猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

南の島の黒いカップル

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『南の島の黒いカップル』



 月明かりがいつもより綺麗な夜だった。
 突如訪れた絶頂感に身体をうち震わせ、俺は彼女の体内に己の欲望の権化を解き放った。
 向かい座りの格好で繋がったまま、心地好い愉悦の余韻に浸っていると、彼女が俺の首筋に顔を押し宛ててきた。
「どうした?」
 黒い獣毛に覆われた腰に腕を回すと、雇い主は静かに息を吐いた。
「不思議だな、と思って」
「何が?」
「最初は仲良くしようとも思わなかったのに。それが仕事が終わる今頃になって、こんな関係にまで発展するなんて・・・・・・正直、予想も出来なかったから」
 右肩から左脇腹にかけて、胸元を斜めに走る巨大な傷痕。その太い線を、黒く細い指で這うようになぞられる。
「確かに、最初の頃は仲悪かったもんな」
 当時を思い浮かべ、俺は軽く相槌を打った。
 今回の仕事は、衝突の繰り返しから始まったようなものだった。事ある毎に反発しあい、一時は決裂寸前まで行ったこともあった。
 それでも幾多の危険を潜り抜け、互いに助け合って困難をはね除けてきた。
 植物学者のクロヒョウと、用心棒のセーブルアンテロープ。
 全く接点の無かった俺達の距離は、いつの間にか手が届く位にまで縮まっていた。

「なるほど、護衛との別れがそんなにつらいのか」
「そ、そんなことないけど・・・・・・!」
「そう言うわりには顔が真っ赤だぜ?」
「え!?」
 慌てて自分の獣顔に手を宛てる。その愛嬌ある仕草に、思わず吹き出した。
「冗談だ。真っ黒な顔してるのに、真っ赤かどうかなんて分かるわけないだろ」
「っ・・・・・・馬鹿にしないでよ、もう!」
「くっく、ほんとからかい甲斐のある奴だな」
 ケダマ特有のしなやかな身体を抱いてベッドに押し倒し、有無を言わせず口を重ねあわせる。
 ザラリとした舌を絡ませ合い、口内を蹂躙しつつ互いの唾液を交わらせる。
「ん・・・・・・ねえバライル、いつまでこっちにいられるの?」
「10日後の豊穣祭、までだ。仕事の契約が切れ次第、扇の大陸に戻る約束だったからな」
「それ、もう少し延ばせない?」
「もう少しって、どのくらいだ?」
「あと150年位」
 肩から一気に力が抜けた。
「あ、あのなぁ・・・・・・」
「駄目?」
「当たり前だ! 俺に失職しろっつってんのと同じだぞ?」
「そしたら、私がボディーガードとして一生雇ってあげる。それで良いでしょ?」
「そういう問題じゃ」
「そう・・・・・・なら、バライルは私を初めて女にした責任は取れない、って言うのね?」
「ちょっと待て、それとこれとは話が」
 彼女の相眸に涙が浮かび上がる。俺が女の涙に弱いことを知ってか、この半泣きの手をよく使ってくる。
「だあぁもう、分かった、分かったから泣くな!」
 それでも本当に泣かれるとすごく困る。
 嘘泣きだと分かっていても、結局は俺から折れる羽目になる。
「明日、本業のボスと相談するから。それで良いだろ?」
「うん」
 ニコリと微笑んだ彼女の瞳には、もう涙の欠片も残っていなかった。
 この感情の切替の速さに、俺は毎回精神的に振り回されているのだ。

「ねえ」
「今度は何だ?」
「なんで、私の事好きになったの?」
 後ろに大きく反った角を優しく撫でられる。弾力のある肉球が触れて妙にくすぐったい。
「・・・・・・気が強くて肉付きの良い女が好みだから」
「それだけ?」
「でなきゃケダマ女と一緒に寝たりするかよ」
「なっ!」
 黒い鼻先を指で突いてやると、ひどいと言わんばかりに睨み付けてきた。
「で、お前はどうなんだよ。こんな巨漢の俺のどこが気に入ったんだ?」
「教えるわけないでしょ!」
 いじけたのか、そっぽを向いて目を合わせようともしない。冗談の通じない奴だ。
「そうか、なら力ずくで聞き出すまでだな、ユファ嬢」
「ひあう!」
 腹いせに腰を曲げて突き込んでやると、見た目とは不釣り合いな可愛い声で啼いた。
 結合部の隙間から溢れ出す白濁液が、潤滑油となって動きを滑らかにし、更なる快感を生みだす。
「だ、ダメよ、ずるいぃ!」
「へっ、言っとくけどな、俺の責めに耐えられないような奴に、そう簡単に雇われる気はないぜ?」
「ふぐ、ぅ、い、意地悪ぅ!」
 打ち寄せる快感の波にユファ自ら腰を振り、顔をしかめて喘ぐ。
 その悶える姿が、俺の内に眠る野獣の魂に火を点けた。
「っ、ユファ」
「なに、ぃ?」
「ぐぅ・・・・・・今夜は、眠らせねえからな」
 半ばまで引き抜いた巨塊を一際強く挿し込むと、ユファが身体を仰け反らせて悲鳴を上げた。
 内からせり上がってくる感覚に幸福を感じながら、俺達の濃密な夜はあっという間に更けていった。

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