シンデレラ は民話に出てくるヒロインの名前。


一応ヨーロッパ各地で、アッシェンプッテル等、同じような話が言い伝えられている。一応探せばアジアにもある。9世紀の中国で書かれた『酉陽雑俎』に、靴がどうたら、洞窟がどうたら、ヒロインの関係者による彼女への嫉妬がどうたら、とモチーフが酷似する『葉限』が収録されている。

 シンダー(灰)エラ、という名前の娘さんが、血がつながってたりいなかったりの近親者からいびられていると、舞踏会へ呼ばれることになり、何かの助力で彼女も行き、王子様に認められるが、いったん離れた彼女は、靴によってあの彼女だと先方から認知される。ギリシア神話での、人間の美少女プシュケが、2人の姉から嫉妬されてると、同じくムカついてるウェヌス?が、プシュケへ怪物を愛するよう仕向けるべくクピド―を仕向けるが、彼はプシュケに惚れ、という展開が類似する。

一応、『ロドピス伝』は、エジプトのファラオが、なんぞ鷲の持ってきた靴をみてその持ち主である然るべきお姉さんをとりました話になっているが、アト・ド・ヴリースは「太陽の巫女が炎属性の王子へ靴を探させる」のが原型なんじゃねえかと言っている*1

旧約聖書』『雅歌』7章1節に出てくる謎のシュラミートと関連するとか言われる。王陛下と結婚した後いろいろある『エステル記』のエステルさんも関連するとか言われる。

南方熊楠は、シンデレラ物『葉限』などに出る魚にトーテム信仰の可能性を示唆しているが、ただポルトガルの『竈猫』で出るもののそれ以外、サンドリヨン、チェネレントラには魚は出てこない。がA・ダンダス『シンデレラ』ではドレスとか靴を工面する樹木の出るサンドリヨンやゼゾッラ(ペンタメロンだ。ジャンバティスタバジーレだ)、また植木抱いて寝るという奇怪な描写がある葉限に至るまで、樹木はなんか関連するらしいと指摘している。

願いをかなえてくれるおばさんは、明けの明星あるいは宵の明星らしい。


参考文献

 アト・ド・フリース『イメージ・シンボル事典』
 アラン・ダンダス『シンデレラ: 9世紀の中国から現代のディズニーまで』
 シャルル・ペロー/和佐田道子『CINDERELLA シンデレラ』
 浜本隆志『シンデレラの謎 なぜ時代を超えて世界中に拡がったのか』
 山室静『世界のシンデレラ物語』
 南方熊楠『南方熊楠全集第3巻』
 南方熊楠『南方熊楠全集第2巻』

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最終更新:2025年09月26日 23:42

*1 『イメージ・シンボル事典』128頁