アルカニア学院国家

地勢

 大陸南部、エストネル山地の東端の裾野に位置している。
 国土は高地にあるが、盆地や扇状地といった比較的起伏のなだらかな地域が多く、農耕には適している。

成立

 元々はベルリール王国の東端を預かる、アルカン公爵領であったが、そこにアデプトの研究をする魔術師エイヴォーンが学院を開いたのは帝紀685年の事である。
 彼の作った学園はアデプトの奥義にこそ未だ到達出来ていないものの、多岐に渡る実践的な知識と技術を数多く蓄え、そしてそれを伝える教練課程もあって、優れた兵士・士官・教育者を輩出している。それがアルカン公爵領の主な産業となり、公爵領を大いに栄えさせ、後に実質的な独立を護る原動力となった。
 帝紀723年、ベルリール王国が滅亡しアルカン公爵も後継者を指名せず戦死。ベルリールを滅ぼし統一帝となったレイウォール王は学院を直轄にしようとするが、ベルリリア地方の各領主はこれに対抗。
 緊張状態になるものの、各国による抗議姿勢を受けて帝紀725年、公爵領の自治権は存続する事となった。
 アルカン公爵の爵位は、一応の継承者がレイウォール国内にいるものの、実質空席となり、アルカン公爵領は以後アルカニア学院国家を自称する事になる。

政治

 アルカニア学院国家は言い方は悪いが、学園運営者が「ついでに」運営する形式を取っており、その形態は封建制・絶対君主制・(商人などによる)議会制が主なアルディオンにおいては非常に異質なものである。
 国家元首は学院評議会と言う事になっているが、学院長にして議会議長であり、かつ評議員全てにとって「頭の上がらない恩師」でもあるエイヴォーンが実質上の支配者である。
 が、エイヴォーン自身は国家の運営もまた「重要なテストケース」であると考えており、重要な外交上の決断などを除けば概ね、専門知識を身に着けた評議員による決議に一任されている。

 アルカニア政府は大きく分けて中枢部・国政部・学院部の三つの部署からなり、それが相互に連携しあって、国家として決して大きくないアルカニアを支えている。
 国の治安を預かり、国防・行政・司法を司るのは国政部である。が、国政部の人材はほぼ、国政部各省庁のノウハウについて研究する研究室から輩出されており、両者は独立しているとは言えない。
 学院部研究室は国政の最新の情報やノウハウを学び、専門家を育成して国政部に送り込み、国政部は実際に国を運営すると同時に様々なデータを学院部にフィードバックしている。
 この二つの部署をとりまとめ、かつ立法・外交を司るのが評議会を中心とした中枢部となる。

 アルカニアの特徴的な組織に、政略部がある。
 政略部は政治についての研究を行う学院部の一部署であるが、大陸全土にスタッフを持ち、諜報活動を行っている。
 そしてその性質上、政治ドクトリンや、それと切り離せない最新の情報は常に国政部にフィードバックされており、学院部でありながら実質上、国政を助けている。
 基本的に部としての目的は「よりよい政治ドクトリンを創り出すこと」であるが、その一環として他国を用いた「人体実験」(わざと不満分子を爆発させ、それを効率的に鎮圧する等)を仕掛ける事もあり、それを名目として破壊工作の類を請け負う。

情勢

 アルカニアはベルリリアの同盟関係において、ブレイン的な役割を負っている。
 格式上、同盟を束ねる立場にあるバイオリア公国がどちらかというと穏健派で、悪く言うと機に鈍なところがあるスタンスである為、アルカニアは水面下で様々な予防策を講じ、同盟を引っ張っていくのが事実上の役割となっている。

軍制など

 アルカニア国軍は、歩兵を中心とした、兵科ごとの編制が為された近代的な軍隊である。
 1000人ほどの正規軍と、400人ほどの学徒兵、および600人ほどの傭兵からなる。有事には更に民兵が組織される(その数は概算でしか把握されていないが、大体2000人ほどと目される)。
 人口15万ほどの国家としては、やや兵力に重きが置かれていると言っていいだろう。
 学徒兵は名前が持つ印象と反して動員されるのではなく、実践課程の一つとしての兵力である。拒否は可能で、(生徒の母国が敵国となった場合など)免除される場合もあるが、学院自体が兵学校のようなものなので、これを拒否する者はほとんどいない。
 国の性質上、兵科はバリエーションに富み、(剣や槍で武装した)歩兵40%、弓・弩・銃兵20%、騎兵20%、魔法兵15%、工兵5%からなる。

主要な地名

  • アルカニア学院
 首都にあり、ほぼ国土全域に学舎を持つ巨大な学院。

著名人


諸外国との関係

 自国内に有力な資源を持たず、国土の狭いアルカニアはその性質上、他国に技術と人材を輸出する事を産業としている。その為、大体の国とは友好的な関係を築いている。
 ただし、その起源からレイウォール赤竜王国とは常にある程度の緊張状態にある。
 また同時に、大陸統治の方法に関する思想上の相違から、エストネル王国はこの国を快く思っていない。
 しかしながら利害上の衝突を理由として、この国と対立する国家は基本的にはない。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年10月16日 03:29