処女懐胎(Virgin birth)

処女懐胎とは、女性が男性との性交によらず妊娠する、という神話・伝説にみられるモチーフである。
人間の母から生まれる半神?は、人間ではないが男神との性交で生まれるという点で異なる。

最も有名なのがイエス受胎のエピソードである。
主にキリスト教批判の側から、イエスの誕生が異教のモチーフを元に作られた神話である、という主張もある。
マリアが処女懐胎しイエスが生まれた、という話は文献上では『マタイによる福音書』が最初であるが、
福音書より先に成立したパウロ?書簡では処女懐胎は取り上げられていない。
このあたりの事情も異教由来か、という懐疑論を誘うのだろう。
キリスト教系新宗教でも統一協会は処女懐胎を否定し、イエスの父親は祭司ザカリアとする。
この場合洗礼者ヨハネ?とは異母兄弟ということになる。

プラトン?にも性交によらない懐胎の伝説があり、ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』に収録されている。
アリストンがペリクティオネと強引にでも性交にしたいという気持ちを抑えていたところ、夢にアポロンが現れ、彼女が子供を生むまで
彼女の身が清らかであるよう保つ、と言った、という。処女懐胎として紹介されることもあるエピソードであるが、
プラトンにはアデイマントスとグラウコンという兄がいるため、少なくとも「処女」懐胎ではない。
スエトニウス『ローマ皇帝伝』に記されたローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの出生譚は
アポロン神殿でまどろんでいた母アイティアに、不意に現れた大蛇が入ってきて妊娠した。
その子はアポロンの子と見なされた」というもの。エロティックではあるが、
神自らが性交するのではなく、媒体とする他のものを介して妊娠させた、という意味では処女懐胎に通ずる特徴を持つ。

男性との性交はしないが、何らかの形で精子を体内に取り入れた末、妊娠するというものもある。
ゾロアスター教サオシュヤント?は、時を超えて保存されたザラスシュトラの精子が、終末の日が近づく頃、
沐浴する処女の体内に入って受胎する、という形で誕生する。

キリスト教側の反論として、主に性的部分の有無があげられる。
神が性的接触を絶対にしない世界観とそうでない世界観の違いによるとも言える。
仮に後者のモチーフを前者に持ち込んだとして、当然抵触する部分は削ぎ落とされ、違いとして現れる。

南方熊楠『余り茶を飲んで孕んだ話と手孕村の故事』によれば、ある回教徒の説で、マルヤム(聖母マリアだ)が無原罪なのでジブリ―ル(ガブリエルだ)に命じて、アーダム(アダム)の吐いた唾液を突っ込ませたというのがあると言う。また、別の回教徒の伝承によれば天使がマリアのまんこを吹いてなしたという*1

 犬塚則久『「退化」の進化学』によれば、子宮は元々「卵へ殻を付ける器官」の使い回しで、卵巣から子宮まで、大体の哺乳類は2つあり、人類は霊長(ほかに象さん系のアフリカ獣類と南米の異節類がいてそれぞれ後述する言訳の特徴を持つ霊長的なのがいるけどWIKI違いだから無視)なので子宮は境がなく完全に一つであるが、まれに中隔世遺伝で、子宮が2つある女性がいらっしゃる。その為、(まんこは一つなんだけど)片方だけ使いまくって「処女でかつ三人位子供作った女性」がいると言う。

 また、ある特定の風(東とか西とか)を受けると受胎するので、ある特定の地域では男が要らんという伝承が汎アジア的に存在する。

参考リンク

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最終更新:2021年06月14日 10:39

*1 『南方熊楠全集第4巻』468頁