石に戻ってしまったウルトラマンティガは、 もう二度と光となることはできないのか? ダイゴ、目覚めよ!
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邪神ガタノゾーアに敗れ去ったウルトラマンティガは石像と化し、南太平洋の海底へと沈んだ。
メトロポリスの地下に避難している人々。
GUTS隊長のイルマの息子、トモキもいる。
人々「ウルトラマンが負けた……」「ティガが負けた……」「もうお終いだ……」
トモキ「そんなの、ウソだ!」
月面基地のハヤテ・シン隊長のガロワ飛行艇が、火の海と化したメトロポリス上空を行く。
ハヤテ「くそぉ、なんてザマだ!」
焼け野原と化したニューヨーク。
黒人の男の子2人。
1人はティガの人形を手にしている。
「ティガ……!」
「ウルトラマンは死んだんだってさ」
「そんなの、信じないもん!」
アラスカで。
手製のティガ人形を手にしている女の子に、父親が声をかける。
「カチュア。ウルトラマンは、もう死んだんだ!」
「……死んでない。ウルトラマンは、死んでないもの」
アートデッセイ号のGUTS一同。
ヤズミ「ヤオ博士の造ったマキシマオーバードライブの力で、光のエネルギーを石像に照射したらどうかと思うんです」
ヤオ「単に、物理的な光の粒子を当てればいいというものではないだろう」
レナ「私たちにできることをしなきゃいけないんです。じゃないと、ダイゴは……」
レナの脳裏に、誰かの声が響く。
謎の声「そうだ、あきらめてはいけない」
サワイ「石像はまだ、解明されていなかったからな」
ヤズミ「いえ、石像を光によって変換するメカニズムを解明した人間が、1人だけいます。悔しいけど……」
ムナカタ「マサキ・ケイゴか……」
かつてダイゴの力を奪って自らウルトラマンになろうとした男、マサキ・ケイゴはGUTSの施設に留置されている。
マサキが、鉄格子の窓から、街の惨状を見上げる。
マサキ「夢の通りだ」
ハヤテのもとにレナ同様、謎の声が届く。
謎の声「あなたの飛行機に乗せてくれませんか?」
ハヤテ「誰だ?」
謎の声「あなたの頭に直接話しかけています。僕を連れて行って欲しいのです」
ハヤテ「何だと?」
シンジョウとホリイ、両隊員の乗った潜航艇ドルファー202は、海底から浮上できずにいる。
シンジョウ「青空の海に、上がりてぇよなぁ……」
ホリイ「そうや、絶対にな!」
ホリイが、花嫁のミチルの写真を見つめる。
シンジョウ「マユミ、どうしたかな……」
マサキの留置されている施設。
「マサキ、面会だ!」
面会者はシンジョウの妹マユミと、タンゴ・ユウジ博士。
マユミ「あなたの知識を、あなたの知恵を貸して下さい」
マサキ「僕のしようとしていたことは、間違いじゃなかった」
タンゴ「マサキさん、しっかりしてください! 償えるチャンスじゃないですか!?」
マサキ「闇が覆う世界を、光で照らし、導く者が必要だった」
マユミ「それは、あなたじゃなりません!」
マサキ「……ハハハハ! ハハハハハ! 確かに、君は正しい」
レナが、真っ暗な海を見つめる。
レナ「ダイゴ、生きているよね? 私、まだ話したいこといっぱいあるんだから……」
ダイゴは海底のティガの石像の中で、クリスタル状の結晶体の中に閉じ込められ、身動きできずにいる。
レナの声「もうすぐ迎えに行くからね……」
ダイゴ「レ、レナ……」
不敵な笑い声が響く。
かつて救世主を名乗った精神生命体、キリエル人たちの姿。
キリエル人「キリエル人は、あれが復活する前に愚かな人間たちを救ってやることができたのだ!」
ダイゴ「貴様たちに従えば良かったって言うのか!?」
キリエル人「もう遅いわ、キリエルの神々はこの星を見捨てたの」「私は言ったはずだ、この星の守護神になるなど、君にはおこがましいと。ハハハハ!」
ダイゴ「く、くそぉ……!」
アートデッセイ号のGUTS一同のもとに、ハヤテが現れる。
ハヤテ「よぉ」
イルマ「ハヤテ!?」
ハヤテ「とんだ落ち武者どもだな」
ヨシオカ「そんな言い方はないだろ」
ハヤテ「ほかの奴らは?」
ヤズミ「ホリイさんとシンジョウさんは、ドルファーで怪獣のいる海に」
ハヤテ「ダイゴは?」
一同「……」
イルマは、スクリーンに映ったティガの石像を示す。
イルマ「あれがダイゴ隊員なのよ、ハヤテ」
ハヤテ「あいつがティガ?」
ムナカタ「しかし、どうしてここが?」
ハヤテ「あぁ、変な奴に道案内してもらって来た。こいつらを連れて来た。入れ!」
マサキとタンゴ。
一同「マサキ・ケイゴだ!」「よくこんなに早く……」
ヤオ「君が、熊本の洞窟で組み立てたマシン──」
マサキ「光遺伝子コンバーター?」
ヤオ「その原理を知りたい。石像になったティガを甦らせたいんだ。エネルギーユニットはあるんだ」
タンゴ「そんなユニット、あったんですか!?」
ヤオ「あるじゃないか! 我々の足元に」
マサキのいた施設を出るマユミと、かつてティガを敵視した超能力者、キリノ・マキオ。
レナやハヤテのもとに届いた声は、キリノのテレパシーであった。
マユミ「すてきな力を持ってるんですね」
キリノ「自分の力をそう思えるようになったのは、つい最近のことです。それじゃ」
マユミ「あの、どちらへ行かれるんですか?」
キリノ「僕にはまだやることが、僕にしかできないことがあるんです」
海底のシンジョウとホリイ。
シンジョウ「この闇が…… 人間を終わらせちまうのかよ?」
ホリイ「闇なんてな、どんな人間の心の中にだってあるもんや。けどな、人の心には闇ばっかやなくて、光だってあんねん」
シンジョウ「……名言だな。誰からパクった?」
ホリイ「ほっとけ」
2人もとに、キリノの声が届く。
キリノの声「あきらめるな、まだ終わったわけじゃない」
シンジョウ「天使か?」
ホリイ「アホ。誰や?」
キリノの声「ダイゴくんから心の光をもらった者、ということにしといてくれ。いいか? もうすぐそこへ、ある物が運ばれてくる。それを受け取ってオペレーションするんだ」
ホリイ「何をオペレーションしたらええねん?」
キリノの声「石像になってしまったティガに、光を与える物だと思う」
GUTS隊員たちのもとでは、アートデッセイ号のエンジンユニットであるマキシマオーバードライブに、マサキの光遺伝子コンバーターを組み合せたユニットが完成している。
ヤオ「君のひらめきは素晴しいものだ」
マサキ「僕も一緒に行っていいかな? 光遺伝子コンバーターの動作は、僕もただ一度しか確認したことがない。この目で調整をしたいんだ!」
イルマ「このユニットは、人が乗れるようになってはいないの」
タンゴ「あの…… あ、すみません。僕が言えるようなことじゃないのは全然わかってるんですけど…… マサキさんは間違っていた。だけど、マサキさんなりに人類の行く末を案じていたんです。だから!」
レナ「いいですよ。一緒に行きましょう。やれることをやるしかないんです、私たち!」
イルマ「総監。では、向かいます」
サワイ「……頼む」
イルマ「GUTS、出動!」
一同「了解!」
マキシマユニットを積み込んだガッツウィングとハヤテのガロワ飛行艇が飛び立つ。
やがて2機が、ガタノゾーアのいる南太平洋の海へと差しかかる。
レナ「見えました! あれが、あれが闇の支配者!?」
ヤズミ「マサキさん、間もなく到着しますよ!」
マサキ「あぁ」
マサキはマキシマユニットの機器の隙間で、必死に調整を続けている。
イルマ「β機、発進するわ」
レナ「了解」
ムナカタ「自分が、替りたかったです」
イルマ「私だってたまには、前に出たいわよ」
ハヤテ「足手まといになんなよ」
ガッツウイングEX-Jから、イルマの乗ったβ機が分離。
ハヤテと共に、ガタノゾーアを銃撃する。
ハヤテ「くれてやるぜ!」
ガタノゾーアの尖兵、超古代尖兵怪獣ゾイガーが飛来する。
イルマたちとの空中戦となる。
ハヤテ「舐めやがって!」
ヤズミ「マキシマユニット、投下します」
ムナカタ「よし。マサキ、頼むぞ!」
空中戦の最中、ガッツウイングEX-Jからマキシマユニットが海へ投下される。
イルマ「ハヤテ、翼の付け根をねらうのよ!」
ハヤテ「ご教授に感謝するぜ」
ゾイガーが、イルマたちの攻撃で翼にダメージを負って、海へ突き落される。
さらに2機の連続攻撃を浴び、ゾイガーが倒れ、海に没する。
海底では、シンジョウたちのドルファーの目の前に、マキシマユニットが投下される。
ホリイ「来た! ほんまに来よった」
シンジョウ「夢じゃなかったんだ……」
キリノの声「そのユニットの中に、マサキという男がいる。マニュアルで操作するそうだ。ドルファーで、ユニットの照射角度をティガに向けてくれ」
キリノが海を見つめる。
キリノ「ダイゴくん、君にだけは僕の声が届かない…… でも、生きていると信じているよ。また光になってくれ!」
ドルファーからマニピュレーターが、マキシマユニットへと伸びてゆく。
シンジョウ「しっかりキャッチしてくれよ」
ホリイ「任せなさい! ──掴んだ!」
シンジョウ「行くぞ」
ドルファーがマキシマユニットを運び、海中のティガの石像のもとを目指す。
シンジョウ「ティガの石像が見えたぜ!」
ホリイ「シンジョウ、もうちょっと右や。──よっしゃ、その角度を維持してくれ」
マサキ「これだ……! この波形だ! 甦ってくれ、ティガ!」
マキシマユニットから放たれた光が、ティガのカラータイマーへと注がれる。
ホリイ「よっしゃあ!」
レナ「ダイゴ、目を覚まして。私たちの光だよ」
石像の中のダイゴに光が届き始め、意識朦朧としていたダイゴが、うっすらと目を覚ます。
ムナカタ「まずい、邪神が暴れ出した!」
ガタノゾーアが、海面から漏れる光を見て、暴れ出す。
海が激しく波打ち、ドルファーがそれに巻きこまれて制御を失う。
マサキ「光よぉ……!」
ついにマキシマユニットがドルファーから切り離されてしまい、ティガに照射されていた光は消えてゆく。
ダイゴ「どうしたんだ!?」
シンジョウ「くそぉ!」
レナ「光が消えてく!?」
メトロポリス地下の避難所に、テレビのニュースが流れる。
『救出作戦は失敗の模様です。もう私たちは、滅びるしか道はないのでしょう。みなさん、さようなら……』
人々が悲嘆の声を漏らす。
トモキが突如、立ち上がる。
トモキ「ティガ!」
続いて子供たちも叫ぶ。
子供たち「ティガ!!」
アラスカ。
父親の目の前で、ティガの人形を手にしていた女の子が光に包まれる。
アメリカ。
黒人の男の子たちが光に包まれ、光の粒子と化して空へ昇ってゆく。
日本では避難所の子供たちが、そしてトモキが力強く拳を天に掲げ、彼らもまた光と化す。
世界中から無数の光の粒子が次々に立ち昇り、空を駆け、南太平洋の海へと注がれてゆく。
レナ「光が……!? 光が、いっぱい!」
無数の光が、海底のティガの石像へと注がれてゆく。
ティガの中のダイゴの目の前に、まばゆい光が溢れ、光の中から世界中の子供たちが駆けて来る。
子供たち「ティガ──!!」「ティガ──!!」
ダイゴ「これが……! これが光なんだ!!」
黄金色の光が立ち昇り、ついにティガが復活し、凛々しく立ち上がる。
ヤズミ「ティガが! ダイゴさんが甦った!!」
レナ「ダイゴ!!」
ガタノゾーアと同等の巨体まで巨大化したティガが、ガタノゾーアに挑む。
ティガの中にあふれる黄金の光の中には、光と化してティガと一体化した世界中の子供たち。
子供たちが拳や蹴りを振るうや、ティガのパンチ、キックが次々にガタノゾーアに炸裂する。
子供たち「僕がティガだ!」「私がティガよ!」
トモキ「僕が、ティガになってる!!」
光の中に、レナの姿もある。
レナ「私も…… ティガの中に!」
ティガが、子供たちが大きく両手を広げ、必殺光線の構えをとる。
必殺のゼペリオン光線が炸裂。ガタノゾーアの巨体が火を吹く。
そしてとどめのタイマーフラッシュが炸裂──!
ガタノゾーアが断末魔の叫びとともに大爆発し、最期を遂げる。
空を埋め尽くしていた暗雲が晴れ、青空が広がり、太陽の光が差し込む。
勝利を収めたティガが空を仰ぎ、その巨体が光の粒子と化して消えてゆく。
マサキが無事救出されて、アートデッセイ号に帰還する。
タンゴ「マサキさん!」
サワイ「無事だったか……」
ヨシオカ「勝ったな」
サワイ「人類、すべての勝利だよ」
ハヤテ「まだまだ人間の知らない世界がある。これからですよ、総監。俺たちには、やるべきことがいっぱいある」
アートデッセイ号の甲板に立つダイゴのもとに、GUTS隊員たちが駆け寄る。
一同「ダイゴ!」「ダイゴさん!」
レナ「ダイゴ!」
レナが真っ先に飛び出して、ダイゴに抱きつく。
ダイゴも、固くレナを抱きしめる。
ダイゴ「レナの声…… 聞こえたよ」
懐から変身アイテム・スパークレンスを取り出すと、それはすでに石の塊と化している。
レナの手の中でスパークレンスが風化して砂となり、風に飛ばされて消えてゆく。
レナ「もう、ウルトラマンにはなれないのね……」
ダイゴ「人間はみんな、自分自身の力で光になれるんだ。レナもなれただろう?」
レナは目を潤ませ、頷く。
シンジョウ「よぉし! みんな、記念写真を撮りましょう!」
一同「やったぁ!」「記念すべき歴史の1ページや!」
列をなす一同に、シンジョウがカメラを向ける。
シンジョウ「はい、もっと寄って! ちゃんと寄って。ヤズミ、ちょっと来い。おいで」
シンジョウはヤズミにカメラを託し、自分は一同に加わる。
シンジョウ「はぁい、よろしく!」
ヤズミ「まったく、いつもこれだよなぁ。じゃあ、いきますよ! 1+1は?」
一同「2──っ!!」
パシャッ!
最終更新:2015年10月11日 06:48