サタン(Satan)
「中傷するもの」「訴えるもの」「敵対するもの」の意。
聖書に登場する
悪魔。
旧約聖書では普通名詞として
扱われていたが、
新約聖書では悪魔の頭目を指す固有名詞と
され、
創世記で
アダムを誘惑した蛇と同一視された。
ヨブ記?では他の
天使たち(神の子ら)とともに
ヤハウェと
同席し、その場で
ヨブの信仰を試すようそそのかしたりしているが、
新約聖書では神とは相容れることのない、「神の敵」としての顔が強く打ち出されている。
クルアーンでもアラビア語形のシャイターンが登場するが
悪魔やジンの一種としての扱いである。だが、定冠詞をつけ
「アル=シャイターン」とすると、これも悪魔の頭目
イブリースを指す言葉になる。
まさに悪魔の代表格と言える存在であり近年の新宗教でも
世界観に取り入れていることが多い。
他宗教をサタンの仕業とするむきがあるが、それは現代でも同じ。
陰謀論の界隈では、フリーメーソンやらイルミナティやらローマ・カトリック
やらユダヤやらニューエイジやらの背後で暗躍している。1980年代には
悪魔的儀式虐待、サタン系儀式虐待(Satanic ritual abuse、SRA)なるものが
語られた。サタンを拝む教団が児童を誘拐し、
オカルト的虐待を
行ったというものである。しかしFBIをもってしてもそのような
教団の存在を見出すことはできなかった。モラル・パニックや
退行催眠等による記憶の捏造によるものと見られている。
が、FBIもまたサタンに加担したのだという新たな陰謀論を生んでいる。
SRAが記された日本語文献として『ジェニーのなかの400人』(ジュディス・スペンサー著、早川書房)、『悪魔を思い出す よみがえる性的虐待の「記憶」』(ローレンス・ライト、柏書房)がある。
参考文献
新共同訳聖書 日本聖書協会
懐疑論者の事典 ロバート・ T・キャロル著 楽工社
最終更新:2009年07月26日 21:03