主人公の青年ダバ・マイロードが、双眼鏡で荒野で遠くを見渡している。 相棒のミラウー・キャオから、通信が入る。 キャオ「な──! そろそろ見回りも切り上げようぜ マイロード((主人公ダバ・マイロードは、アニメでは「ダバ」(姓)と呼ばれていたが、この漫画では「マイロード」(名)と呼ばれている。)) 今日はいつにも増して風が激しいって」 マイロード「! キャオ! 後ろの奴らを追い込んでくれ!」 キャオ「あ こら! お前また勝手に……」 #center(){|CENTER:&br()&big(){&bold(){1&br()&big(){マイ・リトル・ライト}}}&br()&i(){MY LITTLE LIGHT}&br()&br()|} 1人の少女が、野党たちに追われている。 野盗「あんまり傷つけんなよ お楽しみが──」 野党たち目がけて、銃撃が炸裂する。 野盗「&bold(){!?} な なんだ!?」 マイロードが彼らの前に、立ち塞がる。 野党「ち……ッ!」「どきやがれ バラすぞ!!」 マイロード「……悪いけど ここまでにしてくれ」 野盗「ほざけ!」 野党たちが砲を向けるが、それより前にマイロードの剣が、次々に砲身を斬り落とす。 マイロード「ここまで ……って言ったんだけど」 野盗「は はい──っっ」「まままま 待ってくれぇっ」 野党たちが退散してゆく。 マイロード「……少し おどかしすぎたかな」 野党たちに追われていたのは、小妖精のリリスを連れた少女、ファンネリア・アム。 アム「あんなの ぶった斬っちゃえばよかったのに! あたしはファンネリア・アム! こっちはリリス」 マイロード「珍しいな 妖精なんて」 アムがまじまじと、マイロードの顔を覗き込む。 アム「合格~♡ ね 名前は?」 マイロード「ダバ・マイロードだ 怪我はなかったか?」 そこへキャオが合流して来る。 キャオ「コラ マイロード! 人助けとなると先走りやがって &bold(){あ~!} しかも抜けがけかよ!?」 アム「うわ 誰 この田舎者っ」 マイロード「……親友のミラウー・キャオだ」 アム「え 本当に知らないの!? 今 ペンタゴナのほとんどが内戦状態なのよ」 キャオ「っつっても ここ田舎だしねぇ」 アム「呑気ね── 見たでしょ野盗! 治安も悪くなってんの! 旅芸人も大変なのよ!」 マイロード「アムの一座の仲間も無事だといいけどね…… とりあえずは村に泊めてあげられるくらいだけど 空き家があるから好きに使ってくれていい」 キャオ「な── 夜は助けたお礼とか……」 アム「誰があんたと! あ♡ でもマイロードなら……」 マイロード「いや 俺は……」 マイロードたちが、自宅のある村へ帰って来る。 村人「マイロード! マイロード オリビーが……!」 マイロード「オリビー! &bold(){オリビー!!}」 マイロードの自宅には、義妹のクワサン・オリビーがいる。 オリビー「あ お帰りなさい ……どうしたの?」 マイロード「発作なら寝てなきゃだめだろ!」 オリビー「ああ もう平気よ」 マイロード「だめだっ! 死んだ&ruby(とう){義父}さんも働きすぎて 体を悪くしたんだし……」 マイロードがオリビーを抱き上げ、ベッドに寝かせる。 オリビー「ゴホ ゴホッ」 マイロード「薬 薬!」 オリビー「お兄ちゃん 本当に心配しすぎよ ほら見て」 窓から、柔らかな日差しが差し込む。 オリビー「光がさしてきた あたたかい光……」 マイロード「……いや! やっぱり無理はダメだからな」 オリビー「うん」 オリビーが、自分のペンダントの紋章を見せる。 オリビー「ヒミツだったよね」 マイロード「まあ こんな田舎じゃわからないとは思うけどな」 オリビー「……だけど これは本当はお兄ちゃんのものでしょう こんな大事なものを私に……」 マイロード「オリビー 俺は兄としてお前のことを守っていくって誓った ……たとえ血はつながってなくても 俺たち二人は兄妹なんだから この剣と紋章は二人をつなぐ証だと思ってくれればいい」 オリビー「……うん お兄……ちゃん」 マイロード「! そうだ キャオたち! すぐ戻る 休むんだぞ!」 マイロードが自宅を出る。 キャオ「お もういいのか?」 アム「……ずいぶんかわいい子ね?」 キャオ「妹だ妹 ま 兄妹つっても──」 マイロード「キャオ」 キャオ「……悪り」 アム「妹……? ホントなの? ねぇ?」 翌朝。 キャオがマイロードの家を訪ねると、マイロードとオリビーが玄関先にいる。 キャオ「お 外 出てていいのか?」 マイロード「昨日の今日だから あまり砂風にあたるなよ!」 オリビー「はいはい」 キャオ「相変わらずだねぇ アムんとこ顔出してくんだろ? ……っと」 轟音と共に、正規軍のヘビーメタル(巨大ロボット兵器)、グライアが数機、現れる。 キャオ「グライアだ!? 実物の正規軍&ruby(ヘビーメタル){HM}なんて初めて見たぜ」 マイロード (……まさか 俺とオリビーを……) 敵兵「貴様ら! よそ者をかくまっていないか!? そいつは反政府ゲリラの生き残りだ! 引き渡せ!!」 マイロード (違う……のか? もしや……) アム「……ちっ 早かったわね」 マイロード (……) キャオ「ゲリラぁ!? おいおい どうしてこんな村に」 グライアが砲撃で、マイロードの家を砕く。 オリビーがかろうじて、家から逃げ出す。 マイロード「──オリビー!!」 グライアの1機が、オリビーを捕まえる。 敵兵「手間かけさせんな!! さっさと引き渡せ!! 潰すぞ!!」 オリビー「&bold(){……! ゴホッ ゴホゴホッッ}」 マイロード (アムを渡すか──!? いや こんな奴らだ どういう目にあわされるか それにオリビーも……!) マイロードが、腕につけているコントローラーに手をやる。 キャオ「! おい! 『エルガイム』か!? 親父さん『正規軍には見せるな』とかなんとか……」 マイロード「&bold(){&ruby(ヘビーメタル){HM}だ!! なによりオリビーをあのままにできるか!?}」 敵兵「……ちっ ハズレじゃないだろうな……」 キャオ「お お──い! 聞いてくれっ その娘は体が丈夫じゃないんだ!! 見てわかるだろ 発作がひどい!!」 キャオが注意を引き付けている隙に、マイロードはスパイラルフロー(エアバイク)に乗り、岩陰に隠されたヘビーメタル・エルガイムのもとへ向かう。 マイロード「(オリビー) &bold(){ドッキングセンサー!!}」 キャオ「なんか欲しい物があるならやるって! せめてその娘を放してやってくれよ!!」 敵兵「これだから田舎者はっ 用があるのはゲリラだと……」 (オリビーは俺の たった一人の妹なんだから……!!) アム「ゲリラ一人にしつこいったら だから 正規軍ってキライよ!」 マイロードの乗るエルガイムが出動し、グライアに立ち向かう。 アム「!?」 敵兵「な……!?」 エルガイムがあっという間に、グライアの1機を倒す。 敵兵「う……」 マイロード「&bold(){任務か何か知らないが! こんなやり方はないだろう! 何よりもまず! &big(){オリビーを返せっ!!}}」 オリビー (お兄ちゃん……) グライアが、オリビーをエルガイムに突きつける。 マイロード「&bold(){!}」 敵兵「動くな…… 動くんじゃねぇぞ!!」 グライアたちが、反撃できないエルガイムに砲撃を加える。 マイロード「&bold(){くそっ オリビー!!}」 爆風が立ち込めて視界が塞がれる中、グライアたちが逃げ去る。 マイロード「&bold(){オリビー! どこだ!? &big(){オリビー!!}}」 二重恒星サンズと五つの惑星からなる ペンタゴナ・ワールドを 惑星ガストガルの王オルドナ・ポセイダルが 強大な軍事力のもと各星の王朝を滅し 統一してから14年 しかし武力支配はまた ポセイダル自身の腹心ギワザ・ロワウを筆頭に 大小 数多くの反政府勢力を生み ペンダゴナ全域が再び 動乱の時代を迎えようとしていた マイロード「&bold(){&big(){オリビー……!!}}」 #center(){&big(){(続く)}} ---- ※ アニメ『[[重戦機エルガイム>重戦機エルガイムの第1話]]』の漫画版です。