最終三部作 III 心からの言葉
暗黒宇宙大皇帝 エンペラ星人 登場
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ウルトラ戦士たちの仇敵、暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人が地球に出現。
尖兵たちとの戦いで憔悴しきったミライは、ウルトラマンメビウスに変身できない。
太陽は黒点に覆われて光を失い、地球上は暗黒に閉ざされた。
そして果敢に特攻を挑んだリュウは、エンペラ星人に撃墜される──
ミライ「リュウさぁぁ──ん!! ……よくも大切な人を!」
リュウの声「ミライ、俺なら生きてるぜ」
ミライ「えっ!?」
光の柱が立ち昇り、エンペラ星人に敗れ去ったはずのウルトラマンヒカリが現れる。
マリナ「ウルトラマンヒカリ!?」
ミライ「リュウさん!」
リュウが新たにウルトラマンヒカリとなった姿であった。
リュウ『そう簡単に死んでたまるか。セリザワ隊長に頼まれたんだ…… お前のこと、地球のことを!』
ヒカリがエンペラ星人に挑むが、やはりその力は圧倒的。強力な力の前に、ヒカリが大きく後ずさりする。
思わず飛び出そうとするミライを、ジョージとマリナが制する。
マリナ「ミライくん、ムチャよ!」
ジョージ「今のお前は、もう……」
ミライ「だけど、このままじゃ……」
ヒカリが炎に包まれ、胸のカラータイマーが点滅を始める。
ジョージたちに制止されたままのミライの体が光に包まれる。
ミライの変身したウルトラマンメビウスが登場。膝を突きそうになるヒカリを、メビウスが支える。
カコ「変身する力なんて、もう残ってないはずなのに!?」
サコミズ「ミライが言っていた。最後まで諦めず、不可能を可能にする── それがウルトラマンだって」
メビウスのメビュームシュート、ヒカリのナイトシュートの2大必殺光線が放たれる。
しかしエンペラ星人はこれも、たやすくかわしてみせる。
エンペラ「まだ刃向かう力があるとはな。戯れに仕向けた四天王を退けただけのことはある。しかし、もう終わりだぁ!」
エンペラ星人がメビウス目がけ、赤黒い破壊光線、レゾリューム光線を放つ。
毒々しいエネルギーに包まれ、メビウスが次第に苦み出す。
ヒカリがメビウスを助けようとするものの、エンペラ星人の念動波で動きを封じられてしまう。
不気味なエネルギーに包まれたメビウスが全身から火花を噴き上げ、消滅──
エンペラ「わかっただろう? ウルトラの一族は決して、余には勝てぬことを」
ヒカリもまた、カラータイマーの点滅が激しさを増している。
ミサキ「カラータイマーが!?」
リュウ『て、てめぇ…… ミライに何しやがっ……た……』
意気込むリュウだが、ヒカリもついに倒れ、その姿が消滅する。
トリヤマ「私は、誰1人犠牲者を出さぬと言った! すぐに救助!!」
ジョージとマリナが駆け出す。
ミサキ「あなたたちも!」
テッペイ「でも、僕らがここを離れたら……」
マル「大丈夫! ここは、私たちの思い出の場所でもあるんだ!」
エンペラ「悔しかろう、ウルトラの父。かけがえのない星── 貴様らがそう呼ぶこの星の未来も今、潰えた!」
ジョージたち4人により、瓦礫の中からリュウが助け出される。
マリナ「リュウ、しっかり!」
コノミ「リュウさぁん!」
テッペイ「ミライくんは? ミライくぅん! ミライくぅ──ん!」
リュウ「また…… 何も守れなかった」
ジョージも「もう…… ミライもいない」
コノミも「終わりなんですね……」
マリナ「地球も、太陽も……」
声「本当に、そう思うか?」
マリナ「……この声」
北斗「君たちになら聞こえるはずだ。今はそばにいなくとも、勝利を信じて共に戦って来た仲間の声が」
マリナ「仲間……?」
郷「目をそらしてはいけない。地球の未来は今、君たちに託されているのだ」
ジョージ「地球の未来が?」
モロボシ「君たち人間がいたから、我々はどんな強敵とも戦ってこられた。 君たちなら、そのことを教えられる」
コノミ「私たちなら……?」
ハヤタ「そして救ってくれ、弟を。君たちが培ってきたものがあれば、必ずや地球は守りぬける」
テッペイ「はい、必ず!」
ウルトラ兄弟たちが、黒い塊と化した太陽目がけて必殺光線を放つ。
太陽表面を覆う暗黒が、次々に斬り裂かれてゆく。
ジョージ「リュウ、顔を上げろ!」
テッペイ「守り抜くんです」
コノミ「ミライくんと一緒に!」
マリナ「聞こえるはずよ、ほら」
リュウの腕にヒカリの変身アイテム・ナイトブレスが現れ、ミライの声が響く。
ミライ『もう一度力を貸してください。僕たちの、最後の戦いのために!』
リュウ「ミライ…… ミライなのか!?」
金色に輝く空間の中で対峙するミライとリュウ。
リュウ「お前、どうして!?」
ミライ「ナイトブレスは、奇跡の力を持つ伝説の超人、ウルトラマンキングから授かったものなんです。それに、ヒカリが言ってました。来るべき戦いのとき、このナイトブレスが必要になると」
リュウ「俺たちにはまだ、やれることがあるんだ…… わかった。一緒に行くぜ!」
リュウ「俺たち…… 5人も!!」
宇宙空間ではウルトラ兄弟たち4人の光線が、太陽を覆う暗黒を次々に斬り裂いてゆく。
駆け出すGUYS一同。リュウが皆と頷き合い、ナイトブレスを構える。
その腕にテッペイ、マリナ、コノミ、ジョージが手を重ねる。
最後に、光に包まれたミライが現れ、6つ目の手を重ねる。
サコミズ「GUYS! sally go!!」
ミライたち「GIG!!」
変身ポーズをとったミライが拳を突き上げ、リュウたち5人も一斉に拳を掲げる。
ミライたち「メビウ──ス!!」
燃え盛る炎のようなエネルギーが一同を包み込み、新たな姿となったウルトラマンメビウスが姿を現す。
ミライとリュウたち5人が一体化した姿── メビウスフェニックスブレイブ。
エンペラ「言ったはずだ、ウルトラマンは決して余には勝てん!」
エンペラ星人が、メビウスを消滅させたレゾリューム光線を放つ。
しかしメビウスはそれを真正面から受け止め、エンペラ星人自身に跳ね返してみせる。
ミライ『まだわからないのか!? エンペラ星人! 今の僕は、もう1人じゃない!』
エンペラ「光の者たちよ、なぜ闇を恐れない!? 全ては静寂に支配された、素晴らしい世界を!」
宇宙空間ではウルトラ兄弟たちに、
ウルトラマンレオとアストラの兄弟も加勢している。
フェニックスネストではサコミズが、かつて旧友の
タケナカ最高総議長から託されたカードを手にする。
サコミズ「ファイナル・メテオール、解禁!」
空を埋め尽くす暗雲に閃光が走り、巨大な飛行体が降下して来る。
マル「あれは?」
ミサキ「あれこそ、スペシウムエネルギーを増幅できるファイナル・メテオール」
トリヤマ「ファイナル・メテオールですと!?」
ミサキ「メテオールはそもそも、我々人間が──」
サコミズ「──我々人間が、ウルトラマンの心に応えるためのもの! そう、この日のためにあったものだ! みんな! メビュームナイトシュートで、スペシウム・リタブライザーを撃て!」
メビウスブレスとナイトブレスが輝き、新たな必殺光線、メビュームナイトシュートが放たれる。
メビウスの赤、ヒカリの青の2色の光線がファイナル・メテオール = スペシウム・リタブライザーで増幅され、エンペラ星人に浴びせられる。
遥かウルトラの星から、ウルトラの父の声が響く。
ウルトラの父「エンペラ星人、地球を照らす太陽の光は消せはしない!」
エンペラ「グゥゥ…… えぇい! な、なぜだ、ウルトラの父!? なぜ、のうのうと太陽に照らされている命を救おうとする!? 闇こそが、永遠の世界になるのだぁ!」
ウルトラの父「光があるからこそ、闇もある── 闇があればこそ、また光もあるのだ」
マリナ『私たちは今日まで、勝利を信じて共に戦って来た!』
ジョージ『あぁ、地球の未来が今、俺たちに託されているんだ!』
コノミ『どんな強敵にも、負けずに戦って来れた私たちなら!』
テッペイ『地球も、必ず守り抜ける!』
リュウ『そう、俺たちに叶えられない夢なんてない。たどり着けない未来もない!』
サコミズ『信じるんだ、我々の力を! 我々の未来を!』
声「サコミズ、サコミズ── 共に行こう。今こそ君の力が必要だ」
光とともに響く声。サコミズが静かに頷き、光の中へと歩み出す。
フェニックスネストから、サコミズの一体化したウルトラ兄弟の長兄ゾフィーが飛び立つ。
ゾフィーがメビウスに並び立ち、必殺のM87光線を放つ。
サコミズ『みんな、もう一息だ!』
リュウ『これが俺たちみんなの、最後の戦いだ!』
スペシウム・リタブライザーで増幅された2大必殺光線が、エンペラ星人に浴びせられ続ける。
ウルトラの父とヒカリに受けたエンペラ星人の体の傷跡から、血しぶきの如く光が漏れる。
サコミズ『今だ、みんな!!』
エンペラ「よ、余は、暗黒の皇帝! 光の国の一族になどに、やぶれはせぬ──!」
メビウスが炎の塊と化し、火の鳥のように突進。スペシウム・リダブライザーを貫き、エンペラ星人を貫く。
メビウスフェニックスブレイブ最大の必殺技、メビュームフェニックスが炸裂──!
あまりの威力にスペシウム・リダブライザーが砕け散る。
エンペラ「うぅ、なぜだ……!? なぜ余がウルトラマンごときに……!? 余はウルトラマンに負けたのではない! そうか…… 人間のちっぽけな希望という光に、ウルトラマンと、人間の絆に負けたのか…… 余が、余が…… 光になってゆく……」
エンペラ星人の体中の傷から、両目から、口から光が漏れる。
そしてその全身が光で溢れ、ついにはその暗黒の巨体が無数の光の粒子と化して消滅──
ウルトラ兄弟たちの尽力により太陽も完全に元の姿となり、地球上を覆っていた暗雲が晴れ、陽の光が差し込む。
地下の避難所から地上へ出て来た人々が喜び合う。
ミサキが「太陽が……!」
変身を解いて地上に降り立っているミライが、天を仰ぐ。
ミライ (聞こえていますか? ウルトラの父。僕自身にしか見つけられないこと── 大切なものは今、確かに僕の胸の中にあります)
ゾフィーの姿を見上げるミライとGUYS一同。静かに頷くゾフィーに、サコミズが笑顔を返す。
リュウ「大丈夫。地球は俺たちの手で守っていける」
ゾフィーの隣に並んだヒカリが、その言葉に頷く。ゾフィーとヒカリが共に、空へ飛び去る。
サコミズ「これで君も、ウルトラ兄弟の仲間入りだね」
ミライ「最後の戦いが終わった今、僕には新しい使命が出来ました。この星の人たちと共に得た大切なものを、光の国の新たなウルトラマンたちに、伝えていきます」
ジョージは顔を一瞬歪めたものの、すぐに笑顔を作る。マリナも目を潤ませている。
ジョージ「……いい顔してるぜ、アミーゴ!」
マリナ「しっかりやんなさいよ」
テッペイ「君と出逢えて、本当に良かった」
コノミは「ずっと応援してるからね」
リュウ「……行けよ」
大粒の涙をボロボロと流すミライ。
ミライ「さようなら…… 今まで…… ありがとうございました!!」
ミライの体が光に包まれ、立ち昇る光の柱とともにウルトラマンメビウスに変身。
しばしGUYS一同と視線をかわした後、メビウスもまた空へ飛び去る。
GUYS一同が空を仰ぎ、その姿を見送り続ける。
リュウ「ミラ──イ! ありがと──!!」
テッペイ「体に気をつけて──!」
コノミ「頑張ってね──!」
マリナ「ミライくん──! 元気でね──!」
ジョージ「ミライ──! 頑張れ──!!」
宇宙を行くヒカリとゾフィーに続き、メビウスも宇宙の彼方へ、ウルトラの星を目指して飛び去って行く。
いつまでも空を見つめ続けるGUYS一同。
コノミの手に、消えたはずのリムエレキングが現れ、ふと一同の顔に笑顔が戻る。
エンディングテーマとともにGUYS隊員たちのその後。
サッカーのスペインリーグに復帰したジョージが、必殺の稲妻シュートを決める。
二輪ロードレースに復帰したマリナが、表彰台でシャンパンボトルを振りまく。
父の跡を継いで医師となったテッペイが、子供たちを優しく診察している。
保育士として保育園に復帰したコノミは、満面笑顔で子供たちに囲まれている。
リュウの私室。壁には焼け焦げた「俺たちの翼」の寄せ書き。
GUYS隊長服に身を包んだリュウが、笑顔で部屋を去る。
棚の上には、ミライやGUYS一同たちの笑顔の記念写真──
最終更新:2017年07月04日 19:06