綾津妃

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『人を呪わば穴二つ。』


名前 綾津妃(アヤツヒ)
性別 女性
年齢 数え方による(後述)
身長 152cm
体重 35kg
所属 なし
好き 人と話すこと
嫌い 人を裏切る者
特技 呪術

【人物】


かつて人間であり、何千年もの長きに亘って人を呪い
やがて呪いそのものが形を持った存在。付喪神にも似る。
その本体は自然信仰が主流の時代に生きた女性の木乃伊であり
普段外を歩き回っている女性の肉体は偽物に過ぎない。
どうしてこういった存在になったのかは下記参照。
自らを嵌めた女性への偏執的な怨みがある

容姿は端麗で、肌は文字のとおりに真っ白く、対照的に髪と瞳は黒い。
なお髪型は特徴的で、両目の端で二筋後頭部の一筋を、それぞれ伸ばしている他は所謂オカッパ。
黒地にのラインが走る、というデザインの服を着ていて、身体の線は細い。

性格は冷静であるということ以外、何を考えているのか分からない事が多い。
平然と誰かと語り合ったかと思うと、その裏で呪術を行使していたりする。
ただし悪意が有るわけではなく、存在が呪いそのものであるために、人でいう呼吸のように自然な動作である。

行動は温厚なことが多く、人格的にはかなり温和な様子である。
『風の国の彷徨う古城』を拠点としていて、悠々自適に草原を彷徨いている。

現在はジルベール・デュボンの能力に対し、自身と近いものを感じており
その存在を危惧して子飼いの妖狐を間諜として派遣・観察している。

【思想・行動理念】


彼女の行動、善悪的立ち位置の決定法はかなり微妙なところがあるため、ココに別個表記する。

綾津妃は世界中の負の思念が集まった存在であり、負の思念とは決して死人のものだけではない。
生きている人間の怨みも含まれ、それらはほんのちょっとしたものでも集団となると大きな力を持つ。不幸の手紙的存在。


――で。彼女の行動理由というのは、その負の思念が何に対して向いているかによるところがある。

例えば世界の全員が一個人を憎めば綾津妃もその人物を激しく恨むし、対象が組織でも同じ結果になる。
その為、自然と人々の恨む存在とは敵対する形となる――それ故、綾津妃の行動は対局で見れば善良なものとなることが多い。
いわば人間の負の感情、鬱屈したものを具現化し、尖兵となって行動するのが綾津妃という存在なのである。

が、彼女個人で行動する際は案外に厭らしい行動を取ったり、子供っぽいイタズラを仕掛けることも多い。
その為、個人単位で見ると小悪党のようであったりもする。わかり辛いのだが、取り敢えずスレ的に善か悪かで言えば完全な善となる。

【能力】

  • 『オオマガツヒ』
    『大禍津日』と書く。とある神話において、死者の国から現世に流れ出でた穢れの名
    ありとあらゆる呪いを行使する能力であり、その種類は精神的なものから副次的に物理ダメージを与えるものもある。
    呪いというものは千差万別の存在であり、精神の持ちようによって効果の有無が別れることもある。

    そのため、具体的な能力の中身は書き表すことが出来ない。敢えて例を上げれば、金縛り心の疲れ肩への重さ憑依などが実行可能である。

  • 『シンパシー』
    共感。現世の各所から綾津妃という存在に集った怨念の知識や、感情を汲み取る技術。
    これによって現代での経験が少なくとも知識はある状態となり、綾津妃は混乱すること無く行動ができている。
    しかし彼女自身の「憎悪する」という精神に加え、ヒトの暗い部分ばかりが見えてしまう側面があり
    存在が消滅するまで、決して心の底から悦びを分かち合うことが出来なくなるという悲劇のスキルでもある。

  • 『呪いの魔眼』
    『オオマガツヒ』による呪いが転じた副次的な能力。目線を合わせた相手を呪う力を持つ。
    この能力の為に綾津妃は極力人と視線を合わせようとせず仮に戦闘となっても此処ぞという時以外は使わない
    その効力は一瞬目を合わせるだけで常人を3日に亘って祟るほどで、長く見つめ合った際は強大な化け物すらも狂乱する可能性がある。
    対策は勿論、目を見ないこと。綾津妃にとっては僅かに残っている良心が忌避する行為であるため、相手が強引に覗きこみでもしない限りは脅威では無かったりもする。

  • 『魂の呪縛』
    綾津妃が個人の魂を呪うことで、対象の存在を現世に繋ぎ止めるという秘術。
    魂を呪われたものは肉体の一部にも強力な呪詛を受け、また呪われた魂は綾津妃の一部と混合、感覚を僅かにリンクすることになる。
    この術は綾津妃、つまり“人の負の感情”が世界から消えるか、彼女自身が術を解かない限り解呪不可能である。
    尚、解呪の際のリスクなどは一切語られていない

    現在、この術を受けたのはセシルただ一人であり、彼は両目に綾津妃同様『呪いの魔眼』を受け、人と視線を合わせられない呪いを負った。

【戦闘】

ステータスを見ての通り、肉体的には凄まじく虚弱であるため、遠距離戦を主とする。
視線を合わせる、具現化した呪いを飛ばす、呪いによる怨霊を呼び出すなど、手段は多い。
また闇属性であれば魔法も使えるらしく、そちらによる攻撃も勘定に入る。
とにかく近づかれたら負け、という面が大きいので、それを防ぐ傾向が強い。

【所持品】

  • 『呪いの品々』
    自らが呪いの存在である為に、意図せずして世界中から集めた(集まった)呪いの品々。
    杯、短剣、錫杖、他にも様々な形状があり、どれにも個別の由来があり、いずれにも強力な呪いがかかっている。
    綾津妃自身は『毒を以って毒を制す』という状態であるため、便利な品として持っている程度の認識である。

    なお、どの品も真名が不明であるために(仮)を付けている。

  • 『呪いの杯(仮)』
    酒とも血とも、或いは憎悪の情が液体に化けたようにも見える液体が湧くという杯。
    綾津妃曰くは酒だが、それが溢れた箇所は干上がるかのように生気を失くしてゆくという特徴がある。
    戦闘形態の一種として、コレに自らの血を注ぎ、それを元に魔法陣を描き、呪いを打ち出すというものがある。
    エピソードは不明。

  • 『ノブレスの仕置棒』
    綾津妃が歩行の補助とするために使用していたもの。飾りというよりは実用。
    かつてある雇い主が下男を打擲するために使っていた品で、打ち殺された下男の鬱屈した思いが篭っている。
    しおりという少女の強い意志を見込み、呪われた品だと告知した上で譲渡した。

  • 『呪術読本』
    とある少年と訪れた古代都市の地下、その宝物庫に貯蔵されていた黒革の書物。
    この世に存在する様々な呪いに関する記述があり、本書自体も穢れたオーラを放っている
    綾津妃にとってその中身こそ魅力は薄いが、呪いが無用の拡散をしないよう防ぐという観点から所持している。

  • 『黒水晶の髑髏』
    所謂『クリスタル・スカル』。珍しい黒水晶から生成されているため、美術的価値も高く魔術・呪術の媒体としても優秀。
    綾津妃はこの品を『おそらく死霊術師あたりが使っていたのだろう』と解析し、収集。
    呪術師の男との会話で「肉体が呪具のような自分には不要」として彼に無償で譲渡した。

  • 『切り裂き魔の爪/リッパー・ザ・ナイト』
    赤と黒が混じりあうという色合いの、長めの刀身を持った特異なナイフ。
    怨念を込める夜に使用する霧が出ている相手が女性である――この条件を達成するごとに切れ味が増すという一品。
    呪い自体を黒い刃として物理的に変換する事も可能であり、呪物というより聖遺物の域に近い

【備考】

  • 『年齢について』
    彼女が死んだ当時で数えるならば、24歳になる。
    しかし木乃伊として現在までの存在の期間を表すとなると数千歳という単位になり
    肉体を持って動き出した期間を表すと、これは一歳程度。

    つまり正確な表し方が存在しないため、年齢は“不詳”というのが近い。
    外見年齢で言えば、死した当時の24歳であるが、当時の食糧事情からか身体は小柄である。

  • 『ステータス“呪いという存在”』
    運(Luck)以外のステータスは全て100、最高値という状態には裏がある
    これは呪いの種類をそれぞれに特化させた場合であり、常にそういう状態というわけではないのである。
    例えば、金縛りがキマれば相手は動けない。これは力(strength)が100の状態に等しい事を表すし
    怨霊はヒトの思考・想像の上をいく事も多いために知力(Intelligence)も100という扱いになっている。

    つまり、実際には完全無敵なわけではなく、常にステータスが高いわけではなく、解釈も少しばかり違う事を理解頂きたい。


+ 小噺
むかしむかし、人が神仏ではなく、山や空や大地を信仰していた時代。
人は村ごとに集団となり、まだ使う者の少なかった曠野を開拓していった。

時折、不作の土地があった。
そういう土地の神には、村の女性を生贄に捧げるのが伝統であった。
できる限り苦しまぬ方法で亡くしてから、丁重に土地へ葬るのが礼儀であった。

在る村に、器量の良い女性が居た。働き者であり、人に好かれ、幸せであった。
しかしそれを憎む、心の醜い女性も居た。その女性は生贄に選ばれた。
彼女は邪智を用いて憎き女性を自らと入れ替え、しかも生きたまま埋めさせてしまった。

器量人の女性は悪夢だった。ひどく唐突に暗く、冷たく、苦しく、何も聞こえず、誰も応えてくれなかった。

運の悪いことが重なったのだった。村の人間が間違いに気付いた時は、既に棺は地中に有った。
掘り出すのは神への冒涜であって、決してしてはならないことだった。助けは無かった。

それを知らない女性は、狂ったように棺を叩き、掻き、喉が裂けんばかに哭いた。
やがて助からない事が分かると、女性は知っている限りのすべての方法で、人を呪った。
良い顔をして今朝まで話していたモノを、この仕打とはどういうことかと嫌悪した。

やがて、その憎悪は女性が死んで、何百何千という年月が流れても、その遺骸に残った。
木乃伊として発見されてからは、尚も憎悪は強まった。現世の恨みつらみを吸ったのである。
そうして、元は誰にも好かれる存在だった者は、誰をも憎む“呪いそのもの”として受肉した。

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最終更新:2018年07月30日 01:15