【あらすじ】
イースの本を6冊揃え、天空に浮かぶイースへと導かれたアドル。
聖域トールにある6神官の聖廟に本を返還し、長く険しい道程を経て、イースの最高峰に位置するサルモンの神殿に辿り着いた。
アドルが神殿内で戦いを繰り広げる傍ら、イースは700年の沈黙を破り地上へと降下していた。それと時を同じくして、女神の導きで神殿へと向かう6神官の末裔達。
魔の元凶・ダームの腹心、魔法使いのダレスを倒し、イースの中枢でアドルが見たものは、ダームの呪いに屈し封印された女神の姿だった。
最も遅く中枢にやってきたゴーバンから"銀のハーモニカ"を受け取ったアドルは、その音色で呪縛を打ち破り、女神である事を隠していたフィーナとレアとの再会を果たす。
そして、中枢最深部で遂に「魔」の根源たる黒真珠=ダームと対峙する。
「女神が復活したようだが、二人が戦えないのでは、どうにもなるまい。我々、魔物は、魔法から生まれた生き物。きさまら人間の扱う魔法など、私の足元にも及ばぬ。魔物の本当の恐ろしさを教えてくれるわ! さあ、来い!!」
激戦の末、勝利を手にしたアドル。ダームは、自身を生んだ魔法と共に滅び去った。
イース中枢。
戦い終わって、辿り着いた部屋の扉を抜けると…。
そこには、喜びの表情に満ちた顔があった。
フィーナとレアが、六人の神官の子孫達が、そしてリリアが、アドルを待っていた。
タルフ「アドル。とうとうやったね!!
僕の名は、本当はタルフ=ハダルっていうんだって。僕は、イースの神官の子孫だったらしいんだ。
アドルが、あいつと戦ってるとき、僕は、一生懸命祈ったよ。黒い真珠が、この世からなくなるようにって。
そしたら、何かが砕け散る音が響いて気持ちがすーっと楽になっていったんだ。
とにかく、これで世界が平和になったんだね。これからは、魔物を恐れなくていいんだね。
・・あれ? うれしいはずなのになんだか涙がでて来ちゃった・・・」
マリア「タルフ君。泣いちゃだめよ。ほら、私まで涙がでて来ちゃったじゃないの。
私の本当の名前はマリア=メサっていうの。
魔物がいけにえを、次々と捧げていたのは、私達、神官の子孫をさがしだすため。
私がいけにえの儀式で死ななかったのは、たぶん、神官の腕輪を持っていたからだわ。
魔物は、女神が行動を起こしたのを何らかの形で知り、女神と神官の子孫を見つけ出して殺さなければ、自分達がやられると思った。
それで、手当たりしだい村人をいけにえにしていたのね。
考えてみれば、ずいぶんたくさんの人々の犠牲の上で世界に平和が戻ったわけだし・・
私は村のみんなと、ここの鐘つき堂に慰霊碑を建てるつもりよ。」
ゴート「アドル! やったね!!
ラミアの村で、初めて君に出会ったとき、おいらには、もうわかってたよ。君は、平和を導く指導者なんだってことがさ。
・・・ごめん。おいらは口ベタだから、まともなことを言おうとすると、からっきしダメなんだ。
とにかく、おいらは村のみんなに早く会いたいな。レグのじいさんも、これできっと元気になるよ。」
キース「俺だ。キースだ。
魔法がこの世からなくなったから、魔物の呪いが解けたんだ。やっと、人間の姿に戻ることができた。
溶岩の牢屋で、俺はもうダメだって思ったとき、いろんな思い出が、頭の中を駆け巡ってさ、そしたら、妹が魔物にに殺されたときのことを思い出しちまって・・・
妹が死ぬ間際にいった言葉は、今でも覚えてるよ。夕日が、奇妙にきれいな夕暮れだった。
あいつは、こう言い残して死んでいった。魔物は悪い人じゃないよね、ってな。
いや、変なことを言って悪かった。今は、みんなで平和を喜ばなくちゃいけない時なのにな。
アドル。あらためてお礼を言わせてくれ。本当にありがとう。」
ルタ「アドルさん。やりましたね。
あのとき、ダームの塔の前で見てましたよ。屋上から、一筋の光が天に昇っていくのを。
あなたこそ、本当の勇者です。ぜひ、このエステリアの国に残ってください。
この魔物に荒らされた国を復興するには、あなたの力が必要なんです。」
ゴーバン「アドル! やったな!!
俺も、ここへ来る前に、不思議な夢をみたんだ。びっくりしたよ。イースが地上へ降りるから、サルモンの神殿へ来いっていうんだからな。
で、空を見上げてみると、すぐそこにイースがあった。中へ入ってみれば、危機一髪ってわけよ。
なあ、あのイースが空にずっと浮かんでたのも魔法の力だし、魔物が生まれたってのもそうなんだろ。
アドル。魔法ってのは不思議なもんだな。魔法は、俺達の生活をより素晴らしくするために生み出されたはずなのに、いつの間にか、逆に、魔法に支配されてた。
自分達の作り出したものに、自ら滅ぼされるなんて、こんな情けないことはねえもんな。
何はともあれ、平和は戻ったんだ。みんなで、喜ぼうじゃねえか。そうそう、ドギがおめえに会いたがってたぜ。」
リリア「ああ、アドルさん。無事でよかった。
あなたが、最後の戦いに向かったときは、もう胸がはりさけそうでした。
こうして、生きて返ってきてくれただけで、わたしは・・・」
ゴーバン「無理すんなよ。おめえ、アドルが好きなんだろ。はっきり言っちまえよ。」
リリア「もう、ゴーバンさんったら・・・アドルさん。気にしないでね。」
レア「700年に渡って、天空と地上に分かれていた人間が再びひとつになるときが来たのです。
未だかつて、こんなに素晴らしい日はないでしょう。これからは、女神も神官も必要ありません。一人一人が、自分を信じて生きてゆく時代が、やってきたのです。
私達二人は、この世に魔法がよみがえらないように、平和がいつまでも続くように、見守ってゆくつもりです。
アドルさんのことは、決して忘れません。本当にありがとうございました。」
フィーナ「・ ・ ・ ・ ・ ・」
フィーナとアドルは見つめ合ったまま、まったくしゃべらない。
マリア「さて、私達はそろそろ退散しましょうか。」
ゴーバン「おう、さすがはマリア。いいこというじゃねえか。アドル、先にいってるぞ。しっかりな。」
レアと神官の子孫達が部屋を去り、2人きりになったフィーナとアドル。
フィーナ「あんまり胸がいっぱいで、何を話したらいいのか・・・
神殿の地下で、あなたに助けられたとき、みじかい間だったけど、ジェバの家で楽しい日々を過ごしたとき、なんだか、すべてがわかったような気がしたの。
自分の知らない世界に素晴らしい人達が生活してるってこと、そして、イースはもう過去の国だってことが。
そして何より、あなたに出会えたことがいちばんうれしかった。
あなたとは、初めて普通の女の子として話すことができたような気がしたから・・・
レアが待っているの。私は、そろそろ行かなくちゃ・・・
アドルさん。ときどきでいいから、思い出して下さい。私のような女の子がいたってことを・・・」
アドル「フィーナ・・・」
フィーナ「お別れです・・・」
何も言い返せないアドル。
外でアドルを待っているリリア。
しばらくして、彼がやって来た。
リリア「アドルさん!」
見つめ合う2人。
そこに割り込んできたドギ。
ドギ「アドル! ひさしぶりだな」
アドル「やあ、ドギ!」
笑顔のリリア。
ジェバ、ゼピック村の村長、そしてミネアの町の人々も、この場に平和を祝いに来ていた。
アドルは空を見上げながら、イースという今は亡き古代の王国に想いを馳せる。
700年の時を経て、再び大地に威容を誇るサルモンの神殿。
その地下深く、2人の女神は眠りについていた。
ANCIENT Ys VANISHED
THE FINAL CHAPTER
THE END
※本家の「
イース2のエンディング」にて、CD『Falcom SPECIAL BOX '89』に収録されたドラマ『サラウンドシアターイース』に準拠したものを紹介しています。
最終更新:2016年10月27日 20:45