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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第04話

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平日の過ごし方(動物編)


俺の名はどんぺり。
絶滅社の強化人間である緋室灯と共に暮らすフェレット。
必要とあらば釣りから人体切断マジック、そしてチョコの材料までなんでもこなせるスーパーペット。
これは、俺のとある平日の1日の物語である。

朝、灯が学校に行ったのを確認し、俺は外へと出た。
1つ伸びをして、今日何をするかを考える。
この世界に来て、毎日ちゃんと学校に通うようになってから、灯の精神は安定している。
命が目を覚まし、エリスや翠と一緒にいることがプラスに働いているのかもしれない。
最近は俺が見ていなくても、安定し、安らかに暮らせている。
灯もそろそろ自立する時期なのかもしれない。
少し寂しいが、彼女のような強化人間の精神を安定させるために作られたスーパーフェレットとしては、喜ぶべきことなのだろう。
気を取り直したところで、今日の予定を決める。
今日は久しぶりにプリンの顔を見ておくか。そう考えて俺は"動物園"へ向かう事にした。

―――トリステイン魔術学院

犬、猫、鴉にハムスターと言った普通の動物から、どこぞの学校から流れてきた妖怪やサラマンダー、果ては手と髭の生えたマヨネーズの化け物なんてものまで。
今日も、ヴェストリの広場…別名"動物園"は多種多様な生き物たちでごった返していた。

ここが動物園と呼ばれるようになったのは、とある儀式の後のことである。
春の使い魔召喚。
この学園の年中行事であり、この学園の生徒が生涯を共に歩む"使い魔"を召喚し、契約する儀式が行われたのは、この学園世界にやって来てから。
聞いた話では、"異世界"から使い魔を召喚した例は数百年はあるこの学園の歴史でもたった1例だけ(たまに灯と共に行く管理棟の開発部で見かける、黒髪の少年がそれだと言う)
基本呼び出される使い魔は"この世界"の生き物。
去年までは"この世界"と言うのはこの学園があったハルケギニアとか言う世界だったわけだが、今年はあいにくとこっちに来てから行われた。
結果、儀式が行われたここヴェストリの広場には学園世界中から実に多種多様な生き物が召喚され、使い魔となった。
そして、その使い魔の関係者やら、巻き込まれて学園世界にやってきた野良の類やらよその学園のペット(まあこれは俺もそうだが)やらが入りこむようになり、現在に至る。
その、使い魔召喚の儀式のときにに召喚され、使い魔になった連中の中には俺の妹も混じっていた。それに気づいてからは、俺は時々こうして妹の…顔?を見に来るようにしている。

日向ぼっこしたり、メシを食ったり思い思いに過ごす連中を尻目に、俺はいつもの連中が溜まってる一角へと向かう。
(やあ、お久し振り)
俺の接近に気づき、去年からいたこの動物園の古株…ジャイアントモールのヴェルダンテが髭をぴこぴこと動かして挨拶してくる。
(おお、白いのじゃねえか。なんだ?妹に会いに来たのか?)
気さくに唸り声を続けるのは、同じく古株のサラマンダーのフレイム。
見た目は怖いが、慣れると意外と男気溢れる良い奴である。
(ああ、ここ1週間ばかり会ってなかったからな)
俺は軽く尻尾を振り、肯定の意を返す。"俺たち"は喋れないが問題は感じない。これで十分コミュニケーションが取れる。
(そうかい。だが、あいつは今はここにいないぜ?ご主人たちにつきあって勉強してるからな)
(勉強熱心だよね。流石は元異世界…なんて呼べばいいんだろうね?彼女のことは?)
互いにあいつのことを口にしあうヴェルダンテとフレイム。
この学園世界ができる前から使い魔としてこの学園で暮らしてた、こいつらは割と仲がいい。
去年1年はこいつらの"主人"が色々大変なことに巻き込まれた年で、それで仲が良くなったと言う。
ちなみに普段はこいつらの他にも…
(そう言えばシルフィはどうしたんだ?)
いつもならもう1頭、こいつ等と親しい古株がいるはずなのだが姿が見えない。
例の"秘密の任務"とやらにでも行ってるだろうか?
(ああ、彼女なら…怪我をして、寝込んでいるよ)
そう言いつつヴェルダンテが広場の方を見た。

(いたいのね~…きゅい~)
俺たちの顔を見て泣きそうな顔でシルフィードが俺たちにきゅるるると鳴き声を上げる。
なるほど、元気が無い。
その原因となった負傷は一目で分かった。尻尾に包帯がぐるぐる巻きにされている。
かなり深い傷らしく、ところどころ血がにじんでいる。
(よぉ。ひでえ目にあったみたいだな)
フレイムがにやりと笑いながら唸る。
(そうなのね!まったく酷い目にあったのね!)
興奮しながらシルフィードがその時のことについて鳴き出す。

俺も詳しくは知らんが、こいつは今こいつの主人と共に"組織の仕事"とやらをしているらしい。何でも世界の平和を守る仕事だとか何とか。
だが、こいつはいつまでたっても半人前扱い、組織の中じゃあ古株な癖にこいつの主人(確かタバサとか言う、灯に似た雰囲気を持つ魔術師だ)と一緒でないと任務につけない。
まあ、こいつも使い魔なんで、お姉さま(こいつは自分の主のことをそう呼ぶ)と一緒に任務につくのはいい。こっちに来る前も似たようなもんだったらしいし。
だが、後から入ってきた連中が先に1人前として認められるのがこいつには気に喰わない。
そんなわけでこの古代種(自称)、エヴァ様とか言う組織のえらい人に抗議したところ、こう言われたそうな。
『お前を一人前と認めろ、だと?そんなセリフはマモルの…いや、山芽の“アレ”にでも勝ってから言うんだな』
そしてそう言われたこいつは早速そいつに挑み…ボロ負けしたらしい。
(尻尾ばっかり狙うのは反則なのね!何が『トカゲの尻尾を切るのが最近のマイブーム』なのね!?トカゲと一緒にするんじゃないのね!?)
ブンブンと全身で"怒り"を表現するシルフィード。
(あのウサギ…今度会った時にはぎゃふんと言わせてやるのね!きゅいきゅい!)
そう言って怒りを露にしたそのときだった。
(―――へぇ?誰を、ぎゃふんと言わせるって?)

あんぎゃあああああああああああああ!!!!!!!!!!!???????????

驚き半分と驚き半分でシルフィが叫んで後退し、そいつに自らの意思をぶつける。
(なななななんでここにいるのね!?)
そいつはその様子にぴこぴこと耳で答える。
(いや~アタシもさ、ちょ~っとやりすぎたかな~と思ってお見舞いに来たんだけど…その様子なら大丈夫っぽいよね~)
耳をぴんと立て、目を細めるそいつ。
(まあ、鱗の固さも分かったし、アタシも今度は本気出すからさ…もう一遍、やる?)
(きゅきゅきゅきゅい!?)
ブンブンと首を豪快に振り、拒否するシルフィード。涙目だ。どうやらこいつにボロ負けしたと言うのは本当らしい。
(まあまあ。落ち着いて。美しいレディ)
俺たちの中じゃあ一番の穏健派で通ってるヴェルダンテがそいつをなだめる。
(そうそう。こいつが尻尾落とされたらもう生えてこねえんだぜ?)
フレイムは珍しく同情的…そういやあコイツもトカゲだったか。
(…冗談よ。アイツが忙しいらしくって暇だったから遊びに来ただけ。大体、ここでシルフィと遊んだりしたら、ご近所にも迷惑でしょ?)
敵意が無いことを示すように、そいつは耳をだらんと垂らし、ブニョッとした身体を揺らした。

それから、お互いに自己紹介を返す(シルフィの奴は怯えてずっと尻尾をかばっていたが)
こいつの名は、耳之介。代々伊賀の里の忍びの家に仕える動物忍者だと言う。
特技は耳を振り回して真空波を出す“旋風長耳斬り”と言う、物騒なウサギだ。
耳之介は肩をすくめ、ピコピコと耳を動かす。
(ま、アタシとしてもさ。血がにじむような修行で身につけた技に対して舐めた態度取られたら、ムカッと来るじゃない?)
最初、シルフィは余裕で勝てると思ってたらしい。鍛えてるとは言え、ウサギはウサギ。空が飛べてブレスと魔法が使える自分の敵じゃないと。
そうして余裕の態度で挑んだ結果、危うく尻尾を失う惨敗だったと言うわけだ。
(ああ、そりゃお前が悪いわ)
(そうだね。もう少し君は野生の勘を磨くべきだね)
フレイムとヴェルダンテも割と厳しい意見を言う。
厳しい野生で暮らしてきた経験があるこの2匹にとって、相手の実力を正確に見抜くのは必須技能だったからだろう。
ちなみに野生で暮らした経験こそないが、そこに関しては俺も同感だ。見た目に騙されると、酷い目にあう事が多い。
(うう。分かったのね…)
今回の件でシルフィの奴も身を持って学んだのだろう。しおらしく、それを認めた。


キーンコーンカーンコーン…

隣の学校から、昼メシの時間を伝えるチャイムが聞こえてくる。
それに合わせたように(昼の時間なんてものは何処の学校も同じようなもんだからな)ガヤガヤとこの学校の生徒たちが食堂へと向かう。
(お、昼か…)
人間と違って餌の時間には縛られない俺たちは、だったらすぐさまメシと言うことにはならない。
て言うかむしろ後1時間くらい後に厨房に行けば、ここのコックたちから昼メシの余りが貰えるから、好都合なくらいだ。
(じゃあ、彼女も出てくるんじゃない?)
おっと、そう言えば今日は妹に会いに来たんだった。そう思い俺は妹を探そうとして。
「お兄様!?どうしてこちらに!?」
可愛らしい人間の声で喋り、嬉しそうに“這いずって来る”妹の姿を見かけた。

(え~っと…何これ?)
この場で唯一、妹のことを知らない耳之介が怪訝そうに妹を見る。
(ああ、彼女はどんぺりの妹だよ)
(ええっ!?)
耳之介が驚いて目を見開く。
(だって、血が繋がってるとかそういう問題じゃないでしょ!?)
そりゃ、そうだ。血は繋がってない。つうかプリンが産まれたのはこっち来てからだし。
「まあ、お兄様の新しいお友達ですか?」
そんな様子を見て、プリンは嬉しそうに触手を蠢かせながら俺に問いかける。
(え、ま~そうなんのかな?耳之介よ。よろしくね)
ついさっき知り合ったばかりだが、まあいいやとばかりに耳之介が自己紹介する。
「これはこれは…あ、申しおくれました」
その様子に、プリンは丁寧に身体をくねらせて、自己紹介を返す。
「こちらで使い魔をやっております…プリンと申します」
お辞儀なのか上の部分を下に下げた瞬間、地面に触れたそこが音を立てて溶ける。
(ふ~ん。にしてもあんまり似てない兄妹ね?)
そんな様子に半目になりながら、耳之介が問う。意外に怖いもの知らずな奴だ。
「ええ…実は私、灯お母様に“作られた”義理の兄妹でして、血は繋がっていないのです」
そりゃそうだ。“黄色い不定形生物”とフェレットが似てたら怖い。俺は苦笑して耳之介に事情を説明した。

こいつ…プリンの名前の由来は、そのものズバリでこいつが“プリン(注:作者談)”だからだ。
生まれた直後に、奇声を上げ床を溶かしながら這いずっていたこいつは、突如現れた銀色の鏡に吸い込まれて姿を消した。
後で聞いた話では召喚されて、使い魔としての契約した結果、知性を得たらしい(ちなみに契約のためにこいつに口づけをした女生徒は肉体と精神両方のダメージで3日間寝込んだそうだ)
そして1週間後、こいつに再び再会した時には既に今の『お嬢様口調で喋り、理性もある名状しがたき使い魔』となっていた。


(にしても何で突然勉強なんか始めたんだ?)
俺が知る限り、頭は悪くないが、そこまで勉強熱心な奴ってわけでも無かったはずだ。
それを不思議に思った俺がプリンに尋ねると…
「それは…その…」
もじもじと身体をオレンジ色に染めてくねらせる。ん?この反応どっかで見たような…
(もしかして…恋なのね!?)
シルフィが嬉しそうに尻尾を振る。ああ、そうか…恋か…ってえ
*1))
4匹して驚いた。そして。
「…はい。実は…一目ぼれしちゃったんです…」
(やっぱり!そうなんじゃないかと思ったのね!きゅい!)
こと恋の話題になると張り切り出すシルフィは相変わらず嬉しそうだ。
「はい…まさか私の理想の殿方とお会いできることになろうとは思いませんでしたわ」
(ま、待ってくれ。確かお前の理想って…)
一方俺は状況についていけず頭を抱える。
っていうか…
(“逞しくて人望があり、知的で出来れば魔法も使える、自分そっくりな人って言うか不定形生物”なんてものがいるのかこの世界!?)
前にプリンが言っていた、無茶苦茶な条件に対して聞き返す。
「はい…実は、近くの学校で“せんせい”をやっている方がおりまして…色まで、一緒なんですよ?」
俺の問いかけにプルプルと身を震わせて答えるプリン。
「それで、彼に相応しい女性となるには自分を磨かねばと思いたち、勉学に励んでいますの…」
その志は立派だと思うが、俺はまともに反応を返せなかった。なんて言うか、頭が痛い。

ちなみに、その日の午後、俺たちはその“せんせい”に会いに行き、本気でプリンの要求を満たす出来た人だと知ることになったのだった…

 *

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*1 ((恋!?