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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第02話

最終更新:

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集

ミドルシーン1

 熱帯のじりじりした熱気が、向かい合う二人の戦士の四肢にまとわりつく。
 にらみ合っていたのはそう長い時間ではない。
「いきなり蹴りかましてくるたぁご挨拶じゃねえか」
 先に動いたのは柊だった。あえて挑発的な物言いで反応を探る。
「はっ、よく言うぜ侵入者さんよっ」
(侵入者?)
 その言葉に感じた違和感を口に出すいとまもなく、
 ヒュッ
「うぉっ」
 鋭い裏拳が柊の鼻先をかすめる。警告の類ではない。戦士としての感が警告を発していなかったら、まともに喰らっていたはずだ。
「問答無用かよっ」
 つづく膝蹴りを掌でガードしながら、抗議の声を上げる。
「ここまで忍び込んでおいて、よく言えたもんだぜ」
 それでも青年の、流れるような連撃は止まらない。ガードされた膝を強引に振りぬいて、軸足そのままに鋭い後ろ回し蹴りを放つ。
 これをかろうじて上体をそらして避けた柊は、蹴りの勢いを利用して迫り来る拳に眼を見開いた。
 ガスッ
 スェーの体勢で上体が泳いでしまっている柊に出来ることは少ない。さらに上体をさらせて、拳の軌道から自分の身を遠ざけるのが精一杯だ。それでも完全には回避しきれず、胸板に衝撃が来た。
 月衣のおかげで痛みはない。だが衝撃まで殺しきれるわけでもなく、柊は無様に転がることとなった。
「ならっ」
 あえて転がる勢いを加速させ、そのまま青年から距離を取る。
 立ち上がった柊の瞳が捉えたのは、油断なく構える青年の姿。あれだけの攻撃を仕掛けて尚、青年の態度には余裕が感じられた。
 強い。
 柊とて魔剣使いとして数々の経験を積んできた古強者である。その職業としての特性上、白兵戦の経験は豊富だ。
 その経験が告げている。目の前の青年が強敵だと。
(どうする……一体?)
 構えつつ、自問する。
 青年の言動からは、くれはの召喚に関わっていないであろうことがうかがえる。自分たちが呼び出した相手を、侵入者よばわりするものはいまい。
 であれば、無駄な戦いなどしている場合ではないのだが……
「おらぁっ、どこみてやがるっ」
「くぅっ」
 せっかく開けた間合いを、一瞬にして埋めた青年の拳をなんとか受け止める。まるで鉄塊で殴りつけられたかのような衝撃が、受け止めた掌から伝わってきた。
「ちぃっ、しかたねぇ」
 このままではらちがあかない。
 青年の拳を受け止めたまま、その力を逆用して自らのほうに引き寄せる。そのまま間接を極めて無力化してから事情を話す――その試みはしかし、予想外の腕力で振り払われることで潰えることとなった。
 青年の腕をひねり上げたと思った瞬間、凄まじい勢いで柊の視界が流れる。
(投げられた!?)
 一瞬で平衡感覚を取り戻した彼は、危なげなく着地しながら戦慄していた。ほとんど決まりかけていた関節技から、腕力だけで脱出する。柊が格闘の専門家ではないことを差し引いたとしても、それは尋常なことではなかった。
 彼我の腕力差が相当なものでないかぎり、そんな芸当は不可能である。そして柊の腕力は、巨大な両手剣を軽々と振り回せる域に達しているのだ。
「ばけもんかよ」
 当然過ぎる感想である。
 再び距離を取って向かい合う両者。
 柊は背後でくれはの緊張が高まっていく気配を感じた。いざと言うときは援護に入ろうとでもいうのだろう。
 相手の次の挙動に、柊は全神経を集中させる。
 青年もまた、一連の攻撃を防ぎ続ける柊を強敵と認めたか、全身に緊張感をまとわせて、改めて対峙する。
 集中と緊張とがあたりを支配し、一秒が一分にも一時間にも感じられる濃密な空気が流れる。
 間違いなく、次の激突はこれまで以上のものになる。そんな予感が、その場にいる三人の胸をよぎった。
 青年が力を溜めるように、弓を引き絞るように、ゆっくりと重心を落としていく。
 それに対応するように、柊はゆっくりとガードを上げる。月衣の防御能力ならば、攻撃を受けてからの対応は可能。そう判断しての対応だ。
 そしてくれははいざと言うときに、符を取り出せるよう、月衣に意識を集中させ、
「何をやっているんですか、茂さんっ」
 そんな緊張した空気を破ったのは、少女の驚いたような声であった。
「何やってるってっっ?」
 声をかけられた青年は、絶句した。彼女の出現がよほど予想外だったのだろう、傍から見ても狼狽しているのがわかる。
 だがそれは、柊も、そしてくれはも同様だった。
 先ほどまでの緊張は霧散し、半ば呆然と少女の顔を見つめる。
 知らない顔ではない。いや、むしろよく知っている顔だった。だからこそ、よりいっそう困惑する。
 彼女がここにいる理由の見当がつかない。
 ショートの快活そうな少女の顔を、柊とくれはが忘れるはずもなく、
「「ポーリィ、何でここに?」」
 二人の言葉は期せずしてハモった。

マスターシーン アンゼロット宮殿

「ロンギヌスを派遣します」
 凛とした声音が、アンゼロット宮殿内の謁見の間に響いた。
「柊さんの失踪だけならばともかく、彼の魔王が復活したとなれば見過ごせるものではありません。
 何が起きようとしているにしろ、その陰謀は必ずやこの世界に害をなすでしょう」
 そこで言葉を切ると可憐な世界の守護者は、配下のロンギヌスメンバー達に視線をめぐらす。それを受けて彼らは緊張をあらたにした。
 世界の命運が己の双肩にかかっている。一人一人がそんな使命感に満ちた面持ちで、アンゼロットの次の言葉を待つ。
「座してそれを待つわけには行きません。
 こちらもロンギヌスを派遣し、魔王の先手をうちます。
 まずは二人が引き込まれた先の世界を特定し……」
 世界の守護者はその幼げな容姿からは信じられないほどの威厳をまとわせ、次々と的確に指示を出していく。配下のロンギヌス達は、敬愛すべき少女の意をうけるとそれを現実のものとすべく行動を開始する。


 忠臣達に一通り指示を出し終えた守護者は、誰にも聞こえないくらいの声でそっと呟いた。
「まさか、彼の魔王と対峙することとなるとは……無事でいてくださいよ、柊さん。あなたと、あなたの魔剣にはまだ役目があるのですから……」

ミドルシーン2

「はわー、そんなにポーリィさんって方は私とそっくりなんですか」
「うんうん。すごいそっくりだよー。
 ほんと、一度あわせてあげたい」
 言いながらくれはは何度目になるのだろうか、目の前の少女をまじまじと見つめた。
 確かによく見れば、彼女がポーリィとは別人であることは明白であった。
 やんちゃで、物怖じしないポーリィと違い、少女は育ちのよさをうかがわせる落ち着いた雰囲気をまとっている。とはいうものの、実は生き別れの双子ですと言われたらすんなり信じてしまいそうなほどに、その容姿は酷似していた。
 実際、柊もくれはも彼女がポーリィではなく、フォウレイと言う名を名乗った時は何の冗談かと大いに困惑した。
 もっともそれがきっかけでくれはと彼女との間に話が弾み、庭園の持ち主である-正確には彼女の父親の所有物であるが-彼女の自宅に招かれたのは幸運であった。
(いや、邸宅って言うレベルだな、これは)
 フォウレイの自宅は、南国式の通気性に考慮が行き届いた豪奢な建築物であった。さすがにアンゼロット宮殿などとは比ぶるべくもないが、個人所有だとしたら相当なレベルである。
 とりあえず右も左もわからない状況で、こんな建物の住人と親しくなれたのは幸運といって良いだろう。
(もっとも、友好的じゃないのが一人いるけどな)
 視線の先には、先ほど庭園で襲い掛かってきた青年がいた。
 油断なく、こちらを睨みつけている彼は城茂と言う名の日本人で、フォウレイの父親に雇われて彼女の護衛をしているのだと、ここに来るまでの会話でそう教えられていた。
(まあ、護衛ってんなら俺達に警戒するのも無理はないか)
 柊達自身は旅行者で、庭園には誤って入り込んでしまったという説明をしていた。
 とっさにでっちあげた言い訳で、当然のごとく茂はうさんくさげに眉をひそめたが、フォウレイはすんなりとそれを信じ、護衛である茂の無礼を詫びたりもした。
 このあたりのおひとよしな言動は、彼女が悪意とは縁遠い環境で育ったからなのであるが、そうと知らない柊にとっては実に肩の力の抜ける展開だった。

 そして。


「いやあ、フォウレイちゃんって本当にいい子だねぇ」
「確かにな」
 案内された客用寝室で二人っきりになった途端、くれははしみじみとそう言った。柊も苦笑交じりに幼馴染に同意する。
 結局、不思議と話が弾んだくれはとフォウレイはすっかり意気投合してしまい、時間が遅いことと、あてのない旅行者であるという二人の偽りの事情を考慮して、泊まっていく事を勧めたのだ。
 あまりにもありがたい申し出に、二人は甘える事にした。なぜくれはが召喚されたのか、そしてここは一体どこなのか。事態を把握するまでに仮でも良いから拠点が欲しかった、という理由もある。
「っても、なんか色々と聞いていると、平行世界っぽいけどな。日本とか台湾とかあるし」
「そだねー、晩ご飯も普通の中華料理っぽかったし……はわっ」
「どうした?くれはっ」
「どうしよう柊、ダブルベッドだよ」
 見ればたしかにダブルサイズのベッドが寝室でその存在を主張していた。ご丁寧な事に、枕が二つ仲良く並べられている。
「うわ、なんか盛大に勘違いされているな」
 家族でもない男女が二人っきりで旅行しているとなれば、そういう関係だと思われるのも無理はないだろう。そもそも、二人まとめて一部屋に案内された時点でそう気付くべきだったのだ。
「じゃあ俺はそっちのソファで寝るとすっか」
 当面の問題を、柊は単純な解決方法ですぱっと切り捨てた。
「うおっ、このソファ、ふわふわだな。
 俺のベッドよりもよっぽど寝心地がいいぞ」
 実に幸せそうな表情でソファに沈みこむ柊。が、弛緩していたのは一瞬で、
「んで、これからのことだがっとその前に……」
 何かものいいたげなくれはの背後、庭に面した大きな窓に鋭い視線を向けた。その視線の先、窓の外すぐのテラスに人影がある。
「邪魔するぜ」
 人影は無遠慮に窓を開けると、寝室へと足を踏み入れてきた。
「昼間は上手くはぐらかされたが、今度はそうはいかねえぞ」
 言いながら刺す様な視線を柊にたたきつけたのはフォウレイの護衛、城茂であった。
「小僧、お前達は何者で、何のために来た」
(……さてどうすっかな)
 困った状況である。相手が旅行者という言い訳を信じていないのは明らかだった。だからといって、正直に事情を話したとして、信じてもらえるかは怪しい。
 難しい状況に戸惑っていると、それを怪しんだのか茂はいっそう険しい表情を向けてくる。
「言えねえってか?
 いっとくが、ここの防犯装置をかいくぐって庭園の奥まで入り込んだお前達を"ただの旅行者"って思うほど俺は甘くねえぞ」
「くっ」
「はわっ」
 三人の間に緊張が走る。
 たが昼に続きその対立に、思わぬ邪魔が入った。
 さらに言い募ろうとする青年の背後から、緋色の光が射し込む。
「なっ」
 そこに昇るは紅き月。
 それは人ならざるもの。
 異形の化け物たちの進軍の合図。
「なんだぁ?」
 知識によらず、戦士としての感覚が城茂に異常を告げる。
 そして、柊とくれはは、
「紅い月、エミュレイター?」
「こんな時にかよっ」
 その意味を正しく把握し、身構える。
 だが二人の予想に反して、近くにエミュレイターの気配はない。となると。
「まさか狙いはフォウレイか!」
「柊、急ごうっ」
「おうっ」
 慌てて寝室を飛び出し、フォウレイの元へと走り出す。
「おいっ、小僧。こいつはいったい……」
 追いかけてくる茂に答えている暇はなかった。
 すぐ近くの扉の向こうで、フォウレイの悲鳴が聞こえる。柊は躊躇なく扉を蹴り開けて、室内へと駆け込んだ。
「フォウレイ、無事かっ!」
「ああっ、柊さん」
 素早く室内を見渡して、柊は危ういところに間に合ったのを知った。
 部屋の庭園に面したテラスからエミュレイター達が侵入を試みている。が、まだフォウレイとの間には距離があった。
「させるかよ」
 相手がエミュレイターとあっては躊躇はいらない。ためらいなく月衣から魔剣を引き抜くと、先頭の一体を切り伏せた。
「グォォォォォォ」
 無念の声を上げて消滅するエミュレイター。
 だが柊は安堵している間もなかった。エミュレイター達はあとからあとから室内に入り込もうとしている。そいつらを牽制しながら柊は叫んだ。
「シゲル、あんた護衛だろ。
 フォウレイを安全なところに逃がしてやってくれ」
「そう、ここはあたしたちに任せて」
 そんなやり取りの間にも、柊の魔剣は一体、また一体とエミュレイターを切り伏せていく。それほど強力な相手ではない。
 雑魚に毛が生えた程度の、低級なエミュレイターである。彼やくれはにしてみれば、この程度の相手がどれほど集まろうと、まず遅れをとることなどありえない。
 とはいえ、それは熟練の二人だから言えることであり、一般人にとっては充分以上に脅威と呼べる存在である。
 一体たりとも後ろに行かせるわけにはいかない……が、数にまかせて力押しされたら、その全てを防ぎきる自信はさすがにない。
 せめてもう少し狭隘なところまで後退するか、前線を支える人間があと一人は欲しい。
 後者は望むべくもない。前者は柊はいまだこのあたりの地形を把握しきっていない。もっとも、月匣が展開されているため、現実の地形の知識がどこまで通用するかは疑わしいところだが。
「うぉりゃぁっ」
 そう戦況をとらえながら切り結ぶ柊の耳に、茂の雄叫びが飛び込んできた。
 フォウレイの護衛の青年は、柊と肩を並べると、今まさに襲いかかろうとしていたエミュレイターを殴り倒す。いきなりの出来事に、柊は慌てた。
「アンタは下がっててくれ。
 こいつらは常識が通用する相手じゃねぇ……」
 そこまで言って、魔剣使いは絶句した。今、この男はエミュレイターを殴り倒していなかったか?
「常識が通用しない、ねぇ」
 一方の茂はなんでもないような顔をしている。
「俺も同じよんなもんさ」
「その手……
 いつの間にだろうか。茂の両手を覆っていたグローブは脱ぎ捨てられていた。
 その下から現れたのは、金属の輝き。
 それは通常の人間ではありえない異形であった。人間の手と言うよりも、コイルがたまたま人間の手の形に見える。
 印象としてはそちらのほうが近い。
 彼は不敵な笑みを浮かべると、驚きを隠せない柊をよそに、大きく両手を振り回した。
「変身!」
 コイル状の両手が、激しく打ち合わされ火花を散らした。
「ストロンガーーーー!!!」
「うおっ」
 発光。
 そして口の中に広がる独特の苦味。
 落雷時、独特の空気が周囲に広がる。それは凄まじい電力が発生したことを物語っていた。
「天が呼ぶ」
 その中心部。
 異形の戦士が一人現れていた。
 昆虫と人が融合したかのような奇妙なデザイン。特に目を引くのは、頭部の巨大な角と、複眼。
「地が呼ぶ」
「きぇぇぇぇぇっっっ」
 奇声を上げ襲いかかるエミュレイターに、戦士の拳がめり込んだ。
「ギャオッ」
 悲鳴をあげる間もあらばこそ、凄まじい電力が化け物を瞬時に黒コゲに変えていた。
「人が呼ぶ」
 そのような光景を見せ付けられ、エミュレイター達はひるんだかのように動きを止めた。
 ざっと戦士が一歩踏み出すと、それに気圧されたかのように後退する。
 雷神の如き風格をもって、戦士は高々と宣言した。
「聞けい、悪党ども。
 俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!!」
 それは原始的な、だからこそ効果の高い心理的圧力。
 圧倒的な力と自信に満ち溢れた口上と名乗りは、敵に恐怖を、味方に安堵を与える。
 この場にいた誰もが、戦士の、ストロンガーの気合に呑まれていた。そう言っても過言ではないだろう。
「悪かったな、小僧。いや柊だったか。
 少しばかり勘違いしていたようだ」
 悠然とそう語りかけてくるストロンガーに、柊はただサムズアップだけで応えた。
「ふっ」
「へっ」
 二人の戦士が踏み出す。その気迫に、貫禄にエミュレイター達は完全に戦意をくじかれていた。
(こいつは負ける気がしねえな)
 柊のその予感は、少しの時間を置いて現実のものとなった。



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