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闇より出でて光の中へ

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闇より出でて光の中へ


そこは一切の光の侵入を拒んでいた。
四方は分厚い壁に覆われ、わずかにある窓にはカーテンによりぴたりと閉じられ、光の一筋すらも通すことはない。
その闇を孕む部屋の中でただ一つ方形の光を放つ物があった。
光の方形にはこの世ならざる恐るべき光景が映し出され、また闇を通してなお心を揺さぶるようなかすかな声を上げていた。
そして、それに見入り、聞き入る三人の少女はあたかもおぞましき魔術的儀式を行っているようですらある。
その三人の少女は何者なのだろうか。
一人はタバサ。トリステイン魔法学院に所属するメイジと言われる魔法を操る彼女はまさにこの儀式にふさわしいではないか。
一人はアゼル・イブリス。すなわち荒廃の魔王。かような存在である彼女が執り行う魔道とはいかなるものなのか。
そして最後の一人。
名うてのメイジや魔王をも虜にする外法儀式の主催者。
その名は長門有希
彼女の指が常人にはとうてい理解できない速度と法則を持って動く。
それに連れて方形に映し出される光景が変わろうとしたとき、突如闇は破られた。

「こんな暗い部屋でなにしてるんですかーーーーっ」

あちゃくらさん とーじょー

とゆーわけでこの長門有希は長門有希というより長門ユキちゃんです。


「まったく、部屋を閉め切って何をしているかと思えば」
とか言いながらカーテンを開けていくあちゃくらさん。
あふれる太陽光を全身に浴びた三人はそれがあたかも弱点属性であるかのように目を細めて「あうっ」とか小さく悲鳴を上げた。
「友達呼んだかと思ったらいつもと同じことして、たまには違うことしたらどうなんです」
いつものこととはPCゲームのことである。
昨夜も徹夜でやっていて今朝「ねーれっ」とノートパソコン(3Dもサクサク動く)を跳び蹴りで真っ二つにしたはずなのにまたやっている。
さて、これを聞いた長門。
目をしばたかせながらいつの間にか、たぶん情報操作で復活させたノートパソコンをあちゃくらんに見せてこう言った。
「いつもとちがう」
「どう違うんですか」
「いつもよりハード」
どういう意味でハードかは各自で想像していただきたい。
とりあえず読者の皆様が考えるハードさの最低2倍ほどはハードな画像とテキストデータが満載のゲームと思えばまず間違いないだろう。
長門は今日招いた二人のために、このとっておきのゲームのパッケージを破ったのである。
その内容をこの場にて克明に描写したいところなのだが
ああ、なんたる無念
全年齢対象を前提にしているこのSSではとてもできそうにない。
実用性(なんの?)抜群の文章をいくつも思いついたというのにまことに残念である。
「な、な、な、な、なーーーーーー!!」
それにあちゃくらさんには刺激が強すぎる。


「いいですか。こんなにいい天気なんですよ。せっかく集まったんだから部屋に閉じこもっていないで外で遊んだ方がずっといいですよ」
ここは最寄りの公園。
空は雲一つ無いし、風もそんなに吹いていない。
それに暑くもなく、寒くもない。
外で体を動かすには絶好の小春日和だ。
「じゃあ、遊んでください」
といわれた長門は隣にいるアゼルを見た。
見られたアゼルはタバサを見る。
タバサは今度はついと長門を見た。
そして三人は顔を見合わせ、首をかしげる。
「あの、どうしたんですか」
首をかしげたままの三人。
同時にあちゃくらさんを見て、同時にこう言った。
「なにする?」
「は?」
いや、まー、全く考えてなかったわけではない。
薄々こんなこともあるかなー、とは思っていた。
けど、一応確認はしてみる。
「もしかして、どうやって遊ぶのか分からないんですか?」
こくりと三人同時にうなずく。
見事なまでのシンクロである。
「しょうがないですね」
ため息まじりのあちゃくらさん。
だいたい予想通りである。
いきなり外で遊べと言われて何をしたらいいか分からないのも無理からぬこと。
何せこの三人、休みは思いっきりインドア派みたいだし。
「じゃあ、ボールでも持ってきますから、ここでおとなしく待っててください」
そう言ってあちゃくらさんは傘を持っててけてけとでも足音を立てそうな走り方でマンションに戻っていった。
ちなみにこの傘は一人でマンションに帰るには必須の装備である。


残されたのはタバサ、アゼル、長門の三人。
あちゃくらさんに言われたとおりおとなしく待っていた。
ただしきっかり三秒だけ。
それだけたつとこの三人は待ちくたびれてそろって最寄りのベンチに移動する。
腰掛けた長門はタバサから受け取った膝掛けをかける。
次いで、アゼルが月衣に入れておいたノートパソコンを受け取ってスイッチを入れた。
暗い画面が明るくなってロゴが表示されたところでディスプレイの角度を調節。
長門の後ろに移動したタバサとアゼルが画面がしっかり見えるとうなずくのを確認すると、例のハードなゲームのアイコンをクリックしてから保存したデータを読み込んでゲームを再開した。


さて、ここで新たに現れる第五の登場人物を紹介しよう。
彼女の名前は間桐桜。
穂群原学園に通う弓道部員にして、魔術という尋常ならざる力を操る魔術師でもある。
そんな彼女がなぜここに来たか。
これには複雑怪奇なる理由があるのだがこの物語とはあまり関係がないのでここでは省略させていただく。
どうしても納得できない方は登場判定なるものに成功したと思っていただきたい。
話を続けよう。
用事を済ませた桜が気分よく公園の散歩を楽しんでいるとベンチに集まる風変わりな集団を見つけた。
言うまでもなくタバサ、アゼル、長門の三人である。
この三人、端から見ればかなり風変わりであることに異論を唱えるものはいないだろう。
一人はマントと大きめの杖を持っているし、もう一人は素肌の上に帯をぐるぐる巻き付けている。
学生服は普通と言えば普通だが先の二人と並べるとこれが一番何かあるのかと怪しんでしまい、風変わりさを倍増させる要素となってしまう。
といっても桜もまた現在の外見こそ普通人であるが実際のところそんなものとはかけ離れすぎるほどかけ離れた人間である。
しかもここは様々な世界、文化が集まる学園世界
あのくらいの風変わりさも今では許容範囲のうちである。
ではあるが、三人がそろってのぞき込んでいるノートパソコンに桜は興味を持ってしまった。
だからこっそり近寄ってディスプレイをのぞき込んでしまったのを誰が非難できようか。
キョンだって似たようなことをしたんだし。
そして、そこに表示されている画像とテキストをちらと見て思わず、本当に思わず、そして無意識にさりげなくぽつりと言ってしまった。
「たいしたこと、ないですね」
その声は小さく、口先で消えるようなものだったので常人ならば聞き逃して当たり前のものだった。
だが、ここにいる三人はいずれも常人ではない。
メイジ、魔王、ヒューマノイドインターフェイスなのだ。
各自鋭い知覚能力を持ってして先の言葉を聞き取ると一斉に振り向いき、ディスプレイを見せながらじりじりと詰め寄り始めたのである。
ところでこの三人、桜が同種のゲームを好む同好の士だと思っている。
だから、
「どんなの?」
「ユニーク」
「興味深い」
なんてことを言っているのだが
「あの、その、ですね」
とか言いながら後ずさる桜はゲームには不案内であり、もちろん同種のゲームを好む同行の士ではない。
では、何と比べてたいしたことないと言ったかというと実体験と比べたわけである。
これだからある年齢以上がデフォルトの世界の住人は……
だからといってそんなこと言えるはずもなく桜はじりじりと後ずさるたびにじりじり追い詰められていく。
なんかもー、いろいろな意味で危うし桜。
と、その時である。
救世主が現れた。
「なに」
救世主はタバサの頭部に炸裂し
「やってん」
アゼルに激突し、
「ですかーーっ」
長門に一撃を加えてしゅたっと着地を決める
それこそあちゃくらさんである。
「まったく、もー、三人ともおとなしく待っていてくださいっていったじゃないですか」
着地したあちゃくらさん。
短い手をぶんぶん振り回して頭を抱える三人に説教を始める。
「何も知らない一般人に何をしてるんですか!」
さらに怒ってほっぺたをぷくーっとふくらませ
「こーんなに清純で」
ザクッ
「汚れのない」
ザクザクッ
「洗いたてのシーツみたいに真っ白な人を捕まえて何を教えようとしてるんですかっ」
ザクザクッズギューンドガガガガ
一通り説教を終えたあちゃくらさんが振り向くと
「ああっ、大丈夫ですか?体調でも悪いんですか?」
助けられた桜は膝をつき、長い髪を地面に這わせてがっくりとうなだれていた。
「い、いえ。何でもありません」
ちなみに先ほどの擬音、桜が心理的に受けたダメージがどのくらいかを表している。


「というわけで皆さん。遊びますよ」
「おー」
抑揚のないかけ声で返事をするのがタバサ、アゼル、長門の三人。
これでも三人はかなりやる気なのである。
「あの、私もですか?」
そして、いつの間にか巻き込まれた桜。
「せっかく知り合ったんですし。だめですか?」
ちっちゃいあちゃくらさんの見上げながらのお願いを断れるはずもなく
「そんなこと無いですよ」
と、桜も了承してしまったのである。
「それで、何をして遊ぶんですか?」
「それがですね。ボール遊びでもしようと思ったんですけど、うちにボール無かったんですよね」
長門がどこからともなく買っくるベビー用品の中にボールの一つでもあるかと思ってたけどなぜかボールは一つも無かった。
他の遊びに切り替えればいくらでも何かあったのだが、既に頭がボール遊びモードになっていたあちゃくらさんには他のという選択肢はなかった。
「だから、ボールの代わりに風船を持ってきました」
「風船?」
といっても風船なんてあちゃくらさんは持ってない。
どこにあるかときょろきょろしていると
「どうも、キミドリです」
と、いつのまにか犬型の黄緑色をした謎の物体が現れた。
「風船、ですか?」
学園世界に慣れたと思っていた桜もこれには密かに驚いた。
だってのっぺらぼうの犬型の物体が口もないのにしゃべっているのだ。
「はい、風船です。親しみを込めてキミドリさんと呼んでください」
「……さん、ですか」
「はい、キミドリさんです」
なお喜緑さんではないので注意が必要である。
「というわけでキミドリさん、ボール役お願いしますね」
「任せてください」
何をするのかと桜が見ていると、いきなりキミドリさんの体が不規則に膨張と収縮を繰り返す。
「ひぃっ」
グロい、はっきり言ってグロい。
体を突き破ってモンスターでも飛び出てきそうなグロさだ。
グロいけど最終的にはボールになった。
そうなったボールなキミドリさんをあちゃくらさんが拾い上げ、
「投げますよ、桜さん、取ってくださーい」
投げる。
投げるけど
「あら」
届かない。
「もう一回」
また投げる。
また投げたけど
「あらら」
とどかない。
「困りましたね」
「軽すぎるんですよ。キミドリさん、重くなれないんですか?」
空気抵抗に勝てないのだ。
「風船ですからね。ちょっと無理ですよ」
むう、と三人?二人と一匹?いや、二人と一個?が首をひねっているとひょいとキミドリさんがつまみ上げられる。
タバサである。
タバサはそのままあちゃくらさんもつまみ上げ、ボールなキミドリさんに乗せた。
そして
「長門」
といって投げる。
「ええええええええ?」
キミドリさんはくるくる回転して長門の元へ。
キャッチした長門は
「アゼル」
くるっ、くるっとあちゃくらさんごと回ってアゼルの方へ。
あちゃくらさんの重さが加算されたボールなキミドリさんは空気に阻まれることなく飛んでいく。
「桜」
くるりんくるりんキミドリさんは回る。
ただ回るだけではない。
重心が偏っているおかげで回転は不規則、軌道もふらふら。
これを取って投げるのは思いの外おもしろい。
だから桜も
「えーと、アゼルさん」
つられて結構楽しげに遊んでいた。
そして、投げられまくりのあちゃくらさんはというと
「あはははははー、たのしいし、まーいっかー」
大変盛り上がってたとさ。


長門によるパラダイスな歌とともにおーわーれっ





  • 長門有希 涼宮ハルヒちゃんの憂鬱
  • あちゃくらさん 涼宮ハルヒちゃんの憂鬱
  • キミドリさん 涼宮ハルヒちゃんの憂鬱
  • タバサ ゼロの使い魔
  • 間桐桜 Fate/stay night
今回はこのメンバーでお送りしました


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