休日の過ごし方(探究編)
学園都市や麻帆良、蓬莱など"学生の遊び場"が充実している学園に遊びに行くもの。
学園世界に点在するダンジョンや様々な依頼をこなし"冒険"に明け暮れるもの。
居住区で、出会った異世界の同好の士たちと様々な"同好会活動"を行うもの。
学園海や学園都市で"アルバイト"に精を出すもの。
学園世界に点在するダンジョンや様々な依頼をこなし"冒険"に明け暮れるもの。
居住区で、出会った異世界の同好の士たちと様々な"同好会活動"を行うもの。
学園海や学園都市で"アルバイト"に精を出すもの。
そして、"錬金術師見習い:深澄優貴"が選んだ休日の過ごし方は…
―――ザールブルグアカデミー
ザールブルグ内に作られた、無数にある教室の1つで、彼らはそれを行っていた。
「最後に煮込んだものを壺などに入れてふたを閉め、空気を通さない状態にして冷暗所に3日間保存します。3日後、棒などで掬いあげて見て垂れ落ちなければ完成です…」
こちらで、とある忍者が書いたと言う真新しい日本語の巻物『甲賀の秘薬 学園世界編』をゆっくり、はっきりと音読していた優貴が読み終えてパタンと本を閉じる。
こちらで、とある忍者が書いたと言う真新しい日本語の巻物『甲賀の秘薬 学園世界編』をゆっくり、はっきりと音読していた優貴が読み終えてパタンと本を閉じる。
カリカリ…カリカリ…
「うん。こっちも終わったよ。ありがとう。助かった」
少し遅れて聞き取ったそれを書き終えた、いかにも優等生然した青年…この学園の生徒でも特に優秀な生徒のみが入学を許されると言うマイスタークラスであるノルディスがペンを置いて優貴に礼を言う。
彼の手元に置かれた大学ノートに書かれた文字は、優貴には読めない、異世界の文字だ。
「うん。こっちも終わったよ。ありがとう。助かった」
少し遅れて聞き取ったそれを書き終えた、いかにも優等生然した青年…この学園の生徒でも特に優秀な生徒のみが入学を許されると言うマイスタークラスであるノルディスがペンを置いて優貴に礼を言う。
彼の手元に置かれた大学ノートに書かれた文字は、優貴には読めない、異世界の文字だ。
「こっちはもう少しかかるわ…ところで、さっきのところ、空気を通さないようにして、どこに保存だったかしら?」
青年と同じく内容をノートに書き写していた少女が優貴に問い返す。この、他の3人と比べると少しだけ若く見える金髪縦ロールの少女の名は、"香水"のモンモランシー。
トリステイン魔法学院の水のラインメイジであり、様々な薬品の調合を得意としている。
そんな彼女のノートに書かれた文字も異世界の文字。だが青年が書いていた文字とは別のもの、トリステインの言葉であった。
青年と同じく内容をノートに書き写していた少女が優貴に問い返す。この、他の3人と比べると少しだけ若く見える金髪縦ロールの少女の名は、"香水"のモンモランシー。
トリステイン魔法学院の水のラインメイジであり、様々な薬品の調合を得意としている。
そんな彼女のノートに書かれた文字も異世界の文字。だが青年が書いていた文字とは別のもの、トリステインの言葉であった。
「冷暗所。暗くて涼しいところだよ」
モンモランシーの問いかけに、優貴がさらっと返す。
モンモランシーの問いかけに、優貴がさらっと返す。
「そう。ありがとう。それで3日間放置して棒で掬えるくらい固まったら出来上がり…こっちも写し終わったわ」
確認するように呟きながら、モンモランシーも写し終える。
確認するように呟きながら、モンモランシーも写し終える。
「はっはっは。お前ら遅いぞ。俺様暇すぎて寝ちまうかと思った」
そんな3人を鷹揚に見ながら、くすんだ金髪の青年…賢者の学院に所属するヒースクリフが他の2人に言う。
ヒースの手元には巻物のコピー。日本語で書かれたそれは本来彼には読めないものだが、その若さに似合わずかなりの実力を持つ"ソーサラー"であるヒースは"翻訳(トランスレイト)"の魔法が使える。
一足先に魔法を使って読解を終えていたお陰で、ヒースは2人より1時間早く写本の作成を終え、暇を持て余していた。
そんな3人を鷹揚に見ながら、くすんだ金髪の青年…賢者の学院に所属するヒースクリフが他の2人に言う。
ヒースの手元には巻物のコピー。日本語で書かれたそれは本来彼には読めないものだが、その若さに似合わずかなりの実力を持つ"ソーサラー"であるヒースは"翻訳(トランスレイト)"の魔法が使える。
一足先に魔法を使って読解を終えていたお陰で、ヒースは2人より1時間早く写本の作成を終え、暇を持て余していた。
ここ、ザールブルグアカデミーで学生の出入りを自由とする自由学園宣言が発令されてから4ヶ月が経つ。
その4ヶ月の間に、気の合う連中同士が集まって勉強会を開くことは、休日や放課後のこの学園ではよく見られる光景となった。
この代表者1人が音読した内容を自らの世界の言葉で写す"写本作成"メインの研究会もその1つである。
学園世界ではこの世界を覆う結界のお陰で、中にいる人間同士ならば、会話には全く問題が無い。
自らの発した"言葉"は瞬時に相手の世界の言葉に翻訳されて相手の耳に入る。
この"異世界"がひしめき合う学園世界が大した混乱もなく運営されているのは、それが大きな理由の1つである。
だが、文字はそうもいかない。言語体系の違う異世界の文字は、お互いにとって理解不能な記号の羅列に過ぎない。
『ごくつぅ』など極上生徒会の発行物で異世界系の学園に配布される分には自動翻訳魔法が込められた特殊インクが使われているお陰で誰でも読めるが、インクもそれなりに貴重なので個人で買うと結構高い。
おまけに彼らのような研究者に欲しがる人間が多いため、一般に出回る分は常時品薄で、魔導インクやそのインクを使ったペンは普通の物の100倍ほどするにも関わらず常に即日完売の人気商品であり、
なかなか手に入らないのである(需要が研究者か異世界人向けにも書いている漫画、小説書きくらいにしか無いため生産数が少ないと言うのもあるが)
他にも錬金術などで使われる材料は"冒険者"に護衛や採取を依頼して手に入れたり購買やバザールで購入しなくてはならないことが多く、一介の学生研究者には先立つものがあまりない。
そんなわけで、こうして地道にあるもので研究を進めるのが学園世界の研究者の一般的な姿であった。
その4ヶ月の間に、気の合う連中同士が集まって勉強会を開くことは、休日や放課後のこの学園ではよく見られる光景となった。
この代表者1人が音読した内容を自らの世界の言葉で写す"写本作成"メインの研究会もその1つである。
学園世界ではこの世界を覆う結界のお陰で、中にいる人間同士ならば、会話には全く問題が無い。
自らの発した"言葉"は瞬時に相手の世界の言葉に翻訳されて相手の耳に入る。
この"異世界"がひしめき合う学園世界が大した混乱もなく運営されているのは、それが大きな理由の1つである。
だが、文字はそうもいかない。言語体系の違う異世界の文字は、お互いにとって理解不能な記号の羅列に過ぎない。
『ごくつぅ』など極上生徒会の発行物で異世界系の学園に配布される分には自動翻訳魔法が込められた特殊インクが使われているお陰で誰でも読めるが、インクもそれなりに貴重なので個人で買うと結構高い。
おまけに彼らのような研究者に欲しがる人間が多いため、一般に出回る分は常時品薄で、魔導インクやそのインクを使ったペンは普通の物の100倍ほどするにも関わらず常に即日完売の人気商品であり、
なかなか手に入らないのである(需要が研究者か異世界人向けにも書いている漫画、小説書きくらいにしか無いため生産数が少ないと言うのもあるが)
他にも錬金術などで使われる材料は"冒険者"に護衛や採取を依頼して手に入れたり購買やバザールで購入しなくてはならないことが多く、一介の学生研究者には先立つものがあまりない。
そんなわけで、こうして地道にあるもので研究を進めるのが学園世界の研究者の一般的な姿であった。
「まったく、めんどくさいったらありゃしないわ。本が全部ハルケギニアの言葉で書かれていれば楽なのに」
写し終え、休憩モードに入った面々の中で、伸びをしてモンモランシーがそのまま愚痴を言う。
「そうだな。共通語か下位古代語で書いといてくれれば俺様も貴重な精神力を使わなくて済むんだが」
それにはヒースも同意する。ヒースの使える"古代語魔法"は便利だが、精神力を消耗するため、ぶっちゃけた話、使うと結構疲れる。
「う~ん。でも、こうして書き写すのも理解の助けになるから、いいじゃないかな?」
そんな2人をノルディスがとりなす…この学園内でも屈指の優等生であり、マイスターである彼は、同じくらい穏やかな性格で知られている。
「そりゃあそうだが、現状優貴が恵まれすぎだ」
ノルディスの言葉にちらりと優貴を見つつヒースが言う。
「え?僕?」
突然水を向けられ、きょとんとする優貴にヒースは軽く説明することにした。
「お前の世界の言葉で書かれた本が多すぎる。俺様マジでセージ技能伸ばそうか考え中なくらいだぞ?」
「そうね。特にサイトの国の言葉…日本語だっけ?あの言葉で書かれた本が多すぎるわ。ごくつぅの調べじゃあ学園世界で普通に使われてる言葉としてはダントツの1位って書いてあったわよ?
実際いくつかの学園都市の公用語も日本語だしね」
「そうだね。錬金術や魔法の技術書は少ないけど、科学の技術書は日本語と英語が特に多いね」
ヒースの言葉にモンモランシーとノルディスも頷いて同意する。
写し終え、休憩モードに入った面々の中で、伸びをしてモンモランシーがそのまま愚痴を言う。
「そうだな。共通語か下位古代語で書いといてくれれば俺様も貴重な精神力を使わなくて済むんだが」
それにはヒースも同意する。ヒースの使える"古代語魔法"は便利だが、精神力を消耗するため、ぶっちゃけた話、使うと結構疲れる。
「う~ん。でも、こうして書き写すのも理解の助けになるから、いいじゃないかな?」
そんな2人をノルディスがとりなす…この学園内でも屈指の優等生であり、マイスターである彼は、同じくらい穏やかな性格で知られている。
「そりゃあそうだが、現状優貴が恵まれすぎだ」
ノルディスの言葉にちらりと優貴を見つつヒースが言う。
「え?僕?」
突然水を向けられ、きょとんとする優貴にヒースは軽く説明することにした。
「お前の世界の言葉で書かれた本が多すぎる。俺様マジでセージ技能伸ばそうか考え中なくらいだぞ?」
「そうね。特にサイトの国の言葉…日本語だっけ?あの言葉で書かれた本が多すぎるわ。ごくつぅの調べじゃあ学園世界で普通に使われてる言葉としてはダントツの1位って書いてあったわよ?
実際いくつかの学園都市の公用語も日本語だしね」
「そうだね。錬金術や魔法の技術書は少ないけど、科学の技術書は日本語と英語が特に多いね」
ヒースの言葉にモンモランシーとノルディスも頷いて同意する。
「う~ん。言葉かあ。そう言えばあんまり気にしてなかったけど、確かに言葉も含めて錬金術の勉強する環境は恵まれてるなあ」
優貴が冷静に自分を顧みながら、ヒースの言葉に同意する。
元々が"賢者の石の器"の使命を持った家系の出である分プラーナの強さ…ウィザードとしての才能には恵まれていたこと。
深澄家で嫌々ながら受けたウィザードの訓練の中に"賢者の石の制御法"として錬金術の知識習得が含まれていたこと。
彼の師匠がファー・ジ・アース最高の錬金術師であること。
そしてこの学園世界で今の研究仲間に出会い、異世界の知識を身につけたられたこと。
確かにファー・ジ・アースの錬金術師としては破格の環境だ。これで実力がつかなかったら嘘と言ってもいい。
実際、まだ研究をはじめて1年経っていないにも関わらず、優貴の錬金術師としての腕は既にそろそろ自分専用の箒を作れるくらいにはなっている。
優貴が冷静に自分を顧みながら、ヒースの言葉に同意する。
元々が"賢者の石の器"の使命を持った家系の出である分プラーナの強さ…ウィザードとしての才能には恵まれていたこと。
深澄家で嫌々ながら受けたウィザードの訓練の中に"賢者の石の制御法"として錬金術の知識習得が含まれていたこと。
彼の師匠がファー・ジ・アース最高の錬金術師であること。
そしてこの学園世界で今の研究仲間に出会い、異世界の知識を身につけたられたこと。
確かにファー・ジ・アースの錬金術師としては破格の環境だ。これで実力がつかなかったら嘘と言ってもいい。
実際、まだ研究をはじめて1年経っていないにも関わらず、優貴の錬金術師としての腕は既にそろそろ自分専用の箒を作れるくらいにはなっている。
「そう言えば、何で優貴って錬金術の研究をしているの?」
納得し、うんうん頷いている優貴を見て、モンモランシーがふと優貴に尋ねる。
彼女の知る限り、優貴のような科学の発達した世界では錬金術や魔法は"オカルト"と呼ばれ、本格的な研究している人間はほとんどいない。
はっきり言ってマニアックな技術体系なのだ。それは科学と魔法が混在したファー・ジ・アースでも同様で、ウィザードの中でも錬金術師と言うのは珍しい存在だ。
だからこそ、優貴がそんな技術を学んでいるのかを疑問に思ったのだ。
「何で僕が錬金術やってるかって?う~ん…」
優貴はしばし考える。目の前の彼らに、それを教えてもいいものか、と。
光明と一緒にいたかったからと言う理由もあるが、別にそれだけなら魔術師でも陰陽師でも何でも良かった。
何故よりによって錬金術師になろうと思ったのかと言う理由はちゃんと別にある。
だが、それを明かして彼らは怖がったりしないだろうか…と。
「…そうだなあ。ちゃんと教えておいた方が何かと便利かもしれないなあ」
しばし考え、優貴は結論を出す。大丈夫。彼らなら受け入れてくれる。そう判断し、優貴は明かすことにした、自らの秘密を。
「僕が錬金術師になったのは、“この身体”を元に戻すためだよ」
「身体?もしかして病気か何かなのか?」
「ああ、見てもらった方が早いかな」
ヒースの問いかけに答えながら優貴はずっとつけっぱなしにしていた手袋を外す。
その下にあるものは…
「…あなた、水の精霊だったの?」
モンモランシーが昔から知っているラグドリアン湖の水の精霊を思い出し、嫌悪ではなく、純粋な驚きから優貴に聞き返す。
貴の手袋の下から現れたもの。
それは透明なゲル状になった水の塊だった。ちゃんと形を取ってはいるが明らかに人間の体からはかけ離れたものだ。
だが、それをモンモランシーは恐れない。彼女の家系には“水”と親和性の高いものが多いせいか、水の精霊との交渉も古くから行っている。
それと同類だと言うならば、付き合い方さえ間違えなければ、恐れる必要が無いことも彼女は知っていた。
「はっはっは。面白い身体だなあ。って言うかそれ、精霊の涙代わりに使えんじゃね?」
センスオーラを使ってみて精霊の精霊と水の精霊が完全に混じり合ったものであることを確認したヒースが自分なりに結論を出し、笑って言う。
優貴が魔法生物なのか精霊なのかは知らないが、別段それは気にしない。
古代王国人は似たようなもんを作ってたらしいし、自分たちと一緒にいられるだけの知性と常識があるならそれが何であるかなんて気にすることでもない。
冒険者生活が長く、様々な経験を積んだヒースはこの手の“イロモノ”にある種の耐性を持っていた。
「う~ん。驚いたなあ。優貴の世界では生命の研究も進んでいると聞いていたけど…」
ノルディスが興味深げに観察する。生命の研究はザールブルグではマイスターでも軽々しく行えない禁忌だが、輝明学園には実際に普通の学生同様に暮らす“人造人間”がいると聞いているし、
優貴のような現代系の世界では“生命の根源”の研究も盛んに行われていると聞く。
錬金術師の純粋な好奇心は、執行部に入ったエリーにだって負けていない。研究者として、気になるものではあるが、今までの付き合いから恐れるようなものではないことは分かっている。
「…うん。君たちなら受け入れてくれると思ってた」
この身体の出自を知らない分、ロンギヌスなんかよりよっぽど友好的な3人の態度に、少しだけほっとしながら優貴は言う。
納得し、うんうん頷いている優貴を見て、モンモランシーがふと優貴に尋ねる。
彼女の知る限り、優貴のような科学の発達した世界では錬金術や魔法は"オカルト"と呼ばれ、本格的な研究している人間はほとんどいない。
はっきり言ってマニアックな技術体系なのだ。それは科学と魔法が混在したファー・ジ・アースでも同様で、ウィザードの中でも錬金術師と言うのは珍しい存在だ。
だからこそ、優貴がそんな技術を学んでいるのかを疑問に思ったのだ。
「何で僕が錬金術やってるかって?う~ん…」
優貴はしばし考える。目の前の彼らに、それを教えてもいいものか、と。
光明と一緒にいたかったからと言う理由もあるが、別にそれだけなら魔術師でも陰陽師でも何でも良かった。
何故よりによって錬金術師になろうと思ったのかと言う理由はちゃんと別にある。
だが、それを明かして彼らは怖がったりしないだろうか…と。
「…そうだなあ。ちゃんと教えておいた方が何かと便利かもしれないなあ」
しばし考え、優貴は結論を出す。大丈夫。彼らなら受け入れてくれる。そう判断し、優貴は明かすことにした、自らの秘密を。
「僕が錬金術師になったのは、“この身体”を元に戻すためだよ」
「身体?もしかして病気か何かなのか?」
「ああ、見てもらった方が早いかな」
ヒースの問いかけに答えながら優貴はずっとつけっぱなしにしていた手袋を外す。
その下にあるものは…
「…あなた、水の精霊だったの?」
モンモランシーが昔から知っているラグドリアン湖の水の精霊を思い出し、嫌悪ではなく、純粋な驚きから優貴に聞き返す。
貴の手袋の下から現れたもの。
それは透明なゲル状になった水の塊だった。ちゃんと形を取ってはいるが明らかに人間の体からはかけ離れたものだ。
だが、それをモンモランシーは恐れない。彼女の家系には“水”と親和性の高いものが多いせいか、水の精霊との交渉も古くから行っている。
それと同類だと言うならば、付き合い方さえ間違えなければ、恐れる必要が無いことも彼女は知っていた。
「はっはっは。面白い身体だなあ。って言うかそれ、精霊の涙代わりに使えんじゃね?」
センスオーラを使ってみて精霊の精霊と水の精霊が完全に混じり合ったものであることを確認したヒースが自分なりに結論を出し、笑って言う。
優貴が魔法生物なのか精霊なのかは知らないが、別段それは気にしない。
古代王国人は似たようなもんを作ってたらしいし、自分たちと一緒にいられるだけの知性と常識があるならそれが何であるかなんて気にすることでもない。
冒険者生活が長く、様々な経験を積んだヒースはこの手の“イロモノ”にある種の耐性を持っていた。
「う~ん。驚いたなあ。優貴の世界では生命の研究も進んでいると聞いていたけど…」
ノルディスが興味深げに観察する。生命の研究はザールブルグではマイスターでも軽々しく行えない禁忌だが、輝明学園には実際に普通の学生同様に暮らす“人造人間”がいると聞いているし、
優貴のような現代系の世界では“生命の根源”の研究も盛んに行われていると聞く。
錬金術師の純粋な好奇心は、執行部に入ったエリーにだって負けていない。研究者として、気になるものではあるが、今までの付き合いから恐れるようなものではないことは分かっている。
「…うん。君たちなら受け入れてくれると思ってた」
この身体の出自を知らない分、ロンギヌスなんかよりよっぽど友好的な3人の態度に、少しだけほっとしながら優貴は言う。
生命ある水…元“冥魔”で構成されたこの身体を治し、人間として光明と共に同じ道を歩むこと。
それが錬金術師としての優貴の目標である。
結局ダンカルド…ファー・ジ・アースでは治せなかったし、ヴィヴィにも治し方は分からないと言う。
だが、それで諦めてしまう気にはなれなかった。
あの時、自分を助けるために光明が見せた“諦めない”強さ…光明にあそこまでして救われた自分が簡単に諦めるなんて、格好悪すぎるから。
それが錬金術師としての優貴の目標である。
結局ダンカルド…ファー・ジ・アースでは治せなかったし、ヴィヴィにも治し方は分からないと言う。
だが、それで諦めてしまう気にはなれなかった。
あの時、自分を助けるために光明が見せた“諦めない”強さ…光明にあそこまでして救われた自分が簡単に諦めるなんて、格好悪すぎるから。
「僕はさ、感謝してるんだ。この世界に来れたこと、君たちに出会えたこと」
このありとあらゆる世界の技術が集う学園世界。
この世界に来たからこそ治すことが出来たと言う“不治の病”を患っていた者たちがいる。
自分の知らない“治し方”を知っている人たちがいる。
理由は様々だが同じように目標をもって“研究”を進める“仲間”がいる。
この世界には、そんな希望がある。ファー・ジ・アースにいただけでは分からない、沢山の知識。
それに触れ、応用することで生まれた“学園世界ならではの技術”は数知れない。
その中にはきっと“優貴の身体を治療する”技もあるに違いない。
このありとあらゆる世界の技術が集う学園世界。
この世界に来たからこそ治すことが出来たと言う“不治の病”を患っていた者たちがいる。
自分の知らない“治し方”を知っている人たちがいる。
理由は様々だが同じように目標をもって“研究”を進める“仲間”がいる。
この世界には、そんな希望がある。ファー・ジ・アースにいただけでは分からない、沢山の知識。
それに触れ、応用することで生まれた“学園世界ならではの技術”は数知れない。
その中にはきっと“優貴の身体を治療する”技もあるに違いない。
「だから…これからも、よろしく」
そう言ってすっと手袋をつけない手を差し出す。その手を。
「ああ、こちらこそ。あ、そうだ。マルローネ先生にも聞いてみようか?最近マルローネ先生は色んな病気の治療薬の研究しているらしいし」
いつものにこやかな笑顔でノルディスが。
「ええ。よろしく。あ、そうだ。その身体ちょっとだけ分けてくれない?本当に精霊の涙として使えるなら、その対価に水の秘薬作ってあげてもいいわよ?」
澄ました顔でモンモランシーが。
「ああ。お前の体の研究したら色々面白そうだな。っとそう言えば“ろんぎぬす”のマスターが似たような身体だって聞いたぞ?何か知ってるかも知れんから行ってみないか?…もちろんお前の奢りでな」
ちゃっかりしたところを見せながらヒースクリフが。
そう言ってすっと手袋をつけない手を差し出す。その手を。
「ああ、こちらこそ。あ、そうだ。マルローネ先生にも聞いてみようか?最近マルローネ先生は色んな病気の治療薬の研究しているらしいし」
いつものにこやかな笑顔でノルディスが。
「ええ。よろしく。あ、そうだ。その身体ちょっとだけ分けてくれない?本当に精霊の涙として使えるなら、その対価に水の秘薬作ってあげてもいいわよ?」
澄ました顔でモンモランシーが。
「ああ。お前の体の研究したら色々面白そうだな。っとそう言えば“ろんぎぬす”のマスターが似たような身体だって聞いたぞ?何か知ってるかも知れんから行ってみないか?…もちろんお前の奢りでな」
ちゃっかりしたところを見せながらヒースクリフが。
それぞれに手を取った。