天下繚乱シナリオクラフト

■概要

 江戸絢爛で追加されたシナリオクラフトの、追加ストーリーパターンテンプレートです。
 概ね同じ感覚で使えるようにしたつもりではありますが、折角スペース的な制約などがないのですから、色々とヤンチャをしてあります。

 細部は個々のSPTの指示に従ってください。

■ストーリーパターンテンプレート

天下繚乱ショートセッション用SPT「英漫記」

 旅先で立ち寄った町で起きている悪事を、英傑たちが解決して悪党を退治します。
 既存SPT英傑漫遊記をより短時間で遊べるように再構成したものです。

天下繚乱ショートセッション用SPT「英傑の怪物退治」

 旅の途中、人々を悩ませる怪物を退治します。
 ボスは怪物になり、ミドルの情報収集で怪物の傾向や弱点を決めてカスタマイズしていきます。

天下繚乱ショートセッション用SPT「妖異捕物帳」

 江戸等の大きな町で怪事件が起こり、英傑たちはそれを解決します。
 「手がかり」をプライズとして集め、それらを組み合わせて自由に「真相」を創作します。

天下繚乱ショートセッション用SPT「番宿にて」……作成中

 時代劇の定番。渡し場で出会った人々の人間模様を描きます。
 小さなイベントが並行して複数起こり、最終的にそれらが絡み合って、クライマックス戦闘に繋がります。

天下繚乱ショートセッション用SPT「夕陽の御前試合」……作成中

 とある殿様が午前試合を所望し、それが開催されます。英傑やライバル達はそれぞれの思惑でそれに参加します。
 小さなミドル戦闘がたくさんあります。

■ノウハウ

 追加されたSPTに限った話ではないのですが、シナリオクラフトを回す上で役立ちそうな事を、経験から書いてみました。
 よかったら参考にして下さい。

◆情報の取り扱いについて

 ゲーム内で判定で手に入れる「情報」ではなく、GMからPL、あるいはPLからGMや他のPLに対して提示される様々な「情報」の取り扱いについてです。

▼決定事項は明記しよう

  • ○理想
    • 決まっている事は、極力事前に情報として出してしまった方がいいです。
    • ネタバレを心配するよりも、隠された思惑がメインプレイ中に顕在化して衝突する事を心配した方がいいように思います。
    • 後出しで却下されれば、当然不愉快なものです。が、思惑が衝突する場合でも、事前に分かっていれば摺り合わせる事が可能なはずです。
    • 何が決まっていて決まっていないかを自分の中で整理した上で、既に決まっている事を明記するようにしましょう。
    • GMであれば(原義の)ハンドアウトに纏めて配布、PLであればキャラクターシートの末尾に明記と言った方法で、周知する事が出来るはずです。
    • 「明記されていない事は、決まっていない事」と考えてしまいましょう。
    • とはいえ、膨大すぎる設定資料は、読んで貰えなくて当然です。
    • 「決定事項」はセッション中に認識違いが起きると困りそうな部分を優先して厳選して絞込み、それ以外は「変わっても構わない部分」と割り切りましょう。
    • 普通のセッションならば、決まっているなら明記した方がいいのはこんな部分です。
+ ▽特殊な設定
 公式設定や現実と異なる世界設定があるならば、明記するに越した事はないです。
 もちろん、ちゃんと書けば膨大な分量になるでしょうから、特にセッション中関わってきそうな部分を書くようにして、それ以外は「まぁ後でトラブるかもな」と覚悟するぐらいで充分でしょう。

+ ▽シナリオのタイプ(GM向け)
 それがどういうタイプのシナリオであるかも、明記しておく方が良いでしょう。
 ダンジョン物なのか、シティアドベンチャーなのか、勧善懲悪痛快娯楽なのか、余韻を残す人間模様ドラマなのか。
 勿論、参加者がどういう姿勢でゲームに臨むかが分かれば充分なので、展開を全てばらす必要はありません。

+ ▽特殊な裁定(GM向け)
 公式と異なる裁定や、普段と違うレギュレーションなど、予め分かるなら明記するようにしましょう。
 公式でも解釈がはっきりせず、ハウスルールという程慣例化していないような裁定も書いておけば便利です。

+ ▽キャラクターの性格やロール指針
 これは主にPCですが、シナリオクラフトならばNPCも公開してしまった方が良いでしょう。
 それがどんなキャラクターで、どう振る舞い、何を優先して何に心動かされるかが分かれば、相手もロールしやすくなります。
 特に特定の結論に到達する事を前提としたシーン作成が基本となるFEARゲにおいては、スムーズなシーン運びをするため特に有効です。


    • 加えて、シナリオクラフトならば以下のような部分も公開すると良いでしょう。
+ ▽ストーリーの核心
 普通のシナリオクラフトにおいては、最初は決まっていない事が多いのですが、決まった時点で公開するといいでしょう。
 ショートセッション用シナリオクラフトならば決まっていますので、公開するのも容易なはずです。
 通常のシナリオならばともかく、シナリオクラフトにおいては「参加者が空いたピースを埋めていく」事が楽しみの大きな割合を占めます。
 提案や予想など、思いついては口にするでしょうし、希望の展開でやりたいロールをこっそり準備したりするかもしれません。
 PLに対してネタバレや自由な展開の阻害になると感じるかもしれませんが、実際は逆です。決まっているなら公開しましょう。

+ エネミーデータ
 ショートセッション用シナリオクラフトにおいては、プレイ時間の都合、クライマックス戦闘に十分な尺を取れない可能性があります。
 その対策としても、ボスを始めとするエネミーデータは予め公開してしまうと良いでしょう。
 そうする事で、ミドルの時点で「ここまでリソースを削っても大丈夫」という見極めの要素が生まれます。


  • ○現実
    • とはいえ、後から気づく等と言うのはよくある事ですし、人情として「みんなを驚かせるために仕込みとして伏せておきたい」などと思う部分もあるでしょう。
    • 現実問題として、「今まで周知していなかったけど、こんな決定事項があるんだ」という事態はよく発生します。
    • そういう場合は、トラブルが発生した時点でぶっちゃけてしまい、主にGMの都合を優先して、ゲームを進行させるようにしましょう。
    • その上で最終的にどうするかを、セッション後にでも話し合ってください。
    • 気をつけても言葉がきつくなる人、相手の言葉で過剰に傷つく人、色んな人がいます。感情的にならずに、お互い寛容に、楽しくプレイしたいものです。


▼相談をしよう

 例外こそあるものの、基本的に全てのセッションで言える事ではありますが、予想や思惑は口に出してしまった方が良いです。
 面白いアイデアがあればGMは吸い上げる事が出来ますし、PLの推理やストーリーの把握度をそれで確認する事が出来るからです。

 とはいえ、一人で延々推理や提案をし続ければ周囲はあなたにゲームを支配されているように感じるかもしれません。
 時には発言を調整し、時には他者が発言するように誘導したりして、「会話」が発生するように工夫するなら、GMは安心してあなた達の会話から情報収集する事が出来ます。

 例外と言いましたが、相談がGMにとっての大きなプレッシャーになる場合があります。
 PLは純粋に推理をしているつもりが、GMからすればシナリオの不備を並べられている……という事はよくあります。ありました。もうホントごめんね、適当なシナリオ組むGMで。

 ※表現として「雑談」でもいいのですが、内容が多岐に渡りすぎるので敢えて「相談」としました。


◆キャラクターの設定の仕方、演じ方について


▼キャラクターの表現について

 演じる人の技量や、受け手の適性にもよるので一概に言えない部分ではありますが、もしあなたが印象深く魅力的なキャラクターを演じたいのであれば、以下のような点に気をつけてみてください。

+ ▽基本的には「普通のキャラクター」にしよう
 キャラクターの情報が増えれば増えるほど、把握は大変になります。
 扱う本人にも大変でしょうが、キャラ設定という一次資料を直接見るのではなく、あなたの演技を通してこれを見る周囲の人間からすればそれはより一層困難になります。
 まずざっくりと「これはこういうキャラなんだな」と把握し易いように、キャラクター自体「役割にあった造型」、「ぶっちゃけて一言で言える明快さ」を心がけると良いでしょう。
  • 役割にあった造型
 文字通りです。英傑、ヒロイン、ライバルといった物語上の役割もあれば、役人、商人、僧侶といった作中社会での役割もあるでしょう。
 ヒロインならば「いかにもヒロイン」という性格、役人ならば「いかにも役人」と言った言動や風体にしましょう。
 役割は相手のキャラクターに取って、関わる上での用途や意味合いになります。
 用途や意味合いがはっきりしていれば、どうそのキャラクターを利用すれば、自分のキャラクターがより活躍できるかが分かりやすくなります。
 役割に沿う造型である事で把握が容易になるのは勿論ですが、「自分のプレイに役立つ」ようにする事で、キャラクターに興味を抱かせる上で大きなモチベーションになるはずです。
  • ぶっちゃけて一言で言える明快さ
 ヒロインであるなら基本的にはPL(PCとは限りません)の鼻先にぶら下げるニンジン役ですので、相応の個性がすぐに浮かぶはずです。
 役人と一言で言われれば、「堅くて真面目」「権力に弱い」といった個性が浮かぶはずです。
 実際それは「記号としての個性」であり、キャラクターのそれに直結するとは限らないのですが、後述するキャラクターに付与された「役割に反した個性」を際立て、印象付ける上で非常に有効です。

 「普通のキャラは覚えてもらえない」「普通にやっても面白くない」というのは大きな勘違いです。
 基本を踏まえないで作られた「普通じゃないキャラクター」は、ただ異常で支離滅裂であり、理解が困難なために興味を持たれなくなってしまうキャラクターである事を忘れないで下さい。

 あと、役割との関わりや、キャラクターを表現する「一言」から抱く印象はわりとばらばらです。あんまアテにしてると多分傷つく羽目になるでしょう。

+ ▽負う役割に反した個性を意識しよう
 キャラクターに取っての本来の意味での「個性」です。

 そのキャラクターは、役割に奉仕する為だけに生まれて死んでいくコマではないはずです。
 重要度が低くかったり、登場直後だったりして、深く関わる機会がなければ確かによくいるテンプレの一人に見えるかもしれませんが、言葉を交わし、交流する内に見えてくる物があるはずです。

 ……と、かっこつけて書いてみましたが、要は「キャラクターの副次的な個性」の事であり、主となる役割とセットで「そのキャラクターは結局どんな人物なのか」を表現します。
 にっくき仇敵なのに、どこか憎めないところがある、固い役人なのに、私生活はてんでだらしなかったりする、など、様々な個性付けがあるはずです。

 ここで大事なのは、「主要な個性(役割)より前面に出さない」事です。
 ぶっちゃけ演じていて楽しいし、日本人はこういうバランス取りが大好きですので、つい前面に出しがちですが、こういった個性は「副次的だからキャラが立つ」のです。

 PLに「これってどんなキャラ?」と聞かれた時は、忘れず言い添えるようにしましょう(そもそも「会ってからのお楽しみ」とかいう時は言う必要ありませんが)。

+ ▽ここまでの前提を全部忘れてみよう
 単発ならば上記で大体充分なんですが、キャンペーンともなればここまでの前提を一切忘れて、なんとなく思いつくままにキャラクターを出すというのもいいものです。

 滑ったらそのままフェードアウトさせればいいですし、想定外に盛り上がったならそれから役割を当てはめていっても良いでしょう。
 NPCは基本的に役割を持ったキャラクターであり、むやみにキャラクターを増やせばPLを混乱させてしまいますが、「NPCは全て役割を持っている」という構図があまりに徹底されてしまうと、NPCがただのボタンか何かに

しか見えなくなってしまいます。

 「NPCはキャラクターである」という世界観を演出する上で、多彩性を出すためにもたまにはあえてハズしてみましょう。
 でも、長いスパンで楽しむ事ができるキャンペーン以外では控えた方が良いです。

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最終更新:2017年08月18日 10:41