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3vs5 宰相編

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13-475 3vs5 宰相編



 その一室を借り、二人の(外見だけ)若き美人宰相が極秘の会談を行っていた。

 一人は、第五世界エルフレア最大の国家、エイサー王国宰相ミカエル。38歳独身。

 もう一人は、第三世界エル=ネイシア宰相セルヴィ・エンデ。
 ミカエルは知る由も無い事だが、その正体は百八の古代神が一、古女王エルヴィデンスである。
 年齢は・・・ベール=ゼファーと同い年である。アンゼロットの祖父母の姉だが。

 二人とも、見た目は「大人のお姉さん」。
 ミカエル宰相は銀髪銀瞳の麗人であり、セルヴィ宰相は金髪金瞳で眼鏡をかけた知的な印象の美女。
 共に、冥魔王と盟約を結び、先代の支配者を手にかけ、幼い子供を傀儡の国王に祭り上げて実権を握った、悪
の宰相の見本みたいな行き遅れのおb― 野望に生涯を捧げ、美しく年輪を重ねた大人の女性である。

 そんな二人が激務の合間を縫い、わざわざ異世界まで来て如何なる密談を交わしているのか?
 二人の会話に耳を澄ませてみよう。

「あ”ー。今月もまーた支持率が下がったわー。まったく、人気取りのために税率下げよーにも財源はないし。
 国民は好き勝手なことゆーし、息子(アスヴェル少年王)は家出するし、やってらんないわよ、もー」

 ミカエルは手酌でビールをコップに注ぐと、一息に飲み干し、ぷはぁー、と息を吐いた。
 このミカエル宰相。酒が入るとこの通りだが、素面のときは普通に有能な政治家である。いや、ホントに。

「なかなか良い呑みっぷりですね、ミカエル宰相。
 そうそう。先日はみぱみぱを送って戴き、真に有難う御座いました。
 セフィス女王も大変お喜びでしたよ。『まぐっ、はむはむ、みぱみぱー!』と言った感じで―」
「セルヴィー、アンタも余所行きの言葉使いはやめなさいよねー。
 ここには民衆の目はないんだし、カッコつけるひつよーないでしょー」

 ミカエルに言われて“セルヴィ宰相”も肩の力を抜き、古女王エルヴィデンスとしての態度に戻す。

「うむ。では遠慮なく、地で応対させて貰おう」
「・・・・・なんか、いきなり婆臭くなったわね」
「娘を5人も育てれば老け込みもする。セフィス女王で子育ては6人目になるのだ」
「あー、それ、わかるわー。アスヴェル一人でも、結構、たいへんだったしぃー」

 ヒック、としゃっくりをしつつ、ミカエルはもう一度ビールを注ごうとし、その瓶が空なのに気付いて新しい
瓶を手を伸ばした。

「なあ、ミカエルよ。些か、飲み過ぎなのではないか? 同業者として忠告しておこう。アルコールは脳細胞を
破壊する。この仕事を一日でも長く続けたいのなら―」
「呑まなきゃやってらんないのよ。アンタんトコはいーわよねー。セフィスちゃんは大人しくて、都合がいい子
だし、下僕達は我儘言わないし。国家は統一されてるから外交もしなくていいし。うらやましーわー」

 ミカエルは瓶ビールをラッパ飲みすると、追加のビールをピッチャーで注文した。

「ほら、セルヴィ。アンタもなんか頼みなさいよ。
 ああ。アンタ最近、月下僕の支持を集めるために先代アンゼロット女王をリスペクトしてるんだって?」
「うむ。セフィス女王は陽女王イクスィムの娘だから陽下僕からは強く支持されているが、月下僕は物足りぬも
のがあるようでな。そこは私がフォローしようとしているところだ」
「だったら、さきいかツマミにウオッカ飲みなさいよー」
「確かに、先代アンゼロット女王は大変な酒豪で有名だった。
 かの聖姫争奪戦においても、戦に勝てば勝利の美酒に酔い痴れ、負ければ自棄酒をあおって酔い潰れていた」

「勝っても負けても、つぶれるまで呑むのね・・・・・・・」

「だが、聖姫争奪戦における先代アンゼロット女王の敗因が深酒にあった事は、全下僕が認めている。女王であ
れば至らぬところは下僕が支えるが、女王を支える立場にある私が先代女王の悪いところを真似してどうする」
「・・・・それもそーね。でも、1、2杯ならいーじゃない。ちったぁ付き合いなさいよー」
「仕方のない奴だな。では、お前と同じものを貰おう。それと、あぶなのおひたしとねるねるめいとを頼む」
「あぶなは分かるけど、もうひとつは何?」
「練れば練るほど色が変わる・・・という怪しげな御菓子を、水の代わりにかろりーめーとこーひー味で溶かして作
るという、それはもう凄まじい味の流動体だ」
「・・・・・・・・なんでまた、そんなもの食べたがるのよ?」
「昔、任務に失敗した部下に罰として喰わせた事が在るのだがな、後で裏切りおったのだよ」
「・・・・・・・そりゃ裏切るわ」
「直接の原因は、奴の妹が私を裏切りそうだったのでこっそり粛清して、敵に倒されたと偽ったのがバレた事だ
ったが、一因ではあったであろうな。故に自戒を込め、時折、食する事にしているのだ。
 懐かしい、思い出の味でもある。あの頃は家族に囲まれ、騒がしくも賑やかで愉しい日々だった・・・」
「家族かぁ・・・・分かるわ、セルヴィ」

 ミカエルはホロリとした表情を見せ・・・急に、泣き崩れた。

「なんで・・・・なんで離反しちゃったのよ、メリース・・・・・」
「泣いて良い。今は泣いて良いぞ、ミカエル。それにな。お互い生きておれば、何時かは和解出来る日も来よう」
「・・・ありがと、セルヴィ。わたし・・・がんばるわ」

 親身になって励ましてみせるエルヴィデンスにミカエルも力強く頷き、注文を受け取った店員が奥に引っ込む
と、再び、話題は互いの国の情勢へと戻った。

「羨ましい、と言うがな。私とて楽をしている訳では無い。
 此方ではラース戦役は、第一世界“救済”の為という事に為っていたのに、ラース=フェリアが冥界落ちする
や撤退した事を不服とする者も居れば、やはり税金が高いとこぼす者も居る。
 エルンシャ派の神姫も、数少ないが居ない訳では無いし、アンゼロットも帰郷の準備を進めている。
 安泰とは言い難いのだ。
 それにだ。外交なら、今まさにしているではないか。
 此れからは裏界とも連絡を取らねば為らんだろうし、エルスゴーラの情勢も気になる。
 身体が一つでは足りぬよ」

 エルヴィデンスがウーロン茶のグラスに手を伸ばすと、調度、そこに店員が戻ってきた。

「へい、ビール、ピッチャー2つ、おまちぃでヤーンス」
「・・・・結構、大きいのだな」

 文化的な理由により、今までピッチャーを見た事がなかったエルヴィデンスは、それをそのまま一気飲みした。

(・・・・こんなものの何が愉しいのやらサッパリ分からんが、まあ、これも外交の一環だ)

 ビールを口に入れるや否や、プラーナ・レベルで分解し、吸収し、何事もなかったようにピッチャーを置く。
 無論、酔いなど全く無い。そして、エルヴィデンスは目を丸くするミカエルと店員を不思議そうに眺めた。

「どうしたのだ?」
「や、やるわねセルヴィ・・・・なら私も―」
「お客さん! 止めとくでヤンス! 一気飲みは身体に毒でヤンス!」

 対抗しようとしたミカエルを店員が慌てて止めるのを余所に、エルヴィデンスはメニューを確認した。

「おお、そうだ。トマトと玉葱のタルトも頼もう。ミカエル。お前も食べるか?」
「・・・・そうね。いただくわ」
「あ、はい。わかったでヤンス」

 マイペースなエルヴィデンスにミカエルは毒気を抜かれ、店員も困惑しながら注文をとった。

「しほーさーん。トマトと玉葱のタルト2人前お願いでヤーンス」
「はーい」
「ああ、それとドンペリも」
「はーい、ドンペリひとつでヤーンス」
 視界の隅で何かが動き、エルヴィデンスが戸口に目を遣ると一匹のフェレットが部屋を覗き込んでいた。

「おや、これは可愛らしい。この店の看板ペットかな? あぶなは食べるかな?」
「飲食店でペットを放し飼いにするのは、食品衛生上良くないんじゃないかしら?」
「いえ、こちらさんもお客なんでヤンスよ」
「ほうほう」

 エルヴィデンスは手を伸ばしてフェレットを捕まえ、膝に乗せるとあぶなを食べさせ、その背を撫でた。
 一方、ミカエルは、店員が奥に引っ込むの待ってから会話を再開させた。

「に、しても。やっぱ羨ましーわー。アンタんトコ、冥魔王も可愛い女の子じゃない。
 こっちのヘルクストーは脂ぎった親父よ、親父。
 しかも、なんか最近、男装の麗人にベッドマナー習ってるらしーのよ、あのタコ」
「余暇をどう過ごそうが、他人が口出しする事ではなかろう。仕事をしているなら良いではないか。
 こっちのプリギュラなど、口を開けば領地を分けろ、だ。
 あれこれ手伝って遣る等と言っているが、私の面倒事の幾つかは奴が裏で糸を引いておる。
 自作自演で無理矢理恩を着せようとしているのだが、今の私に其れを問い詰める力は無い。
 せめて裏界のぽんこつが、アンゼロットに無視されない程度に有能で在れば、な・・・・・」
「愚痴ってもいーことないけどねー。ね、ちょっち輸出増やしていーい? こっちもよゆーなくってさー」
「生憎と、此方の台所事情も厳しいのだが・・・・そうだな。AKとダークシードなら買っても良いぞ」
「ごめん。それは在庫が厳しいの」
「何か、新たな財源が見つかれば良いのだがなぁ」

 エルンシャの庇護を受けていた頃は、その全知により金の鉱脈やら何やらの場所もすぐ分かったのだが、今は
そうは行かない。それでも、決してやって行けない事はなかったのだ。
 アンゼロットが、帰って来さえしないなら。

「・・・・・・・忌々しいぽんこつめ」

 フェレットはビクッと身体を振るわせると慌てて部屋の外に逃げ出し、エルヴィデンスは名残惜しげにそれを
見送った。

「そーいやーさー。裏界の支配者、ベール=ぽんこつだったっけ? どんなヤツなの?」
「さあ? 私も良くは知らんのだが、アンゼロットに無視される程度の奴らしいな。
ルー=サイファーから代替わりした途端、東方王国の活動が活発化しているあたり、ルーより劣る事は明白だ。
 我等同様、エルオース復活計画の一翼を担ったらしいが、我等とは異なり、冥界から利益を得た様子は全く見
られず、一方で、冥魔への憎しみを見せる事が多いと聞く。
 恐らくは、冥魔王達に騙され、便利に使われて捨てられたのではないかな?
 冥魔王とは、元々は古代神戦争の時に古代神に作られた、使い捨ての戦闘生物が生き延び、進化し、知恵を付
けた存在だ。
 敗戦後、裏界よりも過酷な環境にある冥界に落とされた冥魔王は、裏界の魔王達を妬み、憎んでいても不思議では無いが、ぽんこつにしてみれば、自分に従って当然の相手が自分を騙したとなれば、決して許せんだろう」
「でもさー。いっちゃ悪いけど、わたしらの業界じゃー『騙される方が馬鹿なだけ』なのよねー」
「全くだ。実際どうなのかははっきりせんがな。私はこの後、第八世界で情報を集め、裏界の魔王達がどんな奴
等か調べるつもりだ。何か分かったら連絡しよう。その代わり、輸出の件は待ってもらえるか?」
「むー。仕方ないわねー。なんか、他に財源はないかしら?」

 腕を組んで考え込むミカエルを眺めながら、エルヴィデンスはねるねるめいとを口に運んだ。
 この味が、人によっては美味に感じられる事はあまり知られていない。
 しばしの間、静かに時が流れ、やがてミカエルがある事を思いついた。

「あ、そーだ。合同で官能写真集出すとかどう? うちの人造天使も、そっちの神姫も可愛い娘多いし」
「断る。エル=ネイシアは全年齢対象なのだ」

 ピッピックゥッッっと、ミカエルの眉が引き攣った。

「言うじゃないの。PC版出るほど人気なかっただけのくせに」
「こっちは、掲載紙も年齢制限無しだったのだぞ」
「探さなきゃ見つからないようなマイナー雑誌だったじゃないの」

 二人の美女宰相の間に、険悪な雰囲気が漂い始めた。

「先王の愛人上がりだけあって、発想が下劣だな、ミカエル」
「アンタだって似たようなもんじゃない。エルンシャに気に入られて宰相になったんでしょ?」
「奴はアンゼロットとイクスィム以外の女に興味はない。私は純粋に、才覚と手腕を認められたのだ」
「あーそー。あまりの婆臭さに、女として認識されなかったわけね」

 “セルヴィ宰相”の正体を知らないミカエルにとって、目の前の女は自分の同類でしかなかった。

「ミカエルよ。お前とは一度、決着を付ける必要があるようだな」
「ええ、いいわよ。セルヴィ」

 ミカエル宰相は色褪せた天使核を握り締め―
 エルヴィデンスは掌に魔力を集め―

 そして二人の身体から絶大なプラーナが吹き上がっ―

「喧嘩は止めるであります!」

 ばーん、と勢い良く襖を開き、ゴスロリ・ファッションの銀髪ツインテール美少女が乱入した。
 誰もが目を奪われるだろう、美しい少女だった。鼻にティッシュペーパーを詰めていたが。

「部屋の外まで殺気がダダ溢れであります! この店は喧嘩厳禁でありますよ?」

「・・・・これは、みっともないところを見られてしまったな」
「・・・・ごめんなさいね、お嬢ちゃん。そのお鼻はどうしたの? ニンニク食べ過ぎたのかしら?」
「吸血鬼がニンニク食べるか! であります。昼間、仕事で怪我したでありますよ。
 それより、気に入らない事があるなら平和的にカラオケで決着を付けるであります!」

「それはいいわね。セルヴィ。そうしましょう」
「む。私は持ち歌が無いのだが・・・」
「あら、逃げるの?」
「分かった。受けて立とう」
「まず、私からいくわよ」

 ミカエルは、エイスエンジェルPC版の主題歌をそれなりに上手く歌って見せた。
 どんな曲なのか、作者は全く知らないが。

「さ、アンタの番よ」
「・・・・・・・・仕方ない。アンゼロットの歌にするか」

 実を言うと、エルヴィデンスには一曲だけ持ち歌があった。
 だが、永劫の眠りへと誘う〈シルフィード・レクイエム〉など、カラオケで歌えるはずもない。
 どうしたものか、と思いつつマイクを受け取ると、脳裏に閃くものがあった。

(おお、そうだ!)

 一計を講じた古女王が口を開くと、凄まじい声量が居酒屋全体を包み込み――1分30秒後、歌声は止んだ。

「ああ、歌った、歌った。さて、得点は・・・・」
「セルヴィ。これはどーゆーことなのかしら?」

 得点を確認しようとしたエルヴィデンスを遮り、ミカエルが隣室との間の襖を開く。
 そこには、マイクを握った歌下僕エミー・ザ・クローンの姿があった。

「む。気付かれたか。酩酊しているから分からないと思っていたのだが」
「ふふん。フルヴァージョンにしたのが敗因ね。ショートヴァージョンなら気付かなかったわ」
「―――何時の間に代役を手配したでありますか・・・・?」
「まあ、其処が私の強みだからな。しかし、ミカエルも素晴らしい」

 満足気な表情で、エルヴィデンスは勝ち誇るミカエルを見直した。

(やはり、ただの酒乱では無い、か。今迄の愚痴も、一見、無警戒に愚痴っている様に見えて、実際には此方の
情報網で把握済の事しか話していない。尤も、そうでなければ我が盟友とする価値も無いが)

 胸の内で一人ごち、エルヴィデンスはミカエルを讃えた。

「酔っているように見えても頭脳は明晰、か。流石、38歳の若さで今の地位を得ただけの事はある」
「38っ! でありますか?! とてもそーは見えないであります!」
「ちょっと! 歳バラさないでよ! 黙ってれば20代で通るんだから。そーゆーアンタは幾つなのよ?!」
「私は14歳っ☆」

      「「寝言は寝て言え!!」であります!」

 古代神の妄言に、美女宰相と吸血鬼少女の声がハモった
 今の身体を使い始めたのは14年前からだから、ある意味、嘘ではないのだが。

「まあ、冗談はさておき、カラオケ対決の事だが」
「どっちみち、そっちのマイク切ってるから得点は0であります」
「ちょっち、予想の左斜め上の展開になったけど、まあ、私の勝ちね」
「ああ、負けてしまったな」

 古代神は鷹揚に頷き、迷走した会談の軌道修正を始めた。
 成すべき事は多く、ミカエルの器は充分に見た。そろそろ、まとめに入るとしよう。
 折角、第八世界まで来たのだ。この後、東方王国や忘却世界を回り、出来る限り多くの災いの種をばら撒いて、
ウィザード達の足止めをしたい。
 エル=ネイシアの民は、冥界に堕ちたラース=フェリアを見捨てた負い目と、異世界に女王の威光を広めたい
という気持ちから、異世界人に対して非常に甘い。
 もし、ウィザード達がエル=ネイシアにやって来れば、色々と面倒な事が起きるだろう。

「今日の勘定は私が払おう。店主。この店で一番高いボトルを二つ頼む。お嬢ちゃんも何か飲むかな?」
「それなら、トマトジュースを貰うであります。奢ってくれるなんて、とってもいい人でありますよ」
「・・・・いい人、か。そんな風に言われたのは初めてだな。邪神だの、陰険ババアだのと呼ばれた事は有ったが」

 歌下僕エミー・ザ・クローンにも好きな物を注文するように伝えたエルヴィデンスは、超☆高級ブランデー(ア
ルコール分98%)のボトルが二つ届くと、片方をひっくり返して底を手で引っぺがし、そのまま一気飲みした。
 ブランデーを口に入れるや否や、プラーナ・レベルで分解し、吸収する。

(アンゼロットもミカエルも、こんなものの何が良いのやら)

 そう思いつつボトルを置く。無論、酔いなど全く無い。目を丸くするミカエルを見て、ニヤリと哂う。

「ん。どうした、ミカエル。呑まんのか?」
「ま、負けるもんですかッッ!」
「真似しちゃいけないでヤンス!」
「自殺行為であります! 考え直すでありますよ!」
「さて、次は何を頼もうか」
「ちったぁ空気読んで手伝うであります!」
「忠告ならさっきした。いい大人が自分の判断でする事だ。他人が口出しするものでもあるまいて」

 もし仮に、本当にミカエルが一気飲みをして倒れたところで、所詮、その程度の輩だったというだけの事。
 エルヴィデンスの古代神としての力で、操り人形にすればいい。面倒臭いのでやりたくないが。
 冷酷に考えていると、ひとしきり騒いだミカエルが落ち着きを取り戻し、銀髪少女と店員を気にしつつも話を
戻した。

「で、さっきの話だけど。なんか、いーもーけ話ないかしらねー」
「そう都合良くはいかんだろう。だがせめて、もう少し使える人材が見つかればなぁ」
「武闘大会を開くとかどうでありますか? 人材発掘と金儲けを同時に出来るでありますよ?」

 “使える人材”を腕のたつ戦闘員と決め付けて、銀髪少女が提案し―

「「いいな、それ!!」」

 二人の美人宰相は、くわっと目を見開き、異口同音に叫んだ。

「ただ、武闘大会は昔やったことあるけど、結構、運営大変なのよね。途中で乱入してくるヤツもいるし」
「ならば、場所だけ用意してバトルロイヤルかサバイバルラリーにするか」
「他にも出資者を集めましょう。収益は減るけど、コケたときの損害も減るわ」
「ああ。別に大儲けする必要は無いのだ。有能な人材が見つかるなら、逆に金を払っても良いくらいだからな。
 儲かるなら其れに越した事は無いが、態々、博打をする事も無い。手堅く行こうではないか」

「面白そうな話をしていますね」
「私達も混ぜてもらえますか?」

 カウンターで飲んでいた男達が美女達に声をかけ― 悪の組織連合主催・人材発掘バトルロイヤル大会開催案
の話題は大きく盛り上がった。

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