古の時代、世界を破滅へ導こうとした
黒滅竜の4枚の翼より滴り落ちた
瘴気の滴から生み出されたと言われる4体の強大な魔獣。
魔獣達は
黒滅竜の意思に従ってロクシア各地へと散らばり、数多の魔物を引き連れて世界中に災禍を撒き散らした。
魔獣のいずれもが
黒滅竜同様に瘴気と毒気をその巨体に纏い、近づくだけで草木を枯らし、大地を腐らせて生命を奪ったとも。
また遠く離れていてもそれぞれの記憶や知識を
黒滅竜を介して共有しているらしく、とある1体を倒す為に総力を挙げて編み出した戦術や兵器が別の個体には対策され無効化されている等の厄介な特性を持つ。
このように無尽蔵に湧いて出る魔物達を率いて各地に厄災をもたらし続けた魔獣であったが、
滅竜戦争末期に完成した『
屠龍騎甲』が各地に投入された事で戦況は徐々に盛り返す。
搭乗者の特色によって特性そのものが変わる屠龍騎甲の応用力と、
英雄ランディが世界中に灯した希望によって
黒滅竜の糧となる絶望が薄まった事により、多くの犠牲を払いながらも全ての撃破に成功したのである。
『黒撃獅』
“撃滅させしモノ”
東ギークシクリヒト大陸を中心に暴れ回った巨大な肉食獣のような魔獣。
獅子にも似た四足獣をベースに鋭い棘の様な毛皮に角や甲殻等、様々な獣や魔物の特徴を複合した姿をしている。
凄まじいまでの膂力を持ち、瘴気と邪気を纏わせた爪と牙による圧倒的な猛攻で街々を蹂躙したと云われる。
現地の連合軍総出による激闘の末、最初に討伐された魔獣である。
『黒絶華』
“絶滅させしモノ”
リクレシア大陸の大森林部に現れた、蟲と樹木を混ぜ合わせたような巨大魔獣。
森の木々を見下ろす程の巨体を覆う甲殻は樹木のようであり、様々な虫魔を侵攻した各地に産み落としていった。
そして大森林中央部に根を下ろして猛烈な勢いで養分と魔力を吸い尽くすと、背に発生させた巨大な花から瘴気の花粉を散布して周囲を汚染し尽くしたとも云われる。
複数機の屠龍騎甲が討滅に出た際は黒撃獅との知識共有から得た耐性獲得にて頑強な甲殻を生成し、更に無数の蔓や触手を生やして物理防御を固めていたようだ。
だが屠龍騎甲側も魔術戦に特化した機体を編成し、強力な魔法の爆撃で焼き払う事により討伐に成功した。
『黒壊鯨』
“壊滅させしモノ”
ラタス洋に出現し、周辺海域を荒らし回った水棲型の魔獣。
クジラにも似た巨大な身体を甲殻で覆い、ワニのような太い前脚だけでなく
クラーケンのような無数の触腕も備えていた。
溢れ出る瘴気で海を汚染しながら回遊し、生き物だけでなく各国の船団を次々と海の藻屑にしたと云われている。
水中戦特化の屠龍機甲隊が苦戦しつつも
サイレヌス沖へと追い詰めたが、高濃度の猛毒を煙幕のように噴出し逃走。
そしてそのまま
ロブラヌア諸島北部に上陸し、この地域一帯に甚大な被害を出し続けた。
しかし同時に海中戦にて撃破された1機の屠龍機甲が自己修復機能を使いながら
ロブラヌア諸島に流れ着き、現地住民から素質のある者一人を搭乗者として選抜。
正規搭乗者でないにも関わらず
七日間に渡りたった1機で黒壊鯨と戦い続け、上陸地点から海へと押し戻す事に成功。
その後、再びサイレヌスに現れた所を追撃部隊に発見され討伐された。
『黒死鳥』
“死滅させしモノ”
西ギークシクリヒト大陸に出現した、全身を瘴気と邪気の炎に包まれた巨鳥の姿をした魔獣。
その羽ばたきは瘴気を含んだ猛毒の風となり、翼に纏う黒い邪気の炎は触れたものを焼くと同時に腐らせたと云われる。
他の個体と比べても知性が高く、数々の高位魔術を繰り出したとも。
更には高い再生能力を有し、ダメージを受けても回復し続けるという特性を持っていたようだ。
眷属の中において最後まで残った存在であり、屠龍機甲の攻撃に対しても知識共有だけでなく再生能力から来る自己強化をも繰り返して人類連合を圧倒し続けた。
だがその最期は再生能力の暴走により肉体そのものが崩壊し始め、屠龍機甲大隊の一斉攻撃によって完全に消滅したとの事。
これら以外にも古い文献には
黒滅竜が消滅の間際に2本の尾から更に2体の分身が生み出されたと思しき記述もある。
だが記された文献が古すぎる為、真偽の程やどのような結末を迎えたのかどうか等の詳細部分は消失している。
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最終更新:2022年11月14日 10:42