ピシャーチャ

過去、アッシュラにて悪神の力の一部をその身に降臨させて鬼神(亜神)となったモノ。
の混血を祖とする血筋で乱暴者であったが、どこかでは理性的な面を持つ人物であったようだ。


村で禁足地とされていた山に入り込んだ際、オーガコブラに追われて逃げ込んだ廃小屋の床板を踏み抜き地下室へと落下したピシャーチャ。
だが落下した先の部屋には何かを祀る祭壇が設えられており、彼はそこにあった獣の牙の様なモノをお宝として持ち去ってしまった。

以降これを大事に保管していたのだが、次第に悪夢に魘される様になる。
夢の内容は自身が女子供だけではなく墓所でも屍を貪るというモノであり、しかもそんな夢ばかり見るせいか人の血肉の興味を持ち始め、興味は次第に渇望へと変わって行く。
このままではいずれ自分は魔性と化してしまうと恐怖した少年はその原因を己の心の弱さが見せる幻影であるとし、それを払拭するため当時隆盛を誇っていたアスラ教の寺院の門を叩いた。

元より蛮勇を振るっていた少年である。
辛く苦しい修行の中で他の門弟と切磋琢磨する程に強くなる実感に夢中となり、青年と呼ばれる時分になると寺院でも一二を争う実力の持ち主になっていた。
その頃には血肉への渇望は闘争と破壊の先にある真理への探求に昇華しており、このまま武僧として大成すると周りからも思われていたようだ。

だがそんな矢先、またぞろアッシュラ王を名乗って反乱を企てた一派とそれを迎え討つ側の戦いが発生。
言うまでもなく戦乱の炎は彼の属する寺院にまで迫って来る事となり、敵味方入り交じる乱戦に同門の武僧達は次々と力尽きてピシャーチャも致命の傷を負ってしまう。

そして最期の戦いに挑まんとする最中、ふと自身の手の中に握り込んでいた物に気づいた。
手の中にあったのは、寺院の門を叩く前に見つけた少年の頃の宝物。
厳しい修行の中ですっかり忘れてしまっていたそれに彼は願った、蛮勇を振るっていたあの頃の様な勇気を、と。

その瞬間、願いは聞き届けられ青年は鬼神となった。
自我を失いながらその場に存在していた全てを塵殺し、命が尽きて身体が砂と化すまで血肉を喰らい尽くしたと伝わっている。


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最終更新:2025年02月10日 00:27