【名前】アルトゥル・コシュレル
【性別】男性
【年齢】35
【所属】
紅月の教団『月の学派』
【容姿】
茶のスラックス、白いワイシャツの上に灰色のベストを着、その上からダボダボの黒ローブを羽織った男。
黒髪と紅い瞳、常に不気味な笑みを湛えており、唄うような、他の何かへ語り掛けるようなしぐさで会話する。
それは盲信であると、ほどなく気付けるだろう。
【性格】
その性格は人によって変人、ないしは狂人とも取れるだろう。
赤い光を"天の呼びかけ"と呼称し、それに対して幾度となく語りかけたり、神への呼びかけや邂逅、交信の手段を模索し続けている。
その思想はもはや重度の統合失調症に侵されていると言っても過言ではなく、現に彼は〝誰かに見られている感覚〟と〝ありえない幻覚〟を見ることが多々ある。
彼はその、ねじ曲げられた己の中の真実を信じ続けるうちに────やがて、現実の方が捻じ曲がってしまったのだ。
彼は、彼等を見降ろす『紅い満月』の全貌を識り、隠された真実を視る為に。彼は己の能力をより上位の階梯に持ち上げ、その真実を世界に認識させる事を目的としている。
それほどまでに大仰な願いを持ち、しかしその目的に対して命すら擲つ事が出来る。その在り方は、その狂った願望が本物である事を示している。
夢を見たままにして、それを現に映し出してしまう存在。─────それこそが、アルトゥル・コシュレルという男の全貌である。
【異能力】
『トゥルーフェイカー』
妄想を現実に投影する能力。虚構を真実へ昇華させる禁忌。
彼が思い描いたモノを、実際に"在る"モノとして世界に顕現させる能力である。
例えば、其処に"爆弾がある"と思い込んだ場合、本当にそこには爆弾が生まれる。"見られている"と感じた場合、宙空に本当にいくつもの瞳が現れて彼を見つめる。
しかし妄想の産物は、決して現実に影響を及ぼす事はない。それは所詮は"無い"のだから。
夢想の剣を振るおうとも、思案の銃を撃とうとも、虚妄の兵器を駆ろうとも─────それはただ、幻のように現実を通り過ぎる。
それは、単なる夢にすぎないのだから。
トゥルーフェイカー
それでこそ虚構現実。それは彼の有する、絶対唯一の能力であり……醒めることのない夢である。
妄想の規模に関しては、彼が鮮明にイメージできる範囲。彼はその度合いを、"真実が視える程度"と捉えている。
つまりこの能力は、彼いわく"真実を創り出す"のではなく、"真実を見抜く"能力なのである。彼が生み出す虚構はすべて、彼にとっての真実である。
そしてそれは、彼の信仰の度合いに関わっているようである。神へ近付こうという意志が強くなるほどに、真実はねじ曲げられてゆく。
幻想の規模が大きくなるほど、彼の肉体には負荷がかかる。真実を生み出すなど、人間には過ぎたる業であるからだ。……たとえそれが、うたかたに消える夢であろうとも。
【概要】
"教団"内の一派閥、「月の学派」を率いる人物。
彼らは他の、神たる月をただ崇め、奉るだけの信者たちとは異なり、神の"探求"、すなわち紅い満月という存在そのものを紐解き、それに近付こうとする者たちである。
アーストンの外れには、天文台を兼ね備える歴史ある図書館、『アーストン大書庫棟』がある。彼らは其処にて、日夜紅い満月への交信を試みている。
どんな手を使ってでも紅い満月に近付こうとするため、それは常人の理解の範疇を超えているものが多い。側から見れば狂人としか思えぬ、月と、その秘匿に魅せられた者たちの業である。
しかし未知への見識に触れ、真実を俯瞰する為には、人の範疇など軽く超えねばならないのもまた事実なのだ。
だからこそ、彼らは時に、人智を超えた何かに直面する事がある。月の探求の過程では、現に多くの研究員が、得体の知れぬ原因により正気を失っているのだという。
神を解き明かし、月へと近付く。
本来、他宗教であれば許されない筈のその行為はしかし、教団内では異端と見なされる程度に留まっている。
秘密とは誰しも、触れてはならぬものだと知っているからだろうか。
しかしそんな風潮に反し、学派の人数は増大の傾向にある。
秘密とはおしなべて甘く、矮小な人を誘うのだから
〝識らぬ者よ、望むならば識を得よ
そして、あの月を視るがいい〟
最終更新:2016年10月14日 21:05