いつまでも変わらず、賑やかに過ぎる毎日。隣のクラスと自分のクラスを行ったり来たりして過ごす、とても大事な日々。
高校生活最後の一年。もうすぐ別れが来る、そんな最後の大切な一年…。
みんなと笑いあい、賑やかに日々を過ごせるのももう僅か。卒業を迎えたら・・・きっと、みんなとバラバラになる。
みんなと笑いあい、賑やかに日々を過ごせるのももう僅か。卒業を迎えたら・・・きっと、みんなとバラバラになる。
出来るなら、いつまでも皆と一緒に過ごしたい…でも、もうすぐ春が来て、卒業の季節になって・・・。
『できるよ?』
何処からともなく聞こえたその『声』は、とてもあたしにそっくりだった。
靄のかかったようなその薄暗がりの『世界』の中、あたしの前に佇んで微笑むのは・・・小さい頃のあたしだ。
靄のかかったようなその薄暗がりの『世界』の中、あたしの前に佇んで微笑むのは・・・小さい頃のあたしだ。
『この手を取ってくれたら、何時までも続く幸せな日々をあげるよ?』
でも・・・そんなことはできない・・・はず・・・。
頭に靄がかかったようになって、だんだん思考がまとまらなくなる。
『大丈夫、永遠に続くしあわせをあげる。だから…あなたの『心』をワタシニ チョウダイ?』
あたしは・・・アタシハ・・・
紅い月が昇る世界の中、あたしは小さな頃のあたしに手を差し伸べ、その手を取った。
小さな頃のあたしが、ぞっとするような笑みを浮かべていたのがほんの少し、気にかかった・・・。
357 名前: 駄文ですが・・・。 [sage] 投稿日: 2007/12/01(土) 20:55:01 ID:???0
「お疲れ様でした柊さん。今はただその身を癒す事だけをk」
「待てぃ」
小さな頃のあたしが、ぞっとするような笑みを浮かべていたのがほんの少し、気にかかった・・・。
357 名前: 駄文ですが・・・。 [sage] 投稿日: 2007/12/01(土) 20:55:01 ID:???0
「お疲れ様でした柊さん。今はただその身を癒す事だけをk」
「待てぃ」
異世界に存在する『世界の守護者』アンゼロットの宮殿の中にある謁見の間の一角で、可憐な笑みを浮かべる銀髪の少女は
にこやかに、とてもにこやかに『客人』の労を労うべく言葉を投げかけた。
その『客人』は青いブレザーを着込んだいかにも不良学生といった感じの少年だ。ただし、その身を機械式の無骨なマジッ
クハンドにしか見えないもので鷲掴みにされ、宮殿の謁見の間に宙吊りにされている姿を見る限りではとても『労を労う』為
に彼を呼び出したようには見えない。よく見れば少年の顔には疲労の色もはっきり浮かんでいるように見える。
にこやかに、とてもにこやかに『客人』の労を労うべく言葉を投げかけた。
その『客人』は青いブレザーを着込んだいかにも不良学生といった感じの少年だ。ただし、その身を機械式の無骨なマジッ
クハンドにしか見えないもので鷲掴みにされ、宮殿の謁見の間に宙吊りにされている姿を見る限りではとても『労を労う』為
に彼を呼び出したようには見えない。よく見れば少年の顔には疲労の色もはっきり浮かんでいるように見える。
「・・・毎回毎回ホイホイホイホイ世界中のあちこちに引きずり回しやがってっ!ここ数日まともに日本の土踏んでねぇぞ!?
お前には他に頼れるウィザードのコネはねぇのかよっ!ちっとは引きずり回される側の身にもなりやがれこの野郎っ!?」
お前には他に頼れるウィザードのコネはねぇのかよっ!ちっとは引きずり回される側の身にもなりやがれこの野郎っ!?」
まさに鬼のような形相で叫ぶ少年をさらっと無視して笑顔のまま言葉を続ける銀髪の少女・・・アンゼロット。『無視かよっ!?』
などと叫ぶ少年の都合なぞ完璧無視して言葉を続けるあたり、実に『イイ』性格をされているようである。
などと叫ぶ少年の都合なぞ完璧無視して言葉を続けるあたり、実に『イイ』性格をされているようである。
「さて、疲れも癒えた所で次の任務です♪」
「ちぃぃぃぃっとも癒えてねぇよぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
「ちぃぃぃぃっとも癒えてねぇよぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
少年、柊蓮司の叫びはアンゼロット宮殿の隅々まで響き渡る・・・が、まぁいつものことという事で完璧に無視されたと言う、合掌。
「今回の任務は調査活動を中心にしたものです。本来なら他のウィザードで任に当たってもよかったのですが…」
「なら他にあたれ他にっ!?俺をわざわざ指名する理由はないんだろうがその言い分だとっ!?」
「おちついて。今回の任務の内容について簡単に説明します」
「なら他にあたれ他にっ!?俺をわざわざ指名する理由はないんだろうがその言い分だとっ!?」
「おちついて。今回の任務の内容について簡単に説明します」
そう言ってアンゼロットは今回の任務の内容の説明を始めた…そう、柊の意向も何もかもを軽くスルーしたまま、彼を宙吊りにし
たままで。
たままで。
「今回の任務について解説する前に、過去に解決済みのある事件について簡単にお話した方が良いかと思います。エンドレス・サマー
と呼ばれた事件に心当たりはありませんか?柊さん」
「…俺が直接かかわらなかった事件だな、確か。地獄が原高原を中心に世界結界に異常がおこって、世界中が永遠に夏を繰り返した
とかいう内容だっけか?」
「概ねその通りです。詳細についてはエンターブレイン刊行のリプレイ『白き陽の御子』をご覧になってください」
「・・・今誰に話しかけやがったんだお前はっ!?いいからとっとと続きを言いやがれっ!」
と呼ばれた事件に心当たりはありませんか?柊さん」
「…俺が直接かかわらなかった事件だな、確か。地獄が原高原を中心に世界結界に異常がおこって、世界中が永遠に夏を繰り返した
とかいう内容だっけか?」
「概ねその通りです。詳細についてはエンターブレイン刊行のリプレイ『白き陽の御子』をご覧になってください」
「・・・今誰に話しかけやがったんだお前はっ!?いいからとっとと続きを言いやがれっ!」
一拍間をおいて、アンゼロットは言葉を紡ぐ。
「実は現在、先のエンドレス・サマー事件を髣髴とされるような『時間の巻き戻し』現象が勃発しています。もっとも不可解なことに
今回のケースでは、時間の巻き戻しによって世界から失われるプラーナの量が極小で、それ故に事件の初動段階での調査が行えなか
ったのです・・・まるで、何者かが世界を守っているかのように」
「だが、放置が出来る状況でもないってわけか・・・んで、現象の中心地域はどこだ?」
「・・・いって下さるのですか?柊さん」
「どうせ俺に拒否権はないんだろうがっ!白々しく言うんじゃねぇっ!とっとと話進めやがれこの野郎っ!?」
今回のケースでは、時間の巻き戻しによって世界から失われるプラーナの量が極小で、それ故に事件の初動段階での調査が行えなか
ったのです・・・まるで、何者かが世界を守っているかのように」
「だが、放置が出来る状況でもないってわけか・・・んで、現象の中心地域はどこだ?」
「・・・いって下さるのですか?柊さん」
「どうせ俺に拒否権はないんだろうがっ!白々しく言うんじゃねぇっ!とっとと話進めやがれこの野郎っ!?」
「今回の巻き戻し現象の中心地域は日本、さいたま県一帯です。陵王学園一帯・・・と言い換えるべきですが」
その一言を聞いて、柊が息を呑む。
「おい・・・それってマジで言ってるのか!?」
「どうなさいました?柊さん」
「どうなさいました?柊さん」
「陵王学園ってそこは・・・俺の従姉妹が通ってる学校だっ!その辺りの事を早く言いやがれっ!」
「だって、聞かれませんでしたし」
「魔王の真似なんぞやってるんじゃねぇぇぇぇっ!?」
「だって、聞かれませんでしたし」
「魔王の真似なんぞやってるんじゃねぇぇぇぇっ!?」
こうして柊蓮司は、アンゼロットから押し付けられた任務に就く羽目になったのである。従姉妹の通う学校を護るため、単身で。
いつもと変わらない賑やかな日々。昼休みには隣のクラスに行ってみんなと過ごすお弁当タイム。こなたが時折ノートを
取り忘れて、あたしのノートを借りにくるのを苦笑交じりに応対したり、放課後の予定とかを考えつつ過ごしたり。
取り忘れて、あたしのノートを借りにくるのを苦笑交じりに応対したり、放課後の予定とかを考えつつ過ごしたり。
そんなこんなやってるうちにやって来る放課後。ホームルームが終わったあと、校門前でつかさ達を待つ。黒井先生のHR
はあたしのクラスより少し長いんだと思う。一人でまつ時間って、なんか憂鬱だ。
はあたしのクラスより少し長いんだと思う。一人でまつ時間って、なんか憂鬱だ。
と、そんな憂鬱な時間をぼーっと待ってたところで、あたしの携帯がメールの着信を知らせた。姉さんからだ。文面を軽
く確認すると・・・従姉妹の蓮司兄さんが、ほんとに久々に遊びに来るという内容だった。
く確認すると・・・従姉妹の蓮司兄さんが、ほんとに久々に遊びに来るという内容だった。
蓮司兄さんの事は実はあまり印象に残ってない。むしろそのお姉さんの京子さんの方が強く印象に残ってる。まぁ、殆ど
遊びにくることもなかった人だからしょうがないけど。
風のうわさに聞こえる「学年が下がった」とかいうのも、多分性質の悪い噂か何かだと思う。
遊びにくることもなかった人だからしょうがないけど。
風のうわさに聞こえる「学年が下がった」とかいうのも、多分性質の悪い噂か何かだと思う。
「ぉーぃ かっがみーん♪」
などとメールを見つつ思案に耽ってたのがよくなかったんだと思う。あたしは真後ろからこなたに声を掛けられるまでま
るで皆の気配に気がつけなかったんだから。
るで皆の気配に気がつけなかったんだから。
「ややぁ・・・?かがみんのメールの文面の中に、男の人の名前らしきものが載ってんねぇ~?」
まるで猫のように目を細めつつ邪推120%の笑みを浮かべるこなた。あたしは軽く溜息をつく。だいたいここ数年ろくに顔を
合わせていない従兄弟との間に何があるというのかと、こなたに問い詰めてやりたいけど・・・この分だと何を言っても無駄な
気がする。おそらく間違いなく。
合わせていない従兄弟との間に何があるというのかと、こなたに問い詰めてやりたいけど・・・この分だと何を言っても無駄な
気がする。おそらく間違いなく。
「従兄弟だって従兄弟。今秋葉原の輝明学園に通ってる従兄弟の人が遊びに来るんだって」
携帯を畳みつつ、あたしはこなたに返事を返す。少しはなれた所を歩いていたつかさが、小走りに駆け寄ってくるのが見え
た。どうやらつかさもメールを確認してたみたい。
た。どうやらつかさもメールを確認してたみたい。
「おねぇちゃん。蓮にいさんが遊びにくるって!」
「つかさ落ち着きなって、別段変わった事もない訳だし」
「つかさ落ち着きなって、別段変わった事もない訳だし」
やや興奮気味の妹…そういえば、蓮司兄さんはやたらと年下の面倒見がよかったなと思い出す。まぁ、久々に会う従兄弟
を迎えるのに何もなしってのも何だし・・・あたしは少し考え込み、こなたにも声を掛けてみた。
を迎えるのに何もなしってのも何だし・・・あたしは少し考え込み、こなたにも声を掛けてみた。
「だったらこなた。今日ウチに遊びに来る?従兄弟の人ももうウチに着いてるらしいから挨拶とかもできるし」
「おっけー!今日はバイトも入ってないのでもーまんたいなのだよ~」
「おっけー!今日はバイトも入ってないのでもーまんたいなのだよ~」
かくてあたし達は一路、みゆきに別れを告げた後に自宅に向かう事になった。久々に会う従兄弟、どんな顔して会うのが
いいのかな?などとたわ言を考えつつ。
いいのかな?などとたわ言を考えつつ。