case2-2:インベーダーフロムアナザーワールド
――――23:56.07
それは、唐突に始まった。
「お、おい一体どうなってるんだ長門!?」
夜中。もうすぐ日が変わろうかと言う時間。
たまたま開いてた窓から飛び込んできて俺を担ぎあげた長門に、何事かと思いながら、尋ねる。
「時間が無い。残り時間はあと3分53秒22。そう、言っていた」
返って来たのはいつも通りの淡々とした返事。
「言ってたって、誰が!?」
「詳細はあとで。喋らないで。喋ると…舌を噛みかねない」
そう言うと同時に長門は明らかに人間離れした勢いで屋根の上を疾走する。
激しい揺れ。胃の中のものが激しくシャッフルされるのを感じつつ、俺は口をつぐんだ。
下手に開くと、別のものまで漏れ出てきそうだから。
「お、おい一体どうなってるんだ長門!?」
夜中。もうすぐ日が変わろうかと言う時間。
たまたま開いてた窓から飛び込んできて俺を担ぎあげた長門に、何事かと思いながら、尋ねる。
「時間が無い。残り時間はあと3分53秒22。そう、言っていた」
返って来たのはいつも通りの淡々とした返事。
「言ってたって、誰が!?」
「詳細はあとで。喋らないで。喋ると…舌を噛みかねない」
そう言うと同時に長門は明らかに人間離れした勢いで屋根の上を疾走する。
激しい揺れ。胃の中のものが激しくシャッフルされるのを感じつつ、俺は口をつぐんだ。
下手に開くと、別のものまで漏れ出てきそうだから。
その、俺にとっては1時間にも感じられた地獄のジェットコースター状態は唐突に終わった。
「…間にあった」
と言う長門の言葉と共に。
長門はとある空地へと降りたつ。人気のない、深夜の空き地。だが、そこには俺たちの他にも先客がいる。
俺にとっては非常に見知った顔ぶれ。そう。
「お疲れ様です。キョン君。素足ではなんでしょう。靴をどうぞ」
いつもの笑顔で、妙に用意のいい古泉と。
「ふぇぇぇ…あたしどうしてここに連れてこられたんですか~?」
ある意味ではいつものようにおろおろと泣きそうな顔の朝比奈さんと。
「…流石です。長門。やはり最初に貴方に伝えに言って正解でした」
いつものように本を抱きかかえて微笑む、群田さんがいたのだ。
「…間にあった」
と言う長門の言葉と共に。
長門はとある空地へと降りたつ。人気のない、深夜の空き地。だが、そこには俺たちの他にも先客がいる。
俺にとっては非常に見知った顔ぶれ。そう。
「お疲れ様です。キョン君。素足ではなんでしょう。靴をどうぞ」
いつもの笑顔で、妙に用意のいい古泉と。
「ふぇぇぇ…あたしどうしてここに連れてこられたんですか~?」
ある意味ではいつものようにおろおろと泣きそうな顔の朝比奈さんと。
「…流石です。長門。やはり最初に貴方に伝えに言って正解でした」
いつものように本を抱きかかえて微笑む、群田さんがいたのだ。
そして、ハルヒの奴を除く全員がここに集まっていることを俺が認識した、瞬間。
…月が、赤く染まった
―――――0:00.16
「そ、空が真っ赤です。なにがどうなってるんですか~?」
どうやら朝比奈さんも事情を知らされていないらしい。おろおろしながらキョロキョロと辺りを見る。
「今夜12時ちょうど、涼宮ハルヒを除くSOS団のメンバーは全員、情報空間凍結に巻き込まれる。理生がそう、言っていた」
紅い月の下で、長門が群田さんの方を見ながら、言う。
「相手の目的は、僕たちの存在の消滅。例え団長が残っても他の団員が全て“消滅”してしまえば、SOS団も無かったことになる」
古泉の奴はすでに事情を聞いているらしい。やはり群田さんの方を見て、言う。
「そう。そうなればSOS団の団員であると言う定義は意味をなさなくなる。それが彼女の狙い…すみません。私の事情に貴方がたを巻き込んでしまいました」
最後に2人の言葉を引き継ぐ形でぺこりと、頭を下げる。
それから、群田さんはなにがなんやらさっぱり分かっていない俺と朝比奈さんに向けて、簡単に事情を説明してくれた。
どうやら朝比奈さんも事情を知らされていないらしい。おろおろしながらキョロキョロと辺りを見る。
「今夜12時ちょうど、涼宮ハルヒを除くSOS団のメンバーは全員、情報空間凍結に巻き込まれる。理生がそう、言っていた」
紅い月の下で、長門が群田さんの方を見ながら、言う。
「相手の目的は、僕たちの存在の消滅。例え団長が残っても他の団員が全て“消滅”してしまえば、SOS団も無かったことになる」
古泉の奴はすでに事情を聞いているらしい。やはり群田さんの方を見て、言う。
「そう。そうなればSOS団の団員であると言う定義は意味をなさなくなる。それが彼女の狙い…すみません。私の事情に貴方がたを巻き込んでしまいました」
最後に2人の言葉を引き継ぐ形でぺこりと、頭を下げる。
それから、群田さんはなにがなんやらさっぱり分かっていない俺と朝比奈さんに向けて、簡単に事情を説明してくれた。
それによると、なんでも群田さんは元々異世界では割とえらい人だったらしい。
にも関わらず、うっかりハルヒなんぞに関わってしまったせいで今現在群田さんはこうして普通の人間として暮らしている。
群田さんが本来持ってる力も思いっきり制限された状態で。
それが、群田さんの上司とも言うべき人には気に食わなかった、と言うのが今回のことの原因らしい。
「力あるものが裁定者に囚われ、人の身に堕ちるなど、許すことはできない…あの方はそう言う考え方をするお方ですから」
どこか遠い目をして、群田さんが言う。
「…空間内情報分析完了…空間凍結の解除には発生原因の特定と排除が必要と判断」
「やはり群田さんの言う通り、閉鎖空間を作った張本人を見つけ出してなんとかするしか無いってことですか」
俺と朝比奈さんが群田さんから事情を聞いている間、長門と古泉はこの紅い閉鎖空間のことを色々と調べている。
流石に普段からこういうことには慣れてるってだけあって2人とも冷静だ。
「はい。先ほども言ったとおり月匣…閉鎖空間には必ずルーラー…発生の元凶が存在します。それを何とかしないと、出ることも入ることもできません」
多分向こうで使われているのであろう異世界用語を俺たちに分かるように言い換えながら、群田さんが頷く。
「となると、僕の組織の増援も期待できそうにないですね。まあ、そもそも連絡のとりようも無いんですが」
古泉が苦笑し、その後真面目な顔になって手の上に超能力で生み出した赤い球を浮かばせる。
「…なるほど。閉鎖空間ならばもしかしてと思って試してみましたが、ここでは僕の超能力も使えるようですね」
「はい。ここは“常識”とは隔離された空間です。ですので…」
そう、群田さんが何かを言いかけた瞬間だった。
「…来る」
長門が一言呟き、身構える。その視線の先には。
「やあ、良い夜だね。破壊と殺戮を振りまくには、本当に良い夜だ」
ものすごく怪しい、金髪の男が立っていた。
古泉並みの美形のそいつはいけすかない笑いを浮かべて俺たちを見る。
「君たちには別段恨みとかは無いんだけど、これも命令だからさ…」
そう言い放ちパチンと指を鳴らす。
それと同時に、男の手に古泉の超能力を思わせる、漆黒の球が現れる。
「死んでもらうよ」
そんな男の声と共にその球がまっすぐ俺たちの方に飛んでくる。
にも関わらず、うっかりハルヒなんぞに関わってしまったせいで今現在群田さんはこうして普通の人間として暮らしている。
群田さんが本来持ってる力も思いっきり制限された状態で。
それが、群田さんの上司とも言うべき人には気に食わなかった、と言うのが今回のことの原因らしい。
「力あるものが裁定者に囚われ、人の身に堕ちるなど、許すことはできない…あの方はそう言う考え方をするお方ですから」
どこか遠い目をして、群田さんが言う。
「…空間内情報分析完了…空間凍結の解除には発生原因の特定と排除が必要と判断」
「やはり群田さんの言う通り、閉鎖空間を作った張本人を見つけ出してなんとかするしか無いってことですか」
俺と朝比奈さんが群田さんから事情を聞いている間、長門と古泉はこの紅い閉鎖空間のことを色々と調べている。
流石に普段からこういうことには慣れてるってだけあって2人とも冷静だ。
「はい。先ほども言ったとおり月匣…閉鎖空間には必ずルーラー…発生の元凶が存在します。それを何とかしないと、出ることも入ることもできません」
多分向こうで使われているのであろう異世界用語を俺たちに分かるように言い換えながら、群田さんが頷く。
「となると、僕の組織の増援も期待できそうにないですね。まあ、そもそも連絡のとりようも無いんですが」
古泉が苦笑し、その後真面目な顔になって手の上に超能力で生み出した赤い球を浮かばせる。
「…なるほど。閉鎖空間ならばもしかしてと思って試してみましたが、ここでは僕の超能力も使えるようですね」
「はい。ここは“常識”とは隔離された空間です。ですので…」
そう、群田さんが何かを言いかけた瞬間だった。
「…来る」
長門が一言呟き、身構える。その視線の先には。
「やあ、良い夜だね。破壊と殺戮を振りまくには、本当に良い夜だ」
ものすごく怪しい、金髪の男が立っていた。
古泉並みの美形のそいつはいけすかない笑いを浮かべて俺たちを見る。
「君たちには別段恨みとかは無いんだけど、これも命令だからさ…」
そう言い放ちパチンと指を鳴らす。
それと同時に、男の手に古泉の超能力を思わせる、漆黒の球が現れる。
「死んでもらうよ」
そんな男の声と共にその球がまっすぐ俺たちの方に飛んでくる。
それを見た長門の反応は早かった。地面を蹴り一瞬で距離を詰める。だが。
「…!」
その球は長門が触れる瞬間に3つに分裂して複雑な軌道を描きながら長門の横をすり抜けようとする。
「………」
長門がとっさにそのうちの1つに触れ、例の聞き取れない言語を呟く。それと同時に球の1つが蒸発した。
「ふんもっふ!」
古泉が先ほど生み出した赤い玉を思いっきり投げつける。正確なコントロールで投げられたそれが黒い球の1つにぶつかって爆発する。
「まずは、1人」
そして、長門にも古泉にも対処できなかった残りの1つがこっちに向かって飛んでくる。飛んでくる先は…俺か!?
やばい。身体が硬直して動かない。あれがどういうものかは分からんが、とにかく当たったら文字通りの意味で死にそうなくらいやばいものなのは確かだろう。
俺…死ぬのか?そう、思ったときだった。
「…《ダークバリア》」
群田さんの声と共に、俺の目の前が真っ黒になる。一瞬目が見えなくなったのかと思ったが、違う。
俺の目の前に黒い壁が現れたのだ。球はそれにぶつかって消滅した。
「…どういうおつもりですか?」
それを見て、金髪の男は不機嫌そうに群田さんに言う。
「この空間でなら私も多少は本来の力を使用できる。そういうことです」
澄ました顔で群田さんが言う。
「そう言うことを言ってるんじゃない。なんでお前が僕の邪魔を…!?」
金髪の男の言葉が最後まで紡がれることはなかった。
距離と詰めた長門と、再び超能力の赤い球を作り出した古泉が同時にその男に襲いかかる。
「これまでの行動、言動より発生原因を危険かつ敵性と判断。即時排除する」
「キョン君!朝比奈さんと群田さんは頼みましたよ!」
そう言うと目の前で漫画か何かのような激しい戦いを繰り広げ始める。
「行きましょう。ここに居ては逆に邪魔になります」
その光景を呆然と見ていた俺の手を掴み、群田さんは俺にささやく。
「あ、はい…朝比奈さん、行きましょう」
「ひゃ、ひゃい!」
どこまでも冷静な群田さんの態度のお陰で俺も冷静になれた。
相変わらずおろおろしている朝比奈さんの手を握り、走りだす。
「ま、待て!」
金髪の男が焦って叫ぶが、それで待つ奴はいない。
俺と朝比奈さん、そして群田さんはその場を離れた。
「…!」
その球は長門が触れる瞬間に3つに分裂して複雑な軌道を描きながら長門の横をすり抜けようとする。
「………」
長門がとっさにそのうちの1つに触れ、例の聞き取れない言語を呟く。それと同時に球の1つが蒸発した。
「ふんもっふ!」
古泉が先ほど生み出した赤い玉を思いっきり投げつける。正確なコントロールで投げられたそれが黒い球の1つにぶつかって爆発する。
「まずは、1人」
そして、長門にも古泉にも対処できなかった残りの1つがこっちに向かって飛んでくる。飛んでくる先は…俺か!?
やばい。身体が硬直して動かない。あれがどういうものかは分からんが、とにかく当たったら文字通りの意味で死にそうなくらいやばいものなのは確かだろう。
俺…死ぬのか?そう、思ったときだった。
「…《ダークバリア》」
群田さんの声と共に、俺の目の前が真っ黒になる。一瞬目が見えなくなったのかと思ったが、違う。
俺の目の前に黒い壁が現れたのだ。球はそれにぶつかって消滅した。
「…どういうおつもりですか?」
それを見て、金髪の男は不機嫌そうに群田さんに言う。
「この空間でなら私も多少は本来の力を使用できる。そういうことです」
澄ました顔で群田さんが言う。
「そう言うことを言ってるんじゃない。なんでお前が僕の邪魔を…!?」
金髪の男の言葉が最後まで紡がれることはなかった。
距離と詰めた長門と、再び超能力の赤い球を作り出した古泉が同時にその男に襲いかかる。
「これまでの行動、言動より発生原因を危険かつ敵性と判断。即時排除する」
「キョン君!朝比奈さんと群田さんは頼みましたよ!」
そう言うと目の前で漫画か何かのような激しい戦いを繰り広げ始める。
「行きましょう。ここに居ては逆に邪魔になります」
その光景を呆然と見ていた俺の手を掴み、群田さんは俺にささやく。
「あ、はい…朝比奈さん、行きましょう」
「ひゃ、ひゃい!」
どこまでも冷静な群田さんの態度のお陰で俺も冷静になれた。
相変わらずおろおろしている朝比奈さんの手を握り、走りだす。
「ま、待て!」
金髪の男が焦って叫ぶが、それで待つ奴はいない。
俺と朝比奈さん、そして群田さんはその場を離れた。
――――00:12.33
「はぁはぁ…もう走れません~」
「す、すみません…私も限界です。少し休憩を…」
元々SOS団の中でも運動が得意では無い2人の声に俺は立ち止まる。
「そうですね。これだけ離れればとりあえず大丈夫でしょう」
その言葉を聞くと同時に2人はその場にへたり込む。
2人は顔が真っ赤で息が荒い…いや別に変な意味じゃないぞ。断じて。
しかし…
「静かですね…」
遠くではかすかに爆発音が聞こえてくるが、辺りに響くのはその音だけ。
…
……
………
間が持たん。
「あの…群田さん」
「なんでしょう?」
「さっきはありがとうございました」
とりあえずお礼を言ってみる。先ほどのあれ…群田さんの異世界パワーが無かったら多分やばいことになっていた。
だが。
「何故ですか?」
それを聞いた群田さんは意味が分からないとでも言うように聞き返す。
「へ?」
「そもそも私がいなければ巻き込まれなかったのですから、お礼を言うのは筋違いでは?」
「い、いや…それは」
いやまあ冷静に考えるとそうなのかも知れんが…
いや遡って行くとそもそもハルヒの奴が群田さんの本を勝手に持ってたのが全ての原因のような…
「恨みごとを言ってくださってもよいのですよ…慣れてますから」
そう言って、いつもの微笑みを浮かべる群田さん。
長門とは違う意味での…感情のない、表情。
それを見て、俺の心は決まる。
「いいえ。悪いのは、あいつです」
断言する。比べるまでも無い。
いけすかねえ金髪野郎と、SOS団のメンバーである、友達じゃあな。
「それに、このくらいのことでいちいち文句言ってたら身体が持ちません」
手を取って群田さんを立ち上がらせる。
「群田さんじゃあないんですが…慣れてますから」
そう、慣れている。
こういうろくでもない事に巻き込まれるのは、な。
「ふふっ…そう言えば、そうでしたね」
俺の言葉に納得したのか、群田さんが笑う。今度はいつもの微笑みじゃない、笑顔。
あ、可愛い。そう思ったときだった。
「ひゃああああ!?」
さっきまでへたり込んでた朝比奈さんが俺に抱きつく。うお!?む、胸が。
「な、なんですか落ち着いてください朝比奈さん、って言うか胸が、胸が!?」
「あ、ああああああああああああああああれ、あれ!」
相当混乱している朝比奈さんがそちらの方を指さす。それにつられて俺もそっちを見て…後悔した。
「お、おい冗談だろ…?」
3mを超えるであろう巨体と蝙蝠の翼。ねじくれた角と獣のような顔。
まるでどこぞの漫画かゲームにでも出てきそうなその姿は…
「アークデーモン…」
群田さんが緊張した様子でそれを見て、俺と朝比奈さんの前に立つ。
それを見て、悪魔はひび割れた声で言う。
「ドケ。ソウスレバ壊サナイ…ルイズ二イワレテイル。本ヲモチカエレバ、ウツシ身ハ滅ボシテモヨイト…コロスゾ?リオン=グンタ」
圧倒的な威圧感。聞いてるだけでやばいのが分かる。
「群田さん…逃げましょう」
だが、俺の提案に群田さんはかぶりを振る。
「いいえ。ルイズが倒されれば月匣も消えるはずですから、それまで何とか逃げ切ってください。それまでは、私がなんとかします」
「なんとかって…出来るんですか?」
「無理ですね」
いつもの感情のこもらない淡々とした口調で、群田さんがあっさりと言う。
「多少力が戻ったと言っても今の私の力は精々駆け出しのウィザード並。魔法耐性のあるアークデーモン相手に1人では、勝負にもなりません」
「そんな…だったら」
「それでも足止め位はしないと。普通の人間である貴方ではそれこそ瞬殺ですから…」
そう言うと群田さんが俺と朝比奈さんの前に立つ。
「…運よく、生きて会えたら、また」
そう言うとゆっくりと本を開き…
「あ~もう何人間みたいなかっこつけやってんのよあんたらしくない!」
「す、すみません…私も限界です。少し休憩を…」
元々SOS団の中でも運動が得意では無い2人の声に俺は立ち止まる。
「そうですね。これだけ離れればとりあえず大丈夫でしょう」
その言葉を聞くと同時に2人はその場にへたり込む。
2人は顔が真っ赤で息が荒い…いや別に変な意味じゃないぞ。断じて。
しかし…
「静かですね…」
遠くではかすかに爆発音が聞こえてくるが、辺りに響くのはその音だけ。
…
……
………
間が持たん。
「あの…群田さん」
「なんでしょう?」
「さっきはありがとうございました」
とりあえずお礼を言ってみる。先ほどのあれ…群田さんの異世界パワーが無かったら多分やばいことになっていた。
だが。
「何故ですか?」
それを聞いた群田さんは意味が分からないとでも言うように聞き返す。
「へ?」
「そもそも私がいなければ巻き込まれなかったのですから、お礼を言うのは筋違いでは?」
「い、いや…それは」
いやまあ冷静に考えるとそうなのかも知れんが…
いや遡って行くとそもそもハルヒの奴が群田さんの本を勝手に持ってたのが全ての原因のような…
「恨みごとを言ってくださってもよいのですよ…慣れてますから」
そう言って、いつもの微笑みを浮かべる群田さん。
長門とは違う意味での…感情のない、表情。
それを見て、俺の心は決まる。
「いいえ。悪いのは、あいつです」
断言する。比べるまでも無い。
いけすかねえ金髪野郎と、SOS団のメンバーである、友達じゃあな。
「それに、このくらいのことでいちいち文句言ってたら身体が持ちません」
手を取って群田さんを立ち上がらせる。
「群田さんじゃあないんですが…慣れてますから」
そう、慣れている。
こういうろくでもない事に巻き込まれるのは、な。
「ふふっ…そう言えば、そうでしたね」
俺の言葉に納得したのか、群田さんが笑う。今度はいつもの微笑みじゃない、笑顔。
あ、可愛い。そう思ったときだった。
「ひゃああああ!?」
さっきまでへたり込んでた朝比奈さんが俺に抱きつく。うお!?む、胸が。
「な、なんですか落ち着いてください朝比奈さん、って言うか胸が、胸が!?」
「あ、ああああああああああああああああれ、あれ!」
相当混乱している朝比奈さんがそちらの方を指さす。それにつられて俺もそっちを見て…後悔した。
「お、おい冗談だろ…?」
3mを超えるであろう巨体と蝙蝠の翼。ねじくれた角と獣のような顔。
まるでどこぞの漫画かゲームにでも出てきそうなその姿は…
「アークデーモン…」
群田さんが緊張した様子でそれを見て、俺と朝比奈さんの前に立つ。
それを見て、悪魔はひび割れた声で言う。
「ドケ。ソウスレバ壊サナイ…ルイズ二イワレテイル。本ヲモチカエレバ、ウツシ身ハ滅ボシテモヨイト…コロスゾ?リオン=グンタ」
圧倒的な威圧感。聞いてるだけでやばいのが分かる。
「群田さん…逃げましょう」
だが、俺の提案に群田さんはかぶりを振る。
「いいえ。ルイズが倒されれば月匣も消えるはずですから、それまで何とか逃げ切ってください。それまでは、私がなんとかします」
「なんとかって…出来るんですか?」
「無理ですね」
いつもの感情のこもらない淡々とした口調で、群田さんがあっさりと言う。
「多少力が戻ったと言っても今の私の力は精々駆け出しのウィザード並。魔法耐性のあるアークデーモン相手に1人では、勝負にもなりません」
「そんな…だったら」
「それでも足止め位はしないと。普通の人間である貴方ではそれこそ瞬殺ですから…」
そう言うと群田さんが俺と朝比奈さんの前に立つ。
「…運よく、生きて会えたら、また」
そう言うとゆっくりと本を開き…
「あ~もう何人間みたいなかっこつけやってんのよあんたらしくない!」
…いらついた声が辺りに響く。それを言ったのは…
「あ、朝比奈さん?」
「違うわよ」
違うのか。
さっきまでとは打って変わって自信にあふれた表情で朝比奈さんが不敵に笑う。何故か目が金色になっている。
「あんたも運が無かったわね。あんな奴の配下なんてやってるから…わたしに滅ぼされる羽目になるなんて、ね」
そう言うとさらに割り込むように群田さんの前に立つ。
「うっわ、なにこれマジなの?このサイズで本物って…異世界がすごいの?それとも未来?」
胸の感触を確かめるようにもみながら、驚きの声を上げる朝比奈さん(?)
緊張感とかはまったく感じられない。
「バ、馬鹿ナ…ナゼ貴様ガソノ体二!?」
対する悪魔の方は逆にこれ以上ないほど狼狽している。
「ま、わたしもここまで乗っ取りやすくて使いやすい肉体が、すぐ近くにあるってのには色々と思うところがあるわね」
ちらりと群田さんを見て、朝比奈さん(?)が言う。
「ったく。わたしが無視したらどうするつもり…その心配は最初からなかったってこと?」
事情がさっぱり呑み込めないが、とにかく朝比奈さん(?)は群田さんのお知り合いか何かのようだ。
「いいわ。あいつの思い通りってのも癪だし、今回は乗ってあげる。1つ貸しよ?リオン」
「はい。あとは頼みました。大魔王ベル」
2人の間でだけ通じる会話をかました後、群田さんは俺の手をつかみ、言う。
「行きましょう。すぐに離れないと、危険です」
そう言って走り出す…朝比奈さんを残して。
「ちょ、朝比奈さんは!?」
「今は私たちの心配をした方がよいかと」
振り向こうともせず、群田さんが言う。
「ベルは…滅ぼす時には手加減しませんから」
そう、群田さんが言うと同時に。
「《ヴァニティワールド・ジ・アンリミテッド》」
まるでブラックホールのような何かが膨れ上がった。
「あ、朝比奈さん?」
「違うわよ」
違うのか。
さっきまでとは打って変わって自信にあふれた表情で朝比奈さんが不敵に笑う。何故か目が金色になっている。
「あんたも運が無かったわね。あんな奴の配下なんてやってるから…わたしに滅ぼされる羽目になるなんて、ね」
そう言うとさらに割り込むように群田さんの前に立つ。
「うっわ、なにこれマジなの?このサイズで本物って…異世界がすごいの?それとも未来?」
胸の感触を確かめるようにもみながら、驚きの声を上げる朝比奈さん(?)
緊張感とかはまったく感じられない。
「バ、馬鹿ナ…ナゼ貴様ガソノ体二!?」
対する悪魔の方は逆にこれ以上ないほど狼狽している。
「ま、わたしもここまで乗っ取りやすくて使いやすい肉体が、すぐ近くにあるってのには色々と思うところがあるわね」
ちらりと群田さんを見て、朝比奈さん(?)が言う。
「ったく。わたしが無視したらどうするつもり…その心配は最初からなかったってこと?」
事情がさっぱり呑み込めないが、とにかく朝比奈さん(?)は群田さんのお知り合いか何かのようだ。
「いいわ。あいつの思い通りってのも癪だし、今回は乗ってあげる。1つ貸しよ?リオン」
「はい。あとは頼みました。大魔王ベル」
2人の間でだけ通じる会話をかました後、群田さんは俺の手をつかみ、言う。
「行きましょう。すぐに離れないと、危険です」
そう言って走り出す…朝比奈さんを残して。
「ちょ、朝比奈さんは!?」
「今は私たちの心配をした方がよいかと」
振り向こうともせず、群田さんが言う。
「ベルは…滅ぼす時には手加減しませんから」
そう、群田さんが言うと同時に。
「《ヴァニティワールド・ジ・アンリミテッド》」
まるでブラックホールのような何かが膨れ上がった。
――――――08:32.16
「おっはよーキョン!今日も一日…なんであんたそんなに疲れた顔してんの?」
翌日、教室に入ってきたハルヒに、俺は聞えよがしに溜息をついて、言う。
「…なに、ちょっと夜更かししちまってな。寝不足なんだ」
あの後、文字通りの意味で消失してクレーターと化した道路の中心に倒れてた朝比奈さんを回収したところで赤い月は消え、長門、古泉の2人と合流した。
例の金髪野郎はある程度追い詰めたところで捨て台詞つきで逃げ出したらしい…なんてありがちな野郎だ。
そんなわけで閉鎖空間から抜け出し、ようやく家に帰って来た頃、夜はすっかり明け、この異常事態は幕を閉じた。
残ったのは「体の節々が痛いです~」と泣きごとを言う朝比奈さん(群田さん曰く、身体への負荷を無視して最大威力で魔法を使ったからどうだとか)と
すっかり寝不足になった俺たちだけ。
「夜更かし~?テストが近いわけでもないのに?なに?なんか面白いことでもあったの?」
「うんにゃ。ちょっと眠れなかった。それだけだよ」
何かあったのを本能的な何かでさっしたのか何なのか興味シンシンと言った様子で聞いてくるハルヒに、俺はあくび混じりで答えた。
翌日、教室に入ってきたハルヒに、俺は聞えよがしに溜息をついて、言う。
「…なに、ちょっと夜更かししちまってな。寝不足なんだ」
あの後、文字通りの意味で消失してクレーターと化した道路の中心に倒れてた朝比奈さんを回収したところで赤い月は消え、長門、古泉の2人と合流した。
例の金髪野郎はある程度追い詰めたところで捨て台詞つきで逃げ出したらしい…なんてありがちな野郎だ。
そんなわけで閉鎖空間から抜け出し、ようやく家に帰って来た頃、夜はすっかり明け、この異常事態は幕を閉じた。
残ったのは「体の節々が痛いです~」と泣きごとを言う朝比奈さん(群田さん曰く、身体への負荷を無視して最大威力で魔法を使ったからどうだとか)と
すっかり寝不足になった俺たちだけ。
「夜更かし~?テストが近いわけでもないのに?なに?なんか面白いことでもあったの?」
「うんにゃ。ちょっと眠れなかった。それだけだよ」
何かあったのを本能的な何かでさっしたのか何なのか興味シンシンと言った様子で聞いてくるハルヒに、俺はあくび混じりで答えた。
――――――同時刻
「まったく、最近全然会わないと思ったら、こんな所にいたのね」
「はい。色々あって、今はここに」
学校の屋上。そこで今風のセーラー服を着て本を抱え、いつもの微笑みで言うリオンを見て、わたしは溜息をつく。
「な~んか踊らされたみたいで、ちょっとだけムカつくんだけど」
その顔を見てたら、この前の苦い思い出、パールを配下にしないと宝玉手に入らないと言われたときのことが蘇ってきた。
あの時もそうだ。パールとの対決は結局リオンがおいしいところ全部持ってったし(1人だけ分けられても恵まれたみたいで嫌だっつうの!)
その後の宝玉争奪戦もあんだけ苦労してオチがアレ(手に入りましたよ?一瞬だけどって…詐欺じゃない?)って…
ああ、思い出したらものすごくムカついてきた。後で覚えてなさいよ。
「特にあれ。わたしにぴったりの依代があるの知っててくっさい芝居してんじゃないわよ。思わず我慢できなくて乗っ取っちゃったじゃない」
どうせそうすればああなるって書物に書いてあるとか答えるんでしょうけどね。あれって結構イラッと…
「知りませんでしたよ?」
…え?
「嘘つくんじゃないわよ」
ジト目で言うわたしにリオンはすまして答える。
「聞かれなかったことを答えないことはあっても…私は嘘はつきません」
そう言うとリオンは本を開いて見せる。
どうせわたしには読めないけどって…白紙?
「この本は、私の…秘密侯爵の力が具現化したもの。文字通りの意味で私の一部。
故に涼宮ハルヒによって力を制限されている今、書物に書かれていることも制限されている。読み取れる秘密は断片的であり、頻度も限られるのです。
具体的には1シナリオ3回くらいまでに」
「マジで?」
「はい。そして今回の分は『襲撃があること』『朝比奈みくるがベルの依代に最適なこと』『ルー・サイファーの動向を気にしてるベルが私の居場所に気づくこと』
その3つで使いきっていました。ベルがあの場で助けてくれるかは…賭けでした」
確かに、写し身の肉体が滅んでも本体にはさほど影響が無いのも事実だったので、と続ける。
「賭けって…あんた、そう言うの嫌いじゃなかった?」
そう、リオンはそう言う不確定要素が嫌うタイプだったはずだ。だからこそ、全てを知ることができる書物を持っている。
「ふふ…貴方の影響でしょうか?ベル。それに…」
声を上げて微笑むリオンに、ちょっとだけドキッとする。
いつもの張り付いた仮面みたいな微笑とも、他者を惑わす演技としての微笑みとも違う気がして。
「それに?」
そんな自分に気づかれないようにわたしはリオンに先を促す。
「勝算の高い賭けだったのです。ベル。私は書物を読まずとも、貴方のことを少しは理解しているつもりですよ?」
…
……は?
「ば、ばっかじゃないの!?そんな恥ずかしいこと、真顔で言わないでよ」
思わず言い返す。顔が赤くなってるのは…そ、そう、馬鹿なことを聞いて腹が立ったからよ?
「照れているのですか?ベル?」
「そ、そんなわけないじゃない!?」
「声、震えてますよベル?」
だあーもうコイツは!?
「はい。色々あって、今はここに」
学校の屋上。そこで今風のセーラー服を着て本を抱え、いつもの微笑みで言うリオンを見て、わたしは溜息をつく。
「な~んか踊らされたみたいで、ちょっとだけムカつくんだけど」
その顔を見てたら、この前の苦い思い出、パールを配下にしないと宝玉手に入らないと言われたときのことが蘇ってきた。
あの時もそうだ。パールとの対決は結局リオンがおいしいところ全部持ってったし(1人だけ分けられても恵まれたみたいで嫌だっつうの!)
その後の宝玉争奪戦もあんだけ苦労してオチがアレ(手に入りましたよ?一瞬だけどって…詐欺じゃない?)って…
ああ、思い出したらものすごくムカついてきた。後で覚えてなさいよ。
「特にあれ。わたしにぴったりの依代があるの知っててくっさい芝居してんじゃないわよ。思わず我慢できなくて乗っ取っちゃったじゃない」
どうせそうすればああなるって書物に書いてあるとか答えるんでしょうけどね。あれって結構イラッと…
「知りませんでしたよ?」
…え?
「嘘つくんじゃないわよ」
ジト目で言うわたしにリオンはすまして答える。
「聞かれなかったことを答えないことはあっても…私は嘘はつきません」
そう言うとリオンは本を開いて見せる。
どうせわたしには読めないけどって…白紙?
「この本は、私の…秘密侯爵の力が具現化したもの。文字通りの意味で私の一部。
故に涼宮ハルヒによって力を制限されている今、書物に書かれていることも制限されている。読み取れる秘密は断片的であり、頻度も限られるのです。
具体的には1シナリオ3回くらいまでに」
「マジで?」
「はい。そして今回の分は『襲撃があること』『朝比奈みくるがベルの依代に最適なこと』『ルー・サイファーの動向を気にしてるベルが私の居場所に気づくこと』
その3つで使いきっていました。ベルがあの場で助けてくれるかは…賭けでした」
確かに、写し身の肉体が滅んでも本体にはさほど影響が無いのも事実だったので、と続ける。
「賭けって…あんた、そう言うの嫌いじゃなかった?」
そう、リオンはそう言う不確定要素が嫌うタイプだったはずだ。だからこそ、全てを知ることができる書物を持っている。
「ふふ…貴方の影響でしょうか?ベル。それに…」
声を上げて微笑むリオンに、ちょっとだけドキッとする。
いつもの張り付いた仮面みたいな微笑とも、他者を惑わす演技としての微笑みとも違う気がして。
「それに?」
そんな自分に気づかれないようにわたしはリオンに先を促す。
「勝算の高い賭けだったのです。ベル。私は書物を読まずとも、貴方のことを少しは理解しているつもりですよ?」
…
……は?
「ば、ばっかじゃないの!?そんな恥ずかしいこと、真顔で言わないでよ」
思わず言い返す。顔が赤くなってるのは…そ、そう、馬鹿なことを聞いて腹が立ったからよ?
「照れているのですか?ベル?」
「そ、そんなわけないじゃない!?」
「声、震えてますよベル?」
だあーもうコイツは!?
―――――08:36.41
「ところでリオン。あんた、まだしばらくは戻らないつもりなの?」
ベルはひとしきり頭をかきむしったあと、私に聞き返してきました。
「はい」
それに私は頷き、ベルにその理由を言う事にしました。
「結構気にいっているんです。今のこの状態」
不便で、脆弱で、不完全な、『異世界人、群田理生』としての状態…
「ベル、貴方がゲームの結果を聞きたがらない理由が、少しだけ分かった気がします」
それは、常に完全に把握してから動く私には無かった状態であり…
「分からないと言うのは…不安であり、楽しいものです」
非常に新鮮な体験です。
「恐らく私が力を取り戻せば、きっと私は知りたいと思ってしまうでしょう」
この物語の結末。最大最強の裁定者と、それを取り巻く者たちの物語の終わりを。
「だからこそ、しばらくはこのままでいるつもりです。知ろうとしても知ることのできない、この状態で」
それが、この体験を無理やりながら与えてくれた涼宮ハルヒへの敬意。
「物語の登場人物の1人として」
そう、私は考えたのです。
「…そう」
私の話を聞き、ベルはにやりと笑って言います。
「だったら、好きになさい。ど~せ人間の寿命なんて100年も無いし、せっかくだから楽しんでくるといいわ」
そう言うと、ベルは虚空へと消えてしまいました。
「ありがとうございます、大魔王ベル」
ベルの消えた虚空に感謝の言葉を囁き、私は踵をかえしました。
これから起こる物語を見続けるため、その終わりを見届けるため、そして、今の私に与えられた“世界”へと戻るために。
ベルはひとしきり頭をかきむしったあと、私に聞き返してきました。
「はい」
それに私は頷き、ベルにその理由を言う事にしました。
「結構気にいっているんです。今のこの状態」
不便で、脆弱で、不完全な、『異世界人、群田理生』としての状態…
「ベル、貴方がゲームの結果を聞きたがらない理由が、少しだけ分かった気がします」
それは、常に完全に把握してから動く私には無かった状態であり…
「分からないと言うのは…不安であり、楽しいものです」
非常に新鮮な体験です。
「恐らく私が力を取り戻せば、きっと私は知りたいと思ってしまうでしょう」
この物語の結末。最大最強の裁定者と、それを取り巻く者たちの物語の終わりを。
「だからこそ、しばらくはこのままでいるつもりです。知ろうとしても知ることのできない、この状態で」
それが、この体験を無理やりながら与えてくれた涼宮ハルヒへの敬意。
「物語の登場人物の1人として」
そう、私は考えたのです。
「…そう」
私の話を聞き、ベルはにやりと笑って言います。
「だったら、好きになさい。ど~せ人間の寿命なんて100年も無いし、せっかくだから楽しんでくるといいわ」
そう言うと、ベルは虚空へと消えてしまいました。
「ありがとうございます、大魔王ベル」
ベルの消えた虚空に感謝の言葉を囁き、私は踵をかえしました。
これから起こる物語を見続けるため、その終わりを見届けるため、そして、今の私に与えられた“世界”へと戻るために。