≪Inventor≫
以下は
マリオン・リヴァーズによって引き抜かれ、その後
GIFT Lab所属となった
メリッサ・ハーレイが開発した発明一覧である。
Labのコネクションや設備・組織力によって改良された点も多々あるが、基本設計は彼女が幼い頃から温め続けていたアイデアが元になっている模様。
……本来は人命救助や工業用として考えていたものなのだが、メリッサの思想の歪みに合わせて殆どが兵器と化してしまっているのが現状である。
なお、開発主任はメリッサであるものの、ここに記された装備とその技術はLab、ひいてはGIFT全体で共有されるものである。
≪Arms≫
◆『クグツ』
元は人命救助用ロボットとして設計していたものを、あらゆる場面で手軽に使役可能な汎用兵力としてメリッサが改造した歩兵モデルの人型兵器。
その外観の基本形は、百八十センチはある細長い真っ黒な体躯に体の要所を金属装甲で纏ったシンプルなもの。
しかし顔面を丸ごと多い尽くすほど巨大な〝アイカメラ〟が大きな特徴であり、静止していると一ツ目の不気味な人形そのもの。
また、より多角的に映像を捉えてAIにフィードバックするため、クグツはスズメのようにカクカクと小刻みに頭を動かす運動を取り入れている。
その際は≪カタ、カタ≫と非常に独特な音が鳴るため、ひとたび動き出すとより一層不気味である。
▼ハード面
まず、クグツの一番の有用性は単体コストの低さや量産性であるといえる。
クグツは特殊合金製の骨格の上に炭素系複合素材の人口肌を被せた〝素体〟をベースとし、そこに別途金属装甲を被せる形で構成される。
この素体は比較的単価が安く、生産技術も画一化されているために量産が非常に容易い。Labでは早くも自動化された生産ラインが確立されているようだ。
そのようなローコスト化の都合上、素体自体の強度は高くなく、ある程度技量があれば剣などの原始的な武器でも破壊可能である。
だがメリッサはその欠点を敢えてそのままに、逆に柔軟性の高い素材を積極採用することで、駆動力という長所を伸ばすことを選択。
結果、クグツはロボットでありながら人間と何ら遜色ない俊敏な動作を備えており、強度に劣るとはいえ個体戦闘能力は油断できないレベルに仕上がっている。
そして、クグツのもう一つの有用性は高い汎用性にある。
強度を犠牲に柔軟性の高い素体をベースとし、装甲も外付けに頼るというコンセプト上、状況に応じた武装の換装が可能なのである。
こうした特定の戦況を想定して作成された特化型武装は『パッケージ』と呼ばれ、既に近接特化・遠距離特化などの複数パターンが開発されているようだ。
なお、あまり見られないパターンではあるが、人間型であるが故に防弾チョッキやライフルなどの一般的な歩兵用兵装も一応装備可能である。
最後に注意点として、人型であるが故に勘違いしやすい点なのだが、クグツを稼動させる〝頭脳〟は頭部ではなく胸部中央に収納されている。
アイカメラを破壊すれば確かに戦闘は有利となるが、パッケージによっては音響センサ・サーマルセンサなども備えており、頭を破壊されても戦闘継続が可能。
無論、急所となる基本的に胸部も金属装甲でガードされているのだが……前述の通り強度は低いため、胸部以外でも大きな傷を負うと内部機構にエラーを起こして稼動を停止してしまうケースもあり、もっと単純に胴体や脚を切断して物理的に動作できなくするなどの手も十二分に有効である。
決して無敵の兵士などと過信せず、あくまでも大量生産の歩兵として割り切って扱うのが戦術上正しい運用方法であるだろう。
メリッサもそれを承知の上で、素体にはすべて任意で作動可能な自爆プログラムが用意されている。使えばクグツは粉々に吹き飛ぶが、捨て身の攻撃として使用できるか。
ガン・パッケージ |
主武装 |
右前腕部・小型機銃 |
副武装 |
なし |
耐久度 |
中 |
機動力 |
中 |
探知能力 |
腰部装甲・音響センサ内蔵 |
主として胸部・腰周り・前腕・下腿の四箇所を金属製の装甲で覆い、背中に小型バックパックを取り付けたパッケージ。 素体完成後の最初期に開発された基本パッケージであり、最も安価。これ以降のパッケージはすべてこの装備を発展させる形で作成されている。 主武装は右腕全体を覆う形の小型機銃。また左腕の装甲は若干肥大化しており、最低限の盾として機能するようにもなっている。 機銃は秒間十~十五発程度のスピードで速射可能で、単体でもそこそこ優秀だが複数体揃えての面制圧も強力である。 ただしコストの観点から、対応弾丸は一般的な拳銃に装填できる範囲(おおよそ9、10mm程度)に限られる。威力より連射力を重視する形。 また腰部に音声センサを内蔵し、機銃の爆音をパターン化してソナー代わりにすることで、アイカメラを失ってもある程度は戦闘続行が可能。
なおバックパック内には専用弾帯が規則的に収納され、機銃下部のスロットにバックパックからケーブルを延ばして接続することで自動リロードが可能。 使用弾種の小ささのお陰で弾は大量に常備されており、一戦闘中に弾切れを起こすことはほぼ無い。……バックパックを破壊されない限りは。 その他の欠点としては、右腕が機銃と一体化する形になっているため、自由に使えるのは左手のみというところか。 |
ソード・パッケージ |
主武装 |
両腕前腕・折り畳み式硬質ブレード |
副武装 |
両足裏・ピンポイントスラスター |
耐久度 |
中 |
機動力 |
高 |
探知能力 |
なし |
胸部・腰周り・前腕・下腿の四箇所を金属製の装甲で覆い、背中に小型バックパックは取り付けた、ガン・パッケージに酷似した外見。 違うのは両腕の装甲が肥大化し、そこに折り畳み式の硬質ブレードが装備されていること。ブレードは両腕で合計二本、展開時の刃渡りは80cm程度。 こちらはガン・パッケージと違ってブレードが装甲上部に据え付けられており、両手が開いているのでその他の道具を扱うことも可能。 更に補助武装として足裏に小型スラスターを装備。下腿装甲に収納できる可燃性燃料の総量が限られているため連発は出来ないが、一方向へ急加速・あるいは急制動を得ることが可能。ちなみにジャンプ力の強化には使えるが、空を飛べるほどのものではない。
俊敏な近接戦闘を主としつつ、状況を見ながら別の武器を使ったり各種工作をしたりも可能という、ある意味一番歩兵らしいパッケージといえる。 ただし軽量化の観点からセンサー類はアイカメラの視覚情報頼りで、頭部を破壊されると少なくともオート駆動では何も出来なくなってしまう欠点も。 なお、バックパックの中身は基本的に空。事前に好きな装備を詰め込んで自由に取り出すことが出来るだろう。 |
ブレイク・パッケージ |
主武装 |
右腕全体・パイルバンカー |
副武装 |
装甲全体・パワードアーマー |
耐久度 |
高 |
機動力 |
中 |
探知能力 |
胸部装甲・サーマルセンサ内蔵 |
拠点侵攻を想定して作られた対物破壊用パッケージ。装甲は上半身に集中して下半身は機動力確保の為に手薄という、ラグビー選手じみた出で立ちが特徴。 だが何よりも目を引くのは、異常に大きく膨れ上がった右腕装甲であろうか。 これで殴られれば相当のダメージになるのは想像に難くないが、真の性能はその右腕内に埋め込まれた主武装・パイルバンカーである。 炸薬の作動によって巨大な右腕の中に内蔵された太いパイル(鋼鉄杭)が回転を加えられながら射出、一点突破の大火力を発揮する。 パイルは80cmほど飛び出すと自動で静止して右腕の中に戻る仕組みであり、杭が折れない限りは何度でも使用可能。 極端にレンジが短いこととパイルが戻るまでにやや時間が掛かるせいで連発できないという欠点はあるが、それさえ超えれば建造物の破砕から戦車級兵器の貫通まで頼もしい働きを期待できるだろう。サーマルセンサも内蔵しているため、僅かな赤外線反応から敵の行き先を探ってパイルで壁を粉砕、突撃する……といったことも可能である。
また、主要部の装甲内には高出力アクチュエーターが仕込まれており、これが全体的な運動能力を大幅に強化。それ自体が副武装と呼べるレベルで肉弾戦をこなすことが可能となっている。このパッケージに限っては、纏うのは装甲というより外骨格という方が正しいかもしれない。 ただそれ故の欠点として、装甲にまで精密機器を仕込んでいるせいで他のパッケージに比べて熱・雷・水などの物理衝撃以外の耐性には大きく劣る。 なお、肥大化した右腕は強度も十分で、盾としても十分に使用可能。しゃがみ込んで前面に腕を立てれば後ろの味方を守ることもできる。 |
バスター・パッケージ |
主武装 |
両肩二門・レーザーカノン |
副武装 |
腰部二門・小型ミサイルポッド |
耐久度 |
極高 |
機動力 |
極低 |
探知能力 |
胸部装甲・サーマルセンサ内臓 |
全身の殆どを分厚い金属装甲で覆った、今までのコンセプトとは逆に機動力を落として郷土を引き上げた重装甲パッケージ。 主武装は肩口に装備されたレーザーカノン二門と、副武装として腰元に装備された二つの小型ミサイルポッド。 レーザーカノンはエネルギータンクとしての役割を帯びた巨大バックパックと有線接続され、ある程度安定した弾数を確保。 反面物理攻撃であるミサイルはポッド一つにつき九発までしか装填できないが、こちらはリロードの手間を省く為にそれ自体が使い捨てとなっている。 バックパック左右には装填済み予備ポッドが二つ常備され、撃ち尽くした後は使用済ポッドがパージされた後予備が自動でスライド、マウントされる。 またバックパックの下部には、これらの火力に対応するべく、地面に突き刺して反動に耐えるための二脚パイルが常備されている。
見た目通り鈍重な動きしか出来ないが、大型銃火器類は複数機いれば建造物の爆破すら可能な破壊力。固定砲台として遠方から狙撃・爆撃する役割を担う。 より精密に狙いを付ける為に胸部にサーマルセンサも内蔵しており、アイカメラ無しでも射撃戦はできる。ただし誤射のリスクは計り知れないが……。 その他、ブレイク・パッケージの右腕装甲並の強度の装甲を豪勢にも全身に張り巡らせているお陰で、火気類をすべて撃ち尽くした後でも棒立ちさせているだけで盾として機能させられる。
……だが弱点として、ガン・パッケージ以上にバックパックへの攻撃には弱い。最悪内部のエネルギーやミサイルが暴発して一撃で吹き飛ぶことも。 また全身を装甲で覆っていると言っても最低限の駆動性は確保しなければならず、間接部を中心に少なからず隙間が存在するため、精密な攻撃が出来る相手であれば動きが遅い分危険であるかもしれない。 |
フロート・パッケージ |
主武装 |
両腕二門・小型機銃 |
副武装 |
背部一対・ウィングスタビライザー |
耐久度 |
極低 |
機動力 |
極高 |
探知能力 |
なし |
ソード・パッケージを基準として徹底的に無駄を切り捨て、限界ギリギリの装甲省略と肉抜きによって〝究極の機動性〟を目指した軽装甲パッケージ。 特筆すべきは、バックパックに夜の国産出の希少鉱石である風属性のマギタイトを利用した『マギタイト・リアクター』を積載していること。 これによってバックパックから伸びたウィングスタビライザー(安定翼)を起点に気流操作で浮力を発生させ、ついに飛行能力を獲得するに至った。 これに合わせて主武装はガン・パッケージの機銃に大型マガジンを搭載して両腕に装備したものとなり、空中から一方的に攻撃して制空権を得られる。 ……理論上は、だが。実際は遠隔攻撃を受け付けない程の高度に到達するのは不可能で、リアクターが完全でないせいで長時間の飛行も困難。その飛行時間の限界を鑑みて機銃のリロードも考えられておらず、マガジンを打ち切ればそこで終了。長期戦になると非常に不利である。
幸い飛行スピードは速いため、接近された際の策としてウィングスタビライザーを刃状に加工、すれ違いざまに切り裂く副武装として使用可能にしてある。 しかし極限の軽量化の代償に全パッケージ中最低の耐久性能という欠点は受け入れざるを得ず、一撃で堕とされる可能性はもちろんのこと、空中でリアクターに異常をきたして墜落、そのままあっさり自壊……ということもあり得る。強力だが脆い、使いどころが重要なパッケージといえよう。 ……ちなみに高価なマギタイトを利用しているため、高火力装備を積むだけ積んだバスター・パッケージと並んでコストが嵩む。 |
▼ソフト面
クグツの制御はLabの研究員達がプログラムしたAIによって行われる(ちなみに戦闘技術の知識を持たないメリッサはこの開発から外れている)。
その人体並の駆動力を存分に生かすべく、戦闘AIはACADEMIAの訓練プログラムを元に作成され、一般的なGIFT戦闘兵と同等の直接戦闘能力と判断能力を有する。
更に、プログラムはオート駆動/セミオート駆動の切り替えが可能であり、『EEG-OC(脳波指向式コントローラ)』という専用機械に脳波を登録しておくことで対象者はクグツに簡易的な指示を飛ばすことが可能。この装置は文字通り使役者の脳波を読み取ることで指示を送信するもの。
既に技術が確立されているためその形状は多岐に渡るが、脳波を読み取る都合上頭部や頸部に着用するのが望ましいとされる。
ただし個人がセミオートで操れる数には限りがあり、無理なく安全に使えるのは基本的に三、四体程度、ダメージや動揺で脳波が乱れれば更に減少する。
また、インストールされるAIはパッケージごとに差異はあれど基幹部分は同一であり、かつ他のパッケージとの連携動作も組み込まれている。
これにより、クグツを複数体を用意した場合、オート駆動であっても前衛後衛の振り分けや補助動作などをある程度効率的に遂行可能。
もちろんAIだけでは限度があり、連携であれ単体であれ、オート駆動では兵士としての基本的な動きしか保障されない。
〝軍団〟が真に力を発揮するにはやはり本物の人間の判断が必要であり、セミオート駆動で人間が指揮を執る方が強いのは間違いない。
ちなみに唯一の例外として、直接の開発者としてアルゴリズムに精通し、かつ能力によって非常に精密な電磁波を発することの出来るメリッサに限っては、
クグツのAIに直接割り込みを掛けることで完全マニュアルでの駆動が可能である。当然一度に使役できるクグツの数も多く、より応用力の高い戦闘が可能。
メリッサと同じように電気系能力を非常に高いレベルで精密操作できるメンバーなら、あるいは同じことが可能かもしれないが……?
※以上の装備類はGIFT関係者であれば誰でも自由に使用して構わないフリー設定です。通常ロールでもイベントでもお好きに活用して構いません。
クグツの『パッケージ』も↑の内容を参考にどなたでも自由に考案・開発していただいて結構ですし、『EEG-OC』も必要に応じて既に登録を済ませて支給されたということしてOKです(これに関しても形状自由、参考までにマリオンはピアス型です)。
※ただクグツの運用に関しては、あまり多数使いすぎると途中で自分でも動きを把握できなくなったり、意図せず相手様を圧倒してしまう事もあり得ます。背景として使用する分には何体でもOKですが、実際に戦わせる場合はある程度数を絞って運用することをオススメします!
最終更新:2014年09月09日 17:22