GAME
彼が意識を取り戻したのはいつだろうか。
深海に沈んでいたような知覚は次第に明瞭さを取り戻していく。
まるで夢と現の境にいるような、そんな感覚。
だがそれも束の間。眩しいと感じたとき、少年は強制的に覚醒させられた。
彼――人吉善吉はそうして、己の現状を知ることになる。
「ぐっ……」
言葉では形容しがたい嫌な感覚が善吉を襲い、咄嗟に飛び起きようとしたもののそれは叶わなかった。
そもそも彼は『座ったままの体勢で眠らされて』おり、さらに両手足を椅子に固定されていたのだから。
渾身を籠めるも鋼鉄製の拘束具はびくとも動かない。それを認識した善吉は、すぐに現状の把握に努めた。
五体は満足。どの部位も問題なく動かせる。五感も何一つ不自由ない。冷たい椅子の手触りが、ありありと感じとられた。
そもそも彼は『座ったままの体勢で眠らされて』おり、さらに両手足を椅子に固定されていたのだから。
渾身を籠めるも鋼鉄製の拘束具はびくとも動かない。それを認識した善吉は、すぐに現状の把握に努めた。
五体は満足。どの部位も問題なく動かせる。五感も何一つ不自由ない。冷たい椅子の手触りが、ありありと感じとられた。
続いて、周りの様子。
彼の他にも十数人が、同じように椅子に拘束されている。見た限り彼の知り合いは一人もいなかった。
起きている者と寝ている者は半々か。前者はやはり脱出するのを諦めたらしい。無意味に暴れてもバランスを崩し
椅子ごと倒れ、さらに不都合な姿勢になることは目に見えていたからだ。
彼の他にも十数人が、同じように椅子に拘束されている。見た限り彼の知り合いは一人もいなかった。
起きている者と寝ている者は半々か。前者はやはり脱出するのを諦めたらしい。無意味に暴れてもバランスを崩し
椅子ごと倒れ、さらに不都合な姿勢になることは目に見えていたからだ。
(俺は誘拐されたのか? だとしたら……)
周囲を見回し、部屋はそれなりに広いと彼は思った。
白い壁とフローリングで、天井には蛍光灯が室内を明るく照らしている。
広いと感じたのは調度品が全く置かれていなかったからだろう。
目の前のものについて少し考えてみようと思ったとき、隣にいた人間がふいに善吉に話しかけた。
白い壁とフローリングで、天井には蛍光灯が室内を明るく照らしている。
広いと感じたのは調度品が全く置かれていなかったからだろう。
目の前のものについて少し考えてみようと思ったとき、隣にいた人間がふいに善吉に話しかけた。
「あの……」
「ん?」
それは中学生くらいの少女だった。
髪は茶色で整った顔立ちをしており(若干苛立っているようだが)、どこかの学校の制服を着用している。
髪は茶色で整った顔立ちをしており(若干苛立っているようだが)、どこかの学校の制服を着用している。
少女は善吉に向けていた目を横に逸らし、その延長上にあるものを見た。
「あれが何か分かります?」
視線の先、善吉も先ほどからずっと気になっていた謎の物体が、そこにあった。
完全な真円を描いた、真っ黒な球。蛍光灯の明りを受けて黒光りする金属質のそれは、状況も相俟って
明らかに異彩を放っていた。芸術家のオブジェでこんなのがあるのかもしれないが、おおよそ通常生活では
見られないものだ。
完全な真円を描いた、真っ黒な球。蛍光灯の明りを受けて黒光りする金属質のそれは、状況も相俟って
明らかに異彩を放っていた。芸術家のオブジェでこんなのがあるのかもしれないが、おおよそ通常生活では
見られないものだ。
「さぁな。初めて見たよ」
「そうよね…………クッ、何で出せないのよ……」
「??」
何が出せないのか、善吉にはよくわからなかったが少女が何かをしようとしていることは確実だった。
その表情は焦りと怒りが入り混じった微妙なものになっていたが、彼はさして気に留めなかった。
目の前の球体は変わらずそこにある。そう、何も変わらず――――
その表情は焦りと怒りが入り混じった微妙なものになっていたが、彼はさして気に留めなかった。
目の前の球体は変わらずそこにある。そう、何も変わらず――――
白い文字が、突然球体の表面に映し出された。
「……!!」
その場にいた全員が目を見張る。
拘束され、放置され続けてようやく起こった変化だ。注意しない筈がない。
そこに投影された、文章は、
拘束され、放置され続けてようやく起こった変化だ。注意しない筈がない。
そこに投影された、文章は、
《てめえ達は今から殺し合いをして下ちい》
「は?」
善吉の隣の少女は怪訝な面持ちになった。
無理もない。ここにいる全員がそう思っているのだから。
殺し合い。その文章の意味を捉えるのに時間はかからない。
しかしその宣告はあまりにも唐突で、現実味を帯びないものだった。
呆気にとられていたのはほぼ全員。ただ一人を除いて。
無理もない。ここにいる全員がそう思っているのだから。
殺し合い。その文章の意味を捉えるのに時間はかからない。
しかしその宣告はあまりにも唐突で、現実味を帯びないものだった。
呆気にとられていたのはほぼ全員。ただ一人を除いて。
「どういうことだ、ガンツ!!」
一人の少年が声を張り上げた。
精いっぱいの抵抗と意思表示。それ以外に為す術がない。
そして唯一この部屋の中で黒い球の存在を知る人間が、彼だった。
精いっぱいの抵抗と意思表示。それ以外に為す術がない。
そして唯一この部屋の中で黒い球の存在を知る人間が、彼だった。
(ガンツ……?)
聞いたこともない単語に善吉は眉を潜めた。
彼の後ろにいる黒髪の少年は、何らかの事情を知っているらしいと判断するに足りたからだ。
しかし場の空気にお構いなしに、黒い球、ガンツはさらに文章を表示し続けた。
彼の後ろにいる黒髪の少年は、何らかの事情を知っているらしいと判断するに足りたからだ。
しかし場の空気にお構いなしに、黒い球、ガンツはさらに文章を表示し続けた。
《参加者は58人
タイムリミットは72時間
最後に生き残った一人が
優勝だす》
タイムリミットは72時間
最後に生き残った一人が
優勝だす》
「今までのミッションはどうした……!?」
少年の声が少々焦りを含んだものに変わった。
彼にとっては予想外のことなのだろう。しかしそれ以外の人間には未知同然だ。
だからこそ、別のことが気になった。
彼にとっては予想外のことなのだろう。しかしそれ以外の人間には未知同然だ。
だからこそ、別のことが気になった。
「58人……?ここには12人しかいないじゃないか」
その問いも無視して、黒い球はさらに続ける。
《詳しいルールは開始地点に置いてある
デイパックに入れています》
デイパックに入れています》
何がなんだかさっぱり分からない。
状況を受け入れられないまま、ガンツと呼ばれた黒い球は淡々と文章を表示しては、消していく。
その説明すら簡潔すぎて、さらに一切の質問に応えないとなればなんら対応することは出来なかった。
状況を受け入れられないまま、ガンツと呼ばれた黒い球は淡々と文章を表示しては、消していく。
その説明すら簡潔すぎて、さらに一切の質問に応えないとなればなんら対応することは出来なかった。
そして最後に、
《行って下ちい
72:00:00》
72:00:00》
そこで文章は終わった。
表示された時間は変化していない。
冷えついた空気の中、善吉は後ろの黒髪の少年に話を訊こうとする。
だが、その前に自身の異変に気付いた。
表示された時間は変化していない。
冷えついた空気の中、善吉は後ろの黒髪の少年に話を訊こうとする。
だが、その前に自身の異変に気付いた。
「な……はああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
足元から、自分の体が消えていく。
それも透明になるとかそういった様子ではなく、まるで見えない水に沈んでいくような感覚だった。
さらに消えた部分の断面はさながら解剖図のようで、それを見た者の恐怖を駆り立てた。
無論、これはただの転送でしかないのだが。
それも透明になるとかそういった様子ではなく、まるで見えない水に沈んでいくような感覚だった。
さらに消えた部分の断面はさながら解剖図のようで、それを見た者の恐怖を駆り立てた。
無論、これはただの転送でしかないのだが。
周りから上がった悲鳴は、すぐに掻き消えていった。
頭部が消えているからである。
頭部が消えているからである。
「く、クソッ、おい!…………――」
何の抵抗をすることもできず、その場にいた全員が消滅した。
あとに残っているのは椅子と黒い球だけだった。
その静寂の中、表示されていたリミットが音もなく動き出した。
あとに残っているのは椅子と黒い球だけだった。
その静寂の中、表示されていたリミットが音もなく動き出した。
《71:59:58》
こうして、殺し合いのゲームは幕を開けた。
【追加要素】
- ゲーム開始時、参加者は会場内のどこかにある5つのスタート地点から転送させられMAP上にバラバラに配置される
- 支給品にルールブックを追加。ロワのルールが記載。
- 首輪ではなく頭蓋の中に爆弾が仕込まれている。
- 『評価点・得点』
参加者には評価点がつけられている。
ゲーム開始時は10点。6時間ごとに1点追加されていく。
他の参加者を殺害すると一人につき3点が追加される。
評価点は自分自身には何の役にも立たない。他人が得点を集めるときにのみ価値がある。
得点はゲーム開始時は0点。参加者を殺害すると、参加者が持っていた評価点が得点に加算される。
つまりA(評価点10、得点0)がB(評価点16、得点20)を殺害するとA(評価点13、得点16)となる。
ゲーム開始時は10点。6時間ごとに1点追加されていく。
他の参加者を殺害すると一人につき3点が追加される。
評価点は自分自身には何の役にも立たない。他人が得点を集めるときにのみ価値がある。
得点はゲーム開始時は0点。参加者を殺害すると、参加者が持っていた評価点が得点に加算される。
つまりA(評価点10、得点0)がB(評価点16、得点20)を殺害するとA(評価点13、得点16)となる。
- 褒賞
得点が一定以上まで達したら褒賞が貰える。
例えば強力な武器が貰える、等。どの得点でどんな褒賞が貰えるかは未定。
例えば強力な武器が貰える、等。どの得点でどんな褒賞が貰えるかは未定。
- 評価点、得点、褒賞に関してはルールブックに記載されない。
放送で伝えられるかもしれない。