五十八分。
走ってギリギリかな?という時間だ。
いや考えるより走れ、走れ。
公園を突っ切って、裏路地を近道して商店街を抜けて・・・。
あの交差点を突っ切ればすぐだ、ってもう赤になるー?
いや、構わずGO!だイエーイ!
盗んだバイクで走りだす~♪なんて、
なんだっけ尾崎だっけ野崎だっけ?
・・・その時横からクラクションが聞こえた。
ハッとして右を見ると、トラックが。
本当にこういうときって、声が出ないんだな・・・。
それだけだった。

「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ」
俺、生きてた。
シーツが濡れてる。
体中べとべとで気持ち悪い。
ここはどk・・・俺の部屋か。
そうだった。俺、別の世界に飛ばされたんだっけ。
いつも通りの日常が、もう夢でしかないんだ。
死ななかったのは良しとしても、それが重く心にのしかかる。
しばらく構わずぼーっとしていると、
ドアををノックする音がして、声がした。
「入っても、大丈夫でしょうかー?」
「あ、はい・・」
とっさに答える。
そばかすの子が、ドアを開けて、言った。
「もう起床時間になりますので、その、用意をしていただけると」
無表情。こわー。
目もこっちを向いてないし。
そーいうの、傷つくんだけどなあ。
・・・まあ悪いのはオレ、なのかなあ。と思いつつ聞く。
「用意って、どういう・・・」
「とにかく、すぐ着替えてベルリアさんのところに行ってください!!」
昨日の会食?のことを思い出す。
「ええっと、ベルリアさんベルリアさん・・・」
たしか、あのちょっと年いってそうなメイドさんかな?
「メイド長ですっ!」
で、あってたよな。ウン。
エヘヘ、おこられちった(笑)
着替えた後は、なんか部屋から追い立てられた。
ベルリアさんのいるという広間に向かいながら考える。
まさか、俺嫌われてる?

一方そのころ、マリーは英明の部屋の前で項垂れてていた。
「はぁ・・・、あんなところ見せておいて、普通に接しろって言うのが無茶ですよ・・・」
恥ずかしいのを隠すために、ちょっときつく当たっちゃったけど、
気にするタイプじゃないわよね・・・?



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