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マスケット銃 - (2013/05/01 (水) 23:19:37) のソース
*マスケット銃 ◆NgpPbOWd9I ---- 放送が流れてしばらくして、再びあのサイレンみたいな音が周りに響いた。 そしてあの禍々しい気配はまるで現れたのが間違いだったといわんばかりに泉から消失していた。 結果泉は何事もなかったかのように元通りになった。 ただし何も変わってないわけではないというのは放送を聞いたサーニャ自身が一番よくわかっていた。 「先輩…松風さん…」 結局二人の反応はあの気配とともに消失してしまった。 さらにティンカーベル先輩は放送で名前まで呼ばれてしまった。 二人の命はすでに失われてしまったのだと、認められたようなものだ。 自分が参加者を―巴マミを見つけなければと思考がループしそうになる。 だが今は二人の死をいつまでも引きずるわけにはいかないということもわかっていた。 参加者名簿にエイラの名前があったのだ。 エイラ・イルマタル・ユーティライネン。 サーニャと同じく第8隊小隊に所属しているウィッチだ。 第8小隊に配属されたときに、いろいろと自分を助けてくれたことを今でも覚えている。 彼女は、今頃私を必死に探し回っているだろう。 ひょっとしたら「サーニャー!」と大声で訪ね回っているかもしれない。 故に早急に彼女を探さなくてはならない。 そんな行為は危険すぎるし、自分のせいで彼女に迷惑をかけるのは本意ではなかった。 「なんで私の名前が…?…それに杏子ちゃんやさやかちゃんまで…」 その悲痛な声で思考を一旦止めて、声がしたほうに視線を向ける。 そこには巴マミと親しいと思われる白い生き物がいた。おそらく知り合いが亡くなったのだろう。 傍らには雲山に拘束されている巴マミがいる。 サーニャは自分なりに彼女がなぜこのような凶行にでたのか考えていたが、結局彼女がこのようなことをした理由は全く思い浮かばなかった。 あの生き物ならそれについて何か知っているかもしれない。 知り合いが亡くなった後にこんなことを聞くなんて、冷たいのかもしれない。 だが、あの動物だってどうしてマミさんが拘束されているのかしりたいはずだ。 そう思い彼女のほうに向かったその時だ。 てれってってれって♪ 突然某ゲームのBGMが流れたかと思うと、泉から巨大な女性が飛び出してきた。 腕には泉に落ちたと思われる巴マミのデイバックがあった。 そしてこう言った。 「私は池の女神。願いを一つだけ叶えてやろう。あなたが落としたのは金のデイバックか、銀のデイバックか、デイバックか、正直に答えよ」 その場にいた全員が一瞬何が起こったのかわからなかった。 特にサーニャは目の前の光景が信じられなかった。 つい先ほどまでは泉の中に生きている生物をレーダーで確認できなかったからである。 この泉は赤い水に汚染されていたのだ。生物なんているはずがないのに、なぜ平気な顔をして願いをかなえるなどと言い出すのだろう。 だがそれは彼女の首元を見て、すぐに理解した。 彼女の首元には参加者にはつけられているはずのモノ―首輪がない。 「…主催者の関係者ですか?」 当然そう問いかけるのが自然だ。 そして主催側の者ならばあれに対する対策も容易に練れているはずだ。 あの水は主催者が用意したものなのだから。 「主催者?…あ、そういえば看板が置いてないね」 「…看板?」 女神はうなずくと泉から木の板できた看板を取り出して泉の前に突き刺した。 看板には、こう書かれていた。 ______________________________________________________________ <なんでも叶う三丁目の泉(?)> 泉にモノを落としても安心! 池の女神の安藤があなたが言ったものをお届けします。 なんだってお届けします。ただし届けるのは一人一回だけ。 それ以上のお願いはNGなので気を付けてね。 BY 安藤 ______________________________________________________________ ―届けるのも安藤なら、書いたのも安藤? ―あと三丁目ってなに?というか泉なのに池って…いや、そんなことよりも気になるのは… 「これ主催者に言われて書いたんですか?」 「そうそう、なんか書かなきゃダメって言われてね、めんどくさいけど書いたの」 「届けるって何をですか?」 「もちろん、その人の言ったものだよ」 もしそれが本当なら「この殺し合いを終わらせてください」と言えば、すぐにでもこの惨劇は終幕するかもしれない。 だが同時におかしいとも思う。この殺し合いの優勝者に対する景品として用意されているのが願いを叶えてくれることなのだ。 なのにこの泉に物を落としただけで、その権利が手に入るかもしれないとはどういうことだろう。 「ごめんなさい、少し聞いてもいいですか?」 「いいよ?人と話す機会なんて滅多にないしね」 「今までどんなことを言われたんですか?」 頭の中で浮かんだのが、この女神が叶えられる願いは大したことではないという考えだ。 それならこうやって主催者が送り出すのも納得いく。 「不老不死にしてくれとか拾われたいから犬になるとか」 「それでどうしたんですか?」 「勿論不老不死にしてあげたし、犬にしてあげました」 だが現実は違い、安藤は万能であった。 不老不死なんてそう簡単に与えられるようなものではない。ましてや人を犬にするなど。 願いを叶えるという一点は信じてもいいかもしれない。 「騙されちゃだめよ!」 「え?」「え?」 「願いをなんでも叶えられるなら当然リスクだってあるはずよ!ノーリスクで得られる願いなんてないわ!」 そう怒鳴ったのは、意外にもあの白い生き物である。 お願いにリスクは付き物と言われるとそうかもしれない。 だがなぜこんなに声を荒げるのだろう。 「むぅー、リスクってなにさ。むしろ当然の対価じゃないの?」 「え、対価あるんですか?」 少し驚いてしまった自分に驚いた。なぜ対価なんてないと思ってしまったのだろう。 白い生き物はやっぱりと言いたげに敵意を安藤に向ける。 「あ、書いてなかったけ?まぁいいじゃない、少しくらいの対価をいただいてもいい働きはしてるよ?」 そういうが、その少しとは果たしてどのくらいなのか。 安藤から見て少しなのであって、私たちから見たら少しでもないのではないか。 そう考えると、この泉にお願いをする気になどとてもならなかった。 デイバックを拾わせるだけでも、何かしらのリスクが発生するかもしれない。 謝って早くこの泉から離れたほうがいいのかもしれない。 「うんざん!うんざん!」 その時、雲山の声が響いた。巴マミが起きたのだろうか。 そう思い振り向いた瞬間、真上を巴マミが飛んでいった。 ○○○○○○○○ 「願いを一つだけ叶えてやろう」 巴マミが意識を取り戻したのは、そのような声が聞こえたからである。 同時に自分が拘束されていることにも気づけた。なぜ拘束されたのかは明白だ。 自分が人を殺したからだろう。 冷静に巴マミはそう思った。あのとき撃った弾丸は間違いなく彼女の体に命中した。 魔女を庇いさえしなければ生き延びれたのに。なんで庇ったのだろう。 いや、本当に魔女だったのだろうか? ウィッチという言葉から魔女だと思ってしまったが、その言葉を聞くまで自分は彼女のことを人間だと思っていたはずだ。 なのにどうして私は――。 頭が痛い。どうやら気絶した時に頭を打ったようだ。上手く頭が働かない。 とにかくこの状況から逃れなければならない。幸い拘束されていてもなんなく魔法は使えるみたいだ。 ティロフィナーレを撃てば流石にあの雲の使い魔も拘束を解かねばなるまい。 そう思い、魔法を使おうとした時、見慣れた生き物が目に映った。 ―――キュゥべえ。 パートナーだと思っていた生き物。 私の大切な友達――今となってはもはや友達とはいえないだろう。 そんな生き物が少女に向かって騙されるなと言っている。 ――その口で騙されるなというの?私たちを騙してきたあなたが? どうやらあの少女に願い事をかなえてほしくないみたいだ。 いや違う。先に契約されたくないのだ。 あの娘の素質がどの程度あるのかマミにはわからない。 ひょっとしたらないも同然かもしれない。 だが今のこのバトルロワイアルという状況なら、どんなに素質が低くても願い事を持つことができる。 この殺し合いから抜け出したいという願いを。 つまりあの女神を名乗る女性もキュゥべえと同類。 そしてキュゥべえが少女と彼女との契約を阻止しているのは、少女が彼女と契約することによって魔法少女が生み出せなくなる可能性があるからに違いない。 ――許せない。こんな所でも契約をしようとするその態度も、私たちを騙したことも。 なのになぜだろうか。いざ敵意をキュゥべえに向けると逆にひるんでしまう。 ――なんで?私はまだ心の奥底でキュゥべえを友達と思っているとでもいうの? 自分の心がよくわからなくなってきた。 さっきから軸がぶれている気がする。この場にいること自体に耐えられそうにない。 マミはティロフィナーレで逃走することにした。 ●●●●●●● それは本当に偶然だった。 拘束されていたせいもあるだろうが、何よりの原因は頭を打った影響によるものだった。 巴マミは普段通りに使ったつもりでも、実際の結果は普段通りとはほど離れたものだった。 結論からいうと巴マミは安藤に激突した。 彼女を飛ばしていたのであろう、巨大なマスケット銃が安藤と共に泉に沈んだ。 マミは雲山にいまだに拘束されていたので、そのまま雲山のいるほうに引き寄せられ落下は免れた。 「え、何が起こったの?」 「ま、マミさーーん?!」 「うんざん♪うんざん♪」 サーニャとキュゥべえの一人と一匹が困惑する中、雲山は偶然に助けられたことを痛感していた。 「うんざん♪うんざん♪(まさか、そのような移動手段があったとは)」 あのスピードを維持したまま、飛び続ければいずれ法輪の範囲外に飛び出し、雲山の拘束から逃れることができただろう。 女神に激突したのは本当に運が良かったとしか言いようがなかった。 そう思っていると再び安藤が姿を現した。胴体をすりすりとさすっているところを見ると結構痛かったみたいだ。 「私は池の女神。願いを一つだけ叶えてやろう。そなたが落としたのは金の猟銃か、銀の猟銃か、猟銃か、正直に答えよ」 そしてデイバックの代わりには先ほどの巨大な銃を構えている。 どうやら先に泉に落ちたものを拾う前に別のモノが落ちてしまうと、自動的に先に落ちたものは泉に没収されてしまうみたいだ。 「あの、これ答えなかったらどうなるの?」 「当然落ちたものはこのまま私の私物になります」 だがデイバックと違って、猟銃はこの場にいる中ではマミさんしか使わないし、そのマミさんも女神と激突したショックで気絶している。 今は必要ないだろう。それに願い事は一人一回しか使えないのだ。 ここで使う必要はないだろう。そう思い、立ち去ろうとした。 「…ティロフィナーレ(寝言)」 そうマミさんが呟いた。はたから見たらただの寝言。 しかし女神は 「よかろう」 そう呟き、マミさんに向けて力を放った。 思わず雲山は拘束を解いてしまう。その瞬間マミさんは光に包まれ―。 「ちょっと!マミさん元に戻しなさいよ!」 「無理です。実は呪いかけるのは得意なんだけど、解くのはしたことないんだよねー」 「…あの、これどうしたらいいのかな?」 「装備すればいいんじゃないかな?マミさんはなかなかの攻撃力ですよ」 「…マミさん装備して何と戦うの?」 「参加者かな?」 こうしてマミさんは巨大なマスケット銃になった。 【F-05 泉(湧水)/一日目 朝】 【サーニャ・V・リトヴャク@ストライクウィッチーズ】 [状態]:健康、魔力消費(微) 、精神的な落ち込み [装備]:★Rock Cannon@ブラック★ロックシューター、黒猫のゴスロリ服@俺の妹がこんなに可愛いわけがない、巴マミ(マスケット銃)@魔法少女まどか☆マギカ [道具]:メントスコーラ(空)@コーラを開けるとメントスが落ちるトラップの作り方、 DMカード『スターダスト・ドラゴン』@遊戯王5D's [思考・状況]:殺し合いには乗らずゲームを打破する 1、どうすればいいんだろう… 2、知り合いが居れば合流する 3、ストライカーユニットとフリーガーハマーが有れば入手したい 4、殺し合いに乗ってない参加者が居れば合流したい 5、……願い事どうしよう 【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ(死ぬしかないじゃないシリーズ)】 【状態】SGの穢れ(真っ黒ヤバい)、絶望、人間不信(少し回復しかけたが……?)、精神汚染B、マスケット銃 【装備】ソウルジェム(マミ) 【道具】 【思考・状況】 基本:…………………… 1:気絶中 ※精神汚染スキルを獲得しました。状況次第でランクが変動する可能性があります。 ※頭部を殴打したことにより……… ※マスケット銃に変化したことにより、魔力を消費することで銃口からティロフィナーレが撃てるようになりました。 ____________________________ <なんでも叶う三丁目の泉(?)> 泉にモノを落としても安心! 池の女神の安藤があなたが言ったものをお届けします。 なんだってお届けします。ただし届けるのは一人一回だけ。 それ以上のお願いはNGなので気を付けてね。 BY 安藤 ―――――――――――――――――――――――――――― 『三丁目の安藤@よもやま四方山』 金野太郎が斧を持って立ち寄る池に生息する女神。 願いを我流で叶えてくれる。(例:不老不死にしてくれ→斧にする等) また願いを叶えた対価を要求してきたりもする。(例:前掛け以外の服を着たら出血する呪いをかける等) 問いかけに正直に答えると、落としたものを金にして渡してくる。 また再生力も高く、殺しても傷跡から金太郎飴みたいに生えてくる。 |sm99:[[ケンはそっち側に行くの?俺はどっちでもいいけど]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm104:[[考察フェイズ]]| |sm102:[[オリーブの恨みは恐ろしいって、ハッキリわかんだね]]|[[投下順>00~50]]|sm104:[[考察フェイズ]]| |sm55:[[FAIRY in the EdenSpring ~その姿は Drowning in Ideal~]]|サーニャ・V・リトヴャク|sm114:[[邪神×ウィッチ×騎士、泉にて]]| |sm55:[[FAIRY in the EdenSpring ~その姿は Drowning in Ideal~]]|巴マミ|sm114:[[邪神×ウィッチ×騎士、泉にて]]|