ベルリリア地方

地勢

 狭義には「かつてベルリール王国領土であり、現在レイウォール王国領内でない」地域を指す名称で、アルカニア学院国家ジャクトー帝国バイオリア公国ハイロニア神聖国フォルランド防衛同盟ラングエンド新皇国が含まれる。
 ただし、現在はそこにインシュウエルシア伯爵領ダラス自治領ツェウクナート伯爵領を含め、さらにラングエンド新皇国を除外した小国家群を指すのが普通である。
 各地域の地勢などはそれぞれの項目を参照の事。

成立

 カムロート辺境伯領エリンディルとの貿易の為、レイウォール赤竜王国の飛び地領土として成立したのは帝紀692年の事である。
 ゴルフォード王が領有していたクレスト諸島西部との領地交換で獲得した地域ではあるが、名目上「帝国」であったアルディオンにおいて、他国との貿易による利益を諸侯の一人が独占するのは許されない事だった。その為時の統一帝であったベルリール王が諸侯に呼びかけて干渉し、カムロート辺境伯を帝国直轄の爵位とする事で一応の決着を見た。
 それでもカムロート辺境伯がレイウォールに最も近しい人選であるのは否めない事であり、ベルリールとカムロートの間にあった小荘園領有権を他国がこぞって買い取り、睨みを利かせる形となる。
 力を増すレイウォールと、強権を発動した代償に多くの切り札を手放したベルリールは対立を深め、帝紀715年に起きた小競り合いを機に勃発した全面戦争は、帝紀723年の大災厄を持ってレイウォールの勝利に終わる。
 これまでの通例によれば、敗北した側の王家は領土や権益を勝利した側の王家に譲る事で決着していたのだが、今回はそうは行かなかった。王都ベルリールがバルムンクを名乗る結社が執り行った魔術儀式により文字通り地獄と化し、王家もろとも滅亡の憂き目に遭ったからである。
 王都を包囲していたレイウォールの言い分は「ベルリールが悪魔の力で反撃しようとして自滅した」と言っているが、その後の迅速な戦後処理を見ているとこの儀式自体レイウォールが裏で糸を引いているという見方も出来る。その為、レイウォールがベルリールの領土をそっくり領有しようとした時、元ベルリール臣民はもちろん、他国やレイウォール国内からも強い反発が生じた。
 しかしながら時のレイウォール王ブルグは、「ベルリール諸侯が自分(ブルグ)に臣従するかどうかは各領主が決めて良く、自分はその各自の決定を尊重する」という期限付きの譲歩をしただけで統一帝の冠を得て、それまでの戦争で制圧していた地域と、ベルリール王直轄の地域をそっくり自国に併呑した。
 前置きが長くなったが、これが狭義における「ベルリリア地方」の成立である。成立当初は先述の6地域に加え、現在ではレイウォール南部の一地方になっているいくつかの地域も含まれる。

 さて、ここから現在の「ベルリリア地方」への推移に移ろう。
 統一帝の地位を手に入れたブルグは約束を守り、存命中はベルリリアを攻めなかった。しかし、息子のラージベルは王位を継ぐと、即座に南方の小国家群を攻めた。「ベルリールの王権はレイウォールに正当に譲渡されており、ベルリールの地を不当に占拠する旧臣達は逆賊である」というのが名目である。
 これに対し他国は見て見ぬふりを続けていたのだが、ついに帝紀731年、グラスウェルズ白竜王国が不義の侵略を続けるレイウォールに宣戦する。この戦争は実に70年にも渡って続き、神託戦争と呼ばれる事になる。
 神託戦争は休戦と開戦を繰り返しながらずるずると続き、その間も両国は領土を広げ続けた。戦線が膠着した神託戦争において、諸侯達に報いる為には違う地域を侵略し、与えるしか方法がなかったのだ。
 キール山脈以西のベルリリアがレイウォールに奪われた時、エルモードに一人の英雄が立ち上がった。彼こそが新皇を名乗るモード・レドリックである。帝紀789年、彼は西部ベルリリアを纏めて新国家「ラングエンド新皇国」の樹立を宣言、レイウォールによるこれ以上の侵攻は許さないと強い姿勢を示した。
 それまでもバイオリア公国により、ベルリリアは緩やかな統一意志を持っていたのだが、それはどちらかというと軟姿勢で、強い軍事力を背景に交渉すれば容易に突き崩せるような類のものであった。しかしながらレドリックは、レイウォールの脅しを全てはね除け、向けられた軍勢も全て打ち破って見せた。
 背後に強敵を抱えた事を悟ったレイウォールは、アヴェルシア王室と政略結婚を通じて同盟関係を築き、帝紀800年に神託戦争を終結させた。

 この神託戦争の過程で、バイオリア公国は「公国」にこそなったものの、伝統を重んじ、自らが王を名乗って周辺諸侯を従えようとはしなかった。ただ正当な統一帝が現れるその日まで、暴君に領土・領民を蹂躙される事がないよう、同盟して自衛しよう、と訴えただけである。西ベルリリアが切り崩されて行く中、この同盟は徐々に範囲を広げていった。
 神託戦争で多くの命や記録が失われ、カムロート以西の小荘園は後ろ盾を無くしたり、出所のはっきりしない輩に領有権を主張されたりする事が度々起きるようになった。元々がほぼ独立国家の体を為しており、起源も偽りはしないものの、それでも帰属する国家が曖昧になり、後ろ盾も得られないとなったそれらの国々は、バイオリアの提唱する同盟関係に加わる事を選んだ。ただ、バイオリアはもっと積極的に動くべきだったのだろう。キール以西のベルリリアがレイウォールに併呑されるのを何も出来ず見送る形になった時、残された西ベルリリアは英雄レドリックの元に纏まり、ラングエンド新皇国となってベルリリアからの脱却を宣言したのだ。

政治

 バイオリア公国主導の国家元首同士による首脳会談は行われているが、統治形態は基本的に各国家毎に異なる。
 ただし、他国の侵攻に対しては、物資および軍事力による支援が義務づけられている。

情勢

 レイウォール赤竜王国は、その起源から続く対立が今も残っている。
 ジャクトー帝国ラングエンド新皇国に内政干渉を仕掛けたり、また逆に支援を求めたりと、何かにつけてちょっかいを出しており、ラングエンドとの関係は悪化しつつある。
 ゴルフォード王国は近年、領土欲を燃やしており、ダラス自治領がその手始めに侵攻を受けているようである。
 それ以外の国家とは概ね友好的な関係を築いている。

軍制など

 ベルリリアの同盟国が他国から侵攻を受けた際には、その侵攻を受けた国家が指揮官として当たり、他国はそれを支援する形で軍隊を派遣する事になっている。
 しかしながらこの制度は、同盟内部の情勢には即しているが、他国からの侵攻に効果的に対抗するためには現実的とは言い難い為、アルカニア学院国家から改善の提案がなされている。

主要な地名


著名人

 各地域別に記載。

諸外国との関係

 情勢に記載。

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最終更新:2009年06月05日 05:32