ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第02話

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紅き月と滅びの花

SCENE 02


「なんだってんだ、この異常なまでの増殖速度は……っ! 状況はどうなってる!?」
「研究班、急いで“赤い花”の分析を! 毒性の解明と対策方法を割り出すであります!!」

生徒会執行部々室。
普段なら実にのんびりとした時間が流れるであろう土曜の夜、打って変わりそこは修羅場と化していた。
週に1~2度しか顔を出さないようなメンバーも含め、大半の面子が揃っている。
その上、もう一つの執行委員 ―― いわゆる選抜委員とか自警団員と呼ばれる者たち ―― の姿もチラホラ見て取れた。

学園世界滅亡の危機……とまでは行かないが、放っておけば何が起こるか分からない、そんな危険因子が発見されたのだ。
一見普通の、それでいてどこか禍々しさを感じさせる赤い花。

「わたくしの方でも調べてみるでありますよ」

両手で抱えるほど大きな水晶球を覗き込みながら、ノーチェは言う。
彼女の家に先祖代々伝えられてきたというその水晶球は、魔力強化から情報収集、ボウリングまでこなす万能アイテムらしい。

かたかたかた。かちっ、かちっ。
硬く滑らかなその表面を、彼女は慣れた風に指先で軽く叩いていく。

ウェブ [検索ツールを表示]
~に一致する情報は見つかりませんでした。
検索のヒント:…

o_O ロンギヌス・コイズミ:
@ノーチェ 残念ながらまだ見つかっておりません。何か分かり次第POSTいたします。
1分前 Webで

映し出されたメッセージを確認し、ひとつ溜め息をつく。
簡単に答えが見つかるわけないだろうとは思っていても、この結果にはやはり残念だ。

「少なくとも、地球に存在する花では無いようでありますな」

もしかすると、そこまで深刻ではないかもしれない。
しかし、まだ何も分かっていないということが、より一層のパニックの原因になっているのは間違いなかった。

一刻も早く解析を進めなければならないところだが、“赤い花”はそんな彼女らを待ってくれるはずもない。
今も驚異的なスピードでその勢力を増している。
のんびりと対策を練っていたのでは、最悪の状況を招きかねないのである。

一部の執行委員からは、焼き払ってしまえばいいという意見もあったが、それは少し冒険すぎる。
繁殖能力の他にもう1つ、“赤い花”には危険な能力があるのだ。
その花粉が、人間の生命力(プラーナ)を微量ながら奪い取る性質を持つということ。
行き当たりばったりの対応では、それこそ全滅の可能性すらある。

先ごろ保健室に運ばれた少女――グレーテルが端的な例だろう。
パトロール中の自警団員が発見したとき、彼女は真っ赤に染まった花畑で意識を失い倒れていたという。
治療に当たった保健委員いわく、プラーナの状態から考えて「命に別状は無い」とのことだが、だからと言ってすぐに日常生活へと復帰できるような状態でも無いのだ。


 * * *


執行委員+αは、何か良いアイディアが無いかと頭を捻る。

「これがただの毒ガスとかなら、月衣でなんとかなるんだが…」と、柊蓮司。
「魔力を持つことは間違いないでありますよ」と、相槌を打つノーチェ。
「同じ赤い花でも、あの馬鹿兄貴の方がよっぽどマシだぜ。なら俺の“領域”の力で…」と、上月司。
「俺が絶対にこの世界とみんなを守ってやる! 正義のヒーローだからな!」と、橘輪之助。

しかし、こうして顔を突き合わせて相談していると、意外に何とかなるらしい。
3人寄れば文殊の知恵とはよく言ったものである。(註:リンカイザーは頭数に含めない)

「なあ、ふと思ったんだけどよ」
「なんでありますか」
「少なくとも地球には存在しない花ってことはだ、どこかの異界から学園世界に持ち込まれたってことだよな?」
「そりゃそうだ」

柊の思いつきに、ノーチェと司が乗ってくる。(註:リンカイザーは状況を把握していない)
学生時代は勉強などサッパリだった彼だが、こういう時の直感は結構信頼できるのだ。

「ということは、また新たな学園がこの世界に召喚されたってことじゃないか?」
「……そうか!」
「……そうでありますな!」

全てを説明する前に、ノーチェと司の2人が同時に声を上げる。(註:リンカイザーは以下略)
“赤い花”の出現と同時に新しく学園が現れたとすれば、何らかの情報を持っている可能性が高い。
そうと決まれば次の行動は迅速だ。

「大至急、学園の存在を確認してくださいであります!」

ノーチェが大声で指示を出した。


 * * *


その日、この世界に新しい学術都市が加わった。
名前は――。


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